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【日本代表国際試合・マカオ遠征試合】 2006.2.17. <第1試合 第2試合>
開催日:2006年2月12日(日)
場所:マカオ・Tap Sek Pavilion


日本 タイ






<レポート> 杉浦 文哉

  「日本が上と言う事をしっかり勝って証明したい」

 前日の準決勝後、金山友紀は決勝のタイ戦に向けてこう語っていた。目標がアジア選手権ということもあるが、ここで勝ってタイに「日本は格上」という気持ちを根付かせたい。しかし、その一方で新戦力または久々の召集となる小山剛史、近藤純也、山田将貴、前田喜史の4人に経験をつませて連携を高める事も今大会の目的である。目の前の結果と新戦力の見極めのどちらを優先させるのか。サッポは前者を取った。

 一方のタイは1.5軍と言ったところで、背番号が2桁の選手のほとんどが初代表もしくは代表歴が浅いようだった。それでも全体的に日本よりフィジカルが強いだけでなく、10番のWeangkordのようにテクニックがありシュートも上手い選手などもいた。


 日本は先日の準決勝もそうだったが、スタメンの小宮山友祐、金山、藤井健太、高橋健介の4人が揃う時はコンビネーションも問題なく攻守共にスムースな連動がみられる。しかし、そこに他の選手が入るととたんに崩れてしまう。テンポよくパスを回して敵を崩そうとする日本の戦術は全員の息が合わないと成り立たない。

 小山剛史も「1stセットのメンバーはコミュニケーションが取れているけど、自分はまだ…」とその辺をわかっている。一方、タイはゆっくりとしたペースでボールを運び、個人の身体能力で勝負する。そこに高度なチーム戦術は存在しない。だが、日本がボールを奪いに行ってもフィジカルが強いためなかなか奪えない。「体力の無さを感じた」と小山が言うのはフィジカル勝負が多かった表れである。さらに守備では激しいプレスを浴びせ日本にボールを前に運ばせない。そのため、開始早々は両チームとも互角な戦いを見せるが、メンバーが入れ替わるとボールポゼッションはタイが上回り、シュートチャンスも多くなる。しかし、日本もFPとGKの連携をしっかりとることで、再三訪れたピンチの場面でも川原永光がしっかり防いだ。


 前半11分を過ぎたところで、日本は再びスタメンがそろうが、その1分後に金山がJantaに膝を蹴られ負傷退場してしまう。このプレーでJantaは一発退場となる。その後、「アドレナリンで耐えた」と金山は復帰するも、1人多い日本は積極的に仕掛けないため得点を奪えない。逆に1人復帰したタイは少ないボールタッチから日本のマークをかわしてチャンスを作る。しかし、ここでも川原の好セーブにより両チームとも無得点で前半を終了する。


 後半になってもタイが優勢のまま試合が進む。だが、4分にはカウンターから7番Mvnjarernのパスを受けたWeangkordがゴール前でフリーであるにもかかわらずトラップミスをしたり、6分には自陣からのクリアボールを前線に残っていたMvnjarernがフリーで拾い、GK川原の位置を見てからループシュートを放つも左に外したり、さらにその1分後には再びMvnjarernが今度は小山と藤井の間をドリブル突破してゴール正面からシュートを放つも今度は右に外したりなど再三のチャンスを失敗し日本は救われる。

 さらに、続けて6番Issarasvwipakoonが中盤で小山から山田への横パスをカットしてそのままシュートを放ち、さらにその1分後には中央でパスを受けてからフリーでシュートを放つが、両方とも川原に止められる。試合は完全にタイペースになっていたが、そのIssarasvwipakoonが9分にカウンターで抜けようとした小山を後ろから倒してこの日2枚目のイエローカードをもらい退場となる。2人目の退場とキャプテンの3番Piemkvmもこの試合中に負傷していたため、一気に流れが日本へ傾く。そして、この日2回目の数的有利になった日本は、相手陣内で積極的にプレスを仕掛けた金山がボールをカットする。そのこぼれ球に4人が争う形になったが、いち早くスライディングで飛び込んだ金山が放ったシュートがゴール右上に突き刺さり、日本が先制する。

 1点リードされた事でタイはこれまで以上にフィジカルに物を言わせて猛攻を仕掛けるが、川原を中心に日本は切り抜ける。15分に訪れたこの日最大のピンチでは、カウンターから抜けたMvnjarernがペナルティエリア右手前で守備に戻った高橋をかわして、前に出てきていた川原の横に流れてがら空きのゴールにシュートを放つ。しかし、戻ってきた小宮山がゴールライン上にてヘディングでクリアし、切り抜ける。

 残り3分30秒あたりからタイは9番InnuiをGKにしてパワープレーを始める。すると、2分56秒に小山が中盤のサイドで「しっかり寄せるだけでよかった」と後悔したように、敵に当たって相手のシミューレーションにはまってしまう。6つ目のファールを犯した日本だったが、8番Kaedchuaiの第2PKを川原がしっかり読んで左に飛び、見事に防ぐ。その後もタイはパワープレーを続けるが、日本は小宮山、比嘉、金山、小山の4人でしっかり守り抜き、見事優勝を遂げた。


 試合後、不可解な判定にタイの選手達が審判に駆け寄り猛抗議をしたり、キャプテンのPiemkvmがサッポと口論になったりと後味の悪い試合となった。タイチームを取材する日本人カメラマンが「タイの選手は敬虔なのであんな事をする事はない」と言うのだから、よほどの不満があったのだろう。タイチームの関係者も「実力で負けたのなら素直に結果を受け入れるが、意図のある負けは納得できない」と審判の判定に不満をぶちまけていた。


 一方の日本代表は、海外組の3人が不在の中で結果を出せたのは大きい。金山も「海外組は厳しい試合をしているが、残ったメンバーで結果を出せたのが大きい」と今回の結果を喜んだ。

 しかし、今回の大会で決定力不足や主力と控え選手のコンビネーションの悪さやレベル差など課題が浮き彫りになった。今大会、比較的出場時間が長かった小山も「一瞬の切り替えの遅さが国際大会では命取りになる」と課題を見つけたようだ。

 サッポ自身も今回の結果に喜んでいるが、課題はあるとわかっている。この日出場しなかった前田や近藤を「マークやパスの精度に不安があるから」とこの日は初めから出さないと決めていたようだ。だから、事前に理由を話して出せない事を謝ったと言う。それでも彼等はふてくされずベンチから声を出し続けた。「そのスピリッツがチームに必要」とサッポは言うが、海外組の3人と今回スタメン4人、そして比嘉リカルド。彼等の後に続く選手がおらず、サッポはまだ決めかねている。アジア選手権まであと3ヶ月。サッポの考えるピースになるのは誰か。ブラジル遠征で何らかの答えが出そうだ。




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