世界のトップチームが年に一度アジアに集うタイガー5s。今回は我らが日本代表も参戦!
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Tiger5s レビュー・第1弾
REPORTED/PHOTO BY 長谷川 智憲(フリー)

【日本代表・市原(CASCAVEL)】

●日本が世界で通用することを実感

 先日行われたタイガー5、僕はエジプト戦とイラン戦の2試合を観戦した。タイガー5における最大の収穫は、何と言ってもエジプト戦の勝利だろう。アジア地区以外の国に勝てたということで、とても意義のある結果だと思う。僕はこれまでアジア地区の国との対戦しか見ていなかったので、世界で通用する日本というのが全く想像できなかった。それが、接戦を演じるだけでなく、勝利を収めたのだからこれほどうれしいことはない。アラブ系の選手で構成されたエジプトは個人技に頼るフットサルだが、日本よりは若干格上といった感じ。日本が先制点を取ったことで、守備的な戦い方を最後までできたのが大きかった。

 そして、今年3度目の対戦となったイラン。アジア大会ではいずれも大敗したが、今回は3−5とこれまでにない接戦となった。この要因については、日本の健闘もさることながら、イランが精彩を欠いていたことにあると思う。前半はアジア大会を彷彿とさせる強さであったが、後半はまったく覇気が感じられなかった。結果だけを見ると日本がイランに近づいたように見えるが、その差はまだまだあるというのが正直な感想である。だが、最後まであきらめずに2点差まで詰め寄った日本の底力、これはアジア大会の日本にはなかったものであり、選手の成長の跡がうかがえた。

 また、日本が予選リーグで勝利したオーストラリアについてだが、シンガポールとの試合を観た限り決して強いチームではなかった。今大会では中国、シンガポールとともに最低ランクのチームだったと言える。オーストラリアはフットサルらしくピボのポストプレーを多用していたが、選手個々の技術が低く、守備が不安定な状態で幾度もカウンターをくらっていた。フットサルを覚えたてのサッカースタイルチームを観ているような印象を受けた。日本との試合を観ていないので何とも言えないが、2−1というスコアーは少々物足りないような気がしている。

 結果的に、日本はプレートトーナメントの2位に入り世界で通用することを証明してみせた。イランの強さが世界標準であると考えていた僕にとっては、とにかく驚きの一言だった。イランはすでに世界のトップクラスであり、今大会ではブラジル、スペイン、イタリアに次ぐチームだった。上位チームとの間にはまだまだ大きな開きがあるが、日本は世界標準のレベルに達しているのは紛れもない事実。エジプトだけでなく、コスタリカやオランダともおもしろい試合ができたことだろう。日本は世界でも通用する。その手応えを掴めたことは、タイガー5を観戦した大きな収穫だった。


誰に聞いても最も成長した選手と挙げられる和泉(PITCH FC)

●監督が中心だったアジア大会、選手が中心だったタイガー5

 今回の日本代表については、僕は前回(第3回アジア大会)よりも強かったと思っている。その理由は、やはり選ばれた選手のフットサル経験の差にある。今回の中心選手となった市原、前田(CASCAVEL)、藤井(BORDON)は個々でシュートチャンスを作れる選手。そこに相根(CASCAVEL)を加えたセットは攻守に渡ってバランスが取れており、前回にはなかった厚みのある攻撃を見せてくれた。イラン戦で接戦に持ち込んだのもこのセットであるが、要所でしかこのセットを見れなかったのは少々残念でもあった。

 前回は「ダイレクトパス」や「ゾーンディフェンス」などの戦術を取り入れた木村和司監督が中心となったチームであり、監督が選手を駒として使っていたチームだった。しかし今回は、選手自身が経験を生かして活路を見い出した選手中心のチームであったと僕は考えている。その能力を引き出した原田監督は黒子的な存在であり、一昨年のマリーニョ監督時代に近いチームスタイルだった。。熱意の伝わってくる木村監督のベンチワークに好感を持っているだけに、淡々とゲームを観て指示を出す原田監督には『選手と一緒になって一喜一憂してほしかった』との想いもあるが、チームの作り方としては今回のほうが今の日本のフットサルには適しているのではないだろうか。

 これまでの国際大会でもわかるように、日本代表に与えられる準備期間はきわめて短い。できることが限られているだけに、1から新しいものを作るよりも、今ある力を最大限に引き出すことに力を注ぐべきなのだと思う。今回の選手選考がベストであったとは思わないが、選手の経験を生かしたチーム作りは決して間違いではなかった。


タメール(エジプト)と競り合う藤井健太(BORDON)

●さらなる発展に期待

 しかしながら、今のままで日本が3年後のW杯に出場できるという保証はどこにもない。今大会で非常に残念だったことは、試合中にカメラを構えるなどお祭り気分を漂わせるスタッフがいたことだ。イラン戦後に不満顔で表彰式に臨んだ選手たちとは温度差があったように思う。悔しさをにじませていた選手の想いを無駄にしないためにも、協会あるいは連盟の方々には、この結果に満足することなく日本代表強化に取り組んでもらいたいものだ。世界に通用するチームから世界のトップチームへ。日本代表のさらなる発展に期待したい。 (了)
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