文/サトケン@週刊アスキー編集部

3月27日に日本を発ったサトケン。エンジョイプレーヤーの彼が見たブラジルプロフットサルを現地からライブレポート!
情報が送られ次第即アップ予定です!!
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 日記(擬似だけどね)に入る前に、3月4日ぶんに入れるはずだったのに忘れちゃってた、サントスでの写真2点をご紹介しよう。


カスカベウの主将、市原選手と、新しいスピードスター、金山選手のツーショット。


サントスのこども達に、ストリートサッカーを挑むツアー参加者。

3月5日「カデンシア」
 午前は例によってバネスパのキーパーコーチ、バウミールによる基礎技術・戦術の講義だ。最初は、キーパーからパスされたボールをフィニッシュまでもっていく練習。やはり浮き玉の長いパスを直接シュートする単純な形からはじまって、徐々にこみ入ったコンビネーションへと発展させていく。どれも相手が前がかりに来た時に裏をとるパターンとして、実戦でも使えそうだ。ここでも一例を挙げておこう。

※)黒い矢印は人の動き、赤い矢印はボールの動きを表します。

ボールを受けるサイドのプレイヤーは、適宜ガット(このパターンの場合は縦に抜けるアクションを見せてから戻る動き)を入れてフリーになることが求められる。

 次は5対5のツータッチゲーム。ほとんど実戦という形だ。バウミールとエウレルは適宜ゲームを止めながら、特にセットプレーのオプションを伝授してくれる。「サインプレーは、ひとつのプレーで試合を決めることができるという意味で重要だ」とバウミールが言うとおり、使えそうなワザが目白押しだった。ここでは、キーパーを使ったキックオフのサインプレーをひとつ紹介しよう。



もちろん、前に出たプレーヤーをポストに使うこともできる。


 しかし、「使えそうなワザ」とは言ってみたものの、ダイレクトパスや浮き玉のパス、後方からのパスを受けたシュートなど、要所要所には、正確にこなすのがなかなか難しい技術が含まれている。やはり基本技術の正確さ、そしてそれを支える身体のバランスが備わっていなければ、戦術は実現しないということか。繰り返しになるかもしれないが、ここまで見てきたブラジル人選手たちの基本技術の精度は非常に高かったし、彼らのひとつひとつのプレーには、身のこなしを含めて「美しさ」が備わっていた。日本の選手たちとのもっとも大きな違いは、いわゆる「フィジカル」ではなく(フィジカルの差は勝敗に関わるほど大きな違いではないように見えたが、錯覚だろうか?)、シュートやパス、トラップ、ドリブル、キープという技術の精度と、それによって可能になる戦術的オプションの豊富さ、そして後述する「カデンシア」なのだという印象が強い。

 午後は、2対1→2対2→3対2→4対4という順序で、だんだん人数の増えていくタイプのフォーメーション練習。数的不利のディフェンス→同数のオフェンスを交互にこなすというこの練習は、確かに実戦でありがちな状況を再現しているといえそうだ。さまざまな視点(監督、選手、フィジカルコーチなど)からゲームをよく観察し分析することが、練習方法を編み出すアイデアの源泉だということ(ま、当たり前のことかもしれんが)をうかがわせた。

 さらに、ディフェンスが一人遅れて入る4対4のフォーメーション練習を行うなかで、エウレル、バウミールからいくつか重要だと思われる指摘があった。

●たとえば、ゴール近くでボールをキープしたプレーヤーが相手に詰められたケース。「持ちすぎんな! 早く(パスを)出せ!」などと周りのプレーヤーに怒鳴られつつ、マークを背負って近くに(助けに)寄ってきた味方に、苦し紛れにボールを吐き出す場面を散見するが、講師陣によれば、これは逆に危ない。受け手がつぶされる可能性が大きいからだ。ボールをもらいに走るプレーヤーも、ボールをキープしたプレーヤーも、狭い地域に向かわずに広い地域に向かって動くべきだ、ということ。このことはまた、ボールを出す選手が、パスの受け手が本当にパスを受けられる状況かどうかを確認できるまで、簡単にボールを吐き出さずにまずしっかりキープすべきだ、ということも意味する。ただしもちろん、ボールキープの基礎技術が前提条件ではある。

(0305c.gif)
エンジョイプレーヤーとしては、切実なケースだというほかない。自陣ゴール近くで「(ボールを)持つなら持て。そのかわりしっかりキープしろ!」という種類の指示はなかなか出せるものではない(キープしている味方がボールをとられてしまう可能性が高い、とどうしても思ってしまうんだよね)が、やはり味方を信用して自分がフリーになることを考えろ、ということかもしれない。
※)"…→"はドリブルを表します。

 ここで、「狭い地域に向かわずに広い地域に向かって動くべきだ」という話が出てきたついでに、ダイヤモンド型陣形での基本的なパス回し&ローテーションも復習しておこう。



たとえば、後方中央の選手(図ではB)は、左アラ(図ではAE)にパスを出したら、
ボールを出したのとは反対のほう、つまり右アラの位置に走り、かわりに中央後方
の位置に右アラ(AD)が入る。つまり、"ボールサイドにマーカーを連れて行って
局面が狭くなってしまうことを避ける"
。また、このパス交換をしている間に
ピヴォが右アラとポジションチェンジしておく、または、ボールを出した
プレーヤーが縦に走ってピヴォ位置にいた選手と入れ替わり、ボールを受けた
左アラからの楔のパスを受けやすくすることも有効な手段だ。


日本人は仕掛けが遅い、という指摘。エウレル曰く「いつまでボールを回すつもりなんだろう?って気になるよ」。マークがずれた時点で、どんどんピヴォに当てて、シュートへの形にもっていくべきだという話だった。

●さらにエウレル曰く「みんな、バタバタ動きすぎる! 走るのはボールの役目。人間は"頭"を使わなければ・・・もっと"カデンシアード"にプレイしなさい」。現場で通訳をしてくれていたマリオ安光さんも市原さんも、「カデンシアード」にあたる日本語を探しあぐねて、その場では「正確に」ということで落ち着いていたが、これは若干補足が必要だろうと思う。

 「カデンシアード」cadenciadoは、ポルトガル語の名詞cadênciaの形容詞形。ポルトガル語辞典『Aulélio』によるとcadênciaの意味は「Regularidade de movimentos ou de sons」つまり「動きや音の規則正しさ」、また別のポルトガル語日本語辞書によれば、「動きや音律が(ゆったりとした)リズムにのっていること」とされている。

 形から見て、おそらくcadênciaは英語の"cadence"などと同様に、ラテン語の動詞「cadere」(カデーレ)=「落ちる」を語源としている。たとえばcadereから派生したフランス語のdécadence=「デカダンス、退廃」などは、この「落ちる」というニュアンスを伝えている。

 他にcadereの派生語として、英語のcadenceやイタリア語のcadenzaがあるが、これらはともに音楽用語だ。cadenceのほうは、もっとも緊張度の強い和音(ドミナント)から基調となる和音(トニック)へと"解決"する終止形のことを表し、確かに"落ちる"という感覚がぴったりとくる。cadenzaは、曲の最終部が引き伸ばされた、無伴奏での即興による独奏部分を指し、やはり「終局に向かう」、「落ちる」、というニュアンスをもっている言葉だ。

 エウレルが言おうとしていたのは、シュートにいたるまでのある種のリズムのことだったのだと思う。交響曲が終局に向かって"落ちて"いくように、ゆったりしたリズムから入ってスピードをあげ、シュートの激烈さへと落ちていく感覚−−日本では、「緩急をつける」とか「タメ」などと表現されもする、プレーのリズムに関する虎の巻が、このcadênciaという言葉には含まれているのではないだろうか。


フォーメーション練習ののち、恒例のミーティングを行う慶應BRBの面々。
相手が1語発したら100語にして返す驚異の理論派(?)前川
を中心に、常に徹底的に話し合うのがBRBのスタイルだ。
世界学生フットサル選手権目指して、がんばれ!

 夕方からの練習試合までの間、幼児(フラウジーニャ)や13〜14歳(インファンチウ)の練習風景を見学。子供たち、みんなうまいなぁ。幼児にも、かなり戦術的なことを教えているのが印象的だった。


好きなチームのユニホームを着て練習する子供たち。

インファンチウの練習に飛び入り参加中のサッカーコーチ、成田さんを発見。

(すいません。まだまだ続きます!)
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