文・スティーブ=ハリス●日本フットサル連盟常任理事
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長丁場のプレーオフ・シリーズの結末に間に合って

何かとブラジルに傾倒する日本のフットサル界に生きる私は、この5、6年間、敢えてスペインのフットサルにこだわり続けてきたので、スペイン代表が昨年の世界選手権を制覇した時の喜びは一入だった。そして、以前から熱望していたスペインへのフットサルの旅が今年の6月に実現したのも、限りなく嬉しい出来事だった。その報告をしたいと思う。

スペインのプロ・リーグである Liga Nacional de Futbol Sala (LNFS=室内サッカー全国リーグ)は、9月スタートで翌年の6月に終了する、と私が務める学校の学年と完全にスケジュールが重なるため、日程的に見学可能なパターンが二つだけだ。4月に行われるCopa de Espanaという短期(5日間)のカップ戦とレギュラー・シーズン終了後に展開するプレーオフの決勝シリーズだが、都合上、後者を選んだ。

18チーム加盟のLNFSは、オーソドックスなホームアンドアウェイの総当り戦で34試合のレギュラー・シーズンを完了する後に、プレーオフのシリーズで年間チャンピオンを決める仕組みになっている。それも、準々決勝シリーズ(ベスト・オブ・3)、準決勝シリーズ(ベスト・オブ・3)、決勝シリーズ(ベスト・オブ・5)、という厳しい三段階の長丁場である。今年の準々決が開始した5月12日より一ヶ月以上が経った後の6月14日に私がバルセロナにやっと着いて決勝シリーズを二戦目から観ることができたので、プレーオフ・シリーズの異常な長さに取りあえず感謝した。

LNFS 2000-2001 シーズンの最終結果
チーム名 試合
勝点 得点 失点
1 プラヤス・デ・カステヨン 34 83 26 5 3 165 83
2 バレンシア・ビフサ 34 74 24 2 8 166 104
3 エルポソ・ムルシア 34 68 22 2 10 155 123
4 アンテナ3・ブーマラン 34 64 20 4 10 130 105
5 フォールム・オレンセ 34 62 18 8 8 139 103
6 カハ・セゴビア 34 60 18 6 10 189 142
7 カフェ・ドライ・フィアット 34 56 17 5 12 173 150
8 インドゥストリアス・ガルシア 34 48 15 3 16 123 151
9 ミロ・マルトレール 34 48 15 3 16 140 138
10 モストレス 34 45 13 6 15 143 148
11 GMIカルタヘナ 34 43 13 4 17 125 140
12 オーパルロ・フェレル 34 42 12 6 16 121 132
13 フォティコス・サラゴサ 34 40 13 1 20 133 160
14 カフェ・カンデラス・ルホ 34 40 12 4 18 113 147
15 FCバルセロナ 34 39 11 6 17 123 140
16 MRAインヘテアム・ショタ 34 30 8 6 20 102 128
17 カハ・サンフェルナンド・ヘレス 34 25 7 4 23 85 138
18 ドゥルマ・アストルガFS 34 13 4 1 29 89 182

カードは本命対大穴

スペイン代表とLNFSの王者カハ・セゴビアがブラジルのそれぞれを下しワールド・チャンピオンになるわ、LNFSも世界一華やかなプロ・リーグになるわで、スペインが今やフットサルの最もアツイ国だが、意外なことにスペインのプロ・フットサルは都会ではなく、中規模の地方都市で栄えている。

関係者の話によると、レアル・マドリードやFCバルセロナが抑えている大都会やバスケットやハンドボールが根付いている地域に入り込む余地がないから、フットサルのプロ・チームが一番歓迎される町は、ムルシア、カステヨン、セゴビアなどのように立派な都市なのに愛されるべきスポーツ・チームがこれまで存在していなかった土地だそうだ。

ことにカステヨン市は、Playas de Castellon というチームを多大な資金でリーグの強豪に育て上げた。既に絢爛たる面子で昨年リーグ優勝を成し遂げたプラヤスは、去年の決勝シリーズ相手だった CLM Talavera が廃部した後、そのスター選手を一気に抱えたため、さらにパワーアップをした。その結果、合体のバケモノ軍団が一位で今年のレギュラー・シーズンを終了し、準々決も準決も順調に勝ち続けて、決勝に難なくたどりついた。

昨年のリーグ王者で現欧州チャンピオンのPlayas de Castellon(前列の左より)ハビ・サンチェス、ハビ・ロドリゲス、パウリニョ、アンドレウ、カセレス、(後列の左より)ギレルモ、トーレス、クピム、ジョアン、ロレンテ、トニ


しかし、その相手が変り種だった。ほとんどの選手がA代表かユース代表か強力なブラジル人助っ人というカステヨンと違って、バレンシア・ビフサは今シーズン一部に昇格したばかりのチームで、注目の選手も二人しかいない。それもスペイン代表最年少のキケというディフェンダーと無名のブラジル人、ジェリーだから、Division de Honor (名誉の部=一部)で花を開くというより、もしかするともう一度降格の危機に瀕するかも知れないと目されていた。

二部のDivision de Plata(銀の部)から昇格して一年目にして一部のDivision de Honor(名誉の部)で優勝に挑むValencia Vijusa(前列の左より)ジェリー、ホセ・ルイス、フェデ、ホセ・ゴメス、テテ、(後列の左より)フアン、アルベルト、キケ、ホセマ、ラファ、カルロス

ところが、ミキというあだ名を持つ若い監督に導かれて、ビフサはシーズンを通して快進撃を続けたため、カップ戦で準決進出を果たし、レギュラー・シーズンで何と二位につけた上、プレーオフでも準決でエルポソ・ムルシアという名門を退けて、決勝シリーズで堂々とプラヤス・デ・カステヨンに挑むことになった。

試合前に若い監督同志が健闘を誓い合う。右のミキ(バレンシア)は今最優秀監督賞の有力候補。左のティノ・ペレスは昨年、決勝シリーズで負けた後に永遠に姿を消した名門CLM Talaveraで指揮を執っていた。(背後にLNFSのロゴが見える。)

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