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【対論】マカオの戦いを振り返る
 菊地芳樹(STRIKER)×山戸一純(FUTSALNET) まとめ:北健一郎



  第 1 回
 (第2回

 日本フットサル界悲願の世界選手権への出場を決めた、マカオでのアジア選手権から早くも1ヶ月が過ぎた。神奈川県のある居酒屋では、現地から貴重な情報を日本に送り続けたSTRIKER編集部の菊地氏とFUTSALNETの山戸氏が、マカオでの戦いについて語っていた。

 フットサルを見続けてきた二人だけに、話題は尽きることがなく、そして何度も横道に逸れた。

 「アジア選手権はどんな大会だったのか?」「世界選手権に出場したことで何が変わるのか?」「日本のフットサルは果たして世界を相手に通用するのだろうか?」これから先、フットサル界でいつまでも語り継がれていくであろう「マカオの歓喜」を今振り返る…。



○ メンバー選考について

菊地(以下K):今回のアジア選手権はサッポのフットサルが良く分かった大会でしたよね。まず、ピヴォをすごく重要視しているやり方だった。計算してみると、各ポジションにそれぞれ2人ずつ配置していたんだけど、ピヴォは他のポジションより人数的に多かった。

木暮を筆頭に、小野、稲田を連れて行って、加えて相根もあるぞというような体制だった。ただ相根君をどこのポジションで使おうと考えていたのかは、今ひとつ分からなかったんだけど。とりあえず相根君は、サッポの話を聞く限りでは、市原君と同様に怪我の影響で最後まで出れるか出れないかギリギリのコンディションだったと。まぁ連れて行くメリットが、外すデメリットよりも大きかったと思うんだよね。精神的な部分や、(世界大会の)経験もあるし。それでアラとしては、リカルドと藤井君、プラス金山君。この3人がメインだったね。

山戸(以下Y):相根君と市原君を怪我しているのに連れていったじゃないですか。でも、岩本君だとかぎりぎり当落線上にいた選手もいたじゃないですか。ガンガン走れる岩本君よりも、経験のある相根君と市原君だったっていうのが。結果としては今回の選択で良かったのかもしれないけど。岩本君にしてみれば…。

K:悔しいところではあるでしょうね。

Y:結局、相根君なんかはあんまり使われなかったわけじゃないですか。でも、チームスピリットとかってすごく言ってましたからね。そういうところを大事にするのだとすると、そういう選択になるのかなって思いますけどね。

K:今までの日本代表が割りと固定したメンバーで戦っていたことから考えて、圧倒的に相根君と市原君の経験値があるわけだから。サッポが監督になった状況でスタートした場合に、岩本君はまだ経験不足だという面があったんじゃないかな。じゃあ、なんで稲葉君が入ったのかというのは、やっぱり「若いから」っていうことなんじゃないかな。サブ代表を作りたいって話はしていたし。だからこそ今代表に入っていない選手っていうのは、相当がんばらないと厳しいよね。

Y:そうですよ。経験がないと連れてこられないってことなると、特に今すでに25、6の選手は…。

K:それこそ、呼ばれたときに小野級の活躍をしないとダメだってことだよね。

Y:稲葉君と岩本君の違いは、やっぱり稲葉君は「若い」、岩本君は「若くない」ってことなのかな。でも国際経験でいえば岩本君もスペインで1年間プレーしていた経験があるので、その辺が買われてもいいのかなって思うんですけど。ただ岩本君は今まで、選抜には選ばれたことはありますけど、代表で海外に行ったことは一回もないんですよね。だから代表向きの選手かと言われると、ちょっと難しいのかなと思ったりもしますけど。

K:その辺の、なんで誰が選ばれてなんで誰が選ばれないっていうのは、どの世界にもあることだから。本人にとってはちょっと酷かもしれないけど、運がなかったのかなっていう感じだよね。


○ 活躍した選手について

K:それぞれのポジションの特徴を見ていくと、ピヴォは大体ポストができて、自らがゴールを取るというストライカー的なタイプ。アラは置いといて、ベッキはもちろん最後のところで体を張って守れるプラス、シュート力だったと思うんだよね。難波田君も鈴村君もシュート力あるじゃない。今回は難波田君が超大当たりだったけど。

そういう面で市原君はコンディション面の影響があったのかもしれないけど、ベッキの3番手に回る形になったと。アラのところなんだけど、今まで見てきた人にとっては、意外と言えば意外な人選だったのが、前田君が明らかに一番手ではなかったということなんです。これは攻撃の最後のところのスイッチだと思うんですよ。僕の考えでは。

Y:スイッチ?

K:リカルドに関しては、いわゆるくさびのパスを入れるタイミング、多少チームのスタイルによってはリスキーなプレーに見えるかもしれないけども、彼がスイッチを入れてるんですよね。回してるなかで、どこかで「ズバッ」とシュートを打ちに行くことを決めるプレーがことごとくリカルドであったと。結果としては、その部分で前田より上だったということなんでしょうね。そこの部分に物足りなさをサッポは感じたのかもしれない。全員が並列だっていう言い方はしていたけど。

Y:(サッポが)リカルドは驚きだったと言ってましたもんね。

K:逆に前田君にも、もちろんそういうプレーをできる能力はあるんだけども、そういう判断を下されたことでバックアップに回った。そこで与えられたのが、試合をマイナス面に動かさないっていう役割だったよね。市原君も相根君も。

Y:決して切り札ではないんですよね。

K:藤井君に関してフットサルを良く見ている人からは、「よくわからない」って意見も聞くんだけど、たぶん彼の良さっていうのは勝負に行って結果を出せるところだと思うんだよね。今回はかなりいいところで点を取りましたよね。ウズベキスタン戦や中国戦とか。ああいうプレーが出るんだよね。彼はね。

Y:そうですね。昔からそうでしたよね。

Y:難波田君も一時期外されかけた感じがあったじゃないですか。よく復活してきましたよね。4年前のアジア選手権の後に、難波田君は外国人の身体能力で振り切ってくるタイプにちょっと弱いみたいだと言われていて。それで日本代表では難しいのかなと思っていたんですよ。でも呼ばれた時に結果を出してきたんだと思うんですけどね。

結局あの位置は難波田君と鈴村君で変わっていないですもんね。鈴村君も4年前とはずいぶん変わって。4年前ははっきりいって鈴村君が出たときにやられてましたけど、今はそんなことないから。4年前はものすごい間合いを空けて守って、仕掛けてきたら取りにいこうというスタイルだったから。それでシュートをバンバン打たれて、スパスパ入っちゃうっていう。

サッポ監督は、その辺のマークの仕方とかは入念にチェックしてやったと言ってたので、鈴村君も頭がいい選手だから飲み込んでやってましたね。

Y:今回のアジア選手権で一番良かった選手は、僕は3試合しか見ていないんですけども、やっぱり木暮なんじゃないかな。国内見ているだけだったらポテンシャルの高さって見えてこないんだけど、ああいう国際大会で見ると「あぁ、すごいな」って思いましたね。F3に乗るとドライバーの違いってあんまり見えてこないんだけど、F1に乗るとポテンシャルを出せないドライバーってハッキリしてるらしいんですけど、それと同じで。リカルドは、出たらあれぐらいはやるだろうと思ってましたけどね。

K:木暮君はすごかったよ。経験を積めばあれだけ上手くなるっていうすごく良い例ができたと思う。それより驚きだったのは小野だった訳じゃない?一発目でこれぐらいできたっていう。サッポの使い方が良かったのかもしれない。もしイランでやったアジア選手権だったらどうかなっていうのはあったけど。

MVPを挙げるとしたらいい所で活躍した難波田君じゃないかな?ああいう声とプレーで鼓舞していくスタイルっていうのは、ものすごい労力がいると思うのよ。試合前の準備や、試合への入り方とか何から何まで。そういうのって、もうすぐアジア選手権があるから上げていくんじゃなくて、一日一日の作業だと思うんですよね。

Y:付け焼刃じゃできないと。

K:うん。常に全力投球。そういう意味ではすごいと思う。世の中の気合系は見習ってほしいね。鈴村も圧倒されたと思う。


  (第2回につづく)
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