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小野直樹のアポ無しブラジル紀行
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著:藤沢市サッカー協会フットサル委員会 小野直樹
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リオデジャネイロ編5
ブラジル滞在も残すところわずかになったこの日、リオデジャネイロの中心から約160キロ離れたヘゼンジ(RESENDE)という街で合宿をしているバスコ・ダ・ガマを訪問することになった。以前にもこのブラジル紀行に書いたが、坪井氏の強いコネのおかげで、合宿の打ち上げに行われるコリンチャンスとの練習試合に、バスコの関係者とともに訪れるというとても貴重な体験ができた。
午後4時にサンジャヌアーリオというバスコの本拠地スタジアムに到着し、そこで、バスコのフットサルスーパーバイザーのクレーベル氏と会った。彼はとても親切で、スタジアム内の施設やバスコのフットサルに賭ける意気込みなどを語ってもらった。なんでもマノエル・トビアスの要望により、フットサルコート内にあった舞台を観客席に変えてしまったり、コートの床面もあたらしくペイントし直したりと、ハード面だけでもかなり力を入れている様子だった。
ちなみにこのフットサルコートはバスコのサッカーのゲームが行われるスタジアム内にあり、2000人ほど収容できるとのことだ。バスの出発までまだ、少し時間があるので、スタジアム内のグランシドで練習しているサッカーのトッブチームをしばらく見学していた。
いよいよ出発の時間が来た。バスに乗るためスタジアムの裏側へ案内されたが、そこに行っていきなり驚かされた。なんとバスはバスコの選手が遠征等に使用するバスで、車体全体にバスコのマークが描かれ、車内のシートは緑色の本革シート張りだ。その豪華バスに総勢たったの9人を乗せ、午後5時に出発した。バスで約2時間の行程もあたりの景色に目を奪われ、あっという間だった。また、途中、すれ違う車や歩いている人たちにものすごい視線を受けた。やはり、バスコのバスは注目度が高い。
ようやく、バスはヘゼンジに入り、試合会場である高校の体育館へ到着した。練習試合だというので、ヒッソリと行われるのかと思っていたが、とんでもない間違いであったことに気づいた。会場の周辺にはバスコのユニホームに身を包んだ多くのサポーター達がはやくも騒いでいる。私も会場へ入り、ビデオ撮影の好ポジションをさがしていた。するとテレビ局がすでにカメラのセッティッングをしていた。日本ではフットサルの代表の試合も中継されないのに練習試合でも中継してしまうブラジルのフットサルの浸透度を感じてしまった。
会場も超満員となり、いよいよ選手の入場、そしてゲーム開始といった雰囲気の中、いきなり、体育館のすぐ横で、ものすごい花火の爆音が、「バリバリバリバリリリ・・・・」とずいぶん長い間、鳴り響いていた。そんな中、ようやく選手の紹介が始まった。
一言で言ってものすごいメンバーだ。トビアス、アンドレ、シミ、シュマイケルほかセレソンがズラリと並んでいる。コリンチャンスのメンバーも紹介されているが、ものすごいブーイングの嵐にまったくわからなかった。そして、異様な盛り上がりの中、ゲームは始まった。
序盤からバスコが主導権を握り、多くのチャンスを演出した。が、ここでひとつ問題が生じた。チャンスになると観客全員が立ち上がるため、肝心な部分がビデオに撮れないのである。また、ブラジルの観客は日本人よりも反応がはやく、チャンスになる直前にはもう立ち上がっているので、始末が悪い。
何度か位置を変わり、必死に撮影したが、目の前の素晴らしいゲームが疲れを吹き飛ばしてくれた。とにかく感じたのはパススピードの速さ、シュートコースを作るうまさ、判断の速さであった。パスをゆっくりまわしながら選手が目まぐるしく動き、そこに出来た一瞬のチャンスを逃さず、勝負のパスがものすごいスピードで出される。しかも、すこしでもシュートコースが出来ればすぐにシュートが飛んでくる。
ディフェンスはまず、シュートを警戒しているので、パスをカットすることはなかなかできない。また、そのためオフェンスにしてみれば、単純なキックフェイントがとても有効であった。ゲームは2対0でバスコが勝ったが、内容は点差以上の差があった。バスコとコリンチャンスの比較をすると、攻撃のパターンや約束事がチームにどれだけ浸透しているかの差があったと思う。それは相手ボールを奪ってからの速く、迫力あるバスコの攻撃と、ボールを持った選手かもたつき、すぐにボールを奪いかえされてしまうチグハグな攻撃を繰り返したコリンチャンスを見ればわかることだ。
ゲームも終了し、バスコの選手達がインタビューを受けているコートに私もクレーベル氏に連れられていっしょに立っていた。チームの関係者のひとりが、スタンドにいるサポーターに向かって私を日本からのゲストだ、と紹介してくれた。すると乗りの良い彼らは「ジャポン、ジャポン!」と歓迎してくれた。こんなところでも彼らの人を乗せるうまさに脱帽してしまう。その後、選手達とともに遅い夕食を摂り、バスコのバスに選手たちと乗り込み、うたた寝をしながらリオデジャネイロに戻った。
時計の針はすでに夜中の2時をまわっていた。フットサルも予想以上に素晴らしい体験が出来、また、クレーベル氏ともまたの再会を約束し、ホテルに帰った。そして、次の日の帰国に備え、荷物を整理し、今回のブラジル滞在でのいろいろな出会いや出来事を思い出してみた。そして、最後の日になる明日の日中、もう一度、フラメンゴ公園でサッカー学校を主宰している、名物じいさん"JJ"に会っていこうと思った。
次回、最終回はブラジル滞在最終日の模様と、その他番外編です。
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