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第2便

プロフィール●はせがわとものり、神奈川県綾瀬市出身の22歳。2000年4月に創刊された「フットサルマガジン ピヴォ!」では創刊時から編集に携わる。今年2月に退社し現在はフリーとしてフットサルを専門に執筆活動を行っている。

3月2日

 午後4時、ブラジルへ向かう選手たちが成田のヴァリグ航空カウンターに集合した。参加選手は総勢19名(オスカー含む)。この遠征の主な目的は、日本サッカー協会が参加を公認した第1回日系フットサル世界大会に出場することにある。この大会に、第6回全日本選手権準優勝で第4、5回大会優勝のFIRE FOX(以下ファイル)〔注1〕をはじめ、個人参加の選手たちが挑む。

 ファイルは今年の全日本選手権後メンバーが大幅に入れ替わっている。上村、渡辺、小野、橋田、伊藤(GK)の5選手がチームを去り、今年1月に解散したWinningDog 〔注2〕から木暮、岩田、オスカーがコーチをしているFC FUN〔注3〕 から小宮山、坂根(GK)、そして現役高校生の佐藤が新たに加入した。ブラジル遠征には、従来のメンバーであるオスカー、定永、板谷、鵜飼、原田と、新メンバーの木暮、岩田、坂根、それに日系人選手の山口マルコス、沖村リカルド、チアゴ山崎の3人を加えた11選手が参加する。新チーム入ってからまだ練習を2回しただけで、ブラジル第1戦が新生ファイルの初ゲームとなる。

新メンバーの木暮、岩田、坂根が初めてユニフォームに袖を通した新生ファイル。 ニッポンカントリークラブでの宿舎。大部屋が2部屋用意され、各チームごとに1室ずつあてがわれた。

 一方、個人参加の選手はファイルと別に混成チームを作ることになり、オスカーによって「チャレンジ」と名付けられた。メンバーは第6回全日本選手権3位のBORDON〔注4〕 から福角、山本、進藤(GK)、FC FUN から内田、中村、内池、兵庫県の強豪チームADIEU 〔注5〕から水口、それに元WinningDog の江村(GK)を含めた8名。チャレンジには日系世界大会のときにIPANEMA'S KOWA〔注6〕のダニエル大城が加入する。

 日本でトップと言われる選手たちがブラジルでがどれほど通用するのか。選手たちと僕の大きな期待を乗せて、ロサンゼルス経由ヴァリグ8837便は日本を後にした。

〔注1〕FIRE FOX …ファイルフォックス。98年春にオスカーを中心に結成されたチームで東京都府中市を主な拠点としている。初出場の第4回全日本選手権大会でいきなり優勝すると、第5回大会も連覇。3連覇のかかった今年の第6回大会は準優勝に終わったが、日本を代表するフットサルチーム。キャプテンの難波田を始め、定永、原田が元フットサル日本代表。
〔注2〕WinningDog …ウイニングドッグ。97年に小原拓也、信也の兄弟を中心に結成されたチームで、神奈川県横浜市を拠点としていたチーム。第5回全日本選手権では第4位、今年の第6回大会は全国大会の出場はならなかったが、関東大会で準優勝している。数々の実績を残したが今年1月に解散。
〔注3〕FC FUN …エフシーファン。昨年春に東京都八王子市にあるFUNフットサルクラブが母体となり結成。ファイル監督のオスカーをコーチとして招き本格的に取り組んでいる。第6回全日本選手権では東京都大会2次リーグ敗退に終わったが、今後を期待させる新鋭チーム。
〔注4〕BORDON …ボルドン。第1回大会から全日本選手権に出場している藤井健太が中心のチームで奈良県を拠点としてる関西の雄。前身は第5回大会準優勝のASPA FC(アスパ)で、今年の第6回大会では3位になっている。藤井は元日本代表。
〔注5〕ADIEU …アデゥー。昨年1月に兵庫県西宮市在中のサッカー経験者を中心に結成。結成1年目ながら第6回全日本選手権では兵庫県の代表となり関西大会で3位となる。フットサルの盛んな兵庫から頭角をあらわしてきたチーム。
〔注6〕IPANEMA'S KOWA …イパネマスコーワ。ダニエルとエヂバルドの大城兄弟を中心とする日系人チームで、一昨年4月にダニエルがオープンさせた群馬県大泉のブラジルフットサルセンターを拠点に活動している。年に1度行われる日本人と日系人のチームが日本一を争うカップ戦「コパ・ジャル」では現在3連覇中。


3月3日

FIRE FOX - ウィンプロ
1−1
1−4

〈試合時間〉
20ハーフのランニングタイム(前後半とも残り1分はプレイングタイム)
〈得点者〉リカルド、チアゴ
〈出場選手〉
鵜飼、原田、板谷、木暮、岩田、チアゴ、マルコス、リカルド、定永、坂根
〈試合内容〉
0−0の膠着状態が続いた前半18分、先制したのはウインプロ。マルコスのドリブルをカットされてからのカウンターだった。前半終了間際、ファイルは相手GKのシュートをマルコスが体に当て、こぼれ球をリカルドが拾い無人のゴールへ決め同点に追いつくが、後半開始2分、3分に連続失点し再びリードを許す。チアゴのゴールですぐさま1点差に詰め寄るが、後半6分、11分に追加点を奪われ2−5、終盤は得点が動かずこのまま終了。

 ヴァリグ航空での約24時間に渡る空の旅を終え、一行はようやくブラジルにたどり着いた。空港には現地コーディネーターのホベルト・ ムライ氏がすでに来ており、用意された移動用バスに乗り込み宿泊地であるニッポンカントリークラブへ。

 午前9時30分に到着した選手たちは、部屋に荷物を置き体育館に足を運んだ。宿舎から300メートルほど離れた体育館にはフットサルコートが3面あり、その1面を使ってさっそく練習、2時間ほど汗を流した。

ブラジル遠征のために結成されたチャレンジ。BORDON の福角がキャプテンを務めた。

 午後をフリーにすごした選手たちは、午後6時から組まれているファイル対ウインプロ〔注1〕の試合のため、ウインプロの本拠地・パスコアルトメオへ移動。そこで早くもハプニングが起きた。同時刻にウインプロ対ミナス〔注2〕の対戦が組まれていたのである。やる気のあった選手たちもさすがに気落ちしたようで「さっさと帰って練習しようよ」と怒りをあわらにしていたのだが、ムライ氏が交渉した結果、その試合後にウインプロとの試合ができることになり一件落着。なんともブラジルらしい。

昼間からビール片手に笑顔のファイル日系人。それでも試合となればそれなりに活躍ができるのだから驚いてしまう。

 ブラジルでの第1戦、ファイルのスタメンは定永、板谷、鵜飼、木暮、岩田の5人。新生ファイルにふさわしく新メンバーの2人が名を連ねた。「ファイルはドッグとやり方が似ているので、初めてにしてはやりやすかった」と岩田、とまどいを見せることなく無難なプレーを見せた。また木暮は、2年連続のブラジルということもあり、新チームながら攻守で運動量豊富に動き回った。それぞれの選手があきらめずに最後までディフェンスしたこともあり結果は2−5、プロ相手に善戦したゲームだった。

 とはいえ、相手のウインプロのフィールドプレーヤーはミナス戦に登録できなかった6人のみ。その相手に対しファイルは後半バテてしまった。「相手は一歩目でトップスピードだった。フィジカルがすごい。カウンターでも戻りが速かったし、最後までスピードが落ちなかった」とフィクソの板谷は驚きを見せていたが、長旅の疲れがあったにせよ、フィジカルの差は歴然としていたようだ。

〔注1〕ウインプロ…Winpro/ADCGM/Guaru。2001年のブラジルの国内トッププロリーグLIGA FUTSAL 2001参戦チーム。
〔注2〕ミナス…Minas/Pax。2000年、2001年のブラジルの国内トッププロリーグLIGA FUTSAL 2001参戦チーム。2000年は14位。


3月4日

チャレンジ - Nippon C.Club
0−0
2−1

〈試合時間〉
20ハーフのランニングタイム(前後半とも残り1分はプレイングタイム)
〈得点者〉オスカー、福角
〈出場選手〉
水口、内田、中村、内池、山本、福角、オスカー、チアゴ、江村、進藤
〈試合内容〉
前半を0−0で折り返したチャレンジが先制したのは後半の5分。オスカーが相手ボールを奪いドリブル、最後は得意の切り返しでディフェンスをかわしてのシュートだった。そのわずか1分後に福角のクリアミスから失点してしまうが、そのさらに2分後、チアゴのシュートのこぼれ球を福角がダイレクトシュートで豪快に決め勝ち越し。そのリードを守りきった。


FIRE FOX - アザ
1−2
2−1

〈試合時間〉
20ハーフのランニングタイム(前後半とも残り1分はプレイングタイム)
〈得点者〉マルコス3
〈出場選手〉
鵜飼、原田、板谷、木暮、岩田、チアゴ、マルコス、リカルド、定永、坂根
〈試合内容〉
前半5分にマルコスがカットされたボールからカウンターを受け先制点を与えてしまったファイルは、前半残り47秒にマルコスのトーキックが決まり同点。1−1のまま後半かと思われたが、残り15秒でファイルが6ファール、第2PKを決められ1−2で後半へ。後半2分にすぐさま失点を許し2点差にされるが、序々に試合の流れをつかみファイルペースで試合を運ぶ。後半8分と18分、ともにマルコスがトーキックで得点を挙げ3−3の同点に追いつき試合終了。


 前日宿舎に戻ってきたのが12時を回っていたこともあり午前はフリー。午後4時からニッポンカントリークラブの体育館でチャレンジ対ニッポンカントリークラブ、ファイル対アザの試合が続けて行われた。

 チャレンジにとってはブラジルで初のゲーム。幾分緊張ぎみではあったが『ディフェンスをしっかり』というオスカーの指示通り、集中した守りで1失点におさえた。人数が少ないため追加で出場したオスカー、チアゴが得点に絡む活躍で勝利に貢献した。ニッポンカントリークラブはオスカーの先生であるマリオ・タテヤマ氏が監督をしているチームだが、この日のメンバーは全員10代でフットサル経験の浅い選手ばかりだった。そういう意味ではやや力の劣ると言えるが、そこにアウエーできっちり勝てたことは評価できる。「マークの受け渡しがよくなかった。ズレたときに仕掛けてこなかったから良かったですけど」(中村)と即席チームだけに課題は多いが、幸先の良いスタートを切った。

 一方のファイルは、終盤に追いついての引き分けであったが、十分に勝てる試合だった。アザはサンパウロの1部リーグのプロチームではあるが、トップチームであるにもかかわらず、すべての選手が10代。運営が苦しいチームは、いい選手を高額で放出して資金を得ているそうで、アザはその典型的なチームなのだ。それがファイルに油断を生んだのかもしれない。「相手を知らなかったんだけど結構強かった。後半気持ちを切り替えてやったら良かった。勝てるチャンスはあったと思う」とオスカーは試合後に語ったが、後半の序盤以降は鵜飼が起点となって決定機を作るなど優位に試合を進めていた。後半開始2分での失点が余計だった。

(次回につづく・・・)
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