場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文・写真】北健一郎
第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準決勝
| シュライカー大阪 | 0-2 | バルドラール浦安 | ||
| (Fリーグ・大阪) | 0-1 | (Fリーグ・千葉) | ||
| 0-3 |

【シュライカー大阪】
【バルドラール浦安】
どちらのチームもユニホームサプライヤーは、大会冠スポンサーのプーマ。プーマカップの準決勝第2試合。プーマ対決を制して決勝にコマを進めたのは、準々決勝と同じく早めに点を取って逃げ切った"赤いプーマ"だった。
赤いプーマ=浦安のFPのスタメンはプライア戦と同じ、小宮山友祐、藤井健太、稲葉洸太郎、稲田祐介だった。
3分だ。右のキックインで藤井が強めに蹴って入れたボールが、大阪選手の足に当たり稲田の元へ。スクランブルが起こって大阪守備陣がフリーズした間に、稲田はこぼれ球を素早くコントロールしてシュート。これが決まって1-0。
ラッキーゴールのようなシュートだが、それほど簡単なシュートではなかったと思う。ゴール前で予期せぬ形でボールが来たら普通の選手は慌てるものだ。だが、稲田はスムーズな動作でシュートを打てていた。点を取れていることによる気持ちの余裕が、稲田に落ち着きを与えているのではないだろうか。
12分の2点目はGK川原永光のフィードが起点となった。敵陣左奥に走り込んだ藤井へのロブボールを、藤井がうまく処理してゴールライン際からアウトでマイナスにパス。これを稲田が丁寧にインサイドボレーでファーのコースへ打つと、この日2度目の歓喜が訪れた。
このシュートもハイレベル。至近距離からのスピードのある、しかも浮き球のパスだったので、インステップで蹴ろうとするとモーションが大きくなり、ミートポイントも小さいのでミスが起こりやすい。そこで稲田はインサイドで当てに行って、パワーよりコントロール重視でのシュートを選択した。敵を背負っての反転シュートだったり、豪快なミドルだったり「パワー」のイメージが強い稲田の、繊細な一面を垣間見たゴールだった。
2失点した大阪だったが、ここから反撃開始。昔からこのチームは2、3発殴られて(ゴールを決められて)からようやく目を覚ますようなところがある。しばらく、大阪が一方的にパスを回してシュートというシーンが続く。
何度もチャンスが回ってきたのが瀬戸彬仁。だが、14分の30松宮充義の落としを打ったミドル、ロングスルーパスを左でもらって迎えたGKとの1対1、15分のGKをドリブルでかわしに行ったシュートのいずれも、浦安の守護神川原に止められてしまった。
この日も川原のプレーはスーパーという言葉そのもの。瀬戸の3パターンのシュートにも完璧に対応した。ミドルは体の正面でキャッチ、1対1のシュートは体で"面"を作ってブロック、ドリブルで抜きに来たときは倒れ込んで横に体を広げてコースを消して止めた。試合後の大阪の監督、選手の口からも川原への賞賛の声が聞かれた。
それに加えてスローやフィードでの貢献度も高かった。大阪が前からボールを取りに行くと、浦安の選手は大阪の選手を自陣に引きつけて川原へパス。次の瞬間に浦安の選手は大きく空いた裏のスペースへ走り込み、そこへ川原が正確なキックを蹴る。これだけで立派なプレス回避になってしまうのだ。
後半、浦安は3点目を取りにいくも決めきれず、残り9分から大阪のパワープレーの攻撃を受けることになる。大阪のパワープレー時のGKは"フクロウ"こと奥田亘。奥田がセンターの後ろに入り、サイドの前と後ろに2枚が並ぶというパターン。大阪はこのパワープレーで、Fリーグの浦安のホーム最終戦で終了間際に同点に追いついている。
その記憶があるだけに、浦安は大阪のパワープレーをかなり警戒していたようだ。特に気にしていたのが、その試合で決められた、GK奥田によるミドルだ。「ボックスの左前(稲葉もしくは岩本昌樹)が常にシュートのコースを切っていた。狙わされていた感じだった」と奥田が語ったように、ルーズになりがちなGKへのプレスが非常に早かった。
大阪としては岸本武志の出場停止も響いた。パワープレーのときに左利きの岸本が右サイドにいれば、対角へのスルーパスや中へ切れ込んでのシュートという選択肢ができる。だが、この日大阪のベンチ入りメンバーは全員が右利き。右サイドで瀬戸が縦へ突破してシュート性のボールを入れるシーンは何度かあったが、バリエーションに欠ける印象は否めなかった。
浦安はラスト13秒、小宮山がダメ押しのゴールを挙げて3-0。先に決勝進出を決めた名古屋と日本一をかけて戦うことになった。「名古屋はいちばんやりたかった相手。そういう相手と最高の舞台で戦うことができてうれしい」と中島孝が語るように、待ちに待ったFリーグでのリベンジのチャンスだ。
シャークスを2-1、湘南を4-3で何とか退けた名古屋と、プライアに6-1、大阪に3-0で勝ってきた浦安。勢いでは明らかに浦安が上だ。充実のチーム状態を表すように、ミックスゾーンで取材を受ける選手を囲む輪から笑い声がたくさん聞こえてきた。打倒・名古屋へ――機は熟した。







