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第13回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 湘南ベルマーレ vs ペスカドーラ町田

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
湘南ベルマーレ 3-0 ペスカドーラ町田
(Fリーグ・神奈川) 1-3 (Fリーグ・東京)
4-3



 大会前に菊地さんと町田について展望をしたとき、「フタを空けてみないとわからないチーム」という話をした。この日、フタを空けてみた町田はビックリするぐらいひどかった。

 見た目はいつも通り。だが、実は肉体的にも精神的にもゲームに全然入れていなかった。試合前日のホテル宿泊が諸事情によりできなかったため、数名の会場入りが遅れてしまったのだという。「そのままの流れで入ってしまって、ピリッとしないまま2失点してしまった」(バイアーノ監督)


 開始29秒である。左サイドのキックインを湘南がセットしたときに、スルスルと右を上がってきた岡田ジオゴサントスに誰も気づいていない。リカルド沖村(シニーニャ)からジオゴへと渡ったボールを、ノーマークのジオゴが豪快に叩き込み1点目。

 2分の2点目もキックインから。今度はキッカーシニーニャの近くでパスをもらった関新への寄せがゆるゆる。関が右へズラして打ったトーキックは、GKに当たって跳ね上がり、バーの下側を叩いてゴールイン。

 「前から来るということは裏が空く。かといって、それほどGKと連動しているわけでもない。スッと裏を取れれば、点を取れると思っていた」(奥村敬人)。

 3点目は5分。今大会で"再生"した曽根田盛将。シニーニャとのワンツーからゴール正面でボールを受けると、キックフェイントからの足裏スクラッチでGKを外してシュート。この失点の後、町田はタイムアウト。バイアーノ監督のチームを鼓舞する大声が、静かな場内に響き渡る。

 しかし、その後もしばらくはキックインで簡単に裏を取られたり、FKから簡単にシュートを許したり、町田の選手の動きは鈍いままだった。起きろ町田! これは全日本選手権だぞ!

 「9分ごろから目が覚めてきた」(バイアーノ監督)町田は、お得意の高速パス回しで点を取りに行く。だが3点リードを手に入れた湘南はパス回しに食いついてこない。一見ポゼッションしているようだが、ボールはブロックの前で回されるばかりだ。

 逆にチャンスを迎えたのは湘南。町田のキックインのミスを突いて、ボールを持った豊島と左を上がる曽根田と、GKとの2対1の絶好のチャンス。だが、豊島明のパスは曽根田の足元に入り過ぎてこれを決められず。

 湘南は守備的に戦うのが得意ではない。1点を取ればバタバタになる可能性はあった。町田にとって、Fリーグの終盤から調子を上げてきた宮田義人が出場停止だったのは不運だった。彼のようなドリブルで仕掛けられる選手は、こう着ムードを打ち破る起爆剤になりえるからだ。

 湘南はこういう逃げ切るゲームになったとき、引きすぎて自由にやらせてしまう悪い癖があったが、この日は「引いて守るときも、ボールサイドには厳しくいく」(阿久津貴志)ことを徹底した。それにより町田の得点パターンである横江怜のミドルも、ゴールに飛ばさせずブロックで防ぐことができていた。

 町田はFKから金山が1点を決めるも次がつながらない。そうこうするうちに、25分に町田森谷優太、27分に町田狩野新、湘南神保慶太に警告が立て続けに出される。31分にはベンチで判定に抗議をしたとして、ピッチの外のジオゴにまでイエローカード。今大会の1次ラウンドからあるが、カード乱発によって選手がエキサイティングして試合が壊れるというパターンになりつつあった。

 30分が過ぎても町田はパワープレーをしなかった。「そこまでかなりチャンスを作れていたし、自分たちのペースだったから」(バイアーノ監督)。だがゴールは生まれず、残り4分の段階で滝田学によるパワープレーを始める。だが、何度もチャンスはあったものの久光邦明などがことごとくシュートを外してしまう。試合はこのままクローズしそうな気配だ。


 "事件"が起こったのは残り1分4秒のこと。坂口啓介のスローイングに抜け出そうとした曽根田盛将をホンダマルコス(ジャッピーニャ)が体で止める。どちらも触らずボールは町田GKの石渡良太の元へ。湘南陣内に上がろうとするジャッピーニャに、曽根田が体をぶつけた。こういうやり取りが何度かあった後、ジャッピーニャに曽根田が倒される。両チームの選手が集まりピッチが緊張ムードに包まれた。

 その次の瞬間、小野寺祐第2審判は2枚のレッドカードを立て続けに提示する。彼が下したのは「2人同時退場」という判定だった。"ケンカ両成敗"というところだろうか。先にピッチから出てロッカールームに戻ろうとした曽根田を、ジャッピーニャが殴りかかりそうな勢いで追いかけていく。町田のベンチの選手が慌てて止めに入る。ちょっとした小競り合いが退場という処分を下すことによって、ここまでのものに発展してしまった。

 その後は町田が2点、湘南が1点を取り合ったが、2人同時退場した場合は2分間補充できないというルールのため、最後まで4人のままゲームは終わった。いつも思うのだが、微妙な判定の際にはルール説明が行われてもいいのではないだろうか。ピッチでプレーしている両チームの選手も、退場後に得点を入れた際には選手を補充しようとしていた。そういうルールがあることを把握してなかったのだ(それは僕も含めてだが)。

 町田の金山がラスト12秒で34となるゴールを決めたが、両者退場の混乱を引きずったままゲームは終わってしまった。名勝負が期待されたゲームがこのような形で終わってしまい、残念でならない。

第13回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
名古屋オーシャンズ 0-1 SHARKS
(Fリーグ・愛知) 2-0 (東海第3・東京)
2-1



 今日は平日金曜日。いつも賑やかなあの名古屋の応援団が集まっていない。反対に熱心なSHARKSサポーターたちの元気な声が響く、東京・代々木第一体育館は、観客数956人。しかし、入場無料で入れるこの日、このカードを狙って会社を休んで(あるいはサボって?)やって来た人も多いであろう956人のお客さんは、さすがにお目が高い! 今日の準々決勝4試合で、この第1試合がいちばん熱く、面白いゲームになった。


 名古屋のスターターはGK定永久男、FPは沼田慎也、完山徹一、山蔦一弘、森岡薫の5人。1次リーグのよかった状態を持ち込んだ形のメンバー構成だが、得点面で頼れるマルキーニョスは、ベンチ入りしていない。

 一方、1次リーグでは退場者を出し、苦しい戦いが続いたSHARKSは、この日は晴れてメンバーが揃って、Fリーグ王者に思い切って立ち向かうことになった。

 様子見の感が強かった名古屋を相手に、立ち上がりからフルパワーで押し込んでいく。10分過ぎまで、次々と繰り出す攻撃は、いずれも思わず腰が浮く決定機ばかり。ハイプレスが効き、高い位置でボールを奪ってのチャンスもあれば、パス回しから神敬治や碓井孝一郎のドリブルを織り交ぜてのシュートシーンも作る。

 7分には、神が名古屋前田喜史を股抜きし、豪快に右足を振り抜いて先制点。直後に名古屋はタイムアウトを取った。名古屋がチームを落ち着かせるためにこんな形でタイムアウトを取るのは、異例のことだ。


 その後もしばらくはSHARKSの攻勢が続いた。ただ、あと一歩のところまで攻め込みながら、シュートを決められないのが、「チームの課題で1年間苦しんできた」(神)ところ。決めるときに、決められないという展開は、逆にこの後の名古屋の反撃が予想されるだけに、不安に感じる部分でもあっただろう。

 案の定10分過ぎあたりから、名古屋も徐々にゴール前のシュートシーンを作り始めた。守備面でも積極的にプレスを掛けてSHARKSボールを奪いにいくようになり、エンジンがかかってきた印象を受けた。

 12分には左からの完山のシュートがポストを叩き、16分にはボラからゴール前フリーの小山剛史にパスが入る(シュートがジャストミートせず枠外へ)シーンなどがあった。前半残り1分間は前田をGKにしてのパワープレーを試みるなどで、SHARKSにプレッシャーをかける。


 後半も名古屋のスタンスは変わらない。森岡やボラを中心に、シュートシーンを作り、SHARKSゴールを襲い続けた。しかし、名古屋の館山マリオ監督が、「4人が連動した素晴らしいディフェンスを持っている」と賞賛したSHARKSの守備も、なかなかほころびを見せない。名古屋レベル相手に計算できる選手が限られているのか、少ない選手数で回していて、非常に苦しい時間が続いていたが、よく耐えていた。

 ところが、ようやくひと山越えたかなと思ったあたりの30分に、落とし穴があった。名古屋ボールを奪い、速攻に出ようとしたところの縦パスをカットされてしまう。そのボールを名古屋は、前線のボラに素早く預け、ボラは大きく開いた横のスペースに走り込んだ完山に落とす。完山はGKが出てきたところを冷静に浮かせて決め、遂に同点に追いついたのだった。

 その後はお互いに攻めながらもシュートが決まらず、名古屋は残り3分から再びパワープレーに。程なくして36分に、左へボールを展開し、左奥の上澤貴憲が中央へパスと見せて角度のないところからシュート。これがパスを読んでいたのか前にポジショニングしていたGKの逆を見事に突く形でガラ空きのゴールに入り、名古屋に2点目が入った。後半は24分過ぎから出ずっぱりで、ケガで出られない北原亘の分まで頑張った上澤。見事なプレー振りで、昨年大会の大活躍を思い出した人も多いのではないだろうか。

 SHARKSのほうも、GK石井秀樹を上げる形でパワープレーに出て、同点ゴールを狙った。だが、サイドの奥までボールを運べるのだが、なかなかその先ゴール前でクロスを合わせられず、結局名古屋に守り切られる形になってしまった。

 受身に回りすぎた名古屋は、最後は底力を発揮して、何とか勝利をものにした。しかし、こうしたトーナメントで優勝するには、乗り越えないといけない苦戦はあるもので、後で振り返ったらこの試合だったといえるのかもしれない。


 その名古屋をあとちょっとのところまで追い詰めたSHARKS。プレーに変なミスがないし、よく鍛えられた攻守と、見る者を引き付けるテンションは、Fリーグでも上位レベルに位置されると思われ、胸を張るべきプレー振りだった。その素晴らしさは、試合後、スタンドの多くの人が送った暖かい拍手が物語っているだろう。


名古屋・館山マリオ監督
「こっちの油断というよりも、シャークスが素晴らしかった。研究されて、難しい試合はどんどん増えている。先制されたがまだ時間はあったし、集中を切らさずに冷静にプレーしようという指示は出していた。ハーフタイムに気持ちを切り替えて、打ち勝った試合だった」

SHARKS・神敬治
「こちらは全力を尽くさないと勝てないので、この試合に賭けていたが、名古屋は3試合を考えてのプレーで、それがこの内容になったのではないか。最後はチームの総合力の差が出た」

SHARKS・松浦英
「名古屋戦のビデオを見たら、どの相手もみんな引いていたけど、ハイプレスだったらチャンスがあるのではと思って、前からいった。チャンスも五分五分だっただけに、悔しい。決定力の差がでかかった」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF シュライカー大阪 vs Praia Grande

開催日:2008年3月2日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
シュライカー大阪 1-2 Praia Grande
(Fリーグ・大阪) 1-0 (東海第1・静岡)
2-2



 「ハイプレス・クラッシャー」ことプライアは勝点6の得失点差+6、一方の大阪は勝点6の得失点差+10。勝ったほうが1位、引き分けの場合は大阪。仮に負けたとしても大敗しない限りはワイルドカードでの勝ち抜けが濃厚、というのが戦前の状況だった。

 開始45秒、早くも先制したのはプライア。大阪陣内でのルーズな横パスを五味義通が前に体を入れてカットすると、敵をブロックしながら打ったシュートは、GKに当たりながらもゴールイン。

 このゴールはプライアのスカウティングの成果だったという。「大阪は初戦でも同じ形で(大分に)やられている。つまっていても後ろで回そうとするから、あそこが狙い目だなと話していた」(松本)。

 プライアは17分にもゴールを決める。今度はピヴォ当てからだ。関根達馬が斜めにドリブルしてアングルをつけて、ゴール正面で敵を背負っている中沢晋平へパス。中沢が左へ素早く反転して打ったシュートは、竹井の肩口を抜けて決まった。

 2点を先取したことで、プライアの2試合連続の「F食い」が一気に現実味を帯びてきた。自慢のハイプレスはゴールという結果が出たことで、さらに圧力を強めていく。


 大阪はプライアのプレスに明らかに戸惑いを見せていた。一人ひとりのタッチ数が増えたことがそれを表している。2タッチ、3タッチでテンポ良く「出して、抜けて」を繰り返す大阪本来のプレーは、ボールホルダーに素早く寄せるプライアに封じ込められていた。

 これは大阪、まずいぞ――。そんなことを思っていた前半の終了間際。大阪の瀬戸がCKをニアで、インサイドで狙い澄ましたシュート。ここまで鉄壁ぶりを発揮していたプライアGK藤原潤の左脇下をすり抜けて、ボールはゴールに吸い込まれた。大阪が1点を返して前半を折り返す。


 大阪が同点に追いついたのは24分、右サイドでボールを持った林浩平が縦に仕掛けてクロスにパス。ファーで待っていたのが西野宏太郎。西野の仕事は、右足でちょっとボールの角度を変えることだけだった。

 「あの時間帯は相手が疲れていたと思う。たぶんボールが来るだろうなと思って待っていたら、来た。"ザ・ごっつあん"というゴール。だけど、重要なところで決められてよかった」(西野)

 1位になるためには勝利が必要なプライアは、終盤、リスク覚悟で攻めに出る。吉村匡史らが強烈なシュートで何度もゴールを狙うが、GK竹井のファインセーブもあって決められない。2試合連続のF食いと1位突破はならなかった。それでも、勝点7としてワイルドカード1位になり、準々決勝では浦安と対戦する。


 Fリーグ2クラブを大いに困らせたプライアのハイプレスは、Fリーグ準優勝のスター軍団に果たして通用するのか。決勝ラウンドのプライアには自信と不安の、両方の要素がある。「自信」とは1年前の1次リーグで浦安の前身・プレデターに勝っていること。「不安」は準々決勝で府中AFCに05と何もできず敗れたことだ。

 プライアのハイプレスは、横20メートル×縦36メートルという"1次リーグのピッチ"では威力を増す。ピッチが狭いほうがマークをつかまえやすく、自陣に空くスペースを使われるリスクも小さくなるからだ。前回大会で、決勝ラウンドに上がった途端にチーム力が落ちたのは、ピッチのサイズと無関係ではないだろう。

 キャプテンの関根は浦安戦について「僕らはベストな力を出して、とにかくプレスをかけつづけて、高い位置で取ってゴールを狙う」とチームのコンセプトが変わらないことを強調する。"決勝リーグのピッチ"でプライアがどんなプレーを見せるのか楽しみだ。

 試合後の大阪に漂っていたのは、Fリーグクラブとして1位突破という"最低限の責任"を果たした安堵感だった。林はプライアの強さを素直に認めた。「プライアはすごいいいチーム。個人もあるし、組織化されている。こういう相手に、自分たちが上みたいな感じで戦うと負けてしまう。引き分けだけど1位で突破できたのはよかった」。

 Fリーグクラブ&東海王者が混在する、激戦の1次ラウンドを乗り越えた大阪。西野はこう語る。「1試合目、3試合目と厳しい戦いができたことで、チームとして引き締まった。楽勝で上がるよりもいい」。

 ただし、大阪はいいときはどこにでも勝てるようなパワーを発揮するが、悪いときはとことんダメという、「計算のできないチーム」(岸本武志)だ。代々木でどっちの"目"が出るのかは、まだ誰にもわからない。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ステラミーゴいわて花巻 2-2 IKAI FUTSAL
(Fリーグ・岩手) 6-1 (東海第2・静岡)
8-3



 共に1勝1敗同士で迎えた、Cグループの一戦。得失点差は花巻が3、IKAIが4という状況で、準々決勝進出は厳しいに違いないが、お互いに点差をつけての勝利がほしいゲームになった。また、これも将来のFリーグ入りを目指しているといわれるIKAIが、Fリーグで最下位だった花巻を、破るのではないかと注目された試合でもある。

 花巻としても、そうした声がいろんなところから相当聞こえてくるのだろう。試合の入り方としてはかなり慎重だったようで、千葉裕也はこんなコメントをしてくれた。

「得失点差のことは、かなり意識していました。ただ、昨日大分がFリーグのチームとして負けたこともあり、ウチとしてもまずは勝つことに集中して臨みました」

 花巻もIKAIも、お互いにカウンター攻撃を主体にしたチームだ。そこでIKAIのほうの作戦は、自陣に引いて守って花巻にボールを持たせ、攻撃を手詰まりにさせることだったという。ただ花巻のほうも、監督交代があってから選手の交代が頻繁になって、選手の疲労を軽減させる工夫が見られるし、プレースピードも速くなっている印象がある。この日はパスを回しながらも攻撃も、徐々にいい形が見られてきた。

 そして、何よりもこの日は、各選手が非常に気持ちの入ったプレーをして、勝利への思いをよく出していた。そんな気持ちを象徴するような、花巻の先制点は5分。中盤のルーズボールを山本潤也が、強烈なボレーシュートでゴールに蹴り込んで決めたのだった。

 カウンターを狙っていたIKAIのほうは、守りはある程度目処が立っていたようだが、攻撃面ではそのカウンターを花巻に十分にケアされていて、うまくいっていなかった。それでも、少ないチャンスを見事に生かし、8分に右CKから佐藤景太郎がシュートを決めて同点に。花巻が14分に水上玄太のドリブル突破から、下平拓史がゴールを決めた直後も、山口マルコスの右からのシュートがオウンゴールを誘って再び同点にし、食い下がる。

 後半も同じ展開が続く。花巻が23分に千葉の右からのシュートが決まって突き放したものの、その14秒後にIKAIは、熊谷和夫がゴール前で反転シュートを決めて三度同点にした。

 ここで花巻は水上をGKにしてのパワープレーで、ゴールを狙いにきた。そして26分にパスカットした千葉から左の山本に渡ってゴールが決まり、花巻がまたしても1点をリードする。ここから畳み掛けたい花巻だったのだが、29分にアクシデント。GKに入っていた水上が、IKAI熊谷と接触し、両者ともプレー続行不可能な状態になってしまったのだ。ただ、30分に下平拓史のGKをかわしてのシュートが決まって、差を2点に広げた。

 そして今度は奥池和行をGKにしてパワープレーの準備をしたのだが、逆にIKAIのほうが須崎充樹をGKにしてのパワープレーに入ったため、取り敢えずは守るという形になった。結果的にこれが奏功したのかもしれない。IKAIのパワープレーは焦りもあってか、ボール回しがうまくいかず、花巻のエネルギッシュなディフェンスの餌食になった。花巻は33分に、千葉がパスカットから無人へのゴールへのシュートで6点目を取ると、気落ちしたIKAIに付け込み、終了間際にも千葉と戸津光謙の連続ゴールで締めくくった。

 こうして今大会の見どころの1つだった、予選勝ち上がりの地域チームの、Fリーグチームに対する挑戦は、Fリーグがほぼ地域チームを退けるという形になった。地域チームからは、「高いレベルの試合を続けてきた経験の差は大きい」「いろいろな面でスピードが違う」「ゴール前の決定力が違う」などの声が聞かれた。

 やはり40分間を通しての、スピード感(プレースピードや考えるスピード)と集中力の維持という点で、後半になって差が出てくるゲームが多かった。もう一つは、公式記録を見てもわかるように、ベンチ入りメンバーをほぼ全員使って戦うFリーグチームに対して、地域チームはベンチ入りしながらピッチに出てこない選手が結構いる点。地域のチームは、全国大会のようなレベルで信頼してピッチに送り込める、駒が足りていない現状があるのだ。

 ただそれでも、「Fリーグを食ってやる!」対「意地でもやられないぞ!」という戦いは、どれもテンションが高くて、何かが起こりそうで、とても面白かった。来年はさらに実力差が開いてしまう可能性もある。だが、自分たちの現在の立ち位置が、今回わかったであろう地域の各チームには、これからさらに頑張ってもらって、また来年、この構図がクローズアップされるような楽しみができたらと思う。

花巻・千葉裕也
「今日はチーム初めての大量得点で、気持ちが前に出た戦いだった。こういうのを来季のFリーグでは全試合で出せないとダメで、コンディションやモチベーションの持って行き方の工夫が、上位へ行くには必要だと思う」

IKAI・谷口謙二
「今日はここで取られてはいけないというところで、ミスが出て、集中が切れて失点してしまいました。僕も含めて、この大会が初めてという選手が多かったけど、これで満足せず、来年ここにまた戻ってくるのが使命だと思っています」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループA ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループA
名古屋オーシャンズ 8-0 FUTURO
(Fリーグ・愛知) 3-1 (関東第2・東京)
11-1



 名古屋が容赦せずにFUTUROを倒しにいったゲーム。

「どの試合でも勝ち切ることが大切。気持ちのケアを強く意識した」と館山マリオ監督は試合後にコメントしたが、100パーセントの姿勢で戦ったチームのプレー振りに、スキはまったく感じられなかった。

 この神戸会場では、昨日の時点で準々決勝進出を確実にした感のあった神戸と町田が、今日のグループリーグ3試合目をうまく戦えなかった。それだけに、この名古屋のゲームに対するスタンスの素晴らしさは、余計に目立った感じだ。

 立ち上がりから圧倒的だったのは、森岡薫のプレーだ。開始20秒に左サイドを縦突破からシュート。3分には右サイドから突破してシュートと、FUTUROゴールに襲い掛かった。いずれも個の力で圧倒した感じで、その直後、パスカットから一気に抜けてGKと1対1になり、先制ゴールを決めたのだった。

 そして、ディフェンス面。「相手の攻撃は100パーセント、ピボ狙いへのパス回し」(マリオ監督)と、まったくぬかりはなかった。それだけに先制の後は、そのFUTUROのパス回しを奪ってからの速攻を中心に、ゴールラッシュを続ける。6分、マルキーニョスのキープから左への前田喜史に渡って2点目を挙げた。8分と10分には上澤貴憲が連続ゴール。3点目は中盤でボールを奪ってから、一気に前に出てマルキーニョスとのパス交換から。4点目は左マルキーニョスのキックインを、右のファーサイドで豪快にボレーシュートを決めた。

 次は沼田慎也の連続ゴールだ。12分、これも中盤で奪ったボールを素早くつないで、左森岡からのボールをシュート。14分は後方からのロングボールを、GKに競り勝ってヘディングで決めたものだ。その後も14分に左から完山徹一、18分に右から山田ラファエルと、ゴールショーが続いた。

 とにかく、ボールを奪ってから前にかかっていく、各選手のギアチェンジの度合いが半端じゃない。その切り替えの速さとスピードに、FUTUROは圧倒されっぱなしだった。結局、名古屋の打つシュートがことごとく入る感じで、80という前半のスコア。ここで試合が決まってしまった。成す術がなくぼうぜんとしたFUTUROに、気を抜くとリズムが崩れるからと、まったく緩むことない名古屋。


 ただ、それでも後半はFUTUROが立て直しを見せ、ゲームが引き締まった。前半から、FUTUROは、難波田治のミドルシュートのみが頼りだったが、元チームメイトのこのプレーを、名古屋の選手たちも読んでブロックしまくる。それでも、執拗に打ちまくる難波田。そして、25分。遂に左サイドの縦突破に成功し、シュート性のパスから渡辺英朗のゴールをアシストした。小さくガッツポーズした難波田。意地を見せた瞬間だった。

 名古屋はその後、3点をお返しした。残り10分からは前2試合と同じく、前田喜史をGKにしてのパワープレーで、ボールを支配しながら時計を進めた。名古屋はこのグループリーグ3試合で、Fリーグではあまり出場機会のなかった、沼田慎也や山蔦一弘らを起用し、彼らも期待に応えて活躍するシーンが多かった。多くの選手のコンディションを整えながらも、25得点3失点と、圧倒的な成績で余裕の準々決勝進出。

 他チームに与えた印象は強烈だろう。


名古屋・館山マリオ監督
「まずはこの1次リーグを突破できてよかった。また、3試合で(連れてきた)17人全員を使うことができたのも、監督としてはうれしい。決勝トーナメントでも集中を切らさずに戦いたい。トーナメントだから1試合も落とせない。気持ちをケアするのが重要だ」

名古屋・森岡薫
「Fリーグ最終戦で大阪に負けたことで、逆にいい切り替えができたと思う。昨年の優勝の経験は大きいし、昨年よりも今年のチームのほうが強くなっていると思う」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs ステラミーゴいわて花巻

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ペスカドーラ町田 2-0 ステラミーゴいわて花巻
(Fリーグ・東京) 4-1 (Fリーグ・岩手)
6-1



 町田が順当に花巻を退けたゲーム。昨日のIKAIとの大会初戦は、前半苦しんだ戦いとなったが、後半修正して巻き返した。今日の一戦は、昨日の反省を生かし、ゲームの入り方について細心の注意を払ったという。終わってみれば、40分間、終始危なげない安定したプレー振りで、Fリーグ終了後の状態のよさを示しているかのようだった。


 立ち上がりのイーブンな状態から、ゲームが動き出したのは、町田横江怜がピッチに入ってから。得意のミドルシュートで攻撃のリズムを作り、陣形を引いて守っていた花巻を徐々に前に引き出していく。

 花巻は、10分に山谷紘大が一発レッドで退場。ファウルも貯まり、早くも苦しい状況に入ってしまう。町田は10分の横江の第2PKこそ生かせなかったものの、1人多いパワープレーの状態から、12分に甲斐修侍のシュートが決まって先制すると、13分には横江が今度は第2PKを決めて、2点リード。花巻は14分に水上玄太がパスカットからGKとの1対1に持ち込むが、この決定機を決められずに前半が終わる。


 後半に入っても、すぐの20分に、町田は素早い展開から、左のホンダ マルコスのパスを受けた横江が、右から決めてゴール。23分にも横江が中央から持ち込んだ速攻から、右へ回った森谷優太が決め、攻撃の手を緩めない。

 花巻は残り12分から、水上をGKにして、早めのパワープレーに入る。しかし、29分に町田のほうが、左のCKから甲斐のシュート性のパスに、ゴール前で宮田義人が合わせて5点目を挙げ、チームとして動じるところがない。


 それでも花巻は、パワープレーを続け、すぐに千葉裕也が1点を返した。その後もパスを回しているうちに、だんだんとリズムを作れてきたようで、町田ゴール前に迫るシーンを何度か作る。だが、そう簡単にゴールを割るところまではいかなかった。

 逆に町田はプレスからボールを奪って、32分に相根澄が無人のゴールへシュートを決めて61。その後はスコアが動かずに試合が終了した。


 2試合連続で快勝した町田。格下が相手だったとはいえ、「自分たちのミスが非常に少なく、安心できる部分が増えてきた」(バイアーノ監督)という。今季はこれまで自分たちのミスで失点したり、リズムを崩したりというのをさんざんやってしまってきただけに、この数週間での成長はやはり大きなものがあるといえそうだ。

 一方の花巻は、残念ながら何のインパクトもないまま敗れてしまった。まずは守備に集中して、ボールを奪うところまではいいのだが、そこからの攻めの部分で、今季未だにさしたる狙いや形が見えないのはいただけない。カウンターに行くところでミスをし、カウンター返しを食らうこともしばしばだった。

 同じ時間帯の隣のコートでは、IKAIがテンションの高い雰囲気で、勝利を挙げた。明日は花巻を倒す気満々のようだ。これに対して花巻はFリーグ勢の意地を見せられるかどうか。注目だ。


町田・バイアーノ監督
「最初は花巻のディフェンスがよかったが、ウチもボール回しのスピードが落ちていた。そこを修正し、ボール回しのスピードが上がってくると、徐々によくなって、点を取れるようになった」

町田・甲斐修侍
「明日も、相手とか自分のコンディションに関係なく、100パーセントでやること。それを1人1人がどこまで追求できるか」

花巻・水上玄太
「Fリーグで3回も対戦している相手だけに、もっと対策して臨めるはずなのですが、準備不足、力不足がありました

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF バサジィ大分 vs Praia Grande

開催日:2008年3月1日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
バサジィ大分 2-1 Praia Grande
(Fリーグ・大分) 0-3 (東海第1・静岡)
2-4



 フットサル専門誌の全日本選手権プレビュー記事で、彼らはこう名づけられていた。「ハイプレス・クラッシャー」。東海リーグ所属のプライアが、看板に偽りなしの猛烈なオールコートプレスで、Fリーグの大分を粉砕してみせた。

 大分は大阪戦で主力2人を失っていた。GKの後藤臣一が病院に運び込まれるほどの大ケガ。仁部屋和弘は相手選手を蹴った行為で退場して、2試合の出場停止処分。代わりに千綿リカルドが出場停止から復帰した。

 前半の途中までの戦いぶりは、「やっぱりFリーグって強いんだなぁ」と思わせるものだった。

 8分の先制点は、プライアの選手と大分の選手がもつれ合ってサイドを割ったボールを、プライア陣営が「ファウルじゃないの?」とアピールした瞬間に、大分の神志那仁聖が素早くセットして蹴り込み、ファーの加口晋平に合わせたもの。敵に生まれた一瞬のスキを突くという狡猾さに、Fリーグのシーズンを戦った大分の成長が感じられた。

 11分には、左サイドで江口学の縦突破からのクロスを、「浜(濱)大樹 高知凱旋!」の横断幕が掲げられた濱大樹が合わせて、20。ちなみに濱は高知出身の選手ということで、地元紙に連日取り上げられていたのだという。


 プライアは16分にタイムアウトを取る。明けた次のプレーで大分は敵陣近くでファウルをもらうと、プレーイングタイムでは7秒後にタイムアウトを申請。セットプレーの打ち合わせをして3点目を取りにいったが決められない。

 すると、逆に前半残り1分22秒、プライアの勝又純一郎が、ゴール前の混戦の中で押し込んで1点を返す。このまま前半は終わったが、プライアにとっては、後半に向けて弾みをつけるゴールとなった。


 プライアの同点ゴールが生まれたのは、後半が始まって1分過ぎのこと。「あの人ならやってくれると思っていた」(藤原)とチームメートから絶大な信頼を寄せられるエースの奥山保司が、左45度から低弾道のトーキックを右のサイドネットに突き刺したのだ。

 大分は同点にされたことでリカルドがカリカリしてきて、プレーの冷静さが失われていった。チームリーダーの焦りはチーム全体に伝播する。Fリーグで最も若い大分ならなおさらだ。さらに大分はファウルもかさみ始め、29分の段階で第2PKにリーチがかかってしまう。

 厳しくチェックにいけなくなった大分に対して、プライアはついに逆転ゴールを決める。31分、2点目の得点者である奥山が、左から中へカットインして、インステップで低く抑えたシュート。奥山のこのゴールは、ちょっと名古屋の森岡薫をほうふつとさせた。横移動しても体の軸がブレないところ、振り足の速さは強烈に印象に残った。

 大分は山口を前に上げる形でパワープレー。しかし36分、プライアは神志那のシュートを藤原が胸元でキャッチすると、がら空きのゴールへドライブ回転をかけたパントキックで4点目。「東海リーグでも3点ぐらい決めている」という藤原の高精度パントキックが、大分の戦意を喪失させた。


 冒頭で書いたプライアのオールコートプレスは、「ウチにはそれしかない」と選手もいうほどの絶対的な武器だ。彼らの強みは一人ひとりがサボらないこと。「走れない選手は使えない」が選手起用の合言葉になっているそうだが、フィジカルベースでは(Fリーグでも上のほうといわれる)大分の選手を上回っているようにも見えるほどだった。

 プライアは今大会の1次ラウンドでFリーグに勝った初めてのチームとなった。と同時に、2勝で得失点差+6として、2年連続の決勝ラウンド進出に大きく前進した。それでも、同時進行で行われたゲームで勝った大阪が同じく2勝で得失点差を+10としたため、1位通過のためには勝利が必要になる。「どことやるときもやり方は変わりません」(藤原)というプライアが、地域リーグの期待を背負って大阪戦に挑む。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループE ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月1日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループE

JOY FUTSAL CLUB KIMURA SPORTS 0-2 湘南ベルマーレ
(関西第2・滋賀) 2-5 (Fリーグ・神奈川)
2-7


 Fリーグを泥沼の8連敗で終えた湘南と、関西を勝ち抜き、関西リーグも制したジョイ。"サプライズ指数"の高そうなゲームだったが、湘南がFリーグの意地を見せた。

 7分、前日の試合でも先制点を奪った大地悟が、前日と同じような左45度からの左足シュートを逆サイドネットに突き刺す。大会前はケガで出場が危ぶまれた大地だったが、そのプレーはケガをしているとは思えないほど軽快だ。

 12分だった。右サイドの沖村リカルド(シニーニャ)がオーバーヘッドで左前方の曽根田盛将へパス。曽根田はこれをダイレクトで右前方に走り込む岡田ジオゴサントスへ。ジオゴのシュートはゴールをそれたが、まるでサーカスのようなプレーにスタンドはどよめきに包まれた。

 パターンプレー、個人技をミックスさせてくる湘南に対して、ジョイの攻め手はアラ大谷真一からのピヴォ当てか、GKがピヴォにロングスローを投げるというもの。攻撃のパターンのバリエーションに乏しく、大谷真からピヴォへのパスコースを切られると、攻撃が手詰まりになることが多かった。

 湘南は16分、伊久間洋輔→大地→神保慶太と3人が連動したプレーで追加点。後半に入った23分、Fリーグで出場機会に恵まれなかった曽根田が、そのうっぷんを晴らすかのようなドリブルからの股抜きシュートを決めて3点差と突き放す。

 03となったが、ジョイは26分に馬場のゴールで1点を返す。湘南は後半5分過ぎからが"鬼門"となっている。Fリーグでの連敗中も、前半と後半の頭まではよくても、それ以降にガクンと落ちる時間帯ができて、点差をつけられるというパターンがほとんど。

 この試合でもその不安はあった。30分に大地が2点目を決めたが、1分後にジョイの大谷真に2点目を入れられてしまったのだ。湘南に暗雲が立ち込める。それでも湘南はパワープレーに出てきたジョイのがら空きのゴールに、3本のシュートを流し込んだ。ジョイのパワープレーにも助けられる形で、湘南が2試合連続の7ゴールで大勝した。


 今大会の湘南にはFリーグのシーズン中からの変化があった。まず、朴海剛監督がベンチに入っていない。この大会はFリーグと異なり専任監督が義務づけられていないため、選手兼監督もOK。ベンチの左端に座って選手交代を行っているのは奥村だった。


 奥村はD.C.旭川戦後、今大会のテーマを「選手の再生」だと語っていた。Fリーグで5位に終わった湘南の低迷の要因の一つが、実質的な監督だったジオゴの目指す方向性がチームにフィットしなかったこと。

 「戦術でがんじがらめになったというか......機械的な動きが多くなって、フィーリングがなくなってしまった。それによって"死んでしまった"選手が多かった」(奥村)チームが復活するために湘南は原点に立ち返ることを選ぶ。

 パターンプレーにハメ込むのではなく、ドリブルの得意な選手には自由を与えてドリブルをさせて、スペースの飛び出しが持ち味の選手はそれを生かすように周りが動く。理想の形として思い描くのは50だったプレマッチの高槻松原戦だ。


 今大会はFリーグの後半戦でチームを牽引した篠崎隆樹、荻窪孝はそれぞれ登録の関係とケガでチームに帯同していない。キャプテンの豊島もケガでスタンドから試合を見守った。それでもジオゴが選手として復帰したことや、曽根田、関の復活などは"新戦力"といってもいい。第8回大会を制した"ロンドリーナ"は、"湘南ベルマーレ"と名前を変えて2度目の日本一を目指す。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループB デウソン神戸 vs SHARKS

開催日:2008年3月1日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループB
デウソン神戸 1-2 SHARKS
(Fリーグ・兵庫) 3-1 (関東第3・東京)
4-3



 全国各地でレッドカードが乱れ飛んだ? この日。将来のFリーグ入りを目指すSHARKSが、神戸に挑んだ大注目のこの一戦も、カードを巡って異常な雰囲気に包まれた、大激戦となった。

 試合開始わずか18秒だ。SHARKSは大森茂晴が、神戸原田浩平とルーズボールを競り合った後に、いきなり退場を宣告される。永井陽一主審はヒジ打ちをしたというゼスチャー。だが、原田はピンピンしている。「?」な会場の雰囲気。

 FP3人の状況を何とか耐えたSHARKSだったが、さらに、2分に悲劇だ。今度は神戸ブルノともつれた神敬治にも笛が鳴った。胸のポケットにイエローカード、パンツのポケットにレッドカードを収めている永井主審。何とパンツのポケットのほうをモゾモゾっとやり、レッドカードを提示! ウソッ! 何とこれも一発退場。どうやらもつれたときに、足裏でブルノの股間を踏みつけたと見られたらしい。上から見ていると、本当にもつれたようにしか見えなかっただけに、「エーッ!」という声の「エーイング」が会場を取り巻く。


 このときのFP3人状態では、神戸ブルノがゴールを決めて先制。攻守のそれぞれの要を失ったSHARKSは大ピンチとなったのだが、ここから非常に気迫のこもったプレーで神戸に立ち向かうことになる。7分、正地淳太の右からのクロスを、松浦英が軸裏シュートで決めて同点。その後も安川敦士のシュートがポストを叩くなど、決定機を作った。

 そして、今度は神戸が12分にブルノが一発退場となってしまった。こちらは大黒裕之第2審判がスムーズにカードを出してきた。ブルノは左サイドから得意のフェイントで縦に抜こうとしたところを読まれて敵に体を入れられたとき、両手で敵の背中を押してしまった。公式記録を見ると、著しい不正ということらしい。これもそんなにひどかったかな? どうだったのかな? ちなみに会場の雰囲気は、もう笑い半分。「片方に2人出したから、帳尻合わせにいったな」。そう思った人も多かったのではないか。


 さて、試合のほうは、特にサイドなどの1対1で、見ごたえのある攻防がたくさん展開された。ドリブルで抜こうとするのと、それをさせまいと体を寄せて防ぐ、アドレナリン出まくりのやり合い。選手たちは意外に冷静にファイトしていたように見えたが、いかんせんガツガツしたやりとりはファウルがかさなっていく。前半はSHARKSのほうに2度の第2PKのチャンスがあった。だが、碓井孝一郎のシュートは、2度とも神戸GK村山竜三がストップする。それでも前半終了間際に、SHARKSは名取真吾が左から中へカットインしてシュートを決め、21とリード。チームは「どうだ! 見たか!」といわんばかりのテンションの高い雰囲気で、ハーフタイムになった。


 後半も一進一退の攻防で、互角に見える展開。どちらかというと、突っかけていく神戸に対して、SHARKSがカウンターでやり返すというシーンが多かったか。しかし、前半とは反対に今度はSHARKSにファウルが重なっていく。やはり神戸の1対1の巧さ。例えばドリブルで抜いていくのもそうだし、トラップ際で変化するプレーで敵の裏を取るといったものなどにもSHARKSはやられ、どうしてもファウルで止めるシーンが多くなったためだ。このあたり、1対1がウリのFリーグの神戸の、底力といったところか。

 SHARKSは残り10分の時点で5ファウルとなり、そこから神戸に第2PKが3本与えられた。30分の1本目は須藤慎一が決め、同じ30分の2本目は須藤のシュートは止められたものの、36分の3本目は泰澤秀幸がきっちり決めて、神戸が逆転に成功した。さらに、SHARKSGKが上がったところで、パスカットした須藤が無人のゴールへ。42と点差を広げる。


 追いつきたいSHARKSは、それでも足元の巧いGK石井秀樹を引き続き積極的に上がらせ、パワープレー状態からゴールを狙った。スピードがあって、時にワンタッチパスも織り交ぜながらのパスワークは見ごたえ十分。何度も神戸ゴールを襲い、会場はさらにヒートアップしていく。37分には松浦のシュートのこぼれを、岡崎チアゴが再度打って決め1点を返し、なおも怒涛の攻撃に出た。

 しかし、最後はご存知、神戸山元優典のブロックショーだった。SHARKSのシュートポイントを読みまくり、誰よりも素早く体を寄せて防ぎまくるのである。粘りに粘った神戸が、最後は守り切る形になった。

 神経質すぎるといわざるをえないレフェリングで、壊れかけたゲームだったが、観衆の興味をピッチに引き戻して熱中させたのは、選手たちの気持ちの入ったプレー振りだった。両チームの選手たちに素直に拍手を送りたい。肩に力が入り、まさに手に汗握る攻防。見終わって、どっと疲れたけど、大変感動したゲームだった。

 敗れたSHARKSだが、次の試合で勝利すれば、決勝トーナメントへ進める希望は大きい。これまでは得点チャンスになるのが、今日の退場で次戦は出場できない、神頼みの攻撃がほとんどだった。だが、この日は彼がいなくても多くのチャンスは作っていた。このグループで2敗のSTANDARD相手に、どのくらい点を取れるのかがポイントだ。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF シュライカー大阪 vs バサジィ大分

開催日:2008年2月29日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
シュライカー大阪 2-3 バサジィ大分
(Fリーグ・大阪) 3-1 (Fリーグ・大分)
5-4



 大阪と大分の"Fリーグ対決"はキックオフから45秒、大阪のミスを突いた神志那仁聖の先制点で幕を開けた。

 大阪のスタメンはGK竹井宏真、西野宏太郎、岸本武志、奥田亘、瀬戸彬仁。

 大分はGK後藤臣一、白方秀和、神志那、仁部屋、松田マルシオ。千綿リカルドはFリーグの累積警告による出場停止。


 大阪が7位、大分が6位という順位からいえば、この2チームはFリーグの中のトップクラスではない。だが、ゲームのスピード感や球際の激しさは、ここまで行われた地域リーグvs地域リーグの試合から一段レベルが上がったように感じた。

 1点を先制された大阪は6分、浮き球のキックインを30松宮充義がボレーで叩き込み11の同点に追いつく。「先制されてチームの士気が下がっていた時間帯だったから、あの時間帯に取れたことはよかった」(30松宮)。

 だが大分は12分、ダイナミックなキックフェイントやシザーズを見せていた江口学が、ゴール正面から左へズラして左足シュート。GKの手前での加口晋平のスルーも"アシスト"となってゴールネットを揺らした。

 大分は18分にも白方が決めて31と2点差に。大分が立ち上がり、同点直後、前半終了間際と理想的な時間帯に3ゴールを挙げる。

 劣勢の大阪を救ったのはまたしても30松宮。左サイドの高い位置でボールを受けると、右でまたいで左足で縦に押し出す得意のフェイントから中へ折り返す。これを鈴木磨人が飛び込み1点差とする。

 前半、シュート数17本の大阪に対して、大分は9本。3本で1点の高確率で大分がゴールを決めたが、ゲームの支配率は大阪のほうが上。ポゼッションの大阪vsカウンターの大分という構図でゲームは進んでいった。


 後半開始2分(22分)、大阪は鈴木の2連続ゴールで33に。このゴールは右後方の一木秀之からの球足の速いボールを、鈴木が足元でピタッと止めてシュートを打ったもの。出したい場所と欲しい場所、パススピードとファーストコントロール、2人のイメージと技術がピタリとシンクロしてのゴールだった。

 29分、止まらない大阪は一木→21岩岡慶宜→鈴木とつながって、鈴木が足裏→左インのダブルタッチでGKをかわして流し込んだ。鈴木のハットトリックとなる4点目が、逆転ゴールとなった。

 その後は29分に、大阪林浩平が2枚目の警告で退場、32分に大阪瀬戸のミドルで4点目、残り35秒で仁部屋が岸本を蹴ってしまい退場(2試合出場停止)、残り5秒でのオウンゴールと、両チームのプレーを反映するようなせわしない展開が続いたが、大阪が54で大分を下してFリーグ対決を制した。

 30松宮が「決定的なチャンスを外し過ぎた。3点差をつければもっと楽に勝てたはずなのに、1、2点差しかつけられないから相手に『まだやれる』と思わせてしまう」と、"最後までわからない試合"にしてしまったことを反省点として挙げた。

 だが、Fリーグで勝てなかった頃の大阪だったら、前半のうちに点差をつけられるか、後半にバタバタしてやられていたところで、しっかりと勝ちきれるようになったのは大きい。マグ時代から大阪はトーナメント戦と相性がよいことで知られている。浸透しつつあるアドリアーノ監督の戦術に大阪特有の「勢いとノリ」が加わったら、今大会の台風の目になるかもしれない。


大阪・アドリアーノ監督
結果は良かったけど、内容的には良くない。先制点を決められてチーム全体が焦ったところがある。いちばん最初の試合で緊張もあったし、コートのサイズも、いつも練習しているところとは床のタイプも違うことが、影響したのかもしれない。

大阪・松宮充義
今日の1勝は本当に大きい。前半リードされて終わって、あそこから逆転できて良かった。ハーフコートということで、コートを広く使った攻め方、クワトロやヘドンドはやりづらいから、シンプルにピヴォを使うプレーもやろうという話は、アドリ(アーノ監督)からはされていた。ある程度はできたと思うけど決定的なチャンスを外し過ぎたのは反省点です。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループD バルドラール浦安 vs FIRE FOX FUCHU

開催日:2008年2月29日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループD
バルドラール浦安 2-0 FIRE FOX FUCHU
(Fリーグ・千葉) 0-0 (関東第1・東京)
2-0


 最初に告白すると、この試合は後半だけしか見ていない。高知に当日の飛行機で10時30分に着いたのだが、高知空港から会場までもろもろ1時間以上かかったからだ。

 体育館のある春野総合運動公園ではプロ野球の西部ライオンズやJリーグのセレッソ大阪のキャンプが行われていた。そんなところでフットサルの日本一を決める大会は"ひっそりと"行われていた。スタンドを見渡しても、選手や関係者のほうが観客の数を上回っている。

 ハーフタイム、Bピッチのスコアボードには「2」と「0」が並んでいる。浦安が18分の稲田祐介、19分の稲葉洸太郎(PK)のゴールで2点を決めて前半を折り返していた。

 ワンサイドゲームだったのかと思いきや、顔見知りの記者に話を聞くと、「ファイルにも結構チャンスがあった」とのこと。


 すると後半、ファイルは大健闘を見せる。残り10分から始めたパワープレーで浦安をかなり追い詰めたのだ。ただし、浦安とファイルではこの試合に臨むスタンスが大きく異なることは、差し引かなければいけない。

 浦安にとっては決勝までの6試合の"初戦"という位置づけ。コンディション的にも、プレー的にもまだ100パーセントではなく、高く見積もっても80パーセント程度。逆にファイルにとってはこの試合が"決勝戦"である。決勝トーナメント進出のためにも、1敗でもしてしまうとキツイ。4チームの中で最も強いであろう浦安戦に照準を合わせるのは当然のことだった。

 2-0の浦安リードのまま迎えた残り10分、ファイルは村上をGKにしてパワープレーを開始する。正直言うと「失敗するのでは......」という予感があった。浦安には前でボールを取るのがうまい、?稲葉や?中島孝がいる。パワープレーに対するディフェンスも連動していて完成度が高い。中途半端なパワープレーだったら、傷口を広げる結果になるだろうな、と。

 だが、ファイルのパワープレーは僕の予想をいい意味で裏切ってくれた。

 キーポイントは「真ん中の使い方」だった。よくあるパワープレーはサイド→中→サイドとボールを動かして、敵のマークがズレたところでシュートを打つというもの。だが、ファイルの場合はサイドの選手が外から中へ積極的に入っていき、後方の選手に横だけでなく縦のパスコースを作り出してボールを引き出す。

 中でボールを受けた選手は、敵がシュートを警戒して引いてくれば前を向いてドリブル、素早くアプローチに来た場合はワンタッチかツータッチでサイドに展開する。浦安のディフェンスはマークをつかまえられなくなり、1分に1度ぐらいのペースでビッグチャンスが生まれていった。

 それだけに悔やまれるのはフィニッシュの甘さだった。何度も決定機がありながら1度も浦安のゴールネットを揺らすことができなかったのだ。歴代のチームを率いてきた松村栄寿監督の「これが今のファイルの実力なのかな」という言葉がズシリと響いた。


 0-2の敗戦という結果に似つかわしくないくらい、試合後のファイルの選手の表情はスッキリとしていた。それは浦安を相手に自分たちが1年間取り組んできたことを出せたという達成感からだったと思う。

 「1年間やってきたことが......負けたので実を結んだとはいえないけど、出せたと思う」という?村上の言葉が象徴的だ。自分たちのできることを出し切った上での敗戦。ファイルの健闘が光った分、浦安との間にある大きな差も感じられた、そんなゲームだった。


浦安・藤井健太
「初戦はいつも簡単にはいかない。コートが狭いし、敵も引いて守ってくる場合が多いから。特に今回はFリーグvs地域リーグということで、向うのモチベーションも高かったし。ファイルに今まで本大会では個人的に勝ったことがなかったので、この試合だけは出ないほうがいいんちゃうかと思っていた(笑)」

ファイル・村上哲哉
予想以上に前半からチャンスがあった。あれを決めていれば、また違ったんじゃないか。そんなにチャンスを作られなかったし、2点ともセットプレーのこぼれ球とPKだったし、崩されたのはあんまりなかった。主力が抜けたメンバーでここまで戦えたのは驚いている。1年間やってきたことが......負けたので実を結んだとはいえないけど、出せたと思う」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年2月29日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ペスカドーラ町田 2-2 IKAI FUTSAL
(Fリーグ・東京) 7-0 (東海第2・静岡)
9-2



 Fリーグ勢をやっつけるチームが出るのか、それともFリーグ勢が力を発揮するのか。全日本フットサル選手権注目の初日は、Fリーグ勢が軒並み結果を残す形になった。Fリーグ勢と予選勝ち上がりチームとの差。それが如実に現れたのが、このCグループの一戦だったのではないだろうか。

 町田はGK石渡良太、FP滝田学、狩野新、金山友紀、ホンダ マルコスというお馴染みのスターターに、セカンドセットは宮田義人、甲斐修侍、横江怜、相根澄。自陣からのディフェンスで、徹底的に守ってきたIKAIに対して、いつもようにパスをテンポよく、スピーディーに回しながら攻めていった。

 しかし、IKAIの集中力ある守りに、なかなかゴール前までボールを運べず、横江らのミドルシュートもことごとくブロックされる。

 序盤はほとんど攻撃のチャンスがなかったIKAIだが、10分に右前に走り抜けてフリーになった須崎充樹が、山口マルコスからの縦パスを受けてシュートを決め、先制点を挙げる。直後も右サイドで熊井直樹がフリーになり、マルコスにクロスが入ったが、ヘディングシュートを外してしまう決定機があった。


 町田は11分に、滝田のミドルシュートを、GKが味方がブラインドになって見失い、同点ゴールが入る。そして、球際で激しく行くIKAIにファウルが貯まり、2度の第2PK得て、そのうち13分の1本を決めて逆転に成功した。

 ところが、IKAIもその後粘ってチャンスを連続して作り、町田ゴールを脅かした。前半終了間際の19分には、右サイドから熊谷和夫がゴールを決めて同点。それまで何度も訪れた決定機を決められず、のけぞりまくっていたIKAIベンチも、このときは相当な盛り上がりようでハーフタイムに入る。

 それでも、1人1人の出場時間が長く、少ない選手で交代を回していたIKAIは、ここからの体力面が懸念された。


 後半、町田はIKAIのGKからのビルドアップをケアするよう、再確認して立て直し。「まず中央を閉めてピボへボールを入れさせず、近くの選手に渡したら前線から敵をつかまえにいった」(金山)。そして、22分に、GKのパスをカットしたホンダ マルコスから、左の金山に渡って決まったゴールを皮切りに、ジワリジワリと点差の開く展開になっていく。24分、26分とホンダ マルコスが連続ゴール。

 IKAIは29分に熊井が2枚目のイエローで退場となり、さらに苦しくなる。「前半すごくいい形だったので、後半もイケると前掛かりになり、薄くなったところをやられてしまった」と、IKAIのキャプテン谷口謙二は悔やんだ。

 町田は30分に甲斐のミドル。32分には久光邦明のゴールが決まって、さらにリードを広げた。町田の軽快な動きに、IKAIがついていけない場面が多く見られるようになってくる。体力的な面もそうなのだろうが、いつもの町田のせわしないともいえるプレースピードと、矢継ぎ早に繰り出される攻守の各プレーに、IKAI選手たちの目や頭、そして気持ちがついていけてないように見えた。

 残り4分から、IKAIはパワープレーを行ったが、逆に町田が、パスカットから久光邦が2ゴールを決め、ハットトリックで締めて試合を終えた。


 やはり、後半の戦い方に、経験やいろんな部分で差が出るようだ。しっかりと戦いを修正して勝利した町田に、Fリーグで鍛えられた強さを感じたゲーム。それに、今日を見る限り、Fリーグのチームは相当な緊張感を持って、この1次リーグに臨んでいる様子。彼らの意地がひしひしと感じられた初日だった。


町田・金山友紀
「初戦は難しいのは分かっていた。前半は辛抱して、後半勝負という試合。1次リーグは明日がヤマ。花巻は今年に入って調子を上げているし、ウチと差はないでしょう」

IKAI・谷口謙二
「点差がつくまではいい勝負だったが、そこから先の勝負でやられてしまった。前半できたことが、後半続かない。ただこれで目が覚めないと。開き直ってもう勝点6を狙いたい」

IKAI・熊谷和夫
「やはりFリーグのチームは、通常からリーグ戦で厳しい戦いをしているし、メディアのプレッシャーとかもあるので、メンタルでもフィジカルでも上でした。ただ、こうしたチームと戦えたのは、よかったし、いい経験になった。あと2試合も楽しみです」

第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・決勝戦 大洋薬品/BANFF vs 府中アスレティックFC

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・5日目決勝戦レポート
   <レポート/写真>北 健一郎

決勝 2/4 駒沢体育館
大洋薬品/BANFF
(東海1・愛知)
3 1-0 1
2-1
府中アスレティックFC
(関東2・東京)


1年に1度。「全日本の決勝」はやはり特別なものがある。特に今年はFリーグ開幕前ということで、いつにも増して注目度が高い。準決勝、決勝の取材申請者数は100名を越えたとのこと。1時間以上前から駒沢体育館には11時の開場を待つ長蛇の列。もうすぐ、今年のフットサル日本一が決まる。

決勝まで勝ちあがっていく過程の中で、今大会が大洋薬品の「1強」であることは明らかだった。その"対抗馬"として府中を推す声は多かったように思う。府中には前田喜史、小山剛史、完山徹一、鈴木隆二など、強さと技術を兼ね備える、もっと言うと大洋薬品が欲しがりそうな選手が多い。それゆえに府中ならば大洋薬品とも対等に近く渡りあえるのではないかと。

試合前のミーティングで「『先制点を取りに行こう』とミーティングで話していた」(完山)という府中。だが5分、その目論見は山田ラファエルの暴力的な1発によって覆されることに。右CK。右サイドタッチライン際でスタンバイしているラファエルが、北原亘からのパスをワントラップ→ズドン! 鉄砲玉のようなスピードのボールは完山、そしてGK石渡良太の手を弾き飛ばしてゴールイン。

決勝の大洋薬品には累積警告のため、11得点で大会トップスコアラーのマルキーニョスがいない。チームメートの北原が「アイツを止められる日本人のフィクソはほとんどいないと思う」というように、ボールを相手の届かない位置に置くキープ力、敵にピッタリくっつかれていても振り向く反転力、そして左足の強烈かつ正確なシュート力と攻撃スキルの塊(かたまり)のようなマルキーニョス。彼の不在は府中の勝率を大げさではなく10%ぐらい上げたはず。

必然的に大洋薬品のピボは森岡薫1人になるのだが、前半は左サイドのアラの位置で仕掛けてシュートというのが何本かあったのみ。とはいえ、前半6本のシュートを放った府中にしても「打たされている」ミドルがほとんどで、ゴールの予感は薄い。それでも府中が肉体的な接触で当たり負けする場面はほとんどなかったといっていい。森岡がアラでの仕掛けが目立ったのには、前田のマークがタイトだったというのもあるだろう。前半は1-0、大洋薬品がリードしたまま折り返す。

後半6分、右サイドから宮田義人がドリブルでかわして左足シュート。これは豊島が頭でクリアしたが、大会期間中にグングン調子を上げてきている宮田は攻撃のキーマンの1人。だが、このプレーのすぐ後、ピッチ中央で上澤にボールをさらわれた宮田は、ドリブルで独走する上澤を追い掛けると、上澤の決定的なシュートをハンドで止めてしまう。PKをとられるだけでなく、宮田はレッドカードで退場。府中は13分20秒からの2分間、もしくはゴールを取られるまで、FP3人でプレーすることになった。

退場後の最初のピンチとなる森岡のPKは、GK石渡が読み良くストップ。すると府中はマイボールになれば数的不利でもキープではなく、ゴールを狙っていく。「『守れ』っていう指示だったと思うけど、0-2にされたらかなりキツイ。隆二とチャンスがあったら攻めようと言っていた」と前田。そしてこの男が全日本選手権の歴史に残るスーパーゴールを決める。

27分、左CK付近で鈴木がファウルをゲット。タッチラインより少し手前の位置。シュートの角度はほとんどない。ファーサイドのコースを消す壁が2枚。GK定永久男は定石どおりニアを切っている。ゴール前には鈴木が1人だけ、マークは2枚ついている。「一瞬、(コースが)ほんのちょっとだけ見えたんです。だから隆二に『動け』って言って」。ピーッ。鈴木が激しく動き出す。GKの定永がそれに気を取られた瞬間――。駒沢体育館にいる人間を1人残らず欺いた、前田のボール1個分のコースを通す"直接FK"が決まった。

駒沢体育館が揺れた、らしい。だが、僕は揺れたかどうか覚えていない。僕自身も思わず「ウォー」と思わず身を乗り出して叫んでしまったからである。前田は一旦ベンチ方向に走り出したが踵(きびす)を返すと、バックスタンド左側にいる府中応援団に左胸のエンブレムを握り締めて「オレは府中だ!」とやってみせた。この瞬間、府中は観客席にいるどちらのファンでもない"浮遊層"までも味方につけた。

しかし、府中はあと28秒でFPを補充できるというところで、大洋薬品に勝ち越し点を決められてしまう。シュートを打とうとする北原の足元に滝田、鈴木の2人が飛び込むが、北原は落ち着いて前方のボラにパス。フリーのボラがダイレクトで柔らかく浮かせたボールはゴールネットへ。「あぁー......」というため息が駒沢体育館を包む。

30分にはエース森岡が決定的な3点目をゲット。ボラのクサビのパスを受けて強引に前を向くと、右足のシュートフェイントで目の前の2人を引っ掛けて、足裏で右から左に転がして左足シュート。森岡は「かなりゴリゴリ感がありましたけど」と笑うが、誰もがこのワンプレーに「プロ」を感じさせられたのではないだろうか。

2点差の府中は前田をGKにして、完山などが次々にシュートを打ち込んでいく。最終的に後半の府中のシュート数は23本にまで上ったものの、パワープレー中のシュートは大洋薬品のGK定永にことごとく弾き出されてゴールならず。そして、大洋薬品が3-1で「日本一」のタイトルを手にした。

「日本唯一のプロチーム」として大洋薬品の選手たちが優勝の瞬間に感じたのは、「歓喜」よりも「安堵感」だったという。何が何でも日本一のタイトルを。周囲からのプレッシャーが半端ではなかったことも想像できる。昨年4月に発足したばかりのチームだが、彼らがフットサルに費やしてきた時間は他のチームの2、3年分にもなるだろう。これからFリーグ参加チームの補強が加速化すると思われるが、大洋薬品の準備は現時点で1歩も2歩も先を行っている。「日本フットサルのチェルシー」は結成当時からの目標である東海リーグ、地域CLとの3冠を、Fリーグ初年度王者を、そして世界で戦えるチームを貪欲に追い求めていく。


 

第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・3位決定戦 MAG'S FUTSAL CLUB vs FIRE FOX

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・5日目3位決定戦レポート
   <レポート/写真>北 健一郎

3位決定戦 2/4 駒沢体育館
MAG'S FUTSAL CLUB
(関西1・大阪)
3 1-3 4
2-1
FIRE FOX
(関東4・東京)


ファイルとマグの「プーマ対決」となったプーマカップの3位決定戦だが、この試合にはもう1つの意味があった。それはファイルのキャプテン、板谷竹生にとって「最後の全日本」になるということ。「地域CLはやります」という板谷だが、"引退後"は本格的に料理関係の仕事に就くのだという。今年29才になる。今シーズンが始まる前に決意していたそうだ。

全日本選手権は来年度より出場枠が32チームに拡大され、Fリーグの8チームは全日本選手権には本大会からの出場になる予定だという。Fリーグ開幕の前後ではフットサル界は大きく変化する。選手の移籍は活発化するだろうし、一流外国籍選手の来日もあるかもしれない。今年2007年が選手にとっても1つの分岐点になるのは間違いない。

元日本代表の実力者である板谷が、もしも、Fリーグへの移籍希望を表明すれば、獲得に名乗りを挙げるチームはあるだろう。だが、それがプロなのか、アマチュアのままなのかはわからない。フットサル選手である前に1人の人間として、フットサルと仕事を天秤に掛けるのは当然で、彼は仕事を選んだだけのこと。だが、今大会、特に3位決定戦の獅子奮迅のパフォーマンスを見たものとしては、どうしても「もったいない」と思ってしまうのだが......。

3位決定戦は昨日の府中-マグのリプレーかのように、ファイルが3分、9分、11分と3点をパンパンパンと決めた。とにかく攻守に板谷の動きの良さが目立つ。彼の気迫が3位決定戦という、白けがちなゲームに熱を帯びさせていく。3分、遠藤晃夫のスローイングをゴール前でトラップした佐藤嘉孝が反転シュート。

その後もマグの不用意な仕掛け、パスミスからファイルがカウンターを仕掛ける。マグにも何本か良いシュートがあったが決められないのも昨日と同じ。9分のゴールはカウンターから中村上哲哉→右板谷→中村上というワンツーで決めたもの。2分後にも、カウンターで稲葉のパスが板谷へ。板谷はGKとの1対1を冷静に流し込んで3-0。

たまらずマグはタイムアウトを申請する。「ミスしてはいけないところでミスが出て、ファイルにカウンターでやられた」(岸本)マグだが、真面目にコツコツとプレーして、1点ずつ追い上げられるのは彼らの強みですらある。18分、シュート性のCKを遠藤が弾いたところを山本信吾が詰めて1-3として前半終了。

後半は完全にマグのゲームに。岸本が「あまり出てない若手を使った。『やってやる』というのは感じられた」というように、準決勝まで出場時間の短かった瀬戸彬仁、高松大輔がチームを活気付けた。27分、右サイドのスペースに瀬戸が飛び出してクロス。これを鈴木磨人が合わせて1点差。28分、鈴木がファイルゴールを背にする山本にパスをつけると、山本は左側へ大きく持ち出して2人を一気に外してシュート、マグがまたしても3点差を追い付く。

だが、この日もマグはリードすることは出来なかった。34分、吉成圭との「パラレラ」で右サイドに抜けた板谷がシュート。GKが弾いたところを北智之が押し込み勝ち越した。最後はファイルがマグの高精度のパワープレーをシャットダウンして、4-3で勝利した。

ファイルはこの3位決定戦を前にして、キャプテンの板谷を中心に「選手・スタッフだけでフットサルをやってるわけじゃない。お金を払って、わざわざ遠くから観に来てくれる人もいる。そういう感謝の気持ちをぶつけよう」と何度も何度も確認しあったのだという。そんな感謝の気持ちがファイルを3位に導いたのではないだろうか。

「3決だからって手を抜いたりして、せっかく観に来てくれる人たちをガッカリさせたくない」

アマチュアチームのアマチュア選手にも関わらず、誰よりもチームを支えてくれるファンを意識していたファイルの背番号10。先日の関東リーグ優勝後はピッチからスタンドへ感謝の気持ちを述べていたのも印象深い。そして、3月の地域CLを最後に、あのプレー、あの雄たけび、あのガッツポーズが見れないと思うと、あまりにも寂しい気持ちになってしまう。

「イタヤ、イタヤ、イ・タ・ヤ!」

サポーターはそれ以上に彼の引退を惜しんでいるのだろう。ファイル応援団からは彼が引き上げるまで何度も何度も彼の名前がコールされた。

第12回全日本選手権全国大会特設ページ

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会情報

2月4日に3位決定戦、決勝戦が行われ、大洋薬品/BANFFが初優勝を決めた!

最終日を終えて全ての結果は以下のとおりとなった。



<グループA>

A1 A2 A3 A4 勝点
2 A1 神戸大学フットサル部FORCA (大学西日本・兵庫) 0-3
×
3-2
2-2
4 5 7 -2
1 A2 大洋薬品/BANFF
(東海1・愛知)
3-0
8-3
3-2
9 14 5 +9
3 A3 JOY FC
(関西2・滋賀)
2-3
×
3-8
×
6-5
3 11 16 -5
4 A4 GINZA de FUTSAL BOTSWANA FC MEGURO(関東3・東京) 2-2
2-3
×
5-6
×
1 9 11 -2

 

<グループB>

B1 B2 B3 B4 勝点
1 B1 FIRE FOX
(関東4・東京)
5-0
2-1
1-2
×
6 8 3 +5
4 B2 ESPERANCA
(九州1・大分)
0-5
×
0-1
×
1-4
×
0 1 10 -9
3 B3 D.C Asahikawa F.C.
(北海道1)
1-2
×
1-0
3-1
6 5 3 +2
2 B4 DEAR BOYS
(東北1・宮城)
2-1
4-1
1-3
×
6 7 5 +2

 

<グループC>

C1 C2 C3 C4 勝点
1 C1 Praia Grande
(東海2・静岡)
1-1
1-0
6-2
7 8 3 +5
3 C2 大原学園JaSRAフットサルクラブ
(北信越・長野)
1-1
4-6
×
9-1
4 14 8 +6
2 C3 PREDATOR URAYASU FUTSAL CLUB
(関東1・千葉)
0-1
×
6-4
4-3
6 10 8 +2
4 C4 レキオスFC
(九州2・沖縄)
2-6
×
1-9
×
3-4
×
0 6 19 -13

 

<グループD>

D1 D2 D3 D4 勝点
3 D1 Junjies
(中国・山口)
1-5
×
2-6
×
2-0
3 5 11 -6
2 D2 府中アスレティックFC
(関東2・東京)
5-1
1-1
6-3
7 12 5 +7
1 D3 MAG'S FC
(関西1・大阪)
6-2
1-1
6-1
7 13 4 +9
4 D4 明治大学体育会サッカー部(大学東日本・東京) 0-2
×
3-6
×
1-6
×
0 4 14 -10

 

<グループE>

D1 E2 E3 E4 勝点
3 E1 STANDARD7
(四国・徳島)
2-2
4-4
3-6
×
2 9 12 -3
2 E2 YAMANOYA CASA DA SOGRA FUTSAL
(施設連盟・東京)
2-2
7-3
0-0
5 9 5 +4
4 E3 AMV FUTSAL
(東北2・岩手)
4-4
3-7
×
2-5
×
1 9 16 -7
1 E4 arusa
(北海道2)
6-3
0-0
5-2
7 11 5 +6



1月26日(金)・予選リーグ1日目<舞洲アリーナ>
Aピッチ Bピッチ
10:00 神戸大学フットサル部FORCA 0-3 大洋薬品/BANFF Praia Grande 1-1 大原学園JaSRAフットサルクラブ
11:15 JOY FC 6-5 BOTSWANA PREDATOR URAYASU 4-3 レキオスFC
12:30 FIRE FOX 5-0 ESPERANCA Junjies 1-5 府中アスレティックFC
13:45 D.C Asahikawa F.C. 3-1 DEAR BOYS MAG'S FC 6-1 明治大学
15:00 大洋薬品/BANFF 8-3 JOY FC STANDARD7 2-2 YAMANOYA
16:15 神戸大学フットサル部FORCA2-2BOTSWANA AMV FUTSAL2-5arusa
17:30 ESPERANCA0-1D.C Asahikawa F.C. 大原学園JaSRAフットサルクラブ4-6PREDATOR URAYASU
18:45 FIRE FOX 1-2 DEAR BOYS Praia Grande 6-2 レキオスFC

1月27日(土)・予選リーグ2日目<舞洲アリーナ>
Aピッチ Bピッチ
10:00 府中アスレティックFC 1-1 MAG'S FC YAMANOYA 7-3 AMV FUTSAL
11:15 Junjies 2-0 明治大学 STANDARD7 3-6 arusa
12:30 神戸大学フットサル部FORCA 3-2 JOY FC 大洋薬品/BANFF 3-2 BOTSWANA
13:45 FIRE FOX 2?1 D.C Asahikawa F.C. ESPERANCA 1-4 DEAR BOYS
15:00 Praia Grande 1-0 PREDATOR URAYASU 大原学園JaSRAフットサルクラブ 9-1 レキオスFC
16:15 Junjies 2-6 MAG'S FC 府中アスレティックFC 6-3 明治大学
17:30 STANDARD7 4-4 AMV FUTSAL YAMANOYA 0-0 arusa

1月28日(日)・決勝トーナメント1回戦<舞洲アリーナ>
10:00 (1) A-1位 - 2位グループ3位
12:00 (2) B-1位 - 2位グループ2位
14:00 (3) C-1位 - 2位グループ1位
16:00 (4) D-1位 - E-1位

2月3日(土)・準決勝<駒沢体育館>
13:00 (1)の勝者 - (2)の勝者
14:00 (3)の勝者 - (4)の勝者

2月4日(日)・決勝/3位決定戦<駒沢体育館>
12:00 3位決定戦
14:00 決勝戦
15:30 表彰式


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