AFCフットサル選手権総括キタケンレポート (1/2)

アジアと世界は別物

 日本代表はAFCフットサル選手権で優勝して、アジアチャンピオンになった。結果には文句をつけようがない。何よりも、BSとはいえテレビで決勝が放送されるという、日本フットサルにとって初めて巡ってきたチャンスで勝つ姿を見せられたのは、本当に大きかったと思う。まずは、大きなプレッシャーに打ち勝った日本代表チームに拍手を送りたい。

(文/北健一郎)

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 だが、優勝したことに満足すれば、チームの進歩は止まってしまう。あくまでもミゲルジャパンの目標はワールドカップで結果を出すこと。この大会で優勝したことが、ワールドカップでの躍進を約束してくれるわけではない。

 元日本代表キャプテンの藤井健太に日本代表についてインタビューをしたとき、こんなことを言っていた。

「4年前のアジア選手権の準決勝で僕らはイランと0-1だった。そのイランがブラジルと良い試合をしていたから、自分たちも良い試合ができると思っていたんですよ。だけど......」。

 イラン戦で得たはずの世界との物差しは、しかし、世界ではまったく使い物にならなかった。ワールドカップの開幕戦でブラジル相手に何もさせてもらえず、1-12という屈辱的なスコアで惨敗してしまったのだ。同じようにロシアにも1-9で完敗。
日本代表は、ワールドカップという本番で初めて、世界との距離が思った以上に開いていたことを知ったのだ。

 優勝で自信を持つことは大事だが、それが過信に変わってしまえば、11月のワールドカップでも4年前と同じ結果が待っているだろう。勝ったのに、ではなく、勝ったからこそ、AFCフットサル選手権から見えたミゲルジャパンの課題を検証していきたい。

 今大会、ミゲル監督が記者会見で呪文のように唱えていたのが、「決められるチャンスは何本もあった」という言葉だ。日本の6試合の結果、スコア、得点者を見てみよう。

 予選リーグ レバノン戦 3-2(前半2-1) 北原、星、逸見
 予選リーグ タジキスタン戦 6-1(前半4-1) 小宮山、村上×2、稲葉×2、逸見
 予選リーグ 台湾戦 6-1(前半1-1) 逸見×2、小宮山、木暮、小曽戸、村上
 準々決勝 キルギス戦 1-0(前半1-0) 逸見
 準決勝 オーストラリア戦 3-0(前半0-0) 木暮、北原、逸見
 決勝 タイ戦 6-1(前半2-1) 木暮、北原、稲葉、逸見、川原、小曽戸

 6試合で25点、1試合平均4点以上という数字から「得点力不足」という印象は受けないかもしれない。しかし、実際に試合を見た感覚では、決勝のタイ戦を除けば「もっと取れた」という印象が先に来る。特に、前半まではロースコアで推移する傾向があり、試合終盤のパワープレー返しや、相手が疲れたところで点差が開いている場合も多い。ワールドカップで同じことを期待するのは現実的ではない。

 

決定力不足を解消するには

 ミゲル監督はゴール前に関しては「個人のタレントの問題」だと記者会見でも話していたが、チームとして改善できる点は少なくない。その一つがカウンターだ。アジアではボールを持っている時間が長くなるので、カウンターのチャンスが多いわけではないが、それでも1試合に何度かは必ずある。

 カウンターは最も得点が入りやすいシチュエーションだ。しかし、今大会のミゲルジャパンはカウンターで点を取るという意識が乏しいように感じられた。

 小曽戸允哉や仁部屋和弘がカウンターのチャンスで前を向く。相手の守備は整っていない。彼らのドリブルがあればドリブルでフィニッシュまで行ける確率は高い。大分であれば、自分で勝負を仕掛けるプレーを選択するだろう。だが、サポートを作ってパスをつなぐ意識が強過ぎるので、仕掛けられそうな場面でも味方を探して、パスをすることが多かった。

 セットプレーにおいても同様のことがいえる。クイックで始めればチャンスになりそうだなと思っても、キッカーがボールを置き、サインを出してから始めるので、その間に相手に戻る時間を与えてしまう。

 決勝戦の稲葉洸太郎の3点目はサインプレーから決まったし、鮮やかだったが、コンスタントに決目られるとは限らない。さらに、ミゲルのサインプレーは4人全員が前に上がる形も多いため、ミスをしたときのリスクがかなり大きい。

 ポゼッションにしても、サインプレーにしても、ミゲルジャパンの強みであることは間違いない。だが、そこにこだわるあまり、ゴールを決めるための最善の選択を、選手それぞれが決断するという部分が疎かになっていなかったか。チームのコンセプトに忠実にプレーするだけでなく、時にはそれを自分で壊すことも必要だと思う。

(つづく)

 

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【本エントリの著者】
北健一郎
URL: http://sportswriter.at.webry.info/
1982年7月6日生まれ、北海道旭川市出身。小学生の頃から雪でグラウンドが使えなくなる冬は室内サッカーをしていたが、サッカーもフットサルも大してうまくならず、ライターの道へ。
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コメント[1]

北氏のコメント、その通りかもしれませんが・・・・・一般論すぎるのではないのでしょうか。

今の段階で必要なのは、次の三つのことではないでしょうか。
■ミゲル監督への直接的取材を希望します。
推測ではなく、ミゲル監督に考えを確認して、フットサルファンに伝えることはフットサルマスコミの一員とて重要な役割だと思います。
■今回の優勝の要因分析が必要だと思います。
北氏は、日本が優勝すると思っていたのでしょうか。イランが進出してきたら、同じ結果となったのでしょうか。
■ワールドカップに出てくるであろうチームの戦略・戦術をどのくらい現段階で把握しているのでしょうか。それに対してどうしたら良いかの提言が必要なのではないのでしょうか。藤井選手の言葉でそれにかわることは出来ないと思います。
結果は相手によります。世界の中で、フットサルの国別のチームの戦略・戦術の分析と日本代表との具体的な違いを問題提起をすべきではないのでしょうか。世界の流れの中での日本という視点でお願いします。

日本フットサルの力をアップする為には、具体的な情報に基づく問題提起だと考えます。

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