[Fリーグ菊地レポート] 第19節の「町田v花巻」「名古屋v神戸」レビュー

 愛知県のパークアリーナ小牧で行われた、セントラル開催の「Fリーグ2010 powered by ウイダーinゼリー」第19節。12月18日(土)、19日(日)と2日間にわたって行われた、リーグの第3クールの始まりを取材し、10チームの戦いぶりと現状をチェックした。

 まあ、実にいろいろなことがあった2日間、という印象だ。

 18日(土)の第1日目は、チケットが前売りで完売。リカルジーニョ効果もあってか、第1試合から2000人を超える観客が集まり、会場には熱気がこもっていた。

(文・菊地芳樹)

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5 - 4

勝利を目前にした
花巻を町田が大逆転

 その中、行われた町田対花巻は、ギリギリまで勝敗が分からない好勝負になった。プレビューでは、意外に高い花巻の守備力を挙げさせていただいたが、前半はそのとおり自陣に引いた守備からのカウンターを徹底できた、花巻のペース。町田の攻撃スペースを消したうえに、後方でのチーニョのカバーリングや、GK武藤健のセーブも光っていた。

 町田も同様に自陣からの守備をベースにしているが、相手ゴールクリアランスや高い位置での相手キックインなど、守備陣形が予めセットできるときには、前からのプレスに切り替える。しかし、この前からの守備に甘さが見られた。11分に町田守備陣の裏へ抜けた後呂康人にロングパスが渡り、GKとの1対1から先制ゴールが生まれる。後呂は14分にも、町田のクリアが小さくなったルーズボールを鋭い出足で奪って、2点目を決めた。

 この後、町田は稲田祐介が、左足の反転シュートを決めて1点を返したが、花巻も渡邉知晃が決めて、3-1で前半をリード。後半も23分に町田が森谷優太のゴールで1点差に迫り、その後も決定機を作り続けたが、花巻は32分に、パスカットから渡邉が半田徹也とのパス交換からゴールを決め、再び2点リード。花巻の今季4勝目が決まったかと思われた。

 ところが、ここから町田が3連続ゴールを奪って大逆転勝利を果たすのである。残り5分から藤井健太をGKにしてパワープレー。最初は篠崎隆樹を最後尾に置いていたが、そこを稲田に代えてからテンポよくボールが回りだした。37分、ゴール前で金山友紀が合わせて、まず1点。そして1分後の38分、右の篠崎からのループパスに、左から走り込んだ藤井がボレーで合わせ、同点に持ち込んだ。
ここでパワープレーを止めた町田だったが、さらに残り50秒、花巻・半田の無謀なスライディングで第2PKのチャンスを得た。キッカーはファールを受けた稲田だ。緊張の場面。稲田は右足インサイドでGKの脇を抜いてゴールを決めた。

「80パーセントはプランどおりだったが、パワープレーにやられた。今季の中でも本当に痛い試合」(岡田サントス ジオゴ監督)という花巻。キャプテン・肥沼謙によれば、「珍しくといっては変ですが、リードする展開の中で、勝者のメンタリティーが足りなかった」という。「パワープレーを仕掛けることはあっても、されることはなかったので、(FP)4人の意思疎通があってなかった」(後呂)。目の前に勝利がありながら、負け癖がついているチームの悲しい事情が邪魔をした。

 一方の町田は、今季こういったビハインドの展開から、勝ち点を取れることがなかっただけに、大きい勝利だった。横江怜、滝田学を出場停止で欠く中、プレビューでキーマンに挙げた稲田が2ゴールを決めたのが大きかった。「今度は『勝つ』から、『勝ち続ける』という難しさに、残りの試合で挑戦していきたい」(金山)とのこと。今後は連勝で少しでも順位を上げられるかが、注目点になってくるだろう。 

 

2 - 0

 神戸のよさに苦しみながらも
名古屋が木暮の復活ゴールで勝利

  第2試合は、スピードある攻防、球際の激しさ、駆け引きが、ピッチ全体に緊張感を生み、今節の中ではやはりいちばんハイレベルな戦いとなった。

 名古屋の高速パスワークにひるまず、ボールの出た先に次々と寄せていく神戸のディフェンス。開始6分に、早くも5ファウルとなる厳しい展開になったのだが、それでも守備網を決壊させず、前半を無失点に抑えた。全治8カ月のヒザのケガで、戦列を離れた鈴村拓也が、手術をしたというこの日。プレビューでも注目したフィクソには、山元優典に加えて山田ラファエル ユウゴが入った。山田ラファエルは、気迫のこもったプレーで名古屋・森岡薫をマークするなど、活躍を見せた。

 後半はお互いに決定機を作り合った。名古屋は、ラファエル サカイ、逸見勝利ラファエル、リカルジーニョと、3本もシュートがポストやバーを叩いた。神戸は山田ラファエル、岡崎チアゴ、西谷良介がGKと1対1の場面を迎えたが、シュートミスや名古屋GK川原永光の好セーブにあって、ゴールが決まらない。

 しかし終盤に入っていくにつれ、いよいよ神戸がジリジリと名古屋に押し込まれていく。守備ラインは第2PKマーク付近まで下がり、選手交代も目まぐるしくなった。

 そして33分だ。名古屋は北原亘が中央からドリブルで持ち上がり、左の木暮賢一郎へ。木暮が中に1トラップしてから右足を振り抜くと、シュートはGKの下を抜けてゴール。ケガから約2カ月ぶりにピッチに立った木暮の一発で、ついに均衡が破れた。

「オレ、持ってるね!」と、試合後冗談交じりに繰り返していた木暮。本当にうれしいゴールだったことだろう。

 名古屋は試合終了間際にも、森岡のポストプレーから、左を北原が抜け出して2点目。がっくりうなだれる神戸選手たちに対し、サポーター席まで走っていって喜びを爆発させる北原。対照的な光景は勝負が決まった瞬間だった。

 だが、ハイライトは終了間際にもあった。プレビューで絶好調とお伝えしたリカルジーニョだ。この日も観客の期待を集めていたが、残念なことに本人は風邪をひいての病み上がり状態で、コンディションが悪かったという。それでも残り1分半。(またしても!)北原の攻め上がりから右のペナルティーエリア手前でボールを受けると、飛び込んできたGKの頭上をかわすヒールリフトシュート! ゴールラインぎりぎりのところで神戸選手にクリアされたのだが、会場の喝采を浴びた瞬間だった。ちなみに、後半途中クロスバーに当てたシュートは、ロングレンジからの「ドライブシュート」だったことを報告しておく。地面にあるボールをインステップ系で蹴って落としていた。今後、「魔球」として注目されることになるかもしれない。

 名古屋はこの第3クールの初戦から、年明けの府中戦までの3試合を、「非常に重要」(北原)と位置づけている。ここを乗り越えると、ついに4連覇が見えてくるという状況だ。

 一方、「チャンスを決めていれば、自分たちの勝利だったと思う」(比嘉リカルド監督)という神戸は、府中から電撃移籍したベッチーニョにも注目が集まった。さすがにまだチームにはフィットしていないシーンが目立った。だが、「神戸にはゲームを作れる人がいない。ベッチーニョはそこは得意だと思う。もっとチームの力になってくれるだろう」と比嘉監督。今後のプレーに引き続き注目といったところだろう。

 

【本エントリの著者】
菊地芳樹
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1971年、神奈川県出身。明治大学卒業後、学研に入社。サッカー誌、ゴルフ誌の編集部を経て、フリーに。現在は「サッカー足ワザ」雑誌のストライカーDX編集部スタッフの仕事を中心に活動中。大学時代にサロンフットボールをプレーした関係で、フットサルは90年代半ばの創成期より興味を持って取材開始。各種マッチレポートのほか、実用書も多く手がけ、現在に至る。
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