バーモントカップ第19回全日本少年フットサル大会現地レポート - 後編 -
Tweet個の能力が高いJクラブがベスト4独占 (後編)
(文・菊地芳樹)
個々のプレーに関していえば、大会全体でも多くの選手が、試合を重ねるごとに状況によって足裏やトーキックを使ったりと、学習能力の高さを見せたりもしていた。こうした狭いコートでのボール扱いを鍛える面に関しては、このフットサル大会が選手たちの役に立っていることが感じられる。
しかし、フットサルをよく見るものからすれば、もったいないと思われるシーンがいくつもあった。その最たるものが、GKの前方への蹴り込みだ。キャッチした後、味方が相手にマークを固められてパスを出すところがなく、相手ゴール前につながる可能性の低いロングボールを蹴りこむのだ。もちろん、速攻でのパスがつながりやすい場面などで、こうしたロングボールを用いるのは否定しない。
以前はこの場面でGKのロングスローが頻発し、GK同士のキャッチボールみたいな試合になってしまうことが多かった。そこで、この大会ではGKに関し、スローとパントキックがノーバウンドでハーフウェイラインを越えることを禁止した。そうすると、今度はGKたちが、地面に落としたボールをショートバウンドで蹴る、ドロップキックを使い出したというわけだ。
こうしたパスを出せなくて困ったGK。あるいはフィールドプレーヤーの味方をサポートするために、フットサルでは動き方や、ポジショニングで工夫をする。そしてそれを連続させて、ボールを回して崩す。フットサルでは基本中の基本であるところだが、実際ミニサッカーの段階ではそこまでいかない。勝負へのこだわりという部分があるのだろうが、しっかりパスをつないで相手を崩そうという現象が、今大会で見られるケースは非常に少なかった。
子供の段階でのフットサルが、サッカー選手の将来にとても有効であるという話。これは狭い中でのボール扱いだけでなく、こうしたオフザボールの動きを学べることも含めてのもののはずだ。現状では、選手たちに有効になっている部分はごくわずかにすぎず、フットサル大会を経験しただけで、フットサルそのものを経験したことになっていないようなのが残念でならない。
サッカーチームのコーチの方にも、もう少しフットサルの情報を仕入れ、もう少しフットサルをやり込む時間も作ってほしいと思うのである。もっと本格的にフットサルに取り組んだクラブが、Jのクラブをやっつけるような現象が出てくると面白いのだが。
小学生年代でも
パスをつなげる
大会最終日をフットサル日本代表のミゲル・ロドリコ監督が観戦していたので、話を聞かせてもらった。
「選手たちのレベルが高いのがわかりました。こういう大会がきちんと運営されているのは、フットサルの先々のためにもよいことです。準決勝に残った4つのJクラブの選手も、フットサルをプレーすることで先々のサッカーにつながるのは大きい。いい体験ができたのではないでしょうか」
としながらも、
「もっといいゲーム展開ができるよう、例えば浮き球があんまり使われないようなルール変更などは考えていいと思います。やっている子供たちも、エキサイティングなゲームをしたいでしょう」
とのことで、今後、協会に具体的な提案をする考えがある様子。
ちなみに、3年前にFIFAルールを採用する前の、長年定着していたスペインのルールを教えてもらった。
1.GKはどんなパスでも、ハーフウェイラインを越えてパスすることはできない。
2.バックパスは1回だけ。再度できるのは、相手ボールを奪ったときのみ(ボールがハーフウェイラインを越えてもバックパスできない)。
3.CKやタッチラインからのプレー再開時での、スローインの採用
4.GKをFPに代えたパワープレーをしない。
以上の4つが、今のルールとの主な違いだという。
そして最後に、今大会ではどのチームもパスをつながない(つなげない)現象が見られたので、この年代でもGKからビルドアップして攻撃するのは可能なのかどうか聞いてみたが、「トレーニングすれば何の問題もない」との話だった。
小学生年代にフットサルをプレーすることの有効性を考え、この年代にフットサルを積極的に取り込もうとしている指導者は、全国各地にいると思う。しかし、現在のサッカー界の状況からすると、それは各所で孤軍奮闘の部分もあるのではと察する。ただ、フットサルを有効活用し、フットサル、サッカー両面で世界トップに君臨するスペインの指導者が、小学生年代にフットサルをプレーすることの有効性に太鼓判を押していることが確認できた。どうか自信を持って選手育成に取り組まれてください!
(了)
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菊地芳樹



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