Fリーグ2009・第6節 DMM.com動画検証レポ「名古屋」vs「大分」
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【9/27開催 第6節】
大分、"戦術"と"個人技"の融合の勝利
(文/北健一郎)
現場からのレポートはしなかった試合の中に、「これをレポートしておきたかった」という試合がある。フットサルネットでは、そうした結果的に注目すべきだった試合を、Fリーグ動画全試合フルタイム配信するDMM.comの映像でライター陣に観戦レポを依頼することとあいなった。
5-2で大分が名古屋に勝った。この時点での順位は名古屋が1位で、大分が2位。大分が勝ったことで勝ち点を13に伸ばし単独首位に立った。大分に何が起こっているのか? 名古屋に何が起こっているのか? 興味津々で動画ファイルをダウンロードし、パソコンの画面に向かった。
名古屋のスタメンはGK定永久男、ラファエル・サカイ、前田喜史、ブルノ、森岡薫。前節の町田戦に続きGKは川原が控えに回った。大分はGK青柳佳祐、小檜山譲、神敬治、小曽戸允哉、吉川智貴。Fリーグ1年目に名古屋を率いていた舘山マリオ監督が古巣相手にどんな采配をするのか注目だ。
ゴールが生まれたのはわずか1分、ブルノのゆるい横パスをインターセプトした吉川が、定永との1対1を落ち着いて決めたものだった。名古屋のミスを最初の時間帯で突けたことは大分にとって大きかった。
ちなみに、ブルノは多彩なフェイントの持ち主だが、基本中の基本であるインサイドキックがあまりうまくない。特にパスを出して前に抜けようとするときは、軸足を前方に踏み込んで、蹴り足だけで蹴ろうとするので、ボールにパワーが十分に伝わらないのだ。
その後は名古屋のチャンシーンが何度か連続して訪れた。4分、中央・ブルノが左サイドの前田にパスを出して前方のスペースに抜ける。そこへ前田がパラレラのパス。ブルノが左足でダイレクトで折り返した先に森岡が詰めていた。ゴールまで1mぐらいのシュートだったが、森岡の左足はジャストミートできずふかしてしまう。
名古屋のセカンドセットは北原亘、シジネイ、木暮賢一郎、ウィルソン。このセットはウィルソンがピヴォ、シジネイがシューター、木暮がバランサー、北原がフィクソ、と個人個人の役割が明確で攻撃パターンが確率されている。その中でも目立つのは左利きのピヴォ・ウィルソンを使ったプレーだ。
ウィルソンは足元にボールが収まれば、まず取られない。長い左足と巧みな手と体の使い方でボールを相手に触らせない。Fリーグでは異次元レベルのこのキープ力が、名古屋の攻撃の"柱"の一つであることは間違いない。だが、現時点ではあまりうまく使えていないようだ。
それはウィルソンにも要因があるように思う。ウィルソンは自分で反転してシュートをすることはまずない。相手はウィルソンは「パスしか出さない」と読むので、パスを出した先への反応が速くなる。シュート力にあまり自信が自分のないのかもしれないが、相手の読みの裏を突いて打てば案外入りそうな気もするのだが。
名古屋の同点ゴールは9分に生まれた。左サイドのシジネイが中央から右に流れた木暮にパス。木暮は浮き玉のボールをうまく処理し、走り込んだシジネイにリターン。これをシジネイがゴールにぶちこんだ。木暮のポストプレーが素晴らしかった。
このまま名古屋が畳み掛けるような雰囲気だったが、次のゴールは大分に生まれる。14分、ピッチ中央で吉川が後ろからマークした森岡に倒されて笛が鳴る。名古屋のファウルだ。この判定に名古屋選手が抗議した一瞬のスキをついて、ボール近くにいた神がクイックスタート。小檜山と小曽戸の2対1のカウンターとなって、最後は小檜山が押し込んで2-1。審判に異議を唱えるうちにスタートした神の頭脳プレーだった。
それから1分後、大分が3点目をゲットする。これは"オソドリブル"小曽戸のスーパープレーだ。ピッチ中央から2人のマークの間をドリブルでぶち抜いて、右サイドの角度のないところからファーサイドネットに突き刺したのだ。本当にすごかったので、これは見ておくことをオススメします。
大分が止まらない。今度は1分もしないうちに、キャプテンの仁部屋和弘が追加点を決める。ゴールクリアランスで青柳のパスを自陣左サイドの低い位置で受けた仁部屋は、中へドリブルすると中央の吉川にパス→ワンツー。右サイドでフリーになった仁部屋は、グラウンダーのシュートをゴール左隅に決めた。
この試合の大分はGK青柳からのロングボールを多用していた。名古屋が前からプレスを掛けてくることを見越し、空いた裏のスペースに走ってボールを受ける狙いだ。青柳はロングキックの精度が高い。大分の選手にボールを受けられると、名古屋の選手は自陣まで長い距離を戻らなくてはいけなくなる。
だが、大分はロングボール"だけ"ではなかった。自陣からパスをつなぐシーンも何度か見られたように、パスによるプレス回避の引き出しもあった。仁部屋の4点目はクリアランスで自陣からパスをつないだところか生まれている。
大分躍進のキーワードを挙げるとすれば、マリオ監督が得意とする戦術的プレーと、元々大分の選手が持っていた個人技がうまくミックスされていることだろう。相手に寄せられてもドリブルで解決することができるのは、大分の選手の強みで、それを消さずに戦術的プレーと融合している点は大いに評価したい。
1-4。予想外のスコアで首位決戦は前半を折り返すことになった。
後半はホームで負けるわけにはいかない名古屋が攻勢を強めるが、大分ゴールをこじ開けることができない。残り10分のところで、GKを前田にしてパワープレーを始める。
名古屋のパワープレーは、前田が真ん中に、左利きの完山徹一が右、シジネイが左、木暮が左前、ウィルソンが真ん中から右前に移動するという形。パワープレー時にもウィルソンへのピヴォ当てを狙っていくところから、アジウ監督のウィルソンへの信頼がうかがえる。
ポスト直撃のシュートが何本もあったが決まらない。名古屋の追撃の1点はパワープレー開始からしばらく経った37分。左サイドに開いた位置で受けたウィルソンが左足でファーサイドに柔らかくシュート。これがゴールネットを揺らし、残り2分で2点差とする。
しかし、名古屋は39分、パスカットされて仁部屋に自陣からロングシュートを決められ万事休す。2-5で名古屋が大分に敗れるという波乱の結果になった。大分が名古屋に勝ったのは初めてのこと。試合後にベンチ前で円陣を組む大分の選手たちの顔には大きなことを成し遂げたという充実感が浮かんでいた。







北健一郎



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