国際親善試合:日本対イタリア 第1戦(9/23) キタケンレポート

国際親善試合 2009/09/23 オーシャンアリーナ(名古屋)

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予想通りの日本代表

 (文/北健一郎)

9月23日、ミゲル・ロドリゴ監督就任後、初めての国内での日本代表戦が大洋薬品オーシャンアリーナでイタリアを対戦相手に迎えて行われた。新しくなった日本代表の戦いぶりに注目が集まった。

キタケンオリジナル選手採点付き!

ミゲル監督の国内デビュー戦の相手となったのはイタリア。昨年のワールドカップで3位の強豪国とのマッチメークは、ミゲル監督のリクエストによるものだという。ミゲル監督が他にリクエストしたのはスペイン、ポルトガルというトップレベルのチームばかりだったという。強豪国を選んだ理由をミゲル監督はこのように語っている。

「日本にとって強い相手と戦うことはとてもいいことです。ただ、それだけでなく、トップクラスのチームのフットサルを見ることで、日本のファンにフットサルの面白さを味わってもらいたいという気持ちがあります」。

イタリア戦を迎えるにあたって、ミゲル監督は「イタリアを相手でも戦い方を変えるつもりはない」と語っていた。僕自身はこの試合までミゲル監督のチームを生で見たことがなかったが、目の前で繰り広げられた日本代表のフットサルはある意味で"予想通り"だった。つまり、ミゲル監督がインタビューで「チームのコンセプト」として語っていたものが、ピッチ上ではある程度表現されていたのである

日本のスタメンはGK川原永光、上澤貴憲、村上哲哉、木暮賢一郎、ブルノ。イタリアはGKマンマレッラ、フォルチ、モレイラ、オモリ・ドゥアルテ、ロマーノ。イタリアは立ち上がりからラインを高く保って、日本を自陣に閉じ込める。これを日本はパスで打開しようとするが、ボールを前に運ぶことができない。このことはメンバー構成にも一つの要因があったと思う。

高橋健介の代表辞退(花巻の渡邉知晃が追加招集)でスタメンセットにピヴォの選手がいなかったのである。サッポジャパンのピヴォだった木暮は2列目でプレーしており、このメンツの中ではブルノが高橋の代役的な位置づけだったが、ピヴォは他のポジションに比べると専門的要素が強い。サイドでの仕掛けが好きなブルノは、ボールを受けるために低い位置まで下りてきてしまうため、裏を取る動きが少なくなった。

流れが変わったのは5分過ぎ、小宮山友祐、北原亘、小曽戸允哉、星翔太のセカンドセットになってから。ピヴォの星が高い位置でボールを引き出し、攻撃の起点となることで日本の攻撃にリズムが生まれる。高い位置でボールを受ければ、相手は自陣に下がらざるを得ない。それによって周りの選手は落ち着いてボールをつなぐことができる。攻撃面はまだ手つかずで、「赤ちゃんのようなもの」(ミゲル監督)という今の日本にとって、ボールが収まるピヴォ(星)の存在は非常に大きい。

ワールドカップメンバーが3人のみということで、「1・5軍説」も流れていたイタリアだが、一人ひとりの個人能力は相当高い。ピヴォにはオモリ、モレイラという大型選手、アラにはドリブルで仕掛けるジュニオール、シュート力のあるベルトーニ(ロシャ)、フィクソには経験豊富なフォルチと各ポジションに穴がない。日本にとって格上の相手であることは間違いなかった。

そんなイタリアに対しても日本は積極的なプレーを見せた。サッポ前監督時代は、イタリアクラスの強豪国相手には、自陣に引いてカウンター1発を狙うという消極的な戦い方をするのがほとんどだったが、ミゲル監督は公約通りにプレスを掛けるアグレッシブな戦い方を行った。

これまでの合宿で最も力を入れていたのが、2-1-1、「Y」とも呼ばれるプレスである。高い位置から前の「2」がプレスをかけて、2列目の「1」が前に抜けてきた選手をつかまえる。3列目の「1」が裏に出たボールやピヴォへのカバーをする。プレスのラインは2種類。これはボールへのプレスの掛かり方で決まる。プレスがかかっていれば敵陣から、かかっていなければハーフからボールを取りにいく。

象徴的だったのは上澤のヘディングである。プレスを掛けることで相手のパスの選択肢を絞って、精度の低いロングボールを蹴らせて、ピヴォの前に出てカットをする。イタリアのように個の強い相手にゴールに深い位置でプレーさせれば、日本としてはそれだけ失点する危険性は大きくなる。高い位置からディフェンスをして、日本のゴールに近づけないようにするというのは理に適った方法だといえる。

何よりも大きいのは北原が「やることが明確なので課題も見えやすい」というように、チームのコンセプトがハッキリしていることだろう。サッポ前監督はどんな相手にも勝つことが最優先というタイプだったので、試合によってやり方が変わったし、結果オーライ的なところが強かった。だが、ミゲル監督の頭の中にはチームとしての理想像があって、合宿や試合を通じてそこに向かっていくような雰囲気がある。

試合全体を通してみれば、11本(日本)対29本(イタリア)とシュート数で大きく差が開いたように、イタリアのペースだったという印象が強い。メニケリ監督が「バーやポストに当たった3、4本のシュートは決めなければならない」と悔やんだが、イタリアの決定力不足がなければ大差がついていてもおかしくはなかった。

また、終盤ではマイボールになっても前に出ていくことができず、ロングボールを放り込んでは相手に拾わる時間帯もあった。この日の日本はFPの交代を基本的に8人で回し、FPでは菅原和紀、松宮充義、渡邉の3人は出場時間は「0」。この試合がリーグ戦の最中に行われたという事情もあるが、プレスを掛けるスタイルで戦うのであれば、選手層の底上げと柔軟な選手交代が必要不可欠だろう。

試合終了1分前の39分、イタリアがこの試合で最後のチャンスを迎える。ゴール前左でベルトーニがパス受けて、飛び込んできた木暮のスライディングをかわし、右足で強烈なシュートを打ったが、この日4本目のクロスバー。日本とイタリアの第1戦はスコアレスドローという結果に終わった。

5年前の世界選手権では0-5で敗れたイタリアに、この日引き分けたことで日本がレベルアップしたと安易に結びつけることはできない。日本のホームで、しかもベストメンバーではないチームと親善試合で引き分けという結果が出るのは予想の範囲内といっていい。だが、チームとしてのコンセプトが見えていた分、見る側にとっても収穫と課題が見えたことはこれまでとは大きく異なるところだ。

ミゲル監督は記者会見で「魔法の言葉はないので地道な努力が大事になる」と過度な期待は禁物だと釘を刺した。彼の言葉通り、今日のようなゲームを数多くこなし、課題を見つけて、それを改善していく作業を何度も何度もすることでしかチームは強くならない。それでも、この日、オーシャンアリーナでベールを脱いだミゲルジャパンには、次につながる道筋が見えたような気がした。

キタケンオリジナル選手採点(10点満点、平均点は6点)

1 川原永光 (GK) 6.5 ほぼ1年ぶりの代表戦。相変わらずの反応の速さを見せる
12 村山竜三 (GK) - 出場なし
14 藤原潤 (GK) - 出場なし
10 木暮賢一郎 6.0 2列目の選手としてサポートやブロックで味方を助ける
8 上澤貴憲 6.5 ピヴォを背負ってもよし、前でカットしてもよし。大黒柱
4 小宮山友祐 5.5 上澤に比べると前に出てのカットが少ないのが気になる
5 村上哲哉 5.5 ミドルシュートがあるだけに積極的に狙って欲しいところ
2 菅原和紀 - 出場なし
7 松宮充義 - 出場なし
3 北原亘 6.0 ミゲル監督のチームでは初出場だが上々のプレー見せる
6 小曽戸允哉 6.0 自慢のドリブルで突破も見せたが、失ってピンチを招くことも
13 ブルノ 5.5 攻撃的な姿勢は貴重だが、ピヴォの起用で持ち味出せず
9 星翔太 6.5 前線でボールをうまく引き出し、攻撃の起点となる大活躍
11 渡邉知晃 - 出場なし
15 皆本晃 5.0 国際試合の経験不足を露呈し、相手に何度か奪われる

 

【本エントリの著者】
北健一郎
URL: http://sportswriter.at.webry.info/
1982年7月6日生まれ、北海道旭川市出身。小学生の頃から雪でグラウンドが使えなくなる冬は室内サッカーをしていたが、サッカーもフットサルも大してうまくならず、ライターの道へ。
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コメント[3]

■ミゲル監督に関するコメントは、北氏以外のフットサル媒体やライターからも好意的なものが続いています。
しかし、アジウ監督の初期の評価も同じような論調であったような記憶があります。
■何故、ライターやフットサル媒体はミゲル監督との座談会や時間を十分とってのインタビューを試みないのでしょうか。いつも試合観戦記での推測記事では、その機能を果たしていないのではないように思います。
ミゲル監督の目指している日本のフットサルの姿を、直接取材して欲しいと切に思います。

コメント[3]

ミゲル監督に関するコメントは、北氏以外のフットサル媒体やライターからも好意的なものが続いています。
しかし、アジウ監督の初期の評価も同じような論調であったような記憶があります。

それで?って感じ。
そんなの当たり前じゃん。
常識が欠如してるよ、京太郎君。

コメント[3]

長くお話しても監督の実力などわからんよ。結果のみ。それがわからんの?京太郎君。

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