試合終了直後、「4-6で名古屋が負けた」と、電話で知人に伝えると、「おお、名古屋やるね!」という返答が返ってきた。
確かに、「4-6」というスコアだけを聞けば、スペインリーグ1部7位(23節終了時)のチーム相手に名古屋が善戦したと考えるのも頷ける。
しかし実際は、4-6というスコアには現れない「2点差」以上の大きな開きが両チームの間にはあった。
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フットサルドリーム
「強い者が勝つのではない。勝った者が強いのだ。」
第14回大会のキャッチコピーは、フウガのためにあらかじめ用意されたかのような言葉だった。
関東代表のフウガはワイルドカードで1次ラウンドを突破すると、決勝トーナメントでは々決勝で前回王者の浦安に3-0で勝つと、準決勝ではFリーグ2年連続3位の神戸に5-1で勝利。Fリーグ2・3位を連続撃破して3月15日の決勝に勝ち上がったのだ。決勝の相手はFリーグ王者の名古屋だ。
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【写真・優勝に沸くFUGA MEGURO】

ミラクルフウガは止まらない
フウガがまたやった!
前日、準々決勝で浦安を下してフットサルファンに驚きを与えた、地域リーグのフウガが、今度はFリーグ3位の神戸を破って、名古屋との決勝に勝ち上がった。
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【写真・FUGA MEGURO】

グループDを3連勝で1位突破した浦安と、ワイルドカード2位に滑り込んだフウガ。前回大会で名古屋を抑えて優勝し、Fリーグで2位になった浦安が、関東リーグ王者のフウガの挑戦を受ける形となった。
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【写真・FUGA MEGURO】

真っ向勝負を選んだ北海道
内容がよくないながら圧勝した名古屋
Fリーグ王者の名古屋に対し、来季からのFリーグ参入が決まっている北海道が選んだのは、真っ向勝負だった。
予選ラウンドでフウガ目黒が選んだように、引いて守ってカウンターを狙い、攻撃では手数をかけずリスクを避ける"リアクションフットサル"を選択するのではなく、北海道は自分達のスタイルを貫き通した。
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【写真・名古屋オーシャンズ】
| バサジィ大分 | 0-0 | 湘南ベルマーレ | ||
| (Fリーグ・大分) | 2-0 | (Fリーグ・神奈川) | ||
| 2-0 |
"Fリーグ対決"の決着をつけたもの
2-2、1-1、3-3――今季のFリーグで大分と湘南は、3回戦って全て引き分けに終わっていた。それだけに、全日本選手権で同グループになることが決まったときから、両者の間には「今度こそ決着をつけたい」という気持ちがあったのだという。
試合前の状況を、整理しておこう。
1試合目で大分は自分たちのことを徹底的に研究し、"ベタ引き"してきたイカイをなかなか崩せず1?1のドロー。片方のピッチでは湘南が「あんまり良くない」(奥村敬人コーチ)ながらも、R,Dに3-1で勝利して滑り出した。
2試合目、湘南は大分戦と打って変わって攻撃的に戦ってきたイカイの前に大苦戦を強いられた。常に先行される苦しい展開となったが、2?3から?関新、?瀬戸真司、?久光重貴の3連続ゴールで何とか勝利した。大分もR,Dを危なげなく下して1勝1分けとした。
2試合を終えて湘南は勝ち点6、大分は勝ち点4。湘南は引き分け以上、大分は勝利が決勝トーナメント進出の条件となる。
湘南のスタメンはGK?阿久津貴志、?豊島明、?シニーニャ、?関新、?瀬戸真司。攻守の要である?久光が累積で出場停止。これがゲームにどのような影響を与えるか。大分は21青柳佳祐、?神敬治、?小檜山譲、?小曽戸允哉、?蒲原旭。
大分はFリーグ開幕時は実質的に監督不在の状態だったため、ドリブル主体のプレースタイルだった。だが、2巡目前に館山マリオ監督が就任してからは、相手が引いてきてもパスを回せるようになったし、チームとしての幅は確実に広がった。
Fリーグの大分はカウンタースタイルのチームだった。自陣まで引いて相手を待ち構えて、ボールを奪ったら?小曽戸や?仁部屋和弘が速攻を仕掛ける。彼らのドリブルからシュート性のパスを?蒲原がファーで詰める形が、大分のゴールパターンだった。
この戦術は自分たちがボールを持つよりも、相手が持つ時間が長いことを想定したもの。だが、現在の大分はイカイや湘南のように引かれた相手に対する引き出しは乏しい。大分にとっては、引いた相手から点を取ることが、決勝トーナメント進出のためのカギだった。
最初のチャンスは2分。大分は?神が中央からドリブルでスルスルと上がっていき、右の?蒲原に叩いて、リターンを受けてゴール正面から打つが、?阿久津に止められる。
3分、今度は湘南が?シニーニャのパスを?瀬戸が中に持ち出してシュート、GKに弾かれたボールを?豊島が打つがこれは枠の上へ。
湘南はハーフまで引いてボールサイドに積極的に寄せるディフェンス。前でのカットからカウンターをそれほど狙わない。マイボールになったらFPのポジションを一度セットしてから、パスを組み立てながら攻撃していく。湘南の攻撃の起点となるのが?シニーニャだ。左サイドの低い位置から対角線上を狙ったノールックスルーパスが得意だ。
6分、湘南は?曽根田盛将が得意のドリブルでゴール正面から右に流れてシュート。だが、大分のGK21青柳が立ちはだかる。
9分、大分は右サイド深くの?西村竜司からのマイナスのパスをゴール前に入ってきた?武石高弘が合わせたが?阿久津がストップした。
立ち上がりはどちらも慎重だったが、徐々にリスクをかけていったのは、"勝たなければならない"大分だった。17分過ぎからパワープレーを始めた。このチームは2種類のパワープレーがある。GKの21青柳がそのまま上がるパターンと、?仁部屋がGKになるパターンだ。
21青柳がやる場合は、プレーの流れの中でスルスルと上がっていって、いちばん後ろでボールをさばく。いわゆる典型的なパワープレーだ。?仁部屋がやる場合は、他のFPと同じようにプレーする。5人でヘドンドをしたりするのは、これまでの日本フットサル界では見られなかった。?仁部屋が前にいてボールを取られた場合、ゴールに戻るまで時間がかかるのでリスクが大きい。
青柳→仁部屋と2段階パワープレーをしたものの、ゴールを決めることはできず、0?0のまま前半を折り返す。
21分、大分?小曽戸が右サイドで深めの切り返しでマークを外して左足シュート、22分には左から中を向いた?神のダイアゴナルパスを?小檜山が左足で触るが、これも決まらない。それ以降は決定的なチャンスと呼べるものはほとんどなかった。?小曽戸や?江口がドリブルからシュートに行くが、?阿久津がことごとくストップ。湘南はサイドに追い出すディフェンスをしていた。大分のシュートはサイドの角度のないところからのシュートだったので、?阿久津はブロックしやすかっただろう。
それでも33分、大分に待望の先制点が生まれる。?小曽戸が湘南のボックスの中のスペースに入れたパスを、?西村が足裏で押し出すようにトラップし右足を振り抜く。渾身のシュートがゴールネットを揺らした。1-0。このまま終われば大分が1位になる。
すぐさま湘南は?シニーニャでパワープレー。しかし、36分、大分は追いかける湘南を?仁部屋がゴールを決めて突き放す。ゲームはそのまま2?0でタイムアップ。今季3度引き分けていた両者による4度の直接対決は、大分が制した。
「こちらは勝たなければいけない。向こうは引き分けでもいい。それを気持ちが上回っていたのかなとと思う」と21青柳がいうように、「引き分けでもいい」と「勝たなければいけない」という心理面での差は小さなようで大きい。
大分が決勝トーナメントに進出するのは、前身チームのエスペランサ時代も含めてクラブ史上初。エスペランサはこの大会の常連だったが、出る度に「ボロボロにやられていた」と21青柳が語るように、大敗を繰り返していた。前回大会でも1次ラウンドを突破することはできなかった。全日本の壁は彼らにとって厚かった。
今回もイカイ、湘南という強敵に苦戦したが、エスペランサのときだったらボコボコにやられていたはず。そんな強敵を抑えて1位を勝ち取ったことは、まさに"Fリーグ効果"だと思う。準々決勝では今度は3戦全敗と苦手な神戸と当たる。湘南との決着をつけた大分は、神戸へのリベンジを目指す。
| シュライカー大阪 | 1-0 | ステラミーゴいわて花巻 | ||
| (Fリーグ・大阪) | 2-2 | (Fリーグ・岩手) | ||
| 3-2 |

シュライカー大阪
ステラミーゴいわて花巻
F対地域の試合よりも
洗練されているF対Fの試合
今回の全日本選手権の予選ラウンドは、Fクラブと地域クラブとの実力差をハッキリと感じた3日間だった。そして、そのFと地域の差は、Fクラブ対地域クラブの直接対決よりもむしろ、最終3日日の最終試合であるFクラブ同士の対戦で、より鮮明に感じられた。
Cグループに同居する大阪と花巻という2つのFクラブは、2勝同士で最終戦の直接対決を迎えることとなった。
勝つか引き分けるかで1位通過の大阪は、負けても、5点差以上離されない限り、ワイルドカードでグループリーグを通過できるという相当有利な状況。一方の花巻も、勝てば1位通過、引き分けてもワイルドカードでグループリーグを通過できる。
しかし花巻は、負けた場合、勝ち点では2勝1敗でワイルドカード2位のフウガと並ぶものの、フウガの「得失点差+8」を上回ることができない。今季のFリーグ21戦で1勝1分け、大阪には3連敗の花巻にとっては、勝ちも引き分けも、厳しい条件だった。
花巻がこういった状況に陥った元凶は、2日目の試合にあった。
初日の試合は、花巻が四国代表のプログレッソに5?0、大阪も北海道代表のあらびき団に7?0と、共に大勝した。この日の試合内容から、プログレッソとあらびき団のフットサル経験が浅いこと、そしてフットサルに対応できていないことは明らかだった。ようするに、Fクラブ同士の直接対決を迎える前に、両チームはできるだけ多く得失点差を積み上げておく必要があったのだ。
2日目の試合で、大阪がプログレッソに8?2で大勝し、得失点差を+13としたのに対し、花巻はあらびき団に大苦戦した。2?0とリードして前半を折り返した花巻だったが、これによってプレーに慢心が生まれる。勝った経験の少ないチームの慢心ほど恐いものはない。花巻は、自陣で必要以上にパスをつなぎ、インターセプトされて失点を重ね、同点に追いつかれると、そこから点の取り合いを演じてしまう。あらびき団が、パワープレーの守り方をしらなかったことに救われ、どうにかこうにか、6?5で勝利した花巻だったが、結局、得失点差を+6までしか伸ばせなかった。
大阪のスタメンは、GK?藤原潤、?一木秀之、?岸本武志、30松宮充義、?林浩平。花巻は、GK?エドワルド、?鳥丸太作、?碓井孝一郎、?井上陽、?岡崎チアゴ。
花巻のオスカー監督は苦しい台所事情のなか、スタメンの4人と、?矢ノ目憲央、?千葉裕也、?小島修人、?水上玄太の4人を5分でセット代えし、堅守速攻で体力を温存しながら、ロースコアに持ち込むという策にでる。
大方の予想どおり、大阪が圧倒的なポゼッションで丁寧にボールを回す。しかし、負ければこの試合が今季最後の公式戦となることもあり、一丸となって体を張る花巻の守備を崩しきれない時間が続く。
大阪が何度か決定機を迎えるが、得点は決まらず、0?0で前半を折り返す。
会場となった舞洲アリーナ
フットサルに限ったことではないかもしれないが、試合というものは、狙って引き分けられるほど甘くない。花巻も、狙うのは勝利だった。ただし、勝利のみを狙うのではなく、「最悪、引き分けてもグループリーグは突破できる」ということが、選手の頭にはインプットされていた。
そうした精神状態のなかで行なわれる試合では、リスクのかかるプレーには自然とブレーキがかかる。言い換えれば、無謀なプレーが減るということだ。相手の実力が自分達よりも上ともなれば、なおさらだろう。この試合では、花巻の選手が前日の試合のように自信過剰なプレーをすることはなかった。
一方で、大阪はいい精神状態を保っていた。何度か迎えた決定機をふいにした場面でも、ナーバスになり過ぎず、かといって「いつか入るだろう」とたかをくくるわけでもなかった。花巻の選手が気持ちを前面に出してプレーするのとは対照的に、大阪の選手は、熱くなり過ぎず、冷め過ぎず、淡々と試合をこなしていった。
試合が動いたのは、33分。花巻の?井上がハーフライン付近で犯したミスを、?ドゥダが見逃さずにボールを奪取すると、ドリブルで独走し、GK?エドワルドと1対1の状況を迎える。?ドゥダが冷静にトーシュートを突き刺し、大阪が先制する。
4分を切って花巻はパワープレーに出るが、大阪の一糸乱れぬ守備を崩すことができない。そして、花巻は守備でもリクスを承知でプレスをかける。しかし、大阪は落ち着いていた。寄せてきたディフェンダーを、?一木がドリブルであっさりとかわし、左サイドを上がってフリーになった30松宮にパス。30松宮がダイレクトで逆サイドに折り返し、ファーに走り込んだ?岸本が合わせ、2?0とし、試合は決着した。
この試合は、Fクラブ対地域クラブの試合よりも、意外性は低かったが、フットサルの試合としては洗練されている印象を受けた。昨年よりも、Fクラブと地域クラブとの差は広がった。そういった声を、この全日本選手権の予選では多く聞くことができた。
ただし、この試合が大阪の横綱相撲だったのも事実である。果たして、花巻と7つのFクラブとの差は、この1年でどうなったのだろうか。花巻のフロントは、それをしっかりと検証する作業から始める必要がある。
| エスポラーダ北海道 | 1-1 | ペスカドーラ町田 | ||
| (北海道第1・北海道) | 1-1 | (Fリーグ・東京) | ||
| 2-2 |

ペスカドーラ町田
エスポラーダ北海道
"勝ちゲーム"を逃した北海道のゆるさ
静岡会場のエコパアリーナにはピッチ3面分取れるスペースがある。両サイドが試合用ピッチとなり、真ん中がアップスペースになっている。2日目の2試合目が始まる前になると、バランスよく散らばっていた観客がAピッチ側に"民族大移動"を始めた。
ファンのお目当てはグループEの大一番、北海道対町田だった。グループEを確実に勝ち抜くためには1位通過が絶対条件。初戦ではどちらも勝利しており、この試合に勝てば予選突破に大きく前進する。
そして、Aピッチ側に集まったスタンドのファンの最大の興味は、来シーズンからFリーグに参戦する北海道が、Fリーグの町田を相手にどんな戦い方を見せるのかにあっただろう。
北海道は初戦で負傷した正GKの?伊藤淳が欠場。GKには?鈴木則和が入り、?菅原、?佐々木洋文、?辻良樹、?鈴木裕太郎というスタメン。Fリーグ終了後、ジュニオール新監督が就任した町田は、全試合出場を果たした?横江怜がメンバー外に。スタメンはGK?石渡良太、?ジオゴ、?甲斐修侍、?金山友紀、?ジャッピーニャとなった。
目を引くのが?甲斐のスタメンだ。今シーズン、監督交代以降コーチとしてベンチワークに徹していた?甲斐について、ジュニオール監督は「僕の中で重要な選手」と語っており、初采配となった広島F・DO戦でスタメンに起用した。?金山との久しぶりの黄金コンビも楽しみだ。
前半は町田が前からプレスをかけてこなかったこともあって、北海道がボール支配率で上回った。北海道のスタイルはピヴォを置かない"クワトロ"がベース。とはいえ、攻撃時にこれという決まった形というものがない。よくいえばカタにハマっていない、悪くいえば行き当たりばったりなのだ。この戦い方にはチームの練習環境が大きく関係している。
エスポラーダ北海道は旭川市に拠点を置くD.C.旭川と、札幌市に拠点を置くコリーダ・デ・トロスやアルーサが集まってできた新チームだ。現在は旭川と札幌で別々に練習しており、合同練習は週1回のみ。パターンプレーをやろうにも、コンビネーションをすり合わせるのが現実的に難しいのである。
パターンがない分、ゲームをコントロールする?菅原、?嵯峨祐太の判断力がカギとなる。?菅原のプレースタイルは最近のフットサル界でお目にかかれないようなもの。絶対的なボールキープ力から、前線の味方へ左足で変幻自在のパスを供給する。
先制したのは"Fの先輩"町田だった。8分、町田が?宮田義人が左からドリブルで仕掛けて打ったシュートが北海道選手に当たってゴールに吸い込まれる(記録はオウンゴール)。しかし15分、北海道は?嵯峨からの浮き球を左から?菅原が頭で落とし、これを?上貝修が反転しながらゴールにねじ込み1?1。
17分、北海道は町田に第2PKを与えるが、?ホブソンのシュートはGK?鈴木が完璧な読みでストップ。1-1のまま前半を折り返した。
次のゴールは23分、初戦で右45度から強烈なシュートを2本決めた?鈴木が、ゴール前のこぼれ球をトーキック。これが決まって、北海道が2?1とリードした。
29分、町田は?ジオゴのファウルで第2PKにリーチがかかると、3分後、ついに第2PKを与えてしまう。これが決まればゲーム展開的に北海道の勝利が決定的となりそうだったが、股を狙った?菅原のシュートは?石渡がゴール直前で右足で触ってストップ!
命拾いした町田が同点に追いついたのは33分。?甲斐が突っ込んできた相手と左足1本のルーレットで入れ替わり、右の?ジャッピーニャにつなぐ。?ジャッピーニャがゴール前の?ホブソンへダイレクトで縦パス。ノーマークの?ホブソンはGKとの1対1を落ち着いて決めた。
小野寺監督が「苦しい時間帯の中で交代するかしないかの際だった。交代のタイミングが遅かったかもしれない」と悔やんだように、北海道の選手はプレーが連続して一瞬息が上がったところでのワンタッチパスによって、ゴール前でフリーを作られてしまった。
北海道はカウンターからの決定的チャンスもあったが決められず、2?2でタイムアップ。北海道は、町田を相手に"勝ちゲーム"を演じながらドローに終わった。北海道が勝つことはできなかったのは、メンタル面に要因があると思う。
23分の2点目が決まった後、北海道ベンチにはそれまで見られなかった笑顔が見られるようになった。ベンチからピッチの選手への声にふざけ半分のものが交じるようになった。この行為自体を否定するつもりはないが、残り17分、1点差という状況でふさわしかったかどうか。
相手に生まれたわずかなスキを、Fリーグのチームはしっかり突いてくる。北海道がFリーグで十分通用する実力があることはこの試合で証明された。しかし、40分間集中力を持続できなければ"勝つチーム"になることはできない。そのことを彼らに教えたドローだったといえるだろう。
| 名古屋オーシャンズ | 1-0 | FUGA MEGURO | ||
| (Fリーグ・愛知) | 2-2 | (関東第1代表・東京) | ||
| 3-2 |
グループリーグ突破のために泥にまみれたフウガ
共に所属するFリーグと関東リーグを2連覇中の名古屋とフウガの試合は、大阪会場最大の注目カードであり、名古屋のサポーター、ファンを中心に600人の観客が集まった。
名古屋とフウガが同居するAグループの顔ぶれは、2年前と似ていた。2年前の第12回全日本選手権でも、フウガ(当時ボツワナ)、名古屋(当時大洋薬品/BANFF)、神戸大フォルサの3チームが同グループであり、もう1チームが、2年前は関西代表のジョイ、今回は東海代表のメンバーオブザギャングという状況だった。
しかし、同じような顔ぶれではあるのものの、この試合を迎えるにあたっての成績が、2年前と今回ではまるで違っていた。
1敗1分けで大洋薬品/BANFF戦を迎えた2年前のボツワナ。今回のフウガは、神戸大フォルサに大人の試合運びで1勝を挙げ、互いに1勝0敗同士で今日の試合を迎えることができた。
真っ向勝負で力試しをした2年前のボツワナに対し、1勝同士で迎えた今日の試合で、フウガが一貫して行なったのは、グループリーグを通過するため、格上の名古屋に、勝つか、最悪でも引き分けるためにリスクマネージメントを徹底した戦い方だった。
名古屋のスタメンはGK?定永久男、?北原亘、?完山徹一、22木暮賢一郎、?マルキーニョス。フウガは?石井秀樹、?星龍太、?荒牧太郎、22佐藤亮、?星翔太。
フウガは、守備ができるという前提で12人のメンバーを選び、「今季の関東リーグではやらなかった」(?関健太朗)ハーフまで引いてのコンパクトなゾーンディフェンスを採用する。
名古屋の左右のアラにボールが入ったときに中央へのドリブルコースを切り、カットインをさせず、縦に突破してきた場合は、最後尾の選手がカバーリングする。?森岡薫、?ボラ、?マルキーニョスといったドリブルで仕掛けてくる選手1人に対し、2人で守ることを徹底していた。
そして攻撃では、まず、カウンターを狙う。クリアランスなどは、?星、?太見寿人、?内田淳二といったピヴォのいずれか1枚を前線に貼らせ、ロングボールを狙う。とにかく、手数をかけない。人が動き、つなぐパスの本数が増えることによって起こるミス、そのリスクを最小限にとどめる戦い方だった。
わかりやすく言えば、堅守速攻のリアクションフットサルである。
そんな相手に対し、当然のごとくポゼッションを高めた名古屋は、簡単には崩れないフウガのコンパクトなゾーンディフェンスの外側でパスを回す。そして、左右のコーナ付近で、ゴールに背を向けたボールキープをして起点を作る。いわゆる"角とり"からのLの形などで、シュートを放つ。ゾーンの中に入っていけないものの、外側からでも、強烈なシュートを打ち続けていけば、いつかは入りそうな気配が漂っていた。
試合が動いたのは、8分。ここまで、中央のスペースを有効に使えない名古屋だったが、左角でキープした?前田喜史が、中央に走り込んだ?ボラにパス。?ボラのトーシュートはニアポストに当たってゴール。名古屋が先制する。
1点差を追いかけるフウガだが、30分以上を残しているため、リスクを避けた戦い方を継続する。その後、名古屋が何度か決定機を迎えるが決めきれず、1-0で前半を終える。フウガにとっては、悪くない前半だったと言える。
後半もフウガは戦い方を変えなかった。そして開始早々、ワンプレーをキッカケに、フウガは試合の流れを引き寄せる。21分、カウンターで?太見が中央を持ち上がり、左右を?田中良直と?金川武司が駆け上がるという3対2の数的有利の状況を作る。この試合、初めての理想的なカウンターの形だ。?太見が右の?田中にパスを送ると、?田中は、逆サイドでフリーの?金川にダイレクトでシュートパスを出す。?金川はこれを詰めきれなかった。
しかし、?田中にパスを出した直後の?太見を倒した、名古屋のキーマン?シジネイが、この試合2枚目のイエローカードで退場する。
22分、キープして時間を稼ごうとした?マルキーニョスからボールを奪って左サイドを突破した?荒牧が中央に折り返すと、猛然と走り込んだ?太見がこれを詰める。数的有利な2分の間に、きっちりと同点に追いついたフウガの勢いはなおも続く。
23分、左サイドから右奥のスペースへ出たループパスに、トップスピードで走り込んだ?星がゴールラインギリギリで追いつく。遅れて対応した22木暮と、?定永がニアのコースを切ると、?星はマイナスの角度で中央に折り返す。フリーで走り込んだ22佐藤がこれを決め、フウガが2?1と1点のリードを奪う。
前日、名古屋が大量得点で勝っていたこともあり、名古屋の思わぬ苦戦に会場は騒然となる。
しかし、その約30秒後、フウガのGK?石井が痛恨のミスを犯してしまう。
?石井のライナー性のスローが、こともあろうか、最前線でプレスをかける名古屋の?マルキーニョスの頭を超えず、胸トラップされてしまう。ゴール正面、ペナルティエリアの少し外、絶好の位置でディフェンダーと1対1の状態になった?マルキーニョスは、ボディフェイクでディフェンダーを外すと、利き足ではない右足のトーキックで突き刺し、2-2の同点に追いつく。
フウガがCKで決定機を迎えた直後の25分、名古屋にビッグチャンスが訪れる。?上澤貴憲から右角をとった?前田にパスが入り、?前田が中央に走り込んだ?森岡にパスを送る。?森岡はワントラップして、豪快なシュートを沈め、名古屋が再びリードを奪う。
1点目の?ボラも、この3点目の?森岡も、中央で完全にフリーになってボールを受けたわけではなかった。が、フウガの対応は一瞬、遅れていた。そして、その瞬間にできたわずかなスペースを活用する判断スピードと技術力が名古屋にはあった。
フウガがリスクをかけ始めたのは、残り4分を切ってからだった。タイムアウトをきっかけに、GK?石井を上げてパワープレーに出る。フウガがリスクをかけだした一方で、名古屋はリスクを背負うことを避ける。名古屋は、マイボールを大事にキープし、残り時間をやり過ごす。フウガが何度かチャンスを作るも、スコアは動かず、タイムアップ。3-2で名古屋が勝利した。
全日本選手権は、地域リーグのチームに与えられた年1回のFリーグとの真剣勝負のチャンスである。そこでは、玉砕覚悟でアグレッシブに戦い、自分達のスタイルを貫くチームが多い。気持ちは理解できるし、その中で得られるものもある。強いチームとの対戦は、糧となり、その後の成長に繋がるだろう。
しかし、一方で、玉砕覚悟のチームを見て「思い出作り」をしに全国大会まで来たのではないかと、悲しくなってしまう場面が多々あった。そんななか、グループリーグ突破にこだわり、泥にまみれたフウガの姿勢と、実際に最小得失点差にとどめたことは評価したい。
しかしながら、2-3というスコア以上の大きな開きが、関東リーグ王者とFリーグ王者の間には、広がっていたことも事実である。
願わくば、フウガにワイルドカードで決勝ラウンドに上がってもらい、関東リーグ王者が、他のFクラブ相手にどれだけのことができるのかを見せてもらいたいものである。
| IKAI FUTSAL | 0-1 | バサジィ大分 | ||
| (東海第2代表・静岡) | 1-0 | (Fリーグ・大分) | ||
| 1-1 |



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