ワールドカップブラジル2008準決勝・「ロシア 対 ブラジル キタケンレポート!

アクシデントを乗り越え約束の地へ

 決勝への1枚目のチケットをかけた準決勝1試合目のカードはブラジルvsロシア。日本が1次リーグで1-12、0-9という大敗を喫した2チームが共にベスト4に勝ち上がってきた。ただし、この2チームによる1次リーグの直接対決はブラジルが7-0で圧勝している。戦前の下馬評ではブラジル圧倒的有利だった。
【ワールドカップブラジル2008・キタケン現地マッチレポート】
 文・北健一郎氏(ストライカーDX)

2008年10月16日・リオデジャネイロ(ブラジル)・準決勝

ロシア代表
1?3
1?1

ブラジル代表
2?4


  アクシデントを乗り越え約束の地へ


 決勝への1枚目のチケットをかけた準決勝1試合目のカードはブラジルvsロシア。日本が1次リーグで1?12、0?9という大敗を喫した2チームが共にベスト4に勝ち上がってきた。ただし、この2チームによる1次リーグの直接対決はブラジルが7?0で圧勝している。戦前の下馬評ではブラジル圧倒的有利だった。

 ブラジルはGK?チアゴ、?ガブリエル、?シュマイケル、?レニージオ、?マルキーニョがスターター。2次リーグ第2戦のイタリア戦で相手選手に"のど輪"をして退場になったピヴォの?ベットンは、2試合の出場停止処分で決勝まで出られない。

 ロシアはGK?ズエフ、?コブザール、?プーラ、?アジゾフ、?マエフスキー。ケガで2次リーグ最終戦を欠場したピヴォの?シリロはベンチスタート。ブラジルとの1試合目では何度も鋭い反転シュートを見せていた?シリロをフルに使えないのは痛い。

 立ち上がりからブラジルが攻勢をかける。3分、?ガブリエルがハーフライン付近で相手のドリブルをカットして数的有利のカウンターを仕掛ける。?ガブリエルが横に出したパスを?シュマイケルがきっちり決めて、早々と先制に成功する。

 4分過ぎ、ブラジルはスタメンを?アリ、?シソ、?ビニシウス、?ファルカンにスイッチ。観客席からは"背番号12"の登場に大歓声が注がれる。これまでセカンドセットは?ウィルデが入ることが多かったが、ペセ監督は?ファルカンを先に使ってきた。

 7分だった。その?ファルカンが追加点を挙げる。相手陣内深い位置でプレスをかけた?ビニシウスからのボールをゴール正面で受けると、左足一閃。ボールはゴールネットに豪快に突き刺さった。

 ?ファルカンの魅力は何といっても左足のシュートにある。ブラジル代表の中でも彼のシュートのパワー、コントロールはナンバーワンといっていい。このシュートがあるからこそ、彼の曲芸的なフェイントを相手も無視できなくなる。

 とはいえ、ここまでの1次リーグ4試合、2次リーグ3試合で?ファルカンの出場時間は決して長くない。ペセ監督が長時間起用をためらう理由は、ボールを止めて勝負する彼がいることでパス回しのリズムが途切れることと、ディフェンス面での問題があるからだと思う。

 そして、この試合の前半はそのマイナス面が出てしまった。9分、ロシアの攻撃方向の左から?ハマディエフが突破を計ったとき、正面にいた?ファルカンは棒立ちでかわされてしまう。シュートはゴール枠に外れたが、完全なマークミスだった。

 一度下がってもう一度出たのがラスト5分のところ。すると16分、ロシアの?プーラに左からのカットインシュートを決められ、1点差につめよられる。このときも?プーラをマークすべきポジションにいたのは?ファルカンだった。

 それでも18分、マウウィーのチームメートでもある?アリが、右サイドで?ファルカンとのパス交換から相手を引き連れながらドリブル。ゴールラインを割りそうなところで頑張って折り返し、これを?ビニシウスがヘディングで合わせて3?1とした。

 後半のブラジルは?アリ、?ガブリエル、?シュマイケル、?レニージオでスタート。前半足を痛めた?マルキーニョはベンチだ。さらに後半開始早々に?シュマイケルまで負傷。ファーストセットの2人がケガをするという非常事態に陥ってしまう。

 セットが崩れたことが影響したのか、ブラジルのディフェンスに微妙なズレが生まれる。これをロシアは見逃さなかった。25分、?シャヤフメトフが中にドリブルして縦のスルーパス。これに反応した?ハマディエフが、?チアゴが飛び出す前に素早くトーキックを打って決める。3?2。ロシアがジワジワとブラジルを追い詰めていく。

 28分、ケガを押して?シュマイケルが再びピッチに立つ。だが、ほんの十数秒プレーしただけでベンチに逆戻り。どうやらプレーできる状態ではないようだ。ブラジルはチームのキーパーソンである?シュマイケルを失ってしまった。

 30分、ロシアはついにエースの?シリロを投入。イバノフ監督としてはこの時間帯が最大のチャンスと踏んだのだろう。だが、左ヒザにテーピングを巻いている?シリロのパフォーマンスは本調子からは程遠いもの。彼の武器である反転からの左足シュートはほとんど打てなかった。

 次の1点が勝負を左右する大事な1点になるのは明らか。どちらも必死にゴールを狙っていく。

 ブラジルは32分、左サイドの角度のない位置から?ファルカンがポスト直撃のシュート。33分の?カルリーニョスと?ビニシウスによるカウンターはシュートにもたつき決めきれず。34分には右奥の?ファルカンからのスルーパスをファーで?カルリーニョスが触ったがサイドネット。

 ロシアは36分、中央?マエフスキー→左?シャヤフメトフ→右?ハマディエフとつながったが、ゴール至近距離からの?ハマディエフのシュートは惜しくもポスト! ロシアが後半最大のチャンスを逃してしまう。

 ゲームを決定づけるゴールが生まれたのは37分のこと。ブラジルの?レニージオが右サイドでインターセプトしてドリブルから左前方の?ガブリエルへパス。これを?ガブリエルがGKの逆を突いて右サイドに決めて、4?2。ブラジルはロシアのパワープレーも凌ぎきって決勝行きのチケットをつかんだ。

 ブラジルにとっては、今大会で最も追い詰められた試合だったといえるだろう。大会8試合目ということで、主力選手が軒並み30代のブラジルのパフォーマンスは、開幕当初よりも明らかに落ちてきている。決勝は?ベットンが出場停止から復帰するとはいえ、この試合でケガをした?シュマイケル、?マルキーニョが出られないとなるとマイナスのほうが大きくなる。

 幸いにして決勝が行われる19日までは2日空く。そこでどれだけ回復できるかが決勝の行方を左右する重要なファクターとなるだろう。

(了)
【本エントリの著者】
北健一郎
URL: http://sportswriter.at.webry.info/
1982年7月6日生まれ、北海道旭川市出身。小学生の頃から雪でグラウンドが使えなくなる冬は室内サッカーをしていたが、サッカーもフットサルも大してうまくならず、ライターの道へ。
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