このページは2ページ中ページ目です。

第13回全日本選手権特設ページ



★優勝はバルドラール浦安(Fリーグ・千葉)!

第13回全日本選手権(PUMA CUP 2008)は、予選ラウンドを2月29日(金)?3月2日(日)にかけて、兵庫と高知の2箇所で行われ、決勝ラウンド(準々決勝から)を3月7日(金)?9日(日)にかけて東京の代々木で行われた。

★決勝雑感:リーグ戦を終えたばかりの難しいコンディションながら、最後まで浦安のモチベーションは高かった。リーグ王者名古屋は決定機を決められず、粘り強く隙を突く浦安に最後に振り切られた。

 

決勝ラウンド・トーナメント表




※詳細レポートは表のリンクからご覧になれます。黄色いセルはピックアップレポートマッチです。

<グループA>ワールド記念ホール(兵庫)

A1 A2 A3 A4 勝点
2 A1 SPORVA21
(九州・福岡)
0-5
6-4
4-3
6 10 12 -2
1 A2 名古屋オーシャンズ
(Fリーグ)
5-0
9-2
11-1
9 25 3 +22
4 A3 流経大(全日本大学大会2007優勝) 4-6
2-9
1-3
0 7 18 -11
3 A4 FUTURO
(関東第2・東京)
3-4
1-11
3-1
3 7 16 -9

 

<グループB>ワールド記念ホール(兵庫)

B1 B2 B3 B4 勝点
1 B1 デウソン神戸
(Fリーグ)
8-1
6-3
4-3
9 18 7 +11
4 B2 STANDARD 8
(四国・徳島)
1-8
3-4
0-6
0 4 18 -14
3 B3 Futsal Club TOY
(関西・大阪)
3-6
4-3
2-4
3 9 13 -4
2 B4 SHARKS
(関東第3・東京)
3-4
6-0
4-2
6 13 6 +7

 

<グループC>ワールド記念ホール(兵庫)

C1 C2 C3 C4 勝点
1 C1 ペスカドーラ町田
(Fリーグ)
9-2
7-7
6-1
7 22 10 +12
3 C2 IKAI FUTSAL
(東海第2・静岡)
2-9
5-2
3-8
3 10 19 -9
4 C3 Corrida de Toros
(北海道第2・北海道)
7-7
2-5
1-3
1 10 15 -5
2 C4 ステラミーゴいわて花巻
(Fリーグ)
1-6
8-3
3-1
6 12 10 +2

 

<グループD>県立春野総合運動公園体育館(高知)

D1 D2 D3 D4 勝点
3 D1 DEAR BOYS SENDAI
(東北・宮城)
4-3
2-4
2-2
4 8 9 -1
4 D2 広島F・DO
(中国・広島)
3-4
1-3
2-4
0 6 11 -5
1 D3 バルドラール浦安
(Fリーグ)
4-2
3-1
2-0
9 9 3 +6
2 D4 FIRE FOX FUCHU
(関東第1・東京)
2-2
4-2
0-2
4 6 6 0

 

<グループE>県立春野総合運動公園体育館(高知)

E1 E2 E3 E4 勝点
1 E1 湘南ベルマーレ
(Fリーグ)
7-2
7-1
7-2
9 21 5 +16
2 E2 D.C Asahikawa Futsal Club(北海道第1・北海道) 2-7
7-5
11-10
6 20 22 -2
4 E3 ジュビロ磐田(日本施設連盟大会優勝) 1-7
5-7
5-5
1 11 19 -8
3 E4 JOY FUTSAL CLUB
(関西第2・滋賀)
2-7
10-11
5-5
1 17 23 -6

 

<グループF>県立春野総合運動公園体育館(高知)

F1 F2 F3 F4 勝点
F1 シュライカー大阪
(Fリーグ)
5-4
2-2
10-1
7 17 7 +10
F2 バサジィ大分
(Fリーグ)
4-5
2-4
5-1
3 11 10 +1
F3 Praia Grande
(東海第1・静岡)
2-2
4-2
4-0
7 10 4 +6
F4 cabella niigata F3
(北信越・新潟)
1-10
1-5
0-4
0 2 19 -17


3月7日(金)・準々決勝<国立代々木競技場第一体育館>

11:00 (1) 名古屋オーシャンズ ? SHARKS
13:00 (2) 湘南ベルマーレ ? ペスカドーラ町田
15:00 (3) シュライカー大阪 ? デウソン神戸
17:00 (4) バルドラール浦安 ? Praia Grande


3月8日(土)・準決勝<国立代々木競技場第一体育館>

12:00 (1)の勝者 ? (2)の勝者
14:00 (3)の勝者 ? (4)の勝者


3月9日(日)・決勝/3位決定戦<国立代々木競技場第一体育館>

12:00 3位決定戦
14:00 決勝戦

2008年2、3月に開催予定の第13回全日本フットサル選手権全国大会へ向けて、地域予選がすべて終了しました。
>>日本サッカー協会の大会オフィシャルページ

北海道大会 →D.C Asahikawa Futsal Club、Corrida de Torosが全国へ!
(地域枠1と前年度の当該大会予選参加チーム数上位チーム1⇒2チーム)

東北大会 →DEAR BOYS(宮城)が全国へ!

北信越大会 →cabella Niigata F3(新潟)が全国へ!

関東大会 →FIRE FOX FUCHU(東京)、FUTURO(東京)、SHARKS(東京)が全国へ!
(地域枠1と前年度の当該大会予選参加チーム数上位チーム2⇒3チーム)
決勝戦「FIRE FOX FUCHU vs FUTURO」レポート
3位決定戦「SHARKS vs FUGA MEGURO」レポート
準決勝戦「SHARKS vs FIRE FOX FUCHU」レポート
準決勝戦「FUGA MEGURO vs FUTURO」レポート

東海大会 →Praia Grande(静岡)、IKAI FUTSAL(静岡)が全国へ!
(地域枠1と前年度の当該大会予選参加チーム数上位チーム1⇒2チーム)

関西大会 →FC TOY(大阪)、JOY FUTSAL CLUB(滋賀)が全国へ!
(地域枠1と前年度の当該大会予選参加チーム数上位チーム1⇒2チーム)

中国大会 →広島F DO(広島)が全国へ!

四国大会 →スタンダード(徳島)が全国へ!

九州大会 →SPORVA21(福岡)が全国へ!

■「日本フットサル施設連盟選手権大会結果
 ・開催日:2007年9月2日(日)
 ・会場:マグ・フットサルスタジアム(大阪市住之江区)
 ・優勝:ジュビロ磐田フットサルクラブ
■「全日本大学フットサル大会2007」結果
 ・優勝:流通経済大学サッカー部

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・決勝 名古屋オーシャンズ vs 湘南ベルマーレ

開催日:2008年3月9日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】菊地芳樹、【写真】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・決勝
名古屋オーシャンズ 1-1 バルドラール浦安
(Fリーグ・愛知) 2-2 (Fリーグ・千葉)
0(延前)1
0(延後)0
3-4

 


 【バルドラール】


 【名古屋オーシャンズ】


 浦安はベンチ入りメンバーも、スターターもまったく変わらずいつもの顔ぶれだった。「Fリーグの終盤あたりから、自分の役割が分かってくるようになってきた」(市原誉昭)というように、各選手がやるべきことがわかってそれをしっかりと遂行している。チーム全体が、どっしりと構えている感じ。

 今大会いろいろと入れ替えのあった名古屋のほうのメンバーは、決勝戦仕様ということなのだろうか。沼田慎也、山蔦一弘らが外れ、前田喜史、小山剛史、鈴木隆二らが入った。この決勝のメンバーで、準決勝までの5試合すべてに出場した選手は、浦安が10人もいるのに対して、名古屋は4人。名古屋は選手たちのコンディション維持を考慮したのかなと思える、決勝戦への持っていき方だった。

 現在の日本のトップ2チームによる決勝戦。期待高まる中のキックオフだった。

 立ち上がりはお互い守備への集中力が高く、いわゆる典型的な決勝戦といったところ。ピッチの緊張感がビンビン伝わってきた。両チームとも相手のキーマンに対するチェックが厳しい。浦安は稲田祐介に、名古屋は森岡薫やボラにボールが入ると、マーカーだけでなくカバーの選手も飛んで来てわっと取り囲まれ、自由にプレーができない。

 こうした展開を徐々に崩していったのは、名古屋のほうだった。浦安の守備は、ボールへの積極的なアプローチをスイッチに、後ろの選手がそのカバーを意識しつつ、高い位置から順に敵をつかまえていく。そんなふうに理解しているが、後ろのほうの選手は、敵のマークよりもゾーンを埋める割合が強くなる。それによってできる空いたスペースへ選手を走らせ、後方からロングパスを入れた。浦安としては、ボールへプレッシャーをかけているので、ロングパスは出にくいはずだし、出てもコースを限定しているからカバーの選手がカットできるという考えのはずだ。でも、名古屋マルキーニョスのテクニックが、その難しいパスを可能にする。

 先制点は8分。自陣の右側でボールキープしたマルキーニョスが、マークを受けながらも少しかわして左奥へパス。この浮き球が浦安選手の裏へ見事に落ち、走り込んだ丸山哲平が合わせて決めた。いつもはゴール前のシュートシーンで目立つマルキーニョス。だが、この日はラストパスの才能を見せ、浦安を大いに苦しめることになる。


 しかし浦安は、この直後の9分にすぐ同点ゴールを入れ、これがこの試合の大きなポイントになった。中盤の岩本昌樹が、右前の中島孝とパス交換。ゴール前へ入ってきたボールに、するするするっと上がってきた岩本が合わせてゴール。名古屋はカウンターアタックが正確で鋭く、リードしたときの戦いがうまいだけに、これは浦安にとっては精神的に非常に大きいゴールになった。

 その後前半はお互いに少しずつ押し合って、ゴール前のシーンを作る。浦安は左の岩本のパスを、藤井健太がヒールで合わせるトリッキーシュートで、「全日本男」の存在感を見せつけた。名古屋は、右サイドからマルキーニョスが、山田ラファエルとのワンツーからシュートを放つなどの場面があった。

 しかし、名古屋GKの定永久男。浦安GKの川原永光。両日本代表GKを前に、そう簡単にゴールが入るわけがない。それだけに、後半に入っても、試合はどんどん引き締まってく感じがあった。ところが、29分に浦安は藤井の左キックインを、マークを外した小宮山友祐が左足シュート。これを右ゴールポスト前で待っていた、中島が合わせた。一瞬のスキを突いたような感じで、今度は浦安がリードする。

 それでも僅差の攻防は、すんなりとは流れないものだ。浦安は31分に清水誠が、チームのパスミスをカットされカウンターを食らったところを、後ろから倒して退場となる。この数的優位の状況で、名古屋はテンポよくパスを回し、32分にマルキーニョスのパスから完山徹一がゴール前で反転シュートを決めて、あっさり同点。さらに守備ブロックが下がった浦安を前になおもパス回しが冴え、浦安のマークがズレていく。34分、またしても右のマルキーニョスのパスから、浦安選手の間に入り込んだボラがゴールを突き刺し、一気に逆転に成功した。

 名古屋強し! これは明らかに勝ちパターンに入ったと思われた。ところが、激戦の中で当然、両者ともファウル数が貯まっていただけに、ゲームはここからもうひと転がりするのである。

 35分に浦安は第2PKをゲットした。稲田のキックは右ポストに当たってから入るギリギリのコントロールで、浦安が再度同点に追いつく。さらに、残り1分でもう1度第2PKのチャンス。これを再度稲田が臨む形に。静まる会場。ボールが蹴られ......だが、ここは定永が止めた! ゲームは大興奮の中、延長戦へ入った。


 延長前半は名古屋にビッグチャンスがいくつか訪れた。42分に左森岡がGKを外して右へ出したパスを、フリーの山田ラファエルがシュート。しかし、これを回り込んでブロックに入っていた岩本がギリギリのところでカットする。ここから浦安のカウンターがあり、さらに名古屋がそれを止めて山田ラファエルが2度のシュート。だが、いずれも川原が防いだ。

 そして、その直後。浦安は小宮山のドリブルがマルキーニョスに引っかけられ、またしても第2PKを得る。浦安も後半に5ファウルとなっていただけに、両審判とも非常にファウルに気を使った笛を吹いていたのだが、名古屋には第2PKがなかった。......何ともついていない名古屋。

 さて、キッカーは三度稲田。いつものように軽快な助走から、1本目と同じような右隅へ決めた!
 浦安が渾身の1点リード。名古屋はすぐに前田をGKにしたパワープレーに入り、ゲームはいよいよクライマックスへ。

 延長後半も名古屋のパワープレーは続く。パスはビュンビュン回っていくが、その分時計もどんどん進んでいく。シュートが少ない。でも、浦安の守備もかなり危なっかしい。いつでもゴールが決まりそうだ。しかし、最後のマルキーニョスのシュートも川原が防ぎ、遂にタイムアップ!

 

 我を忘れて涙ながらに歓喜する浦安の面々と、まるで一時停止の画面のようにがっくりうなだれて動かない名古屋の選手たち。試合後のピッチは、それはそれは見事なコントラストだった。

 浦安はどの選手からも、「チームにまとまりがあった」という話が聞かれた。シト リベラ監督は「我々は非常に質の高いアマチュアチーム。一発勝負の経験があった」とコメント。浦安はベンチ入りメンバーの中で、この大会の優勝経験がないのが、稲田とGK渡辺博之の2人だけだった。稲田にしてもこの大会自体は常連だったし、今大会は大活躍で、大会MIPを獲得した。

 昔から全日本選手権の優勝チームは、どんな立場の選手もそれぞれの役割を全うし、チームが一体になった異様なテンションで、短期間の戦いを駆け上がる雰囲気がある。具体的にこんなことをするとか、言葉にするとハッキリしないかもしれないが、それぞれが無意識に身につけている優勝への身の処し方みたいなものを、経験豊富な浦安の面々が発揮したのではないだろうか。

 また、代々木第一体育館との相性のよさは、話題になっているだろうか。2年前のプレデター時の初優勝は、この会場で戦った(昨年は駒沢体育館)。そのときも決勝で岩本が大活躍。また、途中で市原がケガで出られなくなり、藤井が代わりとなって守備に大活躍した。この日は逆に藤井が頭を打って、一時退場。市原が代わりに入り、チームを落ち着かせる場面があった。


 Fリーグでも浦安はこの代々木第一体育館で3戦行って全勝。一方の名古屋は1勝1分1敗で、最終大阪戦の敗戦も記憶に新しい。

 しかし名古屋も、負傷の北原亘の穴をみんなでカバーし、しぶとい勝ち上がりでFリーグ王者の貫禄と威圧感を見せ続けた。やはり外から見えていたとおり、チーム状態はよくなかったらしい。それでも「決勝はいちばん中身がよかった。1本でも決まっていたらわからなかったゲーム」(完山)というコメントには、素直にうなずける。

 そして、選手層やチームの総合力においては、もちろんこの名古屋が圧倒的だ。今またリーグ戦をやれば、最後に頂点に立っているだろう。その意味で、依然完全一強の名古屋と、他チームの間には太い線が引かれているのも忘れてはならないだろう。

 それにしても記憶に残る素晴らしい決勝戦だった。1次リーグはあまりにものどかで、昔のフットサル界に戻ったかのような錯覚があった。そして、決勝トーナメントはJリーグの開幕とぶつかり、メディアも、観客も、量は少なめ。Fリーグもスタートし、舞台作りの良し悪しも比較される中、今回の全日本選手権はその価値を維持できるのか? そう多くの人が感じたはずだ。

 それでも、やはりこの大会は独特の雰囲気を持っているのだと思う。一発勝負という大会の性質が、選手たちに全力を出し切らせる面はもちろんある。でも、何よりもこれまでの日本フットサルの歴史を作ってきたこの大会に、特別な思いを感じてプレーしている選手たちが多いのだ。今は終わったばかりでよく分からないが、そんな選手たちの格別の頑張りが、今後、この大会を新しい方向に導くのかもしれない。

 とにかく、何年か経って、「あれは、すごかったねぇ」と楽しく語れる試合が、また一つ増えたことがとてもうれしい。



浦安・シト リベラ監督
「質の高い、非常にいいゲームだったと思う。勝因は選手たちの集中力。試合のそれぞれの時間帯でやるべきことをやった。チームは疲れていたが、勝つことへの気持ちがあった。リーグではポイントが開いてしまって難しかったが、今回は短期決戦で、士気の高いところで大会に臨めた」

浦安・稲田祐介

「これまで2位や3位はあったけど、優勝は初めてなのでうれしい。今大会はチームワークがよく、僕が点を取れたのも、みんなの力のおかげです。どちらが勝ってもおかしくないゲームだったけど、決めるべきところで決められたのがよかった」

浦安・藤井健太
「最後まで一つになって頑張り切れた。優勝したことでみんな楽しいだろうと、期待して見に来てくれる。そのときにいいプレーができるようにしないといけない。今日がスタートですね」

浦安・川原永光
「名古屋にはリーグで1分2敗。ここでしか倒すチャンスがなかったので、勝ちがほしかった。守りも攻めも集中してチームが一体になり、ようやくいい結果が出せました」

浦安・岩本昌樹
「今までにないチームのまとまりがあり、2年前と同じような、負ける感じがしない雰囲気でできた。いけると思った」

浦安・市原誉昭
「優勝できてうれしい。見に来てくれた人も楽しんでくれたと思う。とにかく、今大会はバランスがよかった。チームとしてバランスが取れた戦いができた」

名古屋・館山マリオ監督
「高いレベルの試合で、細かいところで勝負が決まった。こういう試合があって、フットサルが盛り上がっていけばいいと思う。全員が頑張ってくれたので選手に感謝している。もちろん優勝が目標だったけど、2位も悪くはない。いろいろとトラブルがあっ中でよく頑張った」

名古屋・完山徹一
「このタイトルを取りたかった。決定的なシーンは多かったけど、Fリーグでは入っていたゴールが、今回は入らなかった。フィニッシュの歯車というか、得点力のある選手が多いので、決めていかないとちょっとおかしい空気になってしまう」

名古屋・定永久男
「Fリーグ終盤からの切り替えがうまくいかず、1週間で立て直すのは正直大変だった。それが苦戦につながってしまった」

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・3位決定戦 シュライカー大阪 vs 湘南ベルマーレ

開催日:2008年3月9日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文・写真】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・3位決定戦
シュライカー大阪 0-3 湘南ベルマーレ
(Fリーグ・大阪) 6-1 (Fリーグ・神奈川)
6-4



 大阪が前半で3点を取られながらも、後半6ゴールと大爆発して勝ったというゲーム。

 試合を見ながら思い出されたのは前回大会の3位決定戦だった。あのときもマグ(大阪の前身)はファイルフォックスに3点を先取されて、そこから一度は同点に追いつくという粘り強さを見せた。1年前は3-4で最終的には敗れたが、今回は見事に逆転して"全国3位"の称号を手に入れた。


 湘南の立ち上がりは理想的なものだった。31秒で先制した町田戦に引き続き、この日は48秒でゴールを決める。左サイドで後方からのロングボールを受けた豊島明が中へ折り返すと、瞬間的にフリーになった伊久間洋輔が落ち着いて蹴り込んだ。

 2点目はその1分後だ。左サイドで豊島が沖村リカルド(シニーニャ)からの浮き球を胸でコントロールして右足ボレー! これがファーサイドにきれいに決まったのだ。


 湘南には、早めに試合を決めたい事情があった。使える"コマ"が絶対的に足りないのだ。曽根田盛将は町田戦の退場による2試合の出場停止処分、野島倫はケガでベンチ入りできず、ベンチにはいるものの岡田ジオゴサントス、大地悟はよほどのことがない限りプレーは難しいという状況。少ない人数でやり繰りしていたため、ここまでの疲労度は他のチームより大きい。

 11分、関とのワンツーからシニーニャが決めた3点目は、湘南にとって「引いて守る」の合図となった。それまでは前でボールをカットしてショートカウンターを仕掛けるシーンもあったが、3点差となってからは町田戦と同様に、ハーフまで引いて体力的なロスを抑えながらのディフェンスに完全にシフトする。

 湘南が前半でやられそうになったのは1回だけ。ラストワンプレーのところで、右の岸本武志からゴール正面でフリーになった奥田亘にパスが渡りかけたが、猛ダッシュで戻った関が足を出してカット。隠れたファインプレーだった。


 後半、自分たちのボールでキックオフする大阪は、奥田がGK用の水色のユニホームで開始の合図を待っている。後半の最初からパワープレーをするらしい。奥田は0-3で敗れた昨日の浦安戦後「1点入れば、勢いが出てすぐに2点目も取れると思っていた」と話していた。その言葉が強がりではなかったことを、大阪は証明して見せた。

 後半開始37秒、右サイドから瀬戸が逆サイドの30松宮充義に出そうとしたパスは、湘南選手に引っかかったが、こぼれ球が岸本の足元に転がる。岸本が落ち着いて左足シュートでゴールネットを揺らして、昨日からほしかった「最初の1点」がもたらされた。

 24分、GK奥田が右斜め前にドリブルして、角度をつけて左前方の鈴木磨人へパス。鈴木はちょっともたついたが、何とかゴールに流し込んで3-2。"緊急事態"となった湘南は、28分過ぎに、ここまでベンチに座っていた奥村敬人がパワープレーのGKとしてピッチに入った。

 湘南がパワープレーで"けん制"しても、大阪は攻めの姿勢を崩さない。28分、左サイドで30松宮がボールを持つと、右で岸本と林浩平が前後に入れ替わる動き。これでマークを外した岸本が、前で30松宮のパスを受けると、敵を引きつけてファーの瀬戸彬仁へ。完璧に崩した形からのゴールで3-3とゲームを振り出しに戻した。

 浦安戦では停滞感が漂ったパワープレーだったが、この日は「昨日は同じリズムでやってしまったけど、今日はところどころでポジションチェンジをしたり、パススピードを変えたり、中に入ってきたりした」(岸本)ことで、湘南の選手を動かしてフリーの選手を作り出していた。大阪のパワープレーは固定メンバーでやるのではなく、2、3分で4人まるごと交代させる。これが体力的にフレッシュな状態でプレーできると共に、選手が変わることによるリズムの違いを生み出していた。


 29分の逆転ゴールは左サイドで30松宮が相手に囲まれながらも出したパスを、「ミツとは、何もいわなくても目を合わせるだけで何をしたいかわかる」という岸本がトラップから中へ持ち出して左足で決めたものだ。

 リードしてもパワープレーを止めなかった大阪は36分、瀬戸がインターセプトからドリブルで持ち込み、奥村の守るゴールマウスに容赦なく強烈なシュートを叩き込み5点目。37分には、守備時にゴールに入っていたGKの竹井宏真が敵のシュートをキャッチすると、パントキックをがら空きのゴールに沈めて6点目。

 湘南は荻窪孝のゴールで1点を返したが、焦りから簡単なパスミスも目立ち、反撃につなげられない。試合終了間際にはイライラの溜まったシニーニャがボールキープした西裕輔に対して、後ろから危険なタックルをして1発退場。大阪のアドリアーノ監督がピッチに飛び出してシニーニャと一触即発の雰囲気になるなど乱闘寸前に。スタンドがざわめく中でタイムアップとなった。

 大阪はFリーグでは7位と低迷したものの、最終節で名古屋を下した終盤の好調ぶりをこの大会に結びつけての3位。「4位で終わるのと3位で終わるのは全然違う。来シーズンに向けても自信になる」(岸本)のは間違いない。


 湘南は、後半からパワープレーを仕掛けられた際の対処法や、選手交代のやり繰りなど、改めて専任監督不在が浮き彫りになった格好だ。8連敗で終えたFリーグのチーム状態から短期間で立て直したことは評価できるが、今はまだ昔のやり方に戻しただけである。ここから前に進むためには、頭の痛い課題を先送りにせず解決していくことが大事になる。

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準決勝 シュライカー大阪 vs バルドラール浦安

開催日:2008年3月8日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文・写真】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準決勝
シュライカー大阪 0-2 バルドラール浦安
(Fリーグ・大阪) 0-1 (Fリーグ・千葉)
0-3



 【シュライカー大阪】


 【バルドラール浦安】

 どちらのチームもユニホームサプライヤーは、大会冠スポンサーのプーマ。プーマカップの準決勝第2試合。プーマ対決を制して決勝にコマを進めたのは、準々決勝と同じく早めに点を取って逃げ切った"赤いプーマ"だった。

 赤いプーマ=浦安のFPのスタメンはプライア戦と同じ、小宮山友祐、藤井健太、稲葉洸太郎、稲田祐介だった。

 3分だ。右のキックインで藤井が強めに蹴って入れたボールが、大阪選手の足に当たり稲田の元へ。スクランブルが起こって大阪守備陣がフリーズした間に、稲田はこぼれ球を素早くコントロールしてシュート。これが決まって1-0。

 ラッキーゴールのようなシュートだが、それほど簡単なシュートではなかったと思う。ゴール前で予期せぬ形でボールが来たら普通の選手は慌てるものだ。だが、稲田はスムーズな動作でシュートを打てていた。点を取れていることによる気持ちの余裕が、稲田に落ち着きを与えているのではないだろうか。

 12分の2点目はGK川原永光のフィードが起点となった。敵陣左奥に走り込んだ藤井へのロブボールを、藤井がうまく処理してゴールライン際からアウトでマイナスにパス。これを稲田が丁寧にインサイドボレーでファーのコースへ打つと、この日2度目の歓喜が訪れた。

 このシュートもハイレベル。至近距離からのスピードのある、しかも浮き球のパスだったので、インステップで蹴ろうとするとモーションが大きくなり、ミートポイントも小さいのでミスが起こりやすい。そこで稲田はインサイドで当てに行って、パワーよりコントロール重視でのシュートを選択した。敵を背負っての反転シュートだったり、豪快なミドルだったり「パワー」のイメージが強い稲田の、繊細な一面を垣間見たゴールだった。

 2失点した大阪だったが、ここから反撃開始。昔からこのチームは2、3発殴られて(ゴールを決められて)からようやく目を覚ますようなところがある。しばらく、大阪が一方的にパスを回してシュートというシーンが続く。

 何度もチャンスが回ってきたのが瀬戸彬仁。だが、14分の30松宮充義の落としを打ったミドル、ロングスルーパスを左でもらって迎えたGKとの1対1、15分のGKをドリブルでかわしに行ったシュートのいずれも、浦安の守護神川原に止められてしまった。

 この日も川原のプレーはスーパーという言葉そのもの。瀬戸の3パターンのシュートにも完璧に対応した。ミドルは体の正面でキャッチ、1対1のシュートは体で"面"を作ってブロック、ドリブルで抜きに来たときは倒れ込んで横に体を広げてコースを消して止めた。試合後の大阪の監督、選手の口からも川原への賞賛の声が聞かれた。

 それに加えてスローやフィードでの貢献度も高かった。大阪が前からボールを取りに行くと、浦安の選手は大阪の選手を自陣に引きつけて川原へパス。次の瞬間に浦安の選手は大きく空いた裏のスペースへ走り込み、そこへ川原が正確なキックを蹴る。これだけで立派なプレス回避になってしまうのだ。

 後半、浦安は3点目を取りにいくも決めきれず、残り9分から大阪のパワープレーの攻撃を受けることになる。大阪のパワープレー時のGKは"フクロウ"こと奥田亘。奥田がセンターの後ろに入り、サイドの前と後ろに2枚が並ぶというパターン。大阪はこのパワープレーで、Fリーグの浦安のホーム最終戦で終了間際に同点に追いついている。

 その記憶があるだけに、浦安は大阪のパワープレーをかなり警戒していたようだ。特に気にしていたのが、その試合で決められた、GK奥田によるミドルだ。「ボックスの左前(稲葉もしくは岩本昌樹)が常にシュートのコースを切っていた。狙わされていた感じだった」と奥田が語ったように、ルーズになりがちなGKへのプレスが非常に早かった。

 大阪としては岸本武志の出場停止も響いた。パワープレーのときに左利きの岸本が右サイドにいれば、対角へのスルーパスや中へ切れ込んでのシュートという選択肢ができる。だが、この日大阪のベンチ入りメンバーは全員が右利き。右サイドで瀬戸が縦へ突破してシュート性のボールを入れるシーンは何度かあったが、バリエーションに欠ける印象は否めなかった。

 浦安はラスト13秒、小宮山がダメ押しのゴールを挙げて3-0。先に決勝進出を決めた名古屋と日本一をかけて戦うことになった。「名古屋はいちばんやりたかった相手。そういう相手と最高の舞台で戦うことができてうれしい」と中島孝が語るように、待ちに待ったFリーグでのリベンジのチャンスだ。

 シャークスを2-1、湘南を4-3で何とか退けた名古屋と、プライアに6-1、大阪に3-0で勝ってきた浦安。勢いでは明らかに浦安が上だ。充実のチーム状態を表すように、ミックスゾーンで取材を受ける選手を囲む輪から笑い声がたくさん聞こえてきた。打倒・名古屋へ――機は熟した。

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準決勝 名古屋オーシャンズ vs 湘南ベルマーレ

開催日:2008年3月8日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】菊地芳樹、【写真】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準決勝
名古屋オーシャンズ 1-0 湘南ベルマーレ
(Fリーグ・愛知) 3-2 (Fリーグ・神奈川)
4-2



 【名古屋オーシャンズ】


 【湘南ベルマーレ】

 Fリーグ終盤で8連敗と、どん底だったチーム状況から、「みんなでとにかくひとつになってやろう」(大地悟)と盛り返し、この全日本選手権では見事ベスト4まで勝ち上がってきた湘南。ところが、この準決勝を前に、チームは再び大ピンチに立たされていた。

 この大会で好プレーを見せていた、神保慶太が警告累積で、曽根田盛将が昨日の準々決勝での退場で、共に出場停止(曽根田は次試合も出場停止)。加えて、岡田 サントス ジオゴと、大地の2人は、ケガでベンチ入りしながらプレーできず、いわゆるボロボロの状況にあったのだ。

 ボール支配で少しでも対等にしようと、チームは立ち上がりからのパワープレーも考えたそうで、実際奥村敬人もベンチで準備をしていた。このチームのパワープレーには昔から楽しませてもらっているので、それはそれで個人的に期待した。が、結局はオーソドクスにGK阿久津貴志でスタート。

 体力のロスを少なくするべく、引いて守ってのカウンター策を採った湘南だが、これが奏功した。名古屋はパスを回しながらも、うまく崩すことができない。チャンスになりそうなのは、森岡薫やボラがドリブルでぐいぐい持ち上がったときだったが、決定的なチャンスには至らなかった。

 湘南のほうも、守備面では集中力を欠かさずに安定したのだが、攻撃まではなかなか力を発揮することができなかった。序盤こそ森岡薫やボラに対抗して、沖村リカルドがドリブル突破を繰り返して会場を沸かせたが、次第にいい形で前に運べる回数が少なくなる。

 名古屋が前掛かっては湘南が凌ぎ、また名古屋がすぐマイボールにして攻めるという繰り返しで、比較的単調な展開でゲームは進んだ。しかし、12分に、突如両者がカウンターを仕掛けあうというシーンに。前に出た湘南と入れ替わるようにボールを奪った名古屋は、ボラが沼田とのワンツーを決めて、先制点を挙げた。同じ展開の張り詰めた雰囲気から、カウンターの応酬などでピッチの空気やリズムが乱れたときに、ゴールが生まれやすいのだが、まさしくそうした感じの得点だった。


 後半も慎重に戦う湘南に対し、名古屋はあまり多くのシュートシーンを作れない展開が続いていく。すると30分に沖村が右CKを素早く入れたのを、ゴール前に飛び込んだ関新が合わせて、湘南が同点に。さらに、31分には沖村が中央のドリブル突破から、右の豊島明とのパス交換を決めてゴール。数少ないと予測していたはずのチャンスを見事に生かして一気に逆転し、会場が途端にヒートアップした。

 名古屋は、比嘉リカルドをGKにしてのパワープレーに入った。次々に作りだしていくシュートシーンを、湘南もよく防ぎ、勝利もちらつき始めるくらいまで時計が進んだ。しかし、「練習の成果が出た。できるだけしっかりとボールを回せば、どこかに必ずフリーな選手ができる」(館山マリオ監督)。さすがにしぶとい名古屋は、36分に左への展開からボラのパスをマルキーニョスが合わせて、22の同点にする。

 「延長戦で勝負をつけようと思った」(マリオ監督)と、ここで名古屋はパワープレーを止めた。それでも37分には、マルキーニョスのシュートがポストを叩くなどの決定機があって、迎えた残り50秒。ボラが左サイドで、かつてのチームメート豊島とのマッチアップに。一瞬のにらみ合いの後、ボラは縦に豪快にぶっちぎって左足でシュート性のクロス。これをファーサイドで上澤貴憲が頭で合わせるという豪快なゴールが生まれ、名古屋が土壇場でリードした。

 湘南もすぐにパワープレーに入り、左からの関のシュートからゴール前で混戦になるチャンスがあったが、逆に残り1秒で名古屋はパスカットから丸山哲平がゴールを決めて試合終了。名古屋が湘南の決死の挑戦をがっちり受けながらも、退けたゲームになった。

 準々決勝、準決勝と、接戦が続いた名古屋。今のフットサル界のこの完全一強時代では、圧倒すればしたで相手がかわいそうに見え、接戦になっても相手の善戦ぶりが目立ってしまう。チームとしては何ともやりにくい雰囲気なのかもしれない。

 しかし、勝利へのプレッシャーもある中、今季最後の戦いとなる明日の決勝では、力を解放させた100パーセントのプレーを見せて、日本最強の姿を見せつけてしいと思う。昨季の3冠、そして今季のFリーグ優勝。5冠目達成まであと1勝だ。

名古屋・館山マリオ監督
「最後の笛が鳴るまで何が起きるか分からない。それを選手たちがよく理解してプレーしてくれた。お客さんも楽しい試合が見られたと思う。オーシャンズの目標は、すべての大会に優勝すること。プロチームが勝つことで、フットサルの環境がよくなればと思っている」

名古屋・定永久男
「ミスが少ないチームが、優勝の確率が高い。決めるところを決めて、止めるところを止める。全力を尽くしてそういうプレーをやり切るのが大切」

湘南・関新
「名古屋には、Fリーグでも後半に大差をつけられる展開が多かったので、引いて守ってのカウンター狙いで力を残すことを考えた。ボールを回せなかったけど、逆転できたのはよかった。ただ、最後は力の差が出てしまった。気持ちを切り替えて、明日は3位を獲りにいきます」

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 バルドラール浦安 vs Praia Grande

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
バルドラール浦安 4-0 Praia Grande
(Fリーグ・千葉) 2-1 (東海第1・静岡)
6-1



 第1試合でシャークスが名古屋に敗れたことで、地域リーグチームの「最後の砦」となったプライアだったが、試合開始から浦安に圧倒されて立て続けに3失点。たった3分足らずで、彼らの準々決勝は終わってしまった。

 浦安のスタートは小宮山友祐、藤井健太、稲葉洸太郎、稲田祐介といきなり本気モードだ。自分たちのキックオフで始まると、試合開始から華麗なパス回しでプライアは触ることすらできない。

 そして56秒、右CKを藤井がファーの稲葉へ浮き球でパス。稲葉がサポートについた稲田につなぎ、稲田がチョンと落としたところに、走り込んだのがCKのキッカー藤井。左足で打った、地を這うようなシュートは、GK藤原潤の股を抜けて決まった。

 1分55秒。プライア藤原が「あれが痛かった」と語る、浦安の2点目が決まる。自陣左から藤井が右前方へ蹴った浮き球のパスを、ペナルティーエリアから飛び出した藤原と、五味義通が"お見合い"。2人の間を抜けてきたボールを稲田が無人のゴールに流し込み2点目。

 3点目はスーパーゴール。右にいた藤井が左からの横パスを中へ持ち込み、左足を豪快に振り抜く! このシュートがゴール左上にネットを突き破らんぐらいの勢いで突き刺さった。藤井が「あそこまできれいに決まるとは思わなかった。これで終わってしまわないようにしないと(笑)」と自画自賛する1発が、試合の決着をつけたといっていい。プライアに1点以上のショックを与えるゴールだった。

 決勝ラウンドのピッチは横20メートル×縦40メートルと、彼らが1次ラウンドを戦った高知会場よりも縦が2メートル長くなっている。ピッチの広さの違いにアジャストできないまま、浦安に飲み込まれてしまった感じだ。

 試合後に藤井が「実際にイメージしていたのは接戦になって1-0ぐらいで勝つというもの」と語っていたように、ゲームの決着が長引けばチャレンジャーのプライアは乗ってくる。実際に去年の1次ラウンドでは0-1で敗れているように、こんなに簡単に点が入るほどの力の差はなかったはずだ。

 「Fを食ってやろう」と意気込むプライア戦では、相手がピッチの広さや会場の雰囲気に慣れていない立ち上がりが勝負所だった。そうシト・リベラ監督も踏んでいた。そこで普段は2セット目で出してくることの多い、得点力の高いメンバーをスタメンで使ってきた。それは「最初で決めろ」というメッセージだった。そして、それに応えられるだけの経験と能力のある選手が浦安にはいた。序盤のラッシュがハマッたことにより、浦安はその後のゲームを随分と楽に運べるようになった。

 4点目は最初のセットが1度交代で下がってから、もう1度ピッチに入った12分だった(稲葉のところに高橋健介が入った)。ドリブルで持ち上がった藤井が左前方の稲田へパス。このパスがバンピーだったので、稲田はバウンドを利用してループシュートを狙う。飛び出してきたGKの頭の上を越えたボールが、ゴールへと吸い込まれた。

 焦ってファウルを繰り返したプライアは、12分の段階で5ファウルになった。その後15分、16分、ラスト10秒のところで第2PKのチャンスが訪れたが、キッカーの稲葉は1本目を左に外すと、2本目、3本目は藤原にセーブされて、3本連続失敗。プライアのほうも14分からパワープレーを始めたが、うまくいかず、これといった見せ場を作ることができなかった。

 後半もプライアは残り11分のところでパワープレーをするも、逆に30分、中島孝に5点目を入れられてしまう。プライアは攻撃時のGK関根達馬をFPに戻して、GKの藤原が前に上がる形に切り替えた。すると35分、関根の右サイドからのシュートが浦安選手に当たってオウンゴール。プライアが1点を返した。

 浦安は後半は出場停止にリーチのかかっている選手(平塚雅史、小宮山、藤井)を休ませながらも、無難に後半を乗り切った。38分には第2PKを3連続で外した稲葉にもゴールが生まれて6-1。浦安がFの貫禄を見せ付けて、地域リーグの雄を退ける格好となった。

 高知会場でプライアのマジメに40分間プレスをかけ続けるフットサルを見てきた者としては、「こんなもんか」といわれてしまうのは悔しい。だが、藤原が語ったように「それでも、浦安はうまかった」。

 プライアの「オールコートプレス」に対しても、角度をつけたパスや、トラップでの切り返し、連動したパス回しでいなして、裏に空いたスペースを川原永光からのスローやフィードで何度も突いていった。この辺は浦安が1段レベルが上がったと感じるところだ。

 現在の浦安のチーム状態は非常によい。攻撃のキーマン藤井、稲田、守備のキーマン小宮山、川原はしっかりとチームを牽引しているし、それ以外の選手たちのプレーも安定感がある。この点ではシャークスに2-1で辛勝した名古屋とは対照的だ。準決勝は残っているが、ここまで見た限り打倒・名古屋が可能なのは浦安しかいないだろう。

第13回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 シュライカー大阪 vs デウソン神戸

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
シュライカー大阪 0-0 デウソン神戸
(Fリーグ・大阪) 0-0 (Fリーグ・神戸)
0(延前)0
1(延後)0
1-0



 お互いに、守備力が相手の攻撃を上回っている関係。ハーフライン付近まではボールを運べるのだが、そこから先攻撃が縦へ進めず、ゴール前まで踏み込めるシーンが本当に少なかった。

 前半の決定機は、残り8秒でゴール前の混戦から、大阪瀬戸彬仁が打ったシュートが、バーを叩いたものだけ。関西勢同士のこのカードは、Fリーグでも接戦が続いたが、今回は接戦でも点の取り合いではなく、にらみ合ったまま。それぞれの選手たちから「ガマン!ガマン!」なんていう声も聞かれ、重苦しい雰囲気がずっと続いた。


 後半も同じような展開が続き、ゲームが動く気配がない。神戸は37分に山元優典が2枚目のイエローで退場になり、苦しい状況に。残り50秒で、大阪は岸本武志から30松宮充義へパスが渡るチャンスがあったが決められず。逆に神戸も残り20秒で右から原田浩平のシュートがあったが枠を外れ、ゲームは延長戦へと入った。

 後半のファウル数が持ち越しになる、5分ハーフの延長戦は、後半に入って双方に一度ずつ、第2PKのチャンスがあった。ところが、大阪岸本のシュートは大きく枠を外れ、神戸泰澤秀幸のシュートもGKに防がれた。

 しかし、残り3分(46分)のところで、大阪は左から30松宮の送ったシュート性のクロスがゴール前にこぼれ、これを奥田亘が押し込んで、遂に均衡を破る。

 神戸にはその後、原田のポストプレーから、ブルノのシュートがポストに当たる決定機があった。また、ファウルを取ってもらってもおかしくないシーンが何度かあったのだが、神戸ではあれだけ軽快に吹かれていた笛も、「代々木の笛」はなかなか吹かれることがなく、遂に試合が終わった。

 大阪は前身のMAG'Sが進出した、昨年大会に続くベスト4。地域チャンピオンズリーグでも一昨年、昨年と2年連続決勝へ行くなど、シーズン終盤の短期大会での集中力の高さ、相性の良さを見せている。もっとも今季の場合は、Fリーグ中盤からの立て直しがうまく行ったのが大きい。失点に直結したり、リズムを壊したりするような自爆的なミスは極端に減り、攻守に粘り強く、負けにくいチームに生まれ変わっている。Fリーグ終盤、浦安に土壇場のゴールで引き分けたり、最終戦で名古屋に勝ったりした事実が、今になってとても重く見えてきた感じだ。

 そして神戸。1次リーグでは苦しい3試合を制して、波に乗るかと思われたが、選手たちはビックリするほど疲弊していた。フィジカル面ももちろんなのだが、大きかったのはメンタル面。

 冗談のような話だが、彼らの多くがフットサルのやりすぎで「フットサル酔い」していたのである。シーズン前にトップレベルでのプレー体験がなかったほとんどの選手たちは、これだけ長い期間フットサルをプレーしたことがなく、フットサルのために生活するサイクルに、気持ちが萎えてしまったようなのだ。

 確かにこの日は各選手精彩をかき、いつものような敵の逆をとったり、あざむいたりする魅力的な"らしい"プレーがなかった。Fリーグ中は猛威を振るった、ブルノ、フランキ、伊藤雅範、原田のファーストセットも、この試合でも最後の決定機以外、原田にいいボールが入るシーンがほとんどなかった。

 いろんな条件がそろっていないと、容易には勝ち上がれない。こんなところからも、大会は年々ハイレベルになっているのを感じる。


大阪・奥田亘
「リーグではああいう結果になったので、この大会にかける思いは強い。Fリーグで名古屋に勝ったのも、いい意味で自信になった。狙うは優勝です」

大阪・岸本武志
「結果を出さないと、来シーズンの自分たちの立場もどうなるかわからない。1戦1戦こなしていくしかない。でも、以前よりは余裕を持って試合に臨めているし、チームがやっとひとつになってきた」

大阪・一木秀之
「神戸には、Fリーグで一度逆転しながら最後に追いつかれた、悔しいゲームがあって、引き分けはいらないとみんなで話していた。相手のキーマンはハッキリしているので、ディフェンスはしっかり抑えられ。攻撃は最後のところでミスが多く、そこを決めればもっと楽になったと思う」

神戸・山元優典
「落とせない大事なゲームで両方とも守備的になってしまった。気持ちも体も乗っていなかった感じ。Fリーグで大阪とは2勝1分けだったという部分が、チーム全体に感じられたような。もうちょっとやりたかったんですけどね」

第13回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 湘南ベルマーレ vs ペスカドーラ町田

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
湘南ベルマーレ 3-0 ペスカドーラ町田
(Fリーグ・神奈川) 1-3 (Fリーグ・東京)
4-3



 大会前に菊地さんと町田について展望をしたとき、「フタを空けてみないとわからないチーム」という話をした。この日、フタを空けてみた町田はビックリするぐらいひどかった。

 見た目はいつも通り。だが、実は肉体的にも精神的にもゲームに全然入れていなかった。試合前日のホテル宿泊が諸事情によりできなかったため、数名の会場入りが遅れてしまったのだという。「そのままの流れで入ってしまって、ピリッとしないまま2失点してしまった」(バイアーノ監督)


 開始29秒である。左サイドのキックインを湘南がセットしたときに、スルスルと右を上がってきた岡田ジオゴサントスに誰も気づいていない。リカルド沖村(シニーニャ)からジオゴへと渡ったボールを、ノーマークのジオゴが豪快に叩き込み1点目。

 2分の2点目もキックインから。今度はキッカーシニーニャの近くでパスをもらった関新への寄せがゆるゆる。関が右へズラして打ったトーキックは、GKに当たって跳ね上がり、バーの下側を叩いてゴールイン。

 「前から来るということは裏が空く。かといって、それほどGKと連動しているわけでもない。スッと裏を取れれば、点を取れると思っていた」(奥村敬人)。

 3点目は5分。今大会で"再生"した曽根田盛将。シニーニャとのワンツーからゴール正面でボールを受けると、キックフェイントからの足裏スクラッチでGKを外してシュート。この失点の後、町田はタイムアウト。バイアーノ監督のチームを鼓舞する大声が、静かな場内に響き渡る。

 しかし、その後もしばらくはキックインで簡単に裏を取られたり、FKから簡単にシュートを許したり、町田の選手の動きは鈍いままだった。起きろ町田! これは全日本選手権だぞ!

 「9分ごろから目が覚めてきた」(バイアーノ監督)町田は、お得意の高速パス回しで点を取りに行く。だが3点リードを手に入れた湘南はパス回しに食いついてこない。一見ポゼッションしているようだが、ボールはブロックの前で回されるばかりだ。

 逆にチャンスを迎えたのは湘南。町田のキックインのミスを突いて、ボールを持った豊島と左を上がる曽根田と、GKとの2対1の絶好のチャンス。だが、豊島明のパスは曽根田の足元に入り過ぎてこれを決められず。

 湘南は守備的に戦うのが得意ではない。1点を取ればバタバタになる可能性はあった。町田にとって、Fリーグの終盤から調子を上げてきた宮田義人が出場停止だったのは不運だった。彼のようなドリブルで仕掛けられる選手は、こう着ムードを打ち破る起爆剤になりえるからだ。

 湘南はこういう逃げ切るゲームになったとき、引きすぎて自由にやらせてしまう悪い癖があったが、この日は「引いて守るときも、ボールサイドには厳しくいく」(阿久津貴志)ことを徹底した。それにより町田の得点パターンである横江怜のミドルも、ゴールに飛ばさせずブロックで防ぐことができていた。

 町田はFKから金山が1点を決めるも次がつながらない。そうこうするうちに、25分に町田森谷優太、27分に町田狩野新、湘南神保慶太に警告が立て続けに出される。31分にはベンチで判定に抗議をしたとして、ピッチの外のジオゴにまでイエローカード。今大会の1次ラウンドからあるが、カード乱発によって選手がエキサイティングして試合が壊れるというパターンになりつつあった。

 30分が過ぎても町田はパワープレーをしなかった。「そこまでかなりチャンスを作れていたし、自分たちのペースだったから」(バイアーノ監督)。だがゴールは生まれず、残り4分の段階で滝田学によるパワープレーを始める。だが、何度もチャンスはあったものの久光邦明などがことごとくシュートを外してしまう。試合はこのままクローズしそうな気配だ。


 "事件"が起こったのは残り1分4秒のこと。坂口啓介のスローイングに抜け出そうとした曽根田盛将をホンダマルコス(ジャッピーニャ)が体で止める。どちらも触らずボールは町田GKの石渡良太の元へ。湘南陣内に上がろうとするジャッピーニャに、曽根田が体をぶつけた。こういうやり取りが何度かあった後、ジャッピーニャに曽根田が倒される。両チームの選手が集まりピッチが緊張ムードに包まれた。

 その次の瞬間、小野寺祐第2審判は2枚のレッドカードを立て続けに提示する。彼が下したのは「2人同時退場」という判定だった。"ケンカ両成敗"というところだろうか。先にピッチから出てロッカールームに戻ろうとした曽根田を、ジャッピーニャが殴りかかりそうな勢いで追いかけていく。町田のベンチの選手が慌てて止めに入る。ちょっとした小競り合いが退場という処分を下すことによって、ここまでのものに発展してしまった。

 その後は町田が2点、湘南が1点を取り合ったが、2人同時退場した場合は2分間補充できないというルールのため、最後まで4人のままゲームは終わった。いつも思うのだが、微妙な判定の際にはルール説明が行われてもいいのではないだろうか。ピッチでプレーしている両チームの選手も、退場後に得点を入れた際には選手を補充しようとしていた。そういうルールがあることを把握してなかったのだ(それは僕も含めてだが)。

 町田の金山がラスト12秒で34となるゴールを決めたが、両者退場の混乱を引きずったままゲームは終わってしまった。名勝負が期待されたゲームがこのような形で終わってしまい、残念でならない。

第13回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月7日
場所:国立代々木競技場 第一体育館
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・決勝ラウンド・準々決勝
名古屋オーシャンズ 0-1 SHARKS
(Fリーグ・愛知) 2-0 (東海第3・東京)
2-1



 今日は平日金曜日。いつも賑やかなあの名古屋の応援団が集まっていない。反対に熱心なSHARKSサポーターたちの元気な声が響く、東京・代々木第一体育館は、観客数956人。しかし、入場無料で入れるこの日、このカードを狙って会社を休んで(あるいはサボって?)やって来た人も多いであろう956人のお客さんは、さすがにお目が高い! 今日の準々決勝4試合で、この第1試合がいちばん熱く、面白いゲームになった。


 名古屋のスターターはGK定永久男、FPは沼田慎也、完山徹一、山蔦一弘、森岡薫の5人。1次リーグのよかった状態を持ち込んだ形のメンバー構成だが、得点面で頼れるマルキーニョスは、ベンチ入りしていない。

 一方、1次リーグでは退場者を出し、苦しい戦いが続いたSHARKSは、この日は晴れてメンバーが揃って、Fリーグ王者に思い切って立ち向かうことになった。

 様子見の感が強かった名古屋を相手に、立ち上がりからフルパワーで押し込んでいく。10分過ぎまで、次々と繰り出す攻撃は、いずれも思わず腰が浮く決定機ばかり。ハイプレスが効き、高い位置でボールを奪ってのチャンスもあれば、パス回しから神敬治や碓井孝一郎のドリブルを織り交ぜてのシュートシーンも作る。

 7分には、神が名古屋前田喜史を股抜きし、豪快に右足を振り抜いて先制点。直後に名古屋はタイムアウトを取った。名古屋がチームを落ち着かせるためにこんな形でタイムアウトを取るのは、異例のことだ。


 その後もしばらくはSHARKSの攻勢が続いた。ただ、あと一歩のところまで攻め込みながら、シュートを決められないのが、「チームの課題で1年間苦しんできた」(神)ところ。決めるときに、決められないという展開は、逆にこの後の名古屋の反撃が予想されるだけに、不安に感じる部分でもあっただろう。

 案の定10分過ぎあたりから、名古屋も徐々にゴール前のシュートシーンを作り始めた。守備面でも積極的にプレスを掛けてSHARKSボールを奪いにいくようになり、エンジンがかかってきた印象を受けた。

 12分には左からの完山のシュートがポストを叩き、16分にはボラからゴール前フリーの小山剛史にパスが入る(シュートがジャストミートせず枠外へ)シーンなどがあった。前半残り1分間は前田をGKにしてのパワープレーを試みるなどで、SHARKSにプレッシャーをかける。


 後半も名古屋のスタンスは変わらない。森岡やボラを中心に、シュートシーンを作り、SHARKSゴールを襲い続けた。しかし、名古屋の館山マリオ監督が、「4人が連動した素晴らしいディフェンスを持っている」と賞賛したSHARKSの守備も、なかなかほころびを見せない。名古屋レベル相手に計算できる選手が限られているのか、少ない選手数で回していて、非常に苦しい時間が続いていたが、よく耐えていた。

 ところが、ようやくひと山越えたかなと思ったあたりの30分に、落とし穴があった。名古屋ボールを奪い、速攻に出ようとしたところの縦パスをカットされてしまう。そのボールを名古屋は、前線のボラに素早く預け、ボラは大きく開いた横のスペースに走り込んだ完山に落とす。完山はGKが出てきたところを冷静に浮かせて決め、遂に同点に追いついたのだった。

 その後はお互いに攻めながらもシュートが決まらず、名古屋は残り3分から再びパワープレーに。程なくして36分に、左へボールを展開し、左奥の上澤貴憲が中央へパスと見せて角度のないところからシュート。これがパスを読んでいたのか前にポジショニングしていたGKの逆を見事に突く形でガラ空きのゴールに入り、名古屋に2点目が入った。後半は24分過ぎから出ずっぱりで、ケガで出られない北原亘の分まで頑張った上澤。見事なプレー振りで、昨年大会の大活躍を思い出した人も多いのではないだろうか。

 SHARKSのほうも、GK石井秀樹を上げる形でパワープレーに出て、同点ゴールを狙った。だが、サイドの奥までボールを運べるのだが、なかなかその先ゴール前でクロスを合わせられず、結局名古屋に守り切られる形になってしまった。

 受身に回りすぎた名古屋は、最後は底力を発揮して、何とか勝利をものにした。しかし、こうしたトーナメントで優勝するには、乗り越えないといけない苦戦はあるもので、後で振り返ったらこの試合だったといえるのかもしれない。


 その名古屋をあとちょっとのところまで追い詰めたSHARKS。プレーに変なミスがないし、よく鍛えられた攻守と、見る者を引き付けるテンションは、Fリーグでも上位レベルに位置されると思われ、胸を張るべきプレー振りだった。その素晴らしさは、試合後、スタンドの多くの人が送った暖かい拍手が物語っているだろう。


名古屋・館山マリオ監督
「こっちの油断というよりも、シャークスが素晴らしかった。研究されて、難しい試合はどんどん増えている。先制されたがまだ時間はあったし、集中を切らさずに冷静にプレーしようという指示は出していた。ハーフタイムに気持ちを切り替えて、打ち勝った試合だった」

SHARKS・神敬治
「こちらは全力を尽くさないと勝てないので、この試合に賭けていたが、名古屋は3試合を考えてのプレーで、それがこの内容になったのではないか。最後はチームの総合力の差が出た」

SHARKS・松浦英
「名古屋戦のビデオを見たら、どの相手もみんな引いていたけど、ハイプレスだったらチャンスがあるのではと思って、前からいった。チャンスも五分五分だっただけに、悔しい。決定力の差がでかかった」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF シュライカー大阪 vs Praia Grande

開催日:2008年3月2日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
シュライカー大阪 1-2 Praia Grande
(Fリーグ・大阪) 1-0 (東海第1・静岡)
2-2



 「ハイプレス・クラッシャー」ことプライアは勝点6の得失点差+6、一方の大阪は勝点6の得失点差+10。勝ったほうが1位、引き分けの場合は大阪。仮に負けたとしても大敗しない限りはワイルドカードでの勝ち抜けが濃厚、というのが戦前の状況だった。

 開始45秒、早くも先制したのはプライア。大阪陣内でのルーズな横パスを五味義通が前に体を入れてカットすると、敵をブロックしながら打ったシュートは、GKに当たりながらもゴールイン。

 このゴールはプライアのスカウティングの成果だったという。「大阪は初戦でも同じ形で(大分に)やられている。つまっていても後ろで回そうとするから、あそこが狙い目だなと話していた」(松本)。

 プライアは17分にもゴールを決める。今度はピヴォ当てからだ。関根達馬が斜めにドリブルしてアングルをつけて、ゴール正面で敵を背負っている中沢晋平へパス。中沢が左へ素早く反転して打ったシュートは、竹井の肩口を抜けて決まった。

 2点を先取したことで、プライアの2試合連続の「F食い」が一気に現実味を帯びてきた。自慢のハイプレスはゴールという結果が出たことで、さらに圧力を強めていく。


 大阪はプライアのプレスに明らかに戸惑いを見せていた。一人ひとりのタッチ数が増えたことがそれを表している。2タッチ、3タッチでテンポ良く「出して、抜けて」を繰り返す大阪本来のプレーは、ボールホルダーに素早く寄せるプライアに封じ込められていた。

 これは大阪、まずいぞ――。そんなことを思っていた前半の終了間際。大阪の瀬戸がCKをニアで、インサイドで狙い澄ましたシュート。ここまで鉄壁ぶりを発揮していたプライアGK藤原潤の左脇下をすり抜けて、ボールはゴールに吸い込まれた。大阪が1点を返して前半を折り返す。


 大阪が同点に追いついたのは24分、右サイドでボールを持った林浩平が縦に仕掛けてクロスにパス。ファーで待っていたのが西野宏太郎。西野の仕事は、右足でちょっとボールの角度を変えることだけだった。

 「あの時間帯は相手が疲れていたと思う。たぶんボールが来るだろうなと思って待っていたら、来た。"ザ・ごっつあん"というゴール。だけど、重要なところで決められてよかった」(西野)

 1位になるためには勝利が必要なプライアは、終盤、リスク覚悟で攻めに出る。吉村匡史らが強烈なシュートで何度もゴールを狙うが、GK竹井のファインセーブもあって決められない。2試合連続のF食いと1位突破はならなかった。それでも、勝点7としてワイルドカード1位になり、準々決勝では浦安と対戦する。


 Fリーグ2クラブを大いに困らせたプライアのハイプレスは、Fリーグ準優勝のスター軍団に果たして通用するのか。決勝ラウンドのプライアには自信と不安の、両方の要素がある。「自信」とは1年前の1次リーグで浦安の前身・プレデターに勝っていること。「不安」は準々決勝で府中AFCに05と何もできず敗れたことだ。

 プライアのハイプレスは、横20メートル×縦36メートルという"1次リーグのピッチ"では威力を増す。ピッチが狭いほうがマークをつかまえやすく、自陣に空くスペースを使われるリスクも小さくなるからだ。前回大会で、決勝ラウンドに上がった途端にチーム力が落ちたのは、ピッチのサイズと無関係ではないだろう。

 キャプテンの関根は浦安戦について「僕らはベストな力を出して、とにかくプレスをかけつづけて、高い位置で取ってゴールを狙う」とチームのコンセプトが変わらないことを強調する。"決勝リーグのピッチ"でプライアがどんなプレーを見せるのか楽しみだ。

 試合後の大阪に漂っていたのは、Fリーグクラブとして1位突破という"最低限の責任"を果たした安堵感だった。林はプライアの強さを素直に認めた。「プライアはすごいいいチーム。個人もあるし、組織化されている。こういう相手に、自分たちが上みたいな感じで戦うと負けてしまう。引き分けだけど1位で突破できたのはよかった」。

 Fリーグクラブ&東海王者が混在する、激戦の1次ラウンドを乗り越えた大阪。西野はこう語る。「1試合目、3試合目と厳しい戦いができたことで、チームとして引き締まった。楽勝で上がるよりもいい」。

 ただし、大阪はいいときはどこにでも勝てるようなパワーを発揮するが、悪いときはとことんダメという、「計算のできないチーム」(岸本武志)だ。代々木でどっちの"目"が出るのかは、まだ誰にもわからない。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ステラミーゴいわて花巻 2-2 IKAI FUTSAL
(Fリーグ・岩手) 6-1 (東海第2・静岡)
8-3



 共に1勝1敗同士で迎えた、Cグループの一戦。得失点差は花巻が3、IKAIが4という状況で、準々決勝進出は厳しいに違いないが、お互いに点差をつけての勝利がほしいゲームになった。また、これも将来のFリーグ入りを目指しているといわれるIKAIが、Fリーグで最下位だった花巻を、破るのではないかと注目された試合でもある。

 花巻としても、そうした声がいろんなところから相当聞こえてくるのだろう。試合の入り方としてはかなり慎重だったようで、千葉裕也はこんなコメントをしてくれた。

「得失点差のことは、かなり意識していました。ただ、昨日大分がFリーグのチームとして負けたこともあり、ウチとしてもまずは勝つことに集中して臨みました」

 花巻もIKAIも、お互いにカウンター攻撃を主体にしたチームだ。そこでIKAIのほうの作戦は、自陣に引いて守って花巻にボールを持たせ、攻撃を手詰まりにさせることだったという。ただ花巻のほうも、監督交代があってから選手の交代が頻繁になって、選手の疲労を軽減させる工夫が見られるし、プレースピードも速くなっている印象がある。この日はパスを回しながらも攻撃も、徐々にいい形が見られてきた。

 そして、何よりもこの日は、各選手が非常に気持ちの入ったプレーをして、勝利への思いをよく出していた。そんな気持ちを象徴するような、花巻の先制点は5分。中盤のルーズボールを山本潤也が、強烈なボレーシュートでゴールに蹴り込んで決めたのだった。

 カウンターを狙っていたIKAIのほうは、守りはある程度目処が立っていたようだが、攻撃面ではそのカウンターを花巻に十分にケアされていて、うまくいっていなかった。それでも、少ないチャンスを見事に生かし、8分に右CKから佐藤景太郎がシュートを決めて同点に。花巻が14分に水上玄太のドリブル突破から、下平拓史がゴールを決めた直後も、山口マルコスの右からのシュートがオウンゴールを誘って再び同点にし、食い下がる。

 後半も同じ展開が続く。花巻が23分に千葉の右からのシュートが決まって突き放したものの、その14秒後にIKAIは、熊谷和夫がゴール前で反転シュートを決めて三度同点にした。

 ここで花巻は水上をGKにしてのパワープレーで、ゴールを狙いにきた。そして26分にパスカットした千葉から左の山本に渡ってゴールが決まり、花巻がまたしても1点をリードする。ここから畳み掛けたい花巻だったのだが、29分にアクシデント。GKに入っていた水上が、IKAI熊谷と接触し、両者ともプレー続行不可能な状態になってしまったのだ。ただ、30分に下平拓史のGKをかわしてのシュートが決まって、差を2点に広げた。

 そして今度は奥池和行をGKにしてパワープレーの準備をしたのだが、逆にIKAIのほうが須崎充樹をGKにしてのパワープレーに入ったため、取り敢えずは守るという形になった。結果的にこれが奏功したのかもしれない。IKAIのパワープレーは焦りもあってか、ボール回しがうまくいかず、花巻のエネルギッシュなディフェンスの餌食になった。花巻は33分に、千葉がパスカットから無人へのゴールへのシュートで6点目を取ると、気落ちしたIKAIに付け込み、終了間際にも千葉と戸津光謙の連続ゴールで締めくくった。

 こうして今大会の見どころの1つだった、予選勝ち上がりの地域チームの、Fリーグチームに対する挑戦は、Fリーグがほぼ地域チームを退けるという形になった。地域チームからは、「高いレベルの試合を続けてきた経験の差は大きい」「いろいろな面でスピードが違う」「ゴール前の決定力が違う」などの声が聞かれた。

 やはり40分間を通しての、スピード感(プレースピードや考えるスピード)と集中力の維持という点で、後半になって差が出てくるゲームが多かった。もう一つは、公式記録を見てもわかるように、ベンチ入りメンバーをほぼ全員使って戦うFリーグチームに対して、地域チームはベンチ入りしながらピッチに出てこない選手が結構いる点。地域のチームは、全国大会のようなレベルで信頼してピッチに送り込める、駒が足りていない現状があるのだ。

 ただそれでも、「Fリーグを食ってやる!」対「意地でもやられないぞ!」という戦いは、どれもテンションが高くて、何かが起こりそうで、とても面白かった。来年はさらに実力差が開いてしまう可能性もある。だが、自分たちの現在の立ち位置が、今回わかったであろう地域の各チームには、これからさらに頑張ってもらって、また来年、この構図がクローズアップされるような楽しみができたらと思う。

花巻・千葉裕也
「今日はチーム初めての大量得点で、気持ちが前に出た戦いだった。こういうのを来季のFリーグでは全試合で出せないとダメで、コンディションやモチベーションの持って行き方の工夫が、上位へ行くには必要だと思う」

IKAI・谷口謙二
「今日はここで取られてはいけないというところで、ミスが出て、集中が切れて失点してしまいました。僕も含めて、この大会が初めてという選手が多かったけど、これで満足せず、来年ここにまた戻ってくるのが使命だと思っています」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループA ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループA
名古屋オーシャンズ 8-0 FUTURO
(Fリーグ・愛知) 3-1 (関東第2・東京)
11-1



 名古屋が容赦せずにFUTUROを倒しにいったゲーム。

「どの試合でも勝ち切ることが大切。気持ちのケアを強く意識した」と館山マリオ監督は試合後にコメントしたが、100パーセントの姿勢で戦ったチームのプレー振りに、スキはまったく感じられなかった。

 この神戸会場では、昨日の時点で準々決勝進出を確実にした感のあった神戸と町田が、今日のグループリーグ3試合目をうまく戦えなかった。それだけに、この名古屋のゲームに対するスタンスの素晴らしさは、余計に目立った感じだ。

 立ち上がりから圧倒的だったのは、森岡薫のプレーだ。開始20秒に左サイドを縦突破からシュート。3分には右サイドから突破してシュートと、FUTUROゴールに襲い掛かった。いずれも個の力で圧倒した感じで、その直後、パスカットから一気に抜けてGKと1対1になり、先制ゴールを決めたのだった。

 そして、ディフェンス面。「相手の攻撃は100パーセント、ピボ狙いへのパス回し」(マリオ監督)と、まったくぬかりはなかった。それだけに先制の後は、そのFUTUROのパス回しを奪ってからの速攻を中心に、ゴールラッシュを続ける。6分、マルキーニョスのキープから左への前田喜史に渡って2点目を挙げた。8分と10分には上澤貴憲が連続ゴール。3点目は中盤でボールを奪ってから、一気に前に出てマルキーニョスとのパス交換から。4点目は左マルキーニョスのキックインを、右のファーサイドで豪快にボレーシュートを決めた。

 次は沼田慎也の連続ゴールだ。12分、これも中盤で奪ったボールを素早くつないで、左森岡からのボールをシュート。14分は後方からのロングボールを、GKに競り勝ってヘディングで決めたものだ。その後も14分に左から完山徹一、18分に右から山田ラファエルと、ゴールショーが続いた。

 とにかく、ボールを奪ってから前にかかっていく、各選手のギアチェンジの度合いが半端じゃない。その切り替えの速さとスピードに、FUTUROは圧倒されっぱなしだった。結局、名古屋の打つシュートがことごとく入る感じで、80という前半のスコア。ここで試合が決まってしまった。成す術がなくぼうぜんとしたFUTUROに、気を抜くとリズムが崩れるからと、まったく緩むことない名古屋。


 ただ、それでも後半はFUTUROが立て直しを見せ、ゲームが引き締まった。前半から、FUTUROは、難波田治のミドルシュートのみが頼りだったが、元チームメイトのこのプレーを、名古屋の選手たちも読んでブロックしまくる。それでも、執拗に打ちまくる難波田。そして、25分。遂に左サイドの縦突破に成功し、シュート性のパスから渡辺英朗のゴールをアシストした。小さくガッツポーズした難波田。意地を見せた瞬間だった。

 名古屋はその後、3点をお返しした。残り10分からは前2試合と同じく、前田喜史をGKにしてのパワープレーで、ボールを支配しながら時計を進めた。名古屋はこのグループリーグ3試合で、Fリーグではあまり出場機会のなかった、沼田慎也や山蔦一弘らを起用し、彼らも期待に応えて活躍するシーンが多かった。多くの選手のコンディションを整えながらも、25得点3失点と、圧倒的な成績で余裕の準々決勝進出。

 他チームに与えた印象は強烈だろう。


名古屋・館山マリオ監督
「まずはこの1次リーグを突破できてよかった。また、3試合で(連れてきた)17人全員を使うことができたのも、監督としてはうれしい。決勝トーナメントでも集中を切らさずに戦いたい。トーナメントだから1試合も落とせない。気持ちをケアするのが重要だ」

名古屋・森岡薫
「Fリーグ最終戦で大阪に負けたことで、逆にいい切り替えができたと思う。昨年の優勝の経験は大きいし、昨年よりも今年のチームのほうが強くなっていると思う」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs ステラミーゴいわて花巻

開催日:2008年3月2日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ペスカドーラ町田 2-0 ステラミーゴいわて花巻
(Fリーグ・東京) 4-1 (Fリーグ・岩手)
6-1



 町田が順当に花巻を退けたゲーム。昨日のIKAIとの大会初戦は、前半苦しんだ戦いとなったが、後半修正して巻き返した。今日の一戦は、昨日の反省を生かし、ゲームの入り方について細心の注意を払ったという。終わってみれば、40分間、終始危なげない安定したプレー振りで、Fリーグ終了後の状態のよさを示しているかのようだった。


 立ち上がりのイーブンな状態から、ゲームが動き出したのは、町田横江怜がピッチに入ってから。得意のミドルシュートで攻撃のリズムを作り、陣形を引いて守っていた花巻を徐々に前に引き出していく。

 花巻は、10分に山谷紘大が一発レッドで退場。ファウルも貯まり、早くも苦しい状況に入ってしまう。町田は10分の横江の第2PKこそ生かせなかったものの、1人多いパワープレーの状態から、12分に甲斐修侍のシュートが決まって先制すると、13分には横江が今度は第2PKを決めて、2点リード。花巻は14分に水上玄太がパスカットからGKとの1対1に持ち込むが、この決定機を決められずに前半が終わる。


 後半に入っても、すぐの20分に、町田は素早い展開から、左のホンダ マルコスのパスを受けた横江が、右から決めてゴール。23分にも横江が中央から持ち込んだ速攻から、右へ回った森谷優太が決め、攻撃の手を緩めない。

 花巻は残り12分から、水上をGKにして、早めのパワープレーに入る。しかし、29分に町田のほうが、左のCKから甲斐のシュート性のパスに、ゴール前で宮田義人が合わせて5点目を挙げ、チームとして動じるところがない。


 それでも花巻は、パワープレーを続け、すぐに千葉裕也が1点を返した。その後もパスを回しているうちに、だんだんとリズムを作れてきたようで、町田ゴール前に迫るシーンを何度か作る。だが、そう簡単にゴールを割るところまではいかなかった。

 逆に町田はプレスからボールを奪って、32分に相根澄が無人のゴールへシュートを決めて61。その後はスコアが動かずに試合が終了した。


 2試合連続で快勝した町田。格下が相手だったとはいえ、「自分たちのミスが非常に少なく、安心できる部分が増えてきた」(バイアーノ監督)という。今季はこれまで自分たちのミスで失点したり、リズムを崩したりというのをさんざんやってしまってきただけに、この数週間での成長はやはり大きなものがあるといえそうだ。

 一方の花巻は、残念ながら何のインパクトもないまま敗れてしまった。まずは守備に集中して、ボールを奪うところまではいいのだが、そこからの攻めの部分で、今季未だにさしたる狙いや形が見えないのはいただけない。カウンターに行くところでミスをし、カウンター返しを食らうこともしばしばだった。

 同じ時間帯の隣のコートでは、IKAIがテンションの高い雰囲気で、勝利を挙げた。明日は花巻を倒す気満々のようだ。これに対して花巻はFリーグ勢の意地を見せられるかどうか。注目だ。


町田・バイアーノ監督
「最初は花巻のディフェンスがよかったが、ウチもボール回しのスピードが落ちていた。そこを修正し、ボール回しのスピードが上がってくると、徐々によくなって、点を取れるようになった」

町田・甲斐修侍
「明日も、相手とか自分のコンディションに関係なく、100パーセントでやること。それを1人1人がどこまで追求できるか」

花巻・水上玄太
「Fリーグで3回も対戦している相手だけに、もっと対策して臨めるはずなのですが、準備不足、力不足がありました

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF バサジィ大分 vs Praia Grande

開催日:2008年3月1日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
バサジィ大分 2-1 Praia Grande
(Fリーグ・大分) 0-3 (東海第1・静岡)
2-4



 フットサル専門誌の全日本選手権プレビュー記事で、彼らはこう名づけられていた。「ハイプレス・クラッシャー」。東海リーグ所属のプライアが、看板に偽りなしの猛烈なオールコートプレスで、Fリーグの大分を粉砕してみせた。

 大分は大阪戦で主力2人を失っていた。GKの後藤臣一が病院に運び込まれるほどの大ケガ。仁部屋和弘は相手選手を蹴った行為で退場して、2試合の出場停止処分。代わりに千綿リカルドが出場停止から復帰した。

 前半の途中までの戦いぶりは、「やっぱりFリーグって強いんだなぁ」と思わせるものだった。

 8分の先制点は、プライアの選手と大分の選手がもつれ合ってサイドを割ったボールを、プライア陣営が「ファウルじゃないの?」とアピールした瞬間に、大分の神志那仁聖が素早くセットして蹴り込み、ファーの加口晋平に合わせたもの。敵に生まれた一瞬のスキを突くという狡猾さに、Fリーグのシーズンを戦った大分の成長が感じられた。

 11分には、左サイドで江口学の縦突破からのクロスを、「浜(濱)大樹 高知凱旋!」の横断幕が掲げられた濱大樹が合わせて、20。ちなみに濱は高知出身の選手ということで、地元紙に連日取り上げられていたのだという。


 プライアは16分にタイムアウトを取る。明けた次のプレーで大分は敵陣近くでファウルをもらうと、プレーイングタイムでは7秒後にタイムアウトを申請。セットプレーの打ち合わせをして3点目を取りにいったが決められない。

 すると、逆に前半残り1分22秒、プライアの勝又純一郎が、ゴール前の混戦の中で押し込んで1点を返す。このまま前半は終わったが、プライアにとっては、後半に向けて弾みをつけるゴールとなった。


 プライアの同点ゴールが生まれたのは、後半が始まって1分過ぎのこと。「あの人ならやってくれると思っていた」(藤原)とチームメートから絶大な信頼を寄せられるエースの奥山保司が、左45度から低弾道のトーキックを右のサイドネットに突き刺したのだ。

 大分は同点にされたことでリカルドがカリカリしてきて、プレーの冷静さが失われていった。チームリーダーの焦りはチーム全体に伝播する。Fリーグで最も若い大分ならなおさらだ。さらに大分はファウルもかさみ始め、29分の段階で第2PKにリーチがかかってしまう。

 厳しくチェックにいけなくなった大分に対して、プライアはついに逆転ゴールを決める。31分、2点目の得点者である奥山が、左から中へカットインして、インステップで低く抑えたシュート。奥山のこのゴールは、ちょっと名古屋の森岡薫をほうふつとさせた。横移動しても体の軸がブレないところ、振り足の速さは強烈に印象に残った。

 大分は山口を前に上げる形でパワープレー。しかし36分、プライアは神志那のシュートを藤原が胸元でキャッチすると、がら空きのゴールへドライブ回転をかけたパントキックで4点目。「東海リーグでも3点ぐらい決めている」という藤原の高精度パントキックが、大分の戦意を喪失させた。


 冒頭で書いたプライアのオールコートプレスは、「ウチにはそれしかない」と選手もいうほどの絶対的な武器だ。彼らの強みは一人ひとりがサボらないこと。「走れない選手は使えない」が選手起用の合言葉になっているそうだが、フィジカルベースでは(Fリーグでも上のほうといわれる)大分の選手を上回っているようにも見えるほどだった。

 プライアは今大会の1次ラウンドでFリーグに勝った初めてのチームとなった。と同時に、2勝で得失点差+6として、2年連続の決勝ラウンド進出に大きく前進した。それでも、同時進行で行われたゲームで勝った大阪が同じく2勝で得失点差を+10としたため、1位通過のためには勝利が必要になる。「どことやるときもやり方は変わりません」(藤原)というプライアが、地域リーグの期待を背負って大阪戦に挑む。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループE ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年3月1日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループE

JOY FUTSAL CLUB KIMURA SPORTS 0-2 湘南ベルマーレ
(関西第2・滋賀) 2-5 (Fリーグ・神奈川)
2-7


 Fリーグを泥沼の8連敗で終えた湘南と、関西を勝ち抜き、関西リーグも制したジョイ。"サプライズ指数"の高そうなゲームだったが、湘南がFリーグの意地を見せた。

 7分、前日の試合でも先制点を奪った大地悟が、前日と同じような左45度からの左足シュートを逆サイドネットに突き刺す。大会前はケガで出場が危ぶまれた大地だったが、そのプレーはケガをしているとは思えないほど軽快だ。

 12分だった。右サイドの沖村リカルド(シニーニャ)がオーバーヘッドで左前方の曽根田盛将へパス。曽根田はこれをダイレクトで右前方に走り込む岡田ジオゴサントスへ。ジオゴのシュートはゴールをそれたが、まるでサーカスのようなプレーにスタンドはどよめきに包まれた。

 パターンプレー、個人技をミックスさせてくる湘南に対して、ジョイの攻め手はアラ大谷真一からのピヴォ当てか、GKがピヴォにロングスローを投げるというもの。攻撃のパターンのバリエーションに乏しく、大谷真からピヴォへのパスコースを切られると、攻撃が手詰まりになることが多かった。

 湘南は16分、伊久間洋輔→大地→神保慶太と3人が連動したプレーで追加点。後半に入った23分、Fリーグで出場機会に恵まれなかった曽根田が、そのうっぷんを晴らすかのようなドリブルからの股抜きシュートを決めて3点差と突き放す。

 03となったが、ジョイは26分に馬場のゴールで1点を返す。湘南は後半5分過ぎからが"鬼門"となっている。Fリーグでの連敗中も、前半と後半の頭まではよくても、それ以降にガクンと落ちる時間帯ができて、点差をつけられるというパターンがほとんど。

 この試合でもその不安はあった。30分に大地が2点目を決めたが、1分後にジョイの大谷真に2点目を入れられてしまったのだ。湘南に暗雲が立ち込める。それでも湘南はパワープレーに出てきたジョイのがら空きのゴールに、3本のシュートを流し込んだ。ジョイのパワープレーにも助けられる形で、湘南が2試合連続の7ゴールで大勝した。


 今大会の湘南にはFリーグのシーズン中からの変化があった。まず、朴海剛監督がベンチに入っていない。この大会はFリーグと異なり専任監督が義務づけられていないため、選手兼監督もOK。ベンチの左端に座って選手交代を行っているのは奥村だった。


 奥村はD.C.旭川戦後、今大会のテーマを「選手の再生」だと語っていた。Fリーグで5位に終わった湘南の低迷の要因の一つが、実質的な監督だったジオゴの目指す方向性がチームにフィットしなかったこと。

 「戦術でがんじがらめになったというか......機械的な動きが多くなって、フィーリングがなくなってしまった。それによって"死んでしまった"選手が多かった」(奥村)チームが復活するために湘南は原点に立ち返ることを選ぶ。

 パターンプレーにハメ込むのではなく、ドリブルの得意な選手には自由を与えてドリブルをさせて、スペースの飛び出しが持ち味の選手はそれを生かすように周りが動く。理想の形として思い描くのは50だったプレマッチの高槻松原戦だ。


 今大会はFリーグの後半戦でチームを牽引した篠崎隆樹、荻窪孝はそれぞれ登録の関係とケガでチームに帯同していない。キャプテンの豊島もケガでスタンドから試合を見守った。それでもジオゴが選手として復帰したことや、曽根田、関の復活などは"新戦力"といってもいい。第8回大会を制した"ロンドリーナ"は、"湘南ベルマーレ"と名前を変えて2度目の日本一を目指す。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループB デウソン神戸 vs SHARKS

開催日:2008年3月1日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループB
デウソン神戸 1-2 SHARKS
(Fリーグ・兵庫) 3-1 (関東第3・東京)
4-3



 全国各地でレッドカードが乱れ飛んだ? この日。将来のFリーグ入りを目指すSHARKSが、神戸に挑んだ大注目のこの一戦も、カードを巡って異常な雰囲気に包まれた、大激戦となった。

 試合開始わずか18秒だ。SHARKSは大森茂晴が、神戸原田浩平とルーズボールを競り合った後に、いきなり退場を宣告される。永井陽一主審はヒジ打ちをしたというゼスチャー。だが、原田はピンピンしている。「?」な会場の雰囲気。

 FP3人の状況を何とか耐えたSHARKSだったが、さらに、2分に悲劇だ。今度は神戸ブルノともつれた神敬治にも笛が鳴った。胸のポケットにイエローカード、パンツのポケットにレッドカードを収めている永井主審。何とパンツのポケットのほうをモゾモゾっとやり、レッドカードを提示! ウソッ! 何とこれも一発退場。どうやらもつれたときに、足裏でブルノの股間を踏みつけたと見られたらしい。上から見ていると、本当にもつれたようにしか見えなかっただけに、「エーッ!」という声の「エーイング」が会場を取り巻く。


 このときのFP3人状態では、神戸ブルノがゴールを決めて先制。攻守のそれぞれの要を失ったSHARKSは大ピンチとなったのだが、ここから非常に気迫のこもったプレーで神戸に立ち向かうことになる。7分、正地淳太の右からのクロスを、松浦英が軸裏シュートで決めて同点。その後も安川敦士のシュートがポストを叩くなど、決定機を作った。

 そして、今度は神戸が12分にブルノが一発退場となってしまった。こちらは大黒裕之第2審判がスムーズにカードを出してきた。ブルノは左サイドから得意のフェイントで縦に抜こうとしたところを読まれて敵に体を入れられたとき、両手で敵の背中を押してしまった。公式記録を見ると、著しい不正ということらしい。これもそんなにひどかったかな? どうだったのかな? ちなみに会場の雰囲気は、もう笑い半分。「片方に2人出したから、帳尻合わせにいったな」。そう思った人も多かったのではないか。


 さて、試合のほうは、特にサイドなどの1対1で、見ごたえのある攻防がたくさん展開された。ドリブルで抜こうとするのと、それをさせまいと体を寄せて防ぐ、アドレナリン出まくりのやり合い。選手たちは意外に冷静にファイトしていたように見えたが、いかんせんガツガツしたやりとりはファウルがかさなっていく。前半はSHARKSのほうに2度の第2PKのチャンスがあった。だが、碓井孝一郎のシュートは、2度とも神戸GK村山竜三がストップする。それでも前半終了間際に、SHARKSは名取真吾が左から中へカットインしてシュートを決め、21とリード。チームは「どうだ! 見たか!」といわんばかりのテンションの高い雰囲気で、ハーフタイムになった。


 後半も一進一退の攻防で、互角に見える展開。どちらかというと、突っかけていく神戸に対して、SHARKSがカウンターでやり返すというシーンが多かったか。しかし、前半とは反対に今度はSHARKSにファウルが重なっていく。やはり神戸の1対1の巧さ。例えばドリブルで抜いていくのもそうだし、トラップ際で変化するプレーで敵の裏を取るといったものなどにもSHARKSはやられ、どうしてもファウルで止めるシーンが多くなったためだ。このあたり、1対1がウリのFリーグの神戸の、底力といったところか。

 SHARKSは残り10分の時点で5ファウルとなり、そこから神戸に第2PKが3本与えられた。30分の1本目は須藤慎一が決め、同じ30分の2本目は須藤のシュートは止められたものの、36分の3本目は泰澤秀幸がきっちり決めて、神戸が逆転に成功した。さらに、SHARKSGKが上がったところで、パスカットした須藤が無人のゴールへ。42と点差を広げる。


 追いつきたいSHARKSは、それでも足元の巧いGK石井秀樹を引き続き積極的に上がらせ、パワープレー状態からゴールを狙った。スピードがあって、時にワンタッチパスも織り交ぜながらのパスワークは見ごたえ十分。何度も神戸ゴールを襲い、会場はさらにヒートアップしていく。37分には松浦のシュートのこぼれを、岡崎チアゴが再度打って決め1点を返し、なおも怒涛の攻撃に出た。

 しかし、最後はご存知、神戸山元優典のブロックショーだった。SHARKSのシュートポイントを読みまくり、誰よりも素早く体を寄せて防ぎまくるのである。粘りに粘った神戸が、最後は守り切る形になった。

 神経質すぎるといわざるをえないレフェリングで、壊れかけたゲームだったが、観衆の興味をピッチに引き戻して熱中させたのは、選手たちの気持ちの入ったプレー振りだった。両チームの選手たちに素直に拍手を送りたい。肩に力が入り、まさに手に汗握る攻防。見終わって、どっと疲れたけど、大変感動したゲームだった。

 敗れたSHARKSだが、次の試合で勝利すれば、決勝トーナメントへ進める希望は大きい。これまでは得点チャンスになるのが、今日の退場で次戦は出場できない、神頼みの攻撃がほとんどだった。だが、この日は彼がいなくても多くのチャンスは作っていた。このグループで2敗のSTANDARD相手に、どのくらい点を取れるのかがポイントだ。

協賛一覧

FFC柏
FFC東川口
Art&Sports Network
SCH フッボル エスタディオ 横浜
フットサルショップPLAYER’S
クーバー・フットボールパーク横浜ゆめが丘
川崎フロンターレ
クーバー・フットボールパーク横浜ジョイナス
特定非営利活動法人 相模原フットボールクラブ
横浜市地域フットサルリーグ