第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループF シュライカー大阪 vs バサジィ大分

開催日:2008年2月29日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループF
シュライカー大阪 2-3 バサジィ大分
(Fリーグ・大阪) 3-1 (Fリーグ・大分)
5-4



 大阪と大分の"Fリーグ対決"はキックオフから45秒、大阪のミスを突いた神志那仁聖の先制点で幕を開けた。

 大阪のスタメンはGK竹井宏真、西野宏太郎、岸本武志、奥田亘、瀬戸彬仁。

 大分はGK後藤臣一、白方秀和、神志那、仁部屋、松田マルシオ。千綿リカルドはFリーグの累積警告による出場停止。


 大阪が7位、大分が6位という順位からいえば、この2チームはFリーグの中のトップクラスではない。だが、ゲームのスピード感や球際の激しさは、ここまで行われた地域リーグvs地域リーグの試合から一段レベルが上がったように感じた。

 1点を先制された大阪は6分、浮き球のキックインを30松宮充義がボレーで叩き込み11の同点に追いつく。「先制されてチームの士気が下がっていた時間帯だったから、あの時間帯に取れたことはよかった」(30松宮)。

 だが大分は12分、ダイナミックなキックフェイントやシザーズを見せていた江口学が、ゴール正面から左へズラして左足シュート。GKの手前での加口晋平のスルーも"アシスト"となってゴールネットを揺らした。

 大分は18分にも白方が決めて31と2点差に。大分が立ち上がり、同点直後、前半終了間際と理想的な時間帯に3ゴールを挙げる。

 劣勢の大阪を救ったのはまたしても30松宮。左サイドの高い位置でボールを受けると、右でまたいで左足で縦に押し出す得意のフェイントから中へ折り返す。これを鈴木磨人が飛び込み1点差とする。

 前半、シュート数17本の大阪に対して、大分は9本。3本で1点の高確率で大分がゴールを決めたが、ゲームの支配率は大阪のほうが上。ポゼッションの大阪vsカウンターの大分という構図でゲームは進んでいった。


 後半開始2分(22分)、大阪は鈴木の2連続ゴールで33に。このゴールは右後方の一木秀之からの球足の速いボールを、鈴木が足元でピタッと止めてシュートを打ったもの。出したい場所と欲しい場所、パススピードとファーストコントロール、2人のイメージと技術がピタリとシンクロしてのゴールだった。

 29分、止まらない大阪は一木→21岩岡慶宜→鈴木とつながって、鈴木が足裏→左インのダブルタッチでGKをかわして流し込んだ。鈴木のハットトリックとなる4点目が、逆転ゴールとなった。

 その後は29分に、大阪林浩平が2枚目の警告で退場、32分に大阪瀬戸のミドルで4点目、残り35秒で仁部屋が岸本を蹴ってしまい退場(2試合出場停止)、残り5秒でのオウンゴールと、両チームのプレーを反映するようなせわしない展開が続いたが、大阪が54で大分を下してFリーグ対決を制した。

 30松宮が「決定的なチャンスを外し過ぎた。3点差をつければもっと楽に勝てたはずなのに、1、2点差しかつけられないから相手に『まだやれる』と思わせてしまう」と、"最後までわからない試合"にしてしまったことを反省点として挙げた。

 だが、Fリーグで勝てなかった頃の大阪だったら、前半のうちに点差をつけられるか、後半にバタバタしてやられていたところで、しっかりと勝ちきれるようになったのは大きい。マグ時代から大阪はトーナメント戦と相性がよいことで知られている。浸透しつつあるアドリアーノ監督の戦術に大阪特有の「勢いとノリ」が加わったら、今大会の台風の目になるかもしれない。


大阪・アドリアーノ監督
結果は良かったけど、内容的には良くない。先制点を決められてチーム全体が焦ったところがある。いちばん最初の試合で緊張もあったし、コートのサイズも、いつも練習しているところとは床のタイプも違うことが、影響したのかもしれない。

大阪・松宮充義
今日の1勝は本当に大きい。前半リードされて終わって、あそこから逆転できて良かった。ハーフコートということで、コートを広く使った攻め方、クワトロやヘドンドはやりづらいから、シンプルにピヴォを使うプレーもやろうという話は、アドリ(アーノ監督)からはされていた。ある程度はできたと思うけど決定的なチャンスを外し過ぎたのは反省点です。

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループD バルドラール浦安 vs FIRE FOX FUCHU

開催日:2008年2月29日
場所:高知県立春野総合運動公園体育館
【文】北健一郎

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループD
バルドラール浦安 2-0 FIRE FOX FUCHU
(Fリーグ・千葉) 0-0 (関東第1・東京)
2-0


 最初に告白すると、この試合は後半だけしか見ていない。高知に当日の飛行機で10時30分に着いたのだが、高知空港から会場までもろもろ1時間以上かかったからだ。

 体育館のある春野総合運動公園ではプロ野球の西部ライオンズやJリーグのセレッソ大阪のキャンプが行われていた。そんなところでフットサルの日本一を決める大会は"ひっそりと"行われていた。スタンドを見渡しても、選手や関係者のほうが観客の数を上回っている。

 ハーフタイム、Bピッチのスコアボードには「2」と「0」が並んでいる。浦安が18分の稲田祐介、19分の稲葉洸太郎(PK)のゴールで2点を決めて前半を折り返していた。

 ワンサイドゲームだったのかと思いきや、顔見知りの記者に話を聞くと、「ファイルにも結構チャンスがあった」とのこと。


 すると後半、ファイルは大健闘を見せる。残り10分から始めたパワープレーで浦安をかなり追い詰めたのだ。ただし、浦安とファイルではこの試合に臨むスタンスが大きく異なることは、差し引かなければいけない。

 浦安にとっては決勝までの6試合の"初戦"という位置づけ。コンディション的にも、プレー的にもまだ100パーセントではなく、高く見積もっても80パーセント程度。逆にファイルにとってはこの試合が"決勝戦"である。決勝トーナメント進出のためにも、1敗でもしてしまうとキツイ。4チームの中で最も強いであろう浦安戦に照準を合わせるのは当然のことだった。

 2-0の浦安リードのまま迎えた残り10分、ファイルは村上をGKにしてパワープレーを開始する。正直言うと「失敗するのでは......」という予感があった。浦安には前でボールを取るのがうまい、?稲葉や?中島孝がいる。パワープレーに対するディフェンスも連動していて完成度が高い。中途半端なパワープレーだったら、傷口を広げる結果になるだろうな、と。

 だが、ファイルのパワープレーは僕の予想をいい意味で裏切ってくれた。

 キーポイントは「真ん中の使い方」だった。よくあるパワープレーはサイド→中→サイドとボールを動かして、敵のマークがズレたところでシュートを打つというもの。だが、ファイルの場合はサイドの選手が外から中へ積極的に入っていき、後方の選手に横だけでなく縦のパスコースを作り出してボールを引き出す。

 中でボールを受けた選手は、敵がシュートを警戒して引いてくれば前を向いてドリブル、素早くアプローチに来た場合はワンタッチかツータッチでサイドに展開する。浦安のディフェンスはマークをつかまえられなくなり、1分に1度ぐらいのペースでビッグチャンスが生まれていった。

 それだけに悔やまれるのはフィニッシュの甘さだった。何度も決定機がありながら1度も浦安のゴールネットを揺らすことができなかったのだ。歴代のチームを率いてきた松村栄寿監督の「これが今のファイルの実力なのかな」という言葉がズシリと響いた。


 0-2の敗戦という結果に似つかわしくないくらい、試合後のファイルの選手の表情はスッキリとしていた。それは浦安を相手に自分たちが1年間取り組んできたことを出せたという達成感からだったと思う。

 「1年間やってきたことが......負けたので実を結んだとはいえないけど、出せたと思う」という?村上の言葉が象徴的だ。自分たちのできることを出し切った上での敗戦。ファイルの健闘が光った分、浦安との間にある大きな差も感じられた、そんなゲームだった。


浦安・藤井健太
「初戦はいつも簡単にはいかない。コートが狭いし、敵も引いて守ってくる場合が多いから。特に今回はFリーグvs地域リーグということで、向うのモチベーションも高かったし。ファイルに今まで本大会では個人的に勝ったことがなかったので、この試合だけは出ないほうがいいんちゃうかと思っていた(笑)」

ファイル・村上哲哉
予想以上に前半からチャンスがあった。あれを決めていれば、また違ったんじゃないか。そんなにチャンスを作られなかったし、2点ともセットプレーのこぼれ球とPKだったし、崩されたのはあんまりなかった。主力が抜けたメンバーでここまで戦えたのは驚いている。1年間やってきたことが......負けたので実を結んだとはいえないけど、出せたと思う」

第13回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC ペスカドーラ町田 vs IKAI FUTSAL

開催日:2008年2月29日
場所:兵庫県ワールド記念ホール
【文】菊地芳樹

第13回全日本選手権・全国大会・予選ラウンド・グループC
ペスカドーラ町田 2-2 IKAI FUTSAL
(Fリーグ・東京) 7-0 (東海第2・静岡)
9-2



 Fリーグ勢をやっつけるチームが出るのか、それともFリーグ勢が力を発揮するのか。全日本フットサル選手権注目の初日は、Fリーグ勢が軒並み結果を残す形になった。Fリーグ勢と予選勝ち上がりチームとの差。それが如実に現れたのが、このCグループの一戦だったのではないだろうか。

 町田はGK石渡良太、FP滝田学、狩野新、金山友紀、ホンダ マルコスというお馴染みのスターターに、セカンドセットは宮田義人、甲斐修侍、横江怜、相根澄。自陣からのディフェンスで、徹底的に守ってきたIKAIに対して、いつもようにパスをテンポよく、スピーディーに回しながら攻めていった。

 しかし、IKAIの集中力ある守りに、なかなかゴール前までボールを運べず、横江らのミドルシュートもことごとくブロックされる。

 序盤はほとんど攻撃のチャンスがなかったIKAIだが、10分に右前に走り抜けてフリーになった須崎充樹が、山口マルコスからの縦パスを受けてシュートを決め、先制点を挙げる。直後も右サイドで熊井直樹がフリーになり、マルコスにクロスが入ったが、ヘディングシュートを外してしまう決定機があった。


 町田は11分に、滝田のミドルシュートを、GKが味方がブラインドになって見失い、同点ゴールが入る。そして、球際で激しく行くIKAIにファウルが貯まり、2度の第2PK得て、そのうち13分の1本を決めて逆転に成功した。

 ところが、IKAIもその後粘ってチャンスを連続して作り、町田ゴールを脅かした。前半終了間際の19分には、右サイドから熊谷和夫がゴールを決めて同点。それまで何度も訪れた決定機を決められず、のけぞりまくっていたIKAIベンチも、このときは相当な盛り上がりようでハーフタイムに入る。

 それでも、1人1人の出場時間が長く、少ない選手で交代を回していたIKAIは、ここからの体力面が懸念された。


 後半、町田はIKAIのGKからのビルドアップをケアするよう、再確認して立て直し。「まず中央を閉めてピボへボールを入れさせず、近くの選手に渡したら前線から敵をつかまえにいった」(金山)。そして、22分に、GKのパスをカットしたホンダ マルコスから、左の金山に渡って決まったゴールを皮切りに、ジワリジワリと点差の開く展開になっていく。24分、26分とホンダ マルコスが連続ゴール。

 IKAIは29分に熊井が2枚目のイエローで退場となり、さらに苦しくなる。「前半すごくいい形だったので、後半もイケると前掛かりになり、薄くなったところをやられてしまった」と、IKAIのキャプテン谷口謙二は悔やんだ。

 町田は30分に甲斐のミドル。32分には久光邦明のゴールが決まって、さらにリードを広げた。町田の軽快な動きに、IKAIがついていけない場面が多く見られるようになってくる。体力的な面もそうなのだろうが、いつもの町田のせわしないともいえるプレースピードと、矢継ぎ早に繰り出される攻守の各プレーに、IKAI選手たちの目や頭、そして気持ちがついていけてないように見えた。

 残り4分から、IKAIはパワープレーを行ったが、逆に町田が、パスカットから久光邦が2ゴールを決め、ハットトリックで締めて試合を終えた。


 やはり、後半の戦い方に、経験やいろんな部分で差が出るようだ。しっかりと戦いを修正して勝利した町田に、Fリーグで鍛えられた強さを感じたゲーム。それに、今日を見る限り、Fリーグのチームは相当な緊張感を持って、この1次リーグに臨んでいる様子。彼らの意地がひしひしと感じられた初日だった。


町田・金山友紀
「初戦は難しいのは分かっていた。前半は辛抱して、後半勝負という試合。1次リーグは明日がヤマ。花巻は今年に入って調子を上げているし、ウチと差はないでしょう」

IKAI・谷口謙二
「点差がつくまではいい勝負だったが、そこから先の勝負でやられてしまった。前半できたことが、後半続かない。ただこれで目が覚めないと。開き直ってもう勝点6を狙いたい」

IKAI・熊谷和夫
「やはりFリーグのチームは、通常からリーグ戦で厳しい戦いをしているし、メディアのプレッシャーとかもあるので、メンタルでもフィジカルでも上でした。ただ、こうしたチームと戦えたのは、よかったし、いい経験になった。あと2試合も楽しみです」

Fリーグ2007・第21節レポート「神戸」vs「町田」

【第21節:2月16日(土)開催 (代々木第一体育館)】
<デウソン神戸 vs ペスカドーラ町田>
 (文:FUTSALNET Y)

デウソン神戸 0-0 ペスカドーラ町田
3-3
3-3


3位を争う"想定外"の2チーム

町田はプレシーズンマッチで調子が上がらなかった。しかしそのことをどこか本気では心配していなかった。バイアーノ監督がチームに合流したのは開幕直前。今思えば21節の長丁場を乗り切る準備期間としてはあまりにも遅すぎる始動だったといわざるを得ない。

神戸は、Fリーグが開幕したことで一躍注目の的となった。Fリーグ初年度に、フットサル界に最も多く新しいタレントを輩出したのは神戸だと言っていい。町田とは全く異なる角度から「フットボールの面白さ」を見せてくれた。

開幕前、この両チームが3位を争うとは全く予想できなかった。しかも状況は神戸有利。引き分けても神戸の3位が確定する状況なのだ。

今シーズンのこれまでの2チームの2回の対戦は、いずれも1点差で神戸の勝利。戦前に考えていた状況と間逆になっていた。得失点差で+8勝る町田は、勝てば3位が手中におさまる。

戦前に想定していたのとは全く異なる状況で、「銅メダル」を争う試合のホイッスルは鳴った。

町田はGKに石渡、FPにジャッピーニャ、金山、狩野、滝田がスターター。神戸はGKに村山、FPに原田、フランキ、ブルノ、伊藤。


前半、ボールを支配するのは町田。短いパスを神戸陣内で回す。「執拗」と言ってもいいほどパスを回し、スペースの無い場所を切り崩しにかかる。横江が時折放つミドル以外、町田はゴール前までボールを運ぶことに腐心する。

神戸は、ボールを奪っても町田の前からの早いチェックにボールを確保することがままならない。序盤の町田は、闘志を前面に出してプレスをかけ、神戸ゴールに襲い掛かった。

しかし前半3分、神戸陣内でのパス回しの中で、金山がブルノにボールを奪われる。ブルノは町田ゴールに高速ドリブルで突進。GKの石渡をもかわすが、放った丁寧なシュートはなんと無人のゴールからはずれてしまう。倒れこむブルノ。

町田は、前半8分に右サイドに出た長いボールに狩野が走りこみ、そのままシュート。ボールは左にはずれるが、打った狩野はそのままピッチ外の看板に激突。看板は見事に真っ二つに割れてしまった。

神戸にボールが渡ると、町田は激しく前からチェック。やや緩慢に見える神戸のパス回しをことごとくつぶしにかかる。

9分には積極的な前からのプレスで甲斐がボールを奪うと、そのボールを横江がシュートするがこれを神戸GK村山がセーブ。

12分にも甲斐を起点にして右サイドの横江に繋ぎファーに放ったシュート性のパスに金山が突っ込むが、これを神戸ゴール前になだれこんだDF陣が必死に守る。

神戸はキックインからのシュート以外に好機がなく、一方の町田も攻めながらも得点に至らず、足元へのパス回しが多いこともあって、ボディコンタクトが増えていく。

終盤は両チームともにボールが足元に収まらず、集中力も欠き、時計が進まない。前半が終了したのは試合が開始してから48分後だった。長い長い前半は0-0のスコアレスで終わった。

 

後半、町田は明らかに疲れが見える。じょじょに攻めの形を作れるようになった神戸は後半2分、ブルノ、原田が作った形から中央のフランキがシュートを放つが、バーのはるか上。

そして先制点は、あっけなく決まる。神戸は前半からキックインからのシュートを繰り返していたが、それが実った。後半3分に右サイドのフランキのキックインに町田の選手が触ってコースが変わり、ラッキー先制点をものにする。

町田は勝たなければ3位がない。俄然不利な状況となった。

「点を取られた後にメンタル的にもチームのバランスが崩れてしまった」と試合後にバイアーノ監督が語ったように、前半の闘志あふれる町田のプレスはなりを潜め、ルーズボールをお見合いするようなシーンも見られるようになってくる。

そして後半7分、神戸のロングフィードに対して町田のGK石渡がゴールエリアを飛び出してヘディングでクリアする。しかしセカンドボールを拾ったのは神戸の岸田。石渡もはずされて2点目を神戸が奪う。

「我々の失点は、自分たちのボールを持っているときのミスから生まれている。それは疲労で集中力を失ってしまうことからくる。」とバイアーノ監督が語るように、今シーズンの典型的な失点のシーンだった。

一方の神戸は、耐える時間帯をうまくカウンターフットサルで切り抜け、後半の自分たちの時間帯で一気に2得点することに成功する。

特に神戸の山本の活躍は、特筆すべき点だと思う。相手のピヴォをマークすることの多い選手だが、フットサルに大切なオールマイティーなプレーが出来る選手だ。

この日の3点目もそうした良さが生かせたことから生まれる。
神戸は、前半同様に自陣に攻め込まれていた。ぐいぐい押し込んでくる町田に防戦一方になるかと思いきや、最終ラインの山本は、相手ボールをクリアするようにいきなり町田ゴールへ向けて鋭いシュートを放ったのだ。

これをGK石渡がはじく。一瞬にして攻守が逆転した。
後半8分、これで得たコーナーキックは、ふわりと逆サイドの岸田へ渡ると、ダイレクトでボレーシュートを放つ。こぼれ球を定野が押し込んで3点目。
攻めながら点を取れない町田が、ここから4得点をすることは到底考えられない状況になってしまう。

しかし、ピッチ上の「空気」というのは、個々の選手たちの胸の中にあるメンタルが凝縮されて作られる。第16節の大阪戦。神戸は、4-0でリードした状況から、大阪のパワープレーに押し込まれて5連続失点を喫する。最後の1秒で奇跡的に同点に追いつくが、大量リード時のチームコントロールには課題が残った。


そして、この試合の最大のキーマンとなる町田の宮田がピッチに現れたのは、後半も中盤にさしかかる時間帯だった。

後半11分、宮田は神戸陣内で短いパス回しで形を作った状況から中央でボールを受け、ミドルを叩き込む。

その直後の12分、またも宮田が今度はトーキックでミドルを叩き込みさらに1点を加えた。

「宮田が入るまでは、深い位置まで攻め込んでからシュートを打っていたが、宮田が入ってシュートレンジが広がった。これが大きかった。」とバイアーノ監督はその時の状況を振り返る。

2-3の1点差。あれだけ攻めあぐねていた町田だったが、ミドル2発であっけなく神戸に詰め寄る。あれだけ、自陣でパスを回される時間が続いた後だけに、宮田のミドルは効果的だった。

そして残り時間も少ない後半18分、相手ボールをカットして得たボールをハーフライン近辺左サイドから横江が中央にドリブルして右足を振り抜き、右サイドネットに突き刺して同点とした。

その後から、狩野がGKとなってパワープレーで猛攻を仕掛けるが、得点に至らず。神戸は最後の最後の淵で逆転を許さなかった。

試合後、神戸の鈴木監督は、「チームとしてのバランスには問題はなかった。球際のプレッシャー、これは個人の問題だが、マークについてる選手がもう少し間合いをつめてボールに対してプレッシャーをかけていれば防げたと思う。」と語った。

神戸というチームらしいコメントともとれるが、こうした試合の流れを選手が察知して試合を運べるようになると、神戸はもっと怖いチームになるだろう。

一方の町田は、後半の立ち上がりの時間帯で、明らかにパフォーマンスが落ちた。来シーズンへの課題として「フィジカルを上げることが必要だ。一人一人がコンディションをシーズン前から上げていくことをしていきたい。」とバイアーノ監督は語ったように、1試合の中での集中力、パフォーマンスのムラを克服しないと、いい時間帯の良さが一瞬にして吹き飛ぶ。


初めての長く過酷なシーズンを終えて、良さも課題も浮き彫りになった。
両チームの来シーズンが楽しみだ。


バイアーノ監督(町田)
今日は難しい試合になることはわかっていた。先制を許すまでは町田ペースでできていたが、点を取られた後にメンタル的にもチームのバランスが崩れてしまって点をとられてしまった。
その後宮田選手を入れたことでまたチームが息を吹き返したが、最後のところで点をとれそうでとれなかった。クオリティを欠いてしまった。

前回対戦時よりだいぶフィジカルに取り組んできているので、上がってきているとは思う。
来季へ向けてもフィジカルを上げることが必要だ。一人一人がコンディションをシーズン前から上げていくことをしていきたい。フィジカルベースを上げることが来シーズンへむけての課題になると考えている。

狩野新選手(町田)
楽なゲームはひとつもなかった。全てが決勝のつもりで戦わないと勝てないことを実感するシーズンだったので、バイアーノ監督が来て、凄いいい方向に向かっていると思うので、来シーズンはもっともっと反省点を生かして戦って優勝を目標にしていきたい。

4位になったからといって下を向く必要はないと思う。顔を上げて来シーズンへ向けて頑張っていきたいと思う。


鈴木監督(神戸)
欲を言えば勝ちたかったが、目標としている3位を確保できたので、よかったと思う。
0-3から同点にされたが、チームとしてのバランスは問題はなかった。球際のプレッシャー、これは個人の問題だが、マークについてる選手がもう少し間合いをつめてボールに対してプレッシャーをかけていれば防げたと思う。

伊藤雅範選手(神戸)
3位という結果について、このチームは歴史の無いチームなので、誇れる結果だと思う。自分は関東から関西に移ったが、関東の方がレベルが高いと言われる状況の中で、関東のチームに勝ちたいという気持ちが強くあったので、最初から掲げていた3位を勝ち取れたのは個人的にも誇りに思える。


 

Fリーグ2007・第19節レポート「町田」vs「浦安」

【第19節:2月3日(日)開催 (駒沢体育館)】
<ペスカドーラ町田 vs バルドラール浦安>
 (文:北健一郎)

ペスカドーラ町田 1-3 バルドラール浦安
2-5
3-8


"雪の駒沢"で見えた現実

名古屋の優勝を小田原アリーナで見届けてから、17時開始のこのゲームを見るために駒沢体育館へ向かった。かなりタイトな乗り継ぎだったが、何とか間に合った。この日の天気は雪。普通ならテンションが下がるところだが、逆に僕はある試合を思い出してテンションが上がっていた。

06年1月21日、第7回関東リーグ最終節最終試合――。勝ったほうが優勝という状況で迎えた、カスカヴェウ(現町田)とプレデター(現浦安)のゲーム。カスカヴェウが5-4で勝って優勝を決めるのだが、ハイテンションかつドラマッチックなゲーム展開に駒沢屋内球技場の中は異様な熱気に包まれていた。この日も天気は雪だったのだ。

優勝のかかっていない、いわば「消化試合」といってもいいゲームに関わらず、駒沢体育館には湘南-名古屋の1272人を大きく上回る2133人の観客が集まった。対戦成績は浦安の2戦2勝。町田としては特にセントラルで喫した1-8の大敗の借りを返したいところだ。

浦安は稲葉洸太郎のドリブルが今日も"キレキレ"だ。チームメートがパフォーマンスを落とすこともある中、継続してハイレベルなプレーをしている。3分には1人で左サイドを持ち上がりファーサイドへパス。稲田祐介が飛び込んでいくが、わずかに合わない。

先制点は浦安だった。自陣右奥でボールを持った狩野新に前からプレスをかける。狩野はGKの松原にパス。松原が慌てて前線にフィードしようとしたボールを小宮山友祐がカットして、GKとの1対1をしっかりと決めた。町田はまたしてもプレス回避のミスとうい悪癖から失点してしまう。

それでも、ここ2試合連続で引き分けている浦安。試合前に名古屋が勝ってわずかに残っていた優勝の望みも消えた。このことは「モチベーションに当然影響があった」(シト・リベラ監督)という。

町田は持ち前のスピーディーなパス回し&積極的なドリブルの仕掛けで浦安のファウルを呼び込む。11分に浦安は5つ目のファウル。13分に町田はタイムアウト。おそらくバイアーノ監督は6つ目=第2PKを獲得するために、もっと仕掛けることを要求したのではないか。するとその直後のプレーで、金山友紀が稲田に引っ掛けられて第2PKをゲットする。これを得点ランキングトップの横江怜が冷静に決めて1-1。

 

ちなみに、横江は第2PKによるゴールが9点と、全19得点中の約半分を占める。町田は第2PKの本数自体も多いが、「成功率50パーセント程度」といわれるシュートをこれだけ確実に決められるのはすごいこと。まさに「第2PK職人」といった感じだ。

この1点で町田が乗っていくかと思われたが、追加点は浦安に入る。同点とされてから4分後、ゴール前の混戦からこぼれたボールを、平塚雅史が抑えの利いたボレーシュートを打つ。"守備の人"平塚のFリーグ初得点で浦安がリードを取り返す。

18分には浦安清水誠がゴール前の混戦目掛けて蹴った"キックインシュート"が、狩野に当たりコースが変わってゴール方向へ。松原が手を伸ばすも弾き出せずゴールイン。元カスカヴェウの清水が古巣を突き放す3点目を生み出した。


後半になるとゲームは一転荒れ模様に。浦安の選手が不満をあらわにする。理由は審判のジャッジだった。あえて選手の言葉は引用しないが、第三者から見てもその判定は"町田びいき"といえるものだった。フィフティーフィフティーのプレーが町田に転がるというレベルではなく、町田のファウルになりそうなプレーまで浦安のファウルとカウントされることもあった。

だが、そんな"アウエー"の雰囲気をエースが吹き飛ばした。26分、稲田が、ゴール正面の第2PKスポット辺りから右足一閃、ボールはゴールに向かって一直線! 浦安がその差を「3」とし、試合の行方をほぼ決定付けた。

町田は狩野をGKにパワープレーを開始。32分に森谷優太が決めて2点差にする。だが、パワープレーのミスなどから清水、小宮山、稲葉に追加点を決められてしまう。35分に甲斐修侍が強烈なシュートを決めるも、その3分後にまたしても元チームメートの稲田にゴールを許して3-8。対浦安3連敗となった。

北九州(セントラル開催)で1-8で敗れたときは、金山の出場停止というエクスキューズがあった。だが、この日の町田はベストメンバー。その上、バイアーノ監督が「安心してピッチに送り込める選手」6、7人で回した"主力戦"をした結果がこれだ。言い訳の余地はない。

試合の感想を聞かれた横江は「こんなもんなのかな」と現時点での実力差を認めた。町田の失点の多くは「ミス」から生まれたものだ。パスミス、トラップミス、判断ミス......。したたかな浦安はそういったミスを確実に突いてくる。町田はあまりにもミスをしすぎた。

あの「雪の駒沢」から約2年。当時を思い起こさせるシチュエーションの中で行われた、「ペスカドーラ町田」と「バルドラール浦安」のゲームでは、両者の力関係が大きく変わっていることを強烈に思い知らされた。

 

 

Fリーグ2007・第19節レポート「湘南」vs「名古屋」

【第19節:2月3日(日)開催 (小田原アリーナ)】
<湘南ベルマーレ vs 名古屋オーシャンズ>
 (文:北健一郎、写真:M.Minagi)

湘南ベルマーレ 1-1 名古屋オーシャンズ
0-4
1-5



 この試合で優勝を決めたい名古屋は控え選手のユニを手に


 絶対にホームでの名古屋の優勝を阻止したい湘南




2008年2月3日14時22分、小田原アリーナでFリーグ初代王者が誕生した。

8チームで唯一のプロクラブ・名古屋が2試合を残した時点で優勝を決めたのだ。

引き分け以上で名古屋の優勝が決まるという状況で迎えた湘南戦。小田原アリーナには「目前優勝阻止」などの横断幕が掲げられている。

名古屋のスタメンはGK定永久男、鈴木隆二、完山徹一、丸山哲平、森岡薫。ケガで2試合メンバーから外れていた北原亘も、ベンチスタートながらメンバー入り。

一方、目の前での優勝と6連敗は何としても避けたい湘南のスタメンは、GK阿久津貴志、大地悟、篠崎隆樹、荻窪孝、伊久間洋輔。

2分、早速名古屋が先制点を手に入れる。ピヴォの位置で丸山の縦パスを受けた森岡が左側にターンしてシュート。

利き足ではない左足で打ったシュートだったが、これが決まって名古屋が1-0とリード。 16節の大分戦で10得点、17節の花巻戦で12得点と2試合連続でFリーグの最多得点記録を塗り替えている名古屋。この1点が呼び水となり、湘南相手にゴールラッシュとなるかとい思われたが・・・・・・その後の名古屋はピリッとしない。

開始10分までに2度も4秒ルールからキックインを相手に渡してしまう。

優勝が決まる試合ということで緊張もあったのかもしれない。

館山マリオ監督は「ちょっと緩んでいた」といっていたそうだが、どちらにしても、これだけスキのある名古屋も珍しい。

名古屋がセカンドセットに変わった5分、湘南がカウンターをお見舞いする。伊久間が右サイドをドリブルで持ち上がり、左サイドを併走していた荻窪の前のスペースへパス。だが、荻窪は左足でしっかりミートできず、ボールは右外へ。

8分には、沖村リカルドからのパスを左サイドから関新がシュート。これはGK定永がセーブ。この直後にはマルキーニョスのドリブルを止めた沖村が1人でゴール前まで運んでシュート。だが、これも定永に止められてしまう。

湘南は3-1のゾーンディフェンスがハマっていた。前半の名古屋はポジションチェンジが少なく、マークをつかまえるのが比較的容易だったからだ。2分に森岡に決められたような、「個の力」でやられる以外は失点シーンは想像しにくかった。

それだけに、ボールカットしてからのカウンターはしっかり決めるべきだった。定永の飛び出しのタイミングがうまかったこともあるが、ゴール前で打ち急いでいるのが気になった。5連敗中のチームには「焦り」が感じられた。

 

だが、ただ一人落ち着いている選手がいた。篠崎である。湘南の最近4試合の6得点はすべてこの男が叩き出したもの。この日も湘南のゴールを決めたのは篠崎だった。

13分、近藤純也の縦パスを大地がワンタッチで左へ流すと、角度の厳しいところから篠崎が定永の股を狙ってシュート。湘南らしいコンビネーションと篠崎の落ち着きが光った。

小田原アリーナには「いけるかもしれない」という空気が漂う。 前半の名古屋の出来からみて、逆転は十分可能だったと思う。15分の豊島明が左から中へカットインしたシュートの後には、たまらず名古屋がタイムアウトを取ったほどだ。

残り10秒、豊島と関のパス交換から右の伊久間へサイドチェンジ。"どフリー"だったが、このシュートは枠にすらいかなかった。前半終了のブザーが鳴った時点で、湘南の勝利は厳しくなった。

名古屋にハーフタイムという立て直しの時間を与えてしまったからだ。 後半が始まって5分。名古屋が勝ち越し点を決める。決めたのはまたしても森岡。中央やや左寄りの位置から目の前の敵をちょっとズラして右足でズドン。このシュートは阿久津が上に伸ばした手の間を目にも止まらぬスピードで通り過ぎてゴールネットに突き刺さった。


  その決定力は増すばかりの名古屋・森岡

今の湘南は"20分間のチーム"である。前半はいい内容のフットサルができていても、後半までそれを維持できない。現在の5連敗の要因は「決定力不足」と共に、40分のゲーム運びができていないことも大きいと思う。

30分には、沖村のシザーズをマルキーニョスがカット。そのまま左サイドをドリブルで持ち込まれシュート。これは阿久津がセーブしたものの、ポストに跳ね返ったボールにボラがつめて3点目。

これで"切れて"しまった湘南は、33分にも森岡が中へ軽く切れ込んでクロスにパス。敵の視野の裏側から入ってきた完山が左足で合わせて、決定的な3点差とする。 湘南は大地をGKにしてパワープレーを開始するも、37分にがら空きのゴールにマルキーニョスにロングシュートを沈められて傷口を広げる結果に。

 名古屋を支えた助っ人・ボラとマルキーニョス

 決定的な5点目に湘南は呆然

ピッチの中央付近で?マルキーニョスがボールをキープしているところで、デジタイマーの時計が「0」に変わる。名古屋が敵地でFリーグ優勝を決めた。 試合後の名古屋の選手たちの表情に浮かんでいたというのは「ホッとした」という安堵感だった。唯一のプロクラブとして「優勝は当然」というプレッシャーは相当なものだったはずだ。


 目前で優勝を決められた湘南は肩を落とす

2節終了後の電撃的な監督交代を乗り越えて、名古屋は一回り大きなチームになった。このFリーグの優勝も彼らにとっては通過点でしかない。「アジア、世界を目指したい」と櫻井嘉人GM。世界を目指すクラブ・名古屋がFリーグの歴史にその名を刻んだ。

 

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