Fリーグ2007・第17節レポート「浦安」vs「神戸」

【第17節:1月20日(日)開催 (浦安市総合体育館)】
<バルドラール浦安 vs デウソン神戸>
 (文・写真:北健一郎)

バルドラール浦安 1-0 デウソン神戸
0-1
1-1



 もう絶対に負けられないバルドラール浦安


 まさにFリーグ台風の目となったデウソン神戸


肉弾戦の末の"痛み分け"

優勝に一縷の望みをかける2位の浦安と、4位以下との勝点差がつまってきた3位・神戸の上位対決は、激しい肉弾戦の末に"痛み分け"のドローとなった。

浦安にとっては痛すぎる引き分けだ。名古屋が大分に10-1(!)で勝ったため、勝点差は7に開いて、これで優勝の可能性はほぼ消滅。一方の神戸にとっては、2位チームを相手に勝点1を上積みできたことは、ポジティブな要素が大きいだろう

ここまでの戦績は、神戸ホームの2節は浦安が3-2で勝利、長野セントラルの12節はスコアレスドロー。浦安が1勝1分けで勝ち越してはいるが、試合内容を見る限りはどっちに転んでもおかしくなかった。ここから一つの引き分けも許されない浦安にとって神戸は、厄介この上ない相手だ。

スターターは、浦安がGK川原永光、平塚雅史、清水誠、岩本昌樹、高橋健介。神戸はGK村山竜三、ハタケヤマ・ブルノ・タカシ(ブルノ)、伊藤雅範、小川亮、原田浩平。

キックオフから数分見て感じたのは、神戸の選手の体が重たそうだな、ということ。特にブルノと原田の突破に、いつものようなキレが感じられない。それについて原田は「バス(に乗っている時間)が長かった」ことを理由の一つに挙げた。神戸のアウエー遠征時の移動手段は基本的にバス。しかも、到着したのが前日の夜遅くだったのだという。"移動疲れ"が体に残っていたのは想像に難くない。

浦安のディフェンスが神戸の攻撃の軸となる2人を相当警戒していたことも大きい。

浦安の警戒心が顕著に現れたのが、原田が得意な左サイドでボールを持ったとき。必ずアプローチ役とカバーリング役の2人をつけて、タッチライン際に追い込み、得点率の最も高いカットイン→右足シュートの選択肢を消す。仮に縦に突破にかかってきた場合でもシュートコースはニアに限定される。これに関しては川原が責任を持って止める。

とはいえ、原田とブルノにマークが集中するということは、他の選手がフリーになるということでもある。しかし、神戸は他のポジションでの数的優位をうまく使えなかった。このチームの場合は"勝負すべき選手"がボールを持ったときは、ドリブルするスペースを消さないように、あまり近づき過ぎないのが約束事になっている。彼らの突破力を前提にしたこのやり方は、ドリブル勝負で勝てないと成立しない。

伊藤が「攻撃が単調だったかもしれない」と語ったように、この日の神戸の攻撃は止まった渋滞からのものが多く、変化に欠けた感は否めない。

とはいえ、浦安が完璧に止められていたかといえばそうではない。実際、4分には右サイドで抜け出しかけた伊藤を引っ掛けた平塚に、11分には原田へのスライディングで小宮山友祐に、「黄色い紙」が提示されている。この2つのプレーに対しては、今日の試合で審判を引退する鈴木亮哉審判からレッドカードを出てもおかしくなった。

 

試合開始直後から、何となく不穏な空気が漂っていたが、原田へのファウルに激昂した伊藤が小宮山に詰め寄り、一触即発になるシーンも。

18分、神戸は田中智基に警告。その直後、藤井健太とのワンツーで抜け出した稲葉洸太郎をペナルティーエリアの中で引っ掛けたのは、またしても田中。これには当然2枚目のカードが出て、前回の対戦に引き続き神戸に退場者が出る。

PK。浦安にとっては先制のチャンスだ。だが、キッカー稲田祐介のシュートは左に飛んだ村山が読みきって止める!

前回は神戸がFP3人になって数的有利の時間帯に決められず、それがドローの大きな要因となった浦安。今回はその体験を教訓に、ボール回しにあまり時間を使わず、ブロックの外からでもシュートをどんどん打っていった。それが実ったのが前半残り54秒、稲葉がペナルティーエリアの外からミドルシュートを突き刺した。

後半、「2点目が決まれば試合は終わると思っていた」(シト監督)浦安は、後半の4分過ぎから小宮山、藤井、稲葉、稲田のセットで11分までプレー。ここで決めたいところだったが、稲田が神戸の山元に厳しくマークされたこともあって、突き放すことはできず。

このセットが代わったところで、浦安は「1点を守りきる」モードに切り替えた。小宮山、市原を中心に、神戸の攻撃を跳ね返していく。神戸としても後半10分から入ったスタメンセットで追いつきたかったが、点を取れないまま16分に交代する。これから先の時間でブルノや原田を使えるとしても1、2分。神戸は苦しくなった――。

だが、神戸のセカンドセットは大仕事をやってのける。37分、退場した田中に代わってセットに組み込まれた廣瀬裕貴が中央でパスカット。そのまま持ち上がり、右前方の脇真太郎へ出す。脇は「何となく、GKの体重が(ファーサイドへ)傾いているような気がして」川原の左脇の下=ニアへシュート。これがゴールネットを揺らし、試合は再び振り出しに戻る。

浦安はすぐさまパワープレーを開始。だが、「4分ぐらいあれば、回して、回してってできるんだけど......。残り時間が短すぎた」とパワープレーのGK岩本が語るように、浦安は焦りからプレーが雑になってしまう。

前節で大阪に4点差で勝っていながら、パワープレーから一時ひっくり返された神戸のディフェンスだったが、今日は同点だったこともあり選手の集中力はしっかり保たれていた(相変わらず守り方は危なっかしかったが)。

残り1秒。稲田の左サイドからのキックインを藤井がシュートするが無常にもボールはゴールの左へ外れる。タイムアップのブザーが鳴り響く。浦安にとってはいろいろな意味で「終わり」を告げるブザーだった。何人かの選手の目は赤くなっているようにも見える。

試合後、シト監督は「優勝は非常に難しくなった」と事実上の"白旗宣言"をした。監督交代に揺れる名古屋を尻目に序盤戦は首位を走った浦安。一時は名古屋と勝点差5をつけたが、長野セントラルでの2引き分けと、北九州セントラルで名古屋との直接対決で敗れたことが決定打となった。

「名古屋と他のチームでは、環境面で非常に差がある状況。仮にリーグが9月まで続いたとしても、その差は広がる一方だろう」。シト監督は最近の会見のお約束となっている、プロとアマの差について語った。ここまで"勝負師"シト監督の手腕と経験豊富な選手の力で、内容的にはよくない試合もモノにしてきた浦安だったが、ここに来て力尽きた感じだ。

次節で浦安が大阪に負けた場合、名古屋が花巻に勝てば、名古屋の優勝が決まる。

Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第6回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第6回】
「Fvs地域」の全日本選手権

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。

 


フットサルネット では、もうすぐ始まる全日本選手権のことなんかも
話しておきましょうか。

Fリーグの8チームは本大会からの出場になります。

橋爪 全日本選手権の予選を取材してチームに話を聞くと、
全日本に出たいということよりも、Fリーグのチームと戦いたい、
倒したいということをみんないうんですよ。

Fリーグというトップリーグができたことによって、そういう対立概念が
できて見どころが増えましたね。

  去年はAMV(花巻の前身)とエスペランサ(大分の前身)が
グループリーグ敗退していろいろといわれましたけど、
今年も同じことが起こる可能性はある。

それは花巻や大分に限らず。

個人的には別に驚くことでもないと思う。

1年間でそこまで圧倒的な差がつくほうがおかしいというか。

菊地 地域リーグを見れていないので、
チームの実力的なものはわからないというのが前提で話すんだけど。

Fリーグのチームが「ゲーム体力」がついていて、
意外と強くなっているという可能性は考えておいたほうがいい。

フットサルネット そうですね。

菊地 "波乱"を期待して見ている人たちが、
「あれ、意外とFのチームって強いじゃん。面白くないな」みたいな(笑)。

フットサルネット 関東を勝ち上がってくるチームとFリーグの
下位のチームの力関係はどうなんでしょう。

  ピッチでの実力的には互角かもしくは関東のほうが
上かもしれないですよね。

でも、関東のチームって、全日本選手権が関西でもやるようになってから
割とポロポロ負けているじゃないですか。

実力的には関東のチームが上だと思われている場合でも。

それは"アウエー"でプレーする経験の乏しさも
関係しているんじゃないかなと。

そういう点で言えばFリーグのチームはアウエーでもセントラルでも
遠征試合をたくさんこなしている。

普段のアウエーの試合に比べれば、
準備期間のある全日本は全然問題ないでしょうし、
そこは有利に働くはず。

菊地 選手もそうだし、面倒を見るスタッフも慣れているのは大きい。

しかも今回は、高知という未知の場所での開催もある。

  純粋な競技力では地域チームが上だとしても、
そういったところも含めた「チーム力」ではFのチームが上
ということになるかもしれない。

フットサルネット 高知に降り立ったときの
チーム力がビヨーンと差がつくかもしれないと(笑)。

菊地 Jリーグやプロ野球では、アウエーのチームが
おかしくなっちゃうというのはそんなに感じないんだけど、
フットサルではそういう影響が結構あるからね。

橋爪 開幕前にある人がこういうことをいってたんです。

花巻や大分は下馬評も低いし、たくさん負けるかもしれない。

でも、1年が終わったときには、Fリーグで戦ったチームと地域リーグで
戦ったチームとでは天と地ほどの差が開いてしまうだろうと。

本当にそうなっているのかが、この全日本選手権で見れそうですね。

フットサルネット Fリーグと共に全日本選手権も楽しみにしましょう。

今日はどうもありがとうございました。

Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第5回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第5回】
日本フットサルは進化している?

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。

 


橋爪 市原さんが長野で2試合戦った後の記者会見で
「僕たちがフットサルの魅力を伝えられたかは、正直自信がありません」
っていってたじゃないですか。

僕はあの言葉がすごく印象的で。選手側はフットサルの普及について
すごく考えているんだなと感じました。

菊地 ただ、「一部」というと語弊があるかもしれないけど、
そこまで考えている選手というのは限られるんじゃないかな。

フットサルネット これまでの日本のフットサルを作ってきた人たちと
いうことですよね。

  浦安の市原さん、(藤井)健太さん、町田の甲斐(修侍)さん、
(金山)友紀さん、湘南の豊島(明)さん......。

フットサルネット 彼らは「自分たちで作ってきている」
という意識がすごく強いですよね。

  それこそ、健太さんや市原さんが講師になって、
神戸や大分の選手に日本フットサルの歴史についての講義を
したらいいのでは(笑)。

まあ、それは冗談としても、そういう意識をクラブ・選手に持って
欲しいなとは思います。

こちら側の過剰な期待なのかもしれませんけど。

フットサルネット これまで作ってきたものが一つの
「ステップ」としてあって、今はそれを上りきって新しい踊り場に
立っているところ。

次の「ステップ」を今の若い世代と作っていくことになるんでしょう。

  そうですね。

菊地 とりあえず1年目はこういう形だったというのがあって、
2年目以降でいいところは伸ばして、悪いところは良くして、
ということになっていくんじゃないかな。

始まる前には、誰もどういう風になるのかなんて
予測できなかったわけだし。

橋爪 個人的には、これまでは無料でセントラル開催のような
感じでやって、300人とか400人しか集まらなかったものが、
有料開催で今日にしても3500人とかが来ているっていうのは、
物事の進化の仕方としては相当いい線いっているんじゃないかと。。

フットサルネット しかも、今日は雨の中の3500人ですからね。

橋爪 そういう意味で、日本フットサルはここまでずっと下がることなく、
前に進んできているといえるんじゃないですか?

フットサルネット 確かに強烈な"後退感"というのは
感じたことがないですね。

ただ、逆にというと、みんなあんまりビジョンや目標もなくやってきた
というところもありますよね。

純粋に競技の面白さに引きつけられてきたというか。

  それでも、「後退」しそうなポイントはあったと思うんです。

2004年のマカオの世界選手権予選(アジア選手権)のときは、
みんなが「これで世界選手権に出られなかったら、
日本のフットサルは終わっちゃう」といっていた。

そういうところを乗り越えて、結果を出してきたのは
大きいんじゃないですか。

アジア選手権で優勝してアジアナンバーワンになったり、
そういうことがFリーグ開幕の促進に間違いなくつながって
いると思います。

菊地 確かに僕もそう思う。

ただ、3500人が集まったとしても、もうちょっと人数的に
膨らんでいかないとお金的に回らないというのは現実としてはあって。

当面の各チームの目標は「回す」ということになるだろうから。

ただ、何のベースもないところから始めて、これだけの規模のリーグが
何とかやれているというのは素直にすごいと思う。

フットサルネット 企業ベースではない、それこそ同好会が
発端となったようなクラブが集まって全国リーグでやっているというのは、
他では類を見ないことじゃないですか。

ハンドボールにしたって、バスケットボールにしたって、
全国リーグとつくものは企業チームばかり。

それが全国リーグとして立ち上げることができたのは、
やっぱりサッカー協会の後ろ盾があったからだと思うんです。

今は自分たちでお金を回す、キャッシュフローのような形は
作れていないかもしれない。

でも、いちばんすごいことは「やってしまったこと」。

菊地 やってしまって、ここまで来たっていうのはねぇ......。

フットサルネット とりあえず始まって、1年間やった
という実績はあるわけじゃないですか。

何千人集まりました、メディアにこれだけ取り上げられました、
という話はできるようになる。

その中で費用対効果としてプラスだと捉える企業が出てくれば、
プロ化するチームが増えていって――。

  リーグのレベルが高いところで拮抗していく、
というのは理想的な流れですよね。

菊地 少しずつ、少しずつ、いろいろなところが肉付けして良くなっていけばいい。

Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第4回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第4回】
セントラル開催の難しさ

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。

 

  Fリーグを見ていて感じるのが、
観客(スタンド)の温度が上がるまでに時間がかかるな、
ということなんです。

ゴールシーンで瞬間的に盛り上がるだけで、
パワープレーできわどいシーンが連続するようになって
やっと暖まってくる、みたいな。

菊地 今日(この座談会はFリーグ第12節終了後に行われた)は
セントラルだったからじゃないかな?

ホームゲームのときはサポーターの応援に参加するとまではいかなくても、
いいプレーには拍手をしたりとか、すごくいい雰囲気があった。

もちろん試合内容が大事なのはいうまでもないけど、
それでもホーム&アウエーだったら何とかなる。

だからセントラルが難しいのかもしれない。

橋爪 勝敗の行方が早めに決してしまって、
どこを見ていいのかわからなくなる――
長野、北九州とセントラルがあったけど、
4試合中3試合ぐらいがそのパターンだったじゃないですか?

これは初めて見に来るお客さんにとっては辛いでしょう。

  もう暴言を承知でいうんですけど......。

MC解説を僕にやらせてほしい!

一同 ほう。

  今、セントラルでMCが実況するのはシュートシーンか、
ゴールが決まったときですよね?

でも、ゲームの中ではパス回しをしている時間のほうが圧倒的に長いわけで。

その間はMCの声もないし、スタンドも静かで寂しい感じがする。

パス回しをしている間のお客さんの興味をつなぐために
できることの一つとして、MCのトークの工夫があるんじゃないかって。

フットサルネット 具体的にはどんなことを喋るんですか?

  僕たちが記者席で喋ってる会話みたいな感じのイメージです。

菊地 昔話ばっかりになるんじゃない(笑)?

  この選手とこの選手は元チームメートで、とか。

誰と誰がやりあってるけど、2人は昔からライバル関係で、とか。

そういうバックグラウンドを共有できたら楽しさが広がるじゃないですか。

橋爪 マッチアップの局面が多い、というのはフットサルの魅力でもありますしね。

  そうそうそう。

町田と浦安だったら、市原(誉昭)さんがボールを持ったところに、
甲斐(修侍)さんが激しくプレスをかけにいくなんて、
昔から見ているファンにとってはたまらないシーンなわけじゃないですか。

もちろん、戦術的な話があってもいいでしょうし。

フットサルのパス回しや交代ってサッカーしか見たことのない人にとっては、
かなりわかりづらいものだから。

フットサルネット MCじゃなくても、会場内にFM電波を飛ばして
ラジオを貸し出して聴きたい人は聴くという形でもいいかもしれないですね。

菊地 まあ、ここまで見てきて思ったのは、セントラルは相当難しいということ。

いろいろな人が"ノーケア"だったよね、こういう風になっちゃうなんて
思ってもいなかったはず。

試合は盛り上がらないし、集客も結構苦しいし、イベントを組み込むのも難しい。

フットサルネット リーグ側はセントラルよりも、各クラブがホームゲームの
開催をきっちりできるかを気にしている感じがあった。

橋爪 ちゃんと7試合をまっとうできるかということですよね。

フットサルネット これまでのフットサルはずっとセントラルみたいなもの
だったじゃないですか、基本的に。

その形にファンが慣れているから入れておこうというのもあったのかもしれませんが。

菊地 各ホーム会場でのセントラルというのもアリかもしれない。

8チームだから8節分はできないけど。

フットサルネット 中国リーグ方式ですよね。

  今シーズンの関東リーグのやり方は参考になるかもしれない。

各クラブに"ホスト開催"の節が割り当てられていて、
クラブがホームゲームを演出するというやり方。

エキシビションマッチで関東リーグ所属クラブのOB戦が行われて
盛り上がったとか。そういうやり方もあるんだなって。

菊地 「ストライカーDX」の対談レポートでもいったんだけど、
セントラルはリーグに含めないで1日ないし2日完結のトーナメントに
してもいいのかもしれない。

橋爪 「スフィアリーグみたいに」っていってたことですよね。

菊地 明確な目的があるほうが、地方開催には向いていると思う。

フットサルネット とにかくセントラルをどう盛り上げるかというのは、
来シーズンのFリーグの大きな課題になりますね。

Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第3回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第3回】
チームの総合力を決めるファクター

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。

 

フットサルネット 現在の順位はチーム力、
総合力とほぼ比例している感じになっているんですか?

  そうだと思います。

何年か前の関東リーグでブラックショーツが上のほうにいったりとか、
チームとしての環境が恵まれていなくても、
その試合の集中力で勝てていた。

でも、今はそれだけで勝ち続けるのは厳しい。

フットサルネット 本当にいろんなことの積み重ねの結果がピッチで現れているわけですねぇ。

Fリーグになったことによって、
そのファクターの数がものすごい増えている。

橋爪 花巻が名古屋にセントラル開催で0?4で敗れたっていう結果だけを見ると、
「なんだ弱いじゃん」って感じかもしれませんが、
裏を返せばあの状況の中で4点差に抑えてすごい、
ということかもしれない。

  彼らが名古屋に勝ったのはやっぱりホームに迎え入れたときだった。

どういう試合かは見ていないので詳しくわからないけど、
ホームの利点が確実にあるという証明だったと思います。

菊地 1年目でホーム&アウエーの色が出ているっていうのが、
すごく面白いことだと思う。

Jリーグと同じように、
Fリーグになるとリーグ全体を俯瞰的に見ることが難しくなてくる。

今のところ、Fリーグはセントラル開催があるから、
まだ8チームの状況を把握できているけども。

チーム単位で、それぞれの地域のコミュニティで盛り上がってください
というコンセプトがあるからこそ、チームを全国に散らしたわけじゃないですか?

今までは全日本選手権とか地域チャンピオンリーグとか、
全国大会を見ていればなんとなく全体の内容がわかってたわけじゃないですか。

これからはそういうのじゃなくなってくるから、
僕らも少し見方を変えないといけないかもしれないですね。

Jリーグが開幕した頃は各チームが平均的なまま進んだじゃないですか。

だけど、Fリーグの場合はそういうのじゃなくて、
最初から格差がある感じだったでしょ。

だって1チームだけ完全プロがあるリーグなんて、たぶんどこにもない。

どのスポーツにしても企業アマか、完全プロ。

いろんなタイプががごちゃまぜになってリーグがスタートしたのは、
かなり実験的だと思うんです。

  どこからが「プロ」かっていう定義が難しいですけど、
今の順位ってプロの人数の順位でもあるんじゃないかと。

まず1位の名古屋は全員プロですよね。

2位の浦安にしても主力級はほとんどセミプロといってもいい。

で、神戸も何気にプロ契約のような選手が7、8人いる。

逆にいうと湘南、町田はそういう選手が少ない。

菊地 神戸についていうと、このチームがここまで躍進しているのは、
やっぱりフットサルに「色」があったことだと思う。

最初は選手たちもチームのGMが「超攻撃的フットサル」を打ち出したことに対して半信半疑だったと思うんですけど、
それによって彼らの良さが引き出されて、
「自分たちは攻撃的に戦うんだ」っていうのがよりどころになっているんじゃないかな。

まあ、今日の大阪戦のパワープレーの守備みたいに穴もあるんですけど(笑)。

そういうところも含めて、神戸はリーグのMVP級の働きをしている。

フットサルネット ものすごい強そうに見えたのに、パワープレーをやられると途端に弱くなるっていう。

あれはビックリしたなあ。

菊地 それから、神戸の選手には技術があるでしょ。

2人に囲まれたりとか、イレギュラーなことが起こったときに、
自分の技術とフィジカルで解決できる。

そこがこれからのフットサルのベースになってほしいな、と。

同じ状況でも下位の方のチームって、焦って蹴っちゃったり、
無理にパスしてミスになっちゃったり、残念な感じになって、
すごくゲームの質が低く見えちゃうプレーをしてしまう。

だけど神戸の選手たちはそれが違う。

ポテンシャルの差は多少あるんだろうけど、
Fリーグにはそこまで下手な選手が集まっているわけではないんだから、
意識一つで変わると思うんですが。

  二人に囲まれた時に、そこの間をどう抜いてやろうか考えるか、
「怖い、怖い」ってなっちゃうかどうかの違いですよね。

菊地 そういう細かいところの技術が好きで、
この世界に入ってきてる選手が多いはず。

だから、もう一度その原点を思い出してプレーしてほしいな。

Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第2回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第2回】
ロマン派の視点

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。

 

フットサルネット Fリーグとの比較対象は、
昨シーズンまでトップリーグだった関東などの地域リーグということになりますよね。
地域リーグからFリーグになって、いろいろな変化が出てきていると。

でも、去年は同じメンツでやってたフットサルが面白かったのに、
同じメンツでやってるフットサルがFリーグになったっていうだけで
面白くなくなったと感じるのはどうしてなんでしょう?

ちょっと不自然にも思えるんですが。

橋爪 そこは各チームにプロの監督が来たからなんでしょうか。

監督はやっぱり結果残さなきゃいけない。

でも、負けてもいいから、
すごい面白いことをしようという監督はあまりいないように思います。

リアリストが多いというか「ロマン派」は少ない。

  ロマン派(笑)! でも、ほしかったですね。

こういうときに引き合いに出されるのがフトゥーロですよね。

ああいう、ある程度結果を度外視してでも、
自分たちのスタイルを貫き通す、っていうチームがいてもいい。

もちろん各チームがどんなフットサルをするかは、
フタを空けてみないとわからないことだったんですけど。

フットサルネット 湘南なんかロマンを感じさせる数少ないFリーグのチームかなと思ったんですけど。

菊地 でも、そもそも、そういうロマン派の人たちは、
Fリーグに参加することに興味がないんじゃないかな。

だけど、それって別に悪いことじゃない。

FリーグはFリーグで独自の目指す方向があるだろうし、
そういうファンを獲得していけばいい。

逆に今言っている話っていうのは、コアなファンの気持ち。

そういう人たちには、関東リーグという面白い、
しかもタダで見られるものがあるわけだから、
そっちで楽しめば全然問題ないと思うんですよ。

そことFリーグを比較したり、対抗させたりするから話がややこしいわけで。

いろんなフットサルがあってしかるべきなんだから、
日本の中でもそこで繋げなくてもいいのかなって。

フットサルネット なるほど。

橋爪 試合運びという点で変化を感じるのがラスト3分のところ。

これまでのフットサルは、20分ある時間の内のラスト3分からが本番という感じもあったんですが。

2点差、3点差ぐらいラスト3分で平気でひっくり返るのを何度も見てきた。

でも今は「たぶん何も起こらないだろう」っていう感じがしてしまう。

そこはスポーツとしては進化している部分ではあると思うんですけど。

  そうなっている、もう一つの要因がチーム間のレベル差ですよね。

例えば今日(1月12日)の浦安と湘南の試合だったら、
両チームの力関係から最後に何か起こるかもっていう期待はありましたけど、
どうにもならない、ひっくり返りようのない場合も多い。

フットサルネット 長野でのセントラルなんてそうでしたよね。

  長野開催はいちばん顕著ですよ。

5点差以上つけられたら、何も起こりようがないじゃないですか?

拮抗したゲームがある一方で、どうにもならない差を感じるゲームもある。

橋爪 ピッチの上での格差だけでなく、運営面も含めたチームとしての格差も、
最後のほうになって出てきているのかなと。

チーム名を出して申し訳ないけど、開幕3試合目ぐらいまで見たときに、
花巻は下馬評とはまったく異なる、覆す結果を出してくれるんじゃないかって
いう期待がものすごくあって。

第2節で町田に勝ったときはシュート決定率が高くて、
少ないチャンスをモノにしていくチームなんだと認識を改めた。

だけど、1巡目が終わったあたりから勝てなくなって、
ゴールすら遠くなって、今は最下位になってしまっている。

  ホーム&アウエーの影響も見逃せない。

これは一口に距離だけの問題じゃないんですよね、
移動手段とかも含まれくるし、そこはチームによってかなり違ってくる。

例えば、名古屋が湘南に行くときは、新幹線を使う。

でも、逆に湘南が名古屋に行くときは、
マイクロバスですし詰めになって5時間以上かけて行くわけですよ。

湘南のアウエーでの勝率が極端に低いのって、それと無関係ではないでしょう。

フットサルネット マイクロバスっていうのは、どのぐらいのサイズのですか?

  一人で1席使って、選手とスタッフ20人ぐらいでぎっしりになるぐらいです。

高校のサッカー部で使われる感じの。

フットサルネット 花巻もそんな感じなんですか?

橋爪 花巻は長野にはマイクロバスで来てましたよ。

ホームページで公開してましたから。

フットサルネット 前泊もしてないんですか?

  する場合としない場合がありますね。

大分なんて、町田戦のときは東京にその日の昼に着いて、
試合が終わったら帰ってましたから。東京と九州を日帰りですよ!

菊地 それはリーグ戦ならではのことで、
長丁場の戦いでやっぱりコンディションの波があったりとか、
序盤で息切れしちうようなチームもあるわけだし、
リーグ全体としてのおもしろさがあるから。

そういうことは、もっともっと知られていくべきだと思うんだよね。

橋爪 試合中のプレーだけじゃなく、
そのチームの置かれている状況とかも知られるようになれば、
見る側の興味も出てくると思いますし。

演出過多になってはいけないですけど、
お金持ちクラブ対貧乏クラブという構図をアピールしてもいいかもしれないし。


Fリーグ2007・最終節間近・座談企画 第1回



【Fリーグ2007・最終節間近・座談企画】


【第1回】

試合の面白さの軸が変化してきている

●座談会参加メンバー:
菊地芳樹氏(ストライカーDX)、橋爪充(フットサルLife)、北健一郎氏(ストライカーDX)
(以下全て敬称を略しています)

昨年の9月23日に開幕した、日本史上初のフットサル全国リーグ「Fリーグ」。
3巡するリーグ戦も2巡を終了した。(座談会開催時点)
優勝戦線も大詰めになり、なんだかんだ言ってもかなり絞られてきた感もある。

そこで今回は、ピッチ上で繰り広げられる「Fリーグ」の試合そのものについて、
そして、ホームアンドアウェイというフットサル史上初の厳しい環境での試合、地方でのセントラル開催という試みといったピッチ外での出来事などについて、深く深く語っていただいた。



フットサルネット まず最初にピッチ上での出来事の話からしてみたいなと思うんですけど。

Fリーグは9月23日に開幕して2巡目が終わって、
3巡目に入ってちょうど今大詰めを迎えているわけですが。

試合のレベルっていう軸もあれば、
ゲームとして面白いかっていう軸もあると思うんですが。

まず北さんはどう感じますか?

  ゲームとしての面白さということでいうと、
ピッチのテンションに引き込まれて腰が浮き上がり、
目まぐるしい試合展開にストピングしちゃう、っていう試合は少なくなったような。

1分先に何があるかわからないような試合っていうのは確実に減っていると思います。

裏を返せば、それはリスクマネージメントがしっかりしてきたということ。

各チームにプロの監督が来て、ゲームの流れを外から見れる人ができて、
ゲームの不確実性というか余白の部分が小さくなっている。

今思うと、これまでリスクマネージメントはほとんどないに等しいもの
だったのかもしれない。

名古屋にしても浦安にしても、
リスクをしっかり管理できるチームが出てきたのはもちろん好ましいんですが、
ゲームが面白くなるかというと、それはまた別の話で。

フットサルネット  Fリーグの今の試合を"ワンショット"でパッと見せられても、
「おっ」ってなるようなものがあまりないんじゃないかと。

長い目で見れば、これは次へのステップだとも捉えられるんですが。

橋爪 「フットサルって、こういうものだったけ?」って思う瞬間が、
Fリーグを見ていると時々あるんですよ。

北さんがいったように、
40分トータルでモノを考えられる監督がいるってことによって、
ゲームの意外性が失われていて。

フットサル=意外性の連続っていうのが僕の中でイメージとしてあったんですけど、
そこがだんだん崩れている。

そういうところに、一抹の寂しさは感じます。

レベルとの兼ね合いは難しいところですが。

  変な話し、僕らは"稚拙なゲーム運び"が好きだったんですよね。

橋爪 それはありますね(笑)

  お互いに脇が甘いというか、落ち着きのない試合展開が好きだった。

そこに魅せられたところはあるし。

橋爪 そうそう。フットサルの取材陣も、
そこが好きで入ってきたって方が意外と多いじゃないですか、おそらく。

だから取材する側もその部分で戸惑いがあるのかも。

もっとフットサルってこんなにおもしろいのに、
それが世間にこういう風に伝わってほしいのに、
目の前で行われているゲームはそれとは違うものだったりするケースが多くて......。

 菊地さんが、04年の世界選手権について
「フットサルの達人(学研・ストライカーDX特別編集)」というムックで
「フットサルははっきり言って、どんどんつまらない方向にいっている」
って書いていたじゃないですか? 

スペインの戦い方についてだったと思うんですが、
それともつながってくるのかなと。

フットサルネット どうですか? 菊地さん。

菊地 今はすごく中途半端になっていると思う。

エンターテイメントとしても、技術的にも。

日本のトップ・オブ・トップの選手が集まっているリーグではないから、
チームによってレベルのバラつきがあることが大きい。

例えば、浦安、名古屋のレベルが8チーム揃ってから印象って
違ってくると思うんですけど。

フットサルネット 私自身は現場で見ていないんですが、
北九州で行われた名古屋対浦安(4?1)は、たぶん今シーズンの
行方を決める試合だったと思うんです。

この試合の面白みは、これまでのフットサルの面白みとは......。

菊地 違うと思いますね。

いちばんは技術的なところ。他のチームとの比較になりますが、
まず単純なところでのミスがない。

スピード感もあるし、お互いに監督が策を練って出し合ってくる。

そういう面では全然違った面白さがあったと思う。

  僕があの試合とダブって見えたのが、第8回全日本選手権の
ロンドリーナとカスカヴェウの準決勝。

あの時もものすごい緊迫感があって、イージーなミスがあんまりなくて。

間違いなく当時のフットサル界の最高レベルだったと思うんですが、
あれはまたあれで別のおもしろさがあって。点はそんなに入ってないんですけど。

菊地 2-1でロンドリーナが勝ったんだよね。延長戦になって。

  その性質の面白さなのかなと。

一つのミスが命取りになる、張り詰めた緊張感の中でのゲーム。

フットサルネット リーグの大一番とか、事実上の決勝戦とか、
そういう状況を含めてのものですか。

橋爪 それは会場にいないと味わえないのかもしれない。

  あのピリッと引き締まった空気の中に身を置いていないと。

Fリーグ2007・第16節レポート「湘南」vs「浦安」

【第16節:2008年1月12日(土)開催 (代々木第一体育館)】
<湘南ベルマーレ vs バルドラール浦安>
 (文:北健一郎)

湘南ベルマーレ 1-1 バルドラール浦安
0-2
1-3



「シト・マジック」でピンチを切り抜ける

2008年の初戦となるこの試合は、2位の浦安にとっていきなりの正念場だった。1-4で敗れた首位・名古屋との試合で警告を受けた、ピヴォの20稲田祐介とアラの藤井健太が揃って出場停止に。4位・湘南とのゲームに主力2人を欠いて臨まなければなくなったからだ。

20稲田も藤井もチーム戦術上のキーマンでもある。

20稲田はチームにいるピヴォの中で唯一、前線でどっしりと張ってボールをキープできるタイプ。彼がピッチにいる時間帯はピヴォを起点に攻める。その他のピヴォの高橋健介、中島孝は幅広く動き回ってボールに絡むタイプで戦い方は変わってくる。

藤井のほうはチームのパス回しの中心になるとともに、セットプレーでは"スイッチャー"の役割も果たす。サインプレーをするのか、止めるのか、敵の出方を見てギリギリでプレーを変えることに関して、藤井の右に出るものはいない。ベンチにいるときでも、セットプレーになると藤井がピッチに入るのはそのためだ。

現在、浦安と名古屋の勝点差は「5」。直接対決は全て戦い終えているため、自力優勝の芽はない。それでも、浦安にはまだ優勝の可能性は残されている。そのためには残り6試合を何が何でも勝たなくてはいけない。

 

藤井と20稲田と入れ替わる形で、名古屋戦で出場停止だった小宮山友祐が復帰。GKの川原永光、市原誉昭、稲葉洸太郎、会田晃二と共にスタメンに名を連ねた。

湘南はこの試合も、負傷中の岡田ジオゴサントスがコーチとしてベンチに入り采配を行う。こちらもケガやコンディションの問題で伊久間洋輔、野嶋倫、奥村敬人といった主力を大幅に欠いた陣容。スタメンはGKに阿久津貴志、大地悟、豊島明、荻窪貴志、篠崎隆樹という組み合わせだ。

この試合が初出場・初スタメンとなった会田は「チームで4番目のピヴォ」(シト・リベラ監督)。2、3番目が高橋、中島だから、彼らをすっ飛ばしてスタメンに選ばれたということになる。ピヴォもアラもできる高橋と中島は、セカンドセットで一緒に使われていた。

シト監督はおそらく、ファーストセットは稲葉のドリブルにかけたのだと思う。前節で名古屋を相手にもドリブルで仕掛けてチャンスを作り出したように、稲葉は現在絶好調。1人でゴールを決められるだけの力を持っている。ファーストセットは稲葉のドリブルで、セカンドセットは高橋と中島のコンビで攻撃しようと思っていたのではないか。

前半、浦安は「サイドで1対1になったら勝負しようと思っていた」稲葉が左サイドでの1対1を2度制してシュートを打っていく。市原が「攻めあぐねたところはある」と語ったように、前に20稲田がいないため、横方向のパス回しが多かったのは確かだったが、それは許容範囲内といえるものだった。

13分に湘南の篠崎に先制点を許したものの、前半残り1分のところで、高橋のパスを中島が体ごと押し込んで1-1。

同点ゴールを許した前半最後の時間帯、湘南のセットは豊島明が11分から、篠崎が13分から、高橋祐、関新が14分から代わっていなかった。外から見ていても湘南の選手の足が止まり始めていただけに、ベンチが何か手を打っていれば、この失点は防げていたかもしれない。

 

後半もゲームの主役は稲葉だった。33分、湘南のGK阿久津がフィードキックを第2PK辺りにいた浦安高橋に"プレゼント"してしまう。これを高橋がゴール前左サイドに残っていた稲葉につないで難なく逆転に成功する。

1点リードした直後からシト監督が取った作戦が"ピヴォ・稲葉"。稲葉を前線に置いて、市原、小宮山、平塚雅史と守備的な3人で後ろを固める。1点差での逃げ切り、あわよくば稲葉のカウンターでもう1点を取れればという狙いだった。

すると35分、GK川原がボールを持った瞬間に「空いていたから。(川原のスローを)信じて走ろう」と稲葉が抜け出すと、川原からピンポイントのスローが稲葉とGKの間のスペースに放り込まれる。飛び出してきた阿久津を左にかわした稲葉は、倒れこみながらもシュートをねじ込み、決定的な3点目をもたらした。

湘南は大地をGKにしてパワープレー。だが、パワープレーのスペシャリスト奥村の不在が響いたか、有効打を繰り出すことはできず。浦安が3-1でゲームを"閉じた"。

シト監督は「内容が悪くても勝てる試合はある」とこの試合を評した。そして、こう続ける。「湘南が前線からプレスをかけてきたときに、我々のやりたいプレーができなかった。我々が披露できるレベルと比べても、そこまでの内容ではなかった。そういう意味でいい試合ではなかった」......といいながらも、その表情は満足気だった。

それは当たり前のことで、浦安が欲しかったのは何よりも結果。「内容が良くても勝たなければ意味がない」という小宮山の言葉は本音だろう。もちろん、内容がいいに越したことはないが、それは二の次。次の日の試合で名古屋が町田に勝ったことで勝点差は縮まらなかったが、浦安には全試合で勝つことしか道はない。

一方、これで3連敗となってしまった湘南。試合後の記者会見では、もはやお決まりのようになってきた「決定力不足」についての質問が飛び、出席したキャプテンの豊島は「気持ちの問題。それしかない」と切り捨てた。

この日の湘南のフットサルは内容的には決して悪いものではなかった。だが、この傾向は3連敗した全てのゲームに共通していること。3連敗の始まりはジオゴがケガで欠場してから始まっている。「決定力」の多くの部分をジオゴに依存していたという現実が、湘南に突きつけられている。

 

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