Fリーグ2007・第10節レポート「浦安」vs「花巻」

【第10節:11月25日(日)開催 (浦安市総合体育館)】
<バルドラール浦安 vs いわてステミーゴ花巻>
 (文・写真:北健一郎)

バルドラール浦安 4-1 いわてステミーゴ花巻
5-1
9-2


首位堅持しつづける浦安


連敗脱出なるか花巻神戸


"ひたむきさ"を思い出せ!

 Fリーグの8チームが発表されたときに、メディアを中心に懸念されていたことがあった。それが実績十分のチームと、全国的な実績のほとんどないチームでは、試合にならないのではないかということだ。

 その不安が現実になってしまった。浦安がホームに花巻を迎えての第10節。浦安のゴールラッシュに沸き上がってきた感情は「興奮」ではなく「退屈」だった。

 花巻は第7節で、プロ軍団・名古屋を破るという、ジャイアントキリングを演じた。僕自身はこのゲームを取材していないので、どんな内容だったかはわからないのだが、名古屋の猛攻に耐えて、数少ない決定機を生かしたであろうことは、容易に想像がつく。

 しかし、この日の花巻のプレーを見る限り、「このチームがどうやって名古屋に勝ったのか」は、最後までわからずじまいだった。試合後、マルコ・ブルーノ監督は「大量失点で負けた後に試合を振り返るのは辛い」といって、ため息をついた。内山慶太郎は「いつかこういう試合になる日が来ると思っていた」と肩を落とした。

 立ち上がり、花巻はまずまずのスタートを見せた。ロングボールとカウンターというシンプルな形から、浦安ゴールに何度か迫った。しかし、「今思えば最初はピヴォに当てるタイミングを探っていたのかも」と内山がいうように、浦安は花巻の出方をうかがっていた。5分過ぎから浦安が本領を発揮し始める。

 大量得点の口火を切ったのは、稲葉洸太郎だった。11分、藤井健太とのワンツーで右サイドを抜け出し、ゴール前へ飛び込んだ市原誉昭へパス。市原がつぶれたところのこぼれ球を、稲葉がアウトで押し込んだ。

 このゴールは、4人全員がほとんど一列に並んだ状態=クワトロ-ゼロと呼ばれる形から始まったもの。自分たちが並んでいるラインまで押し上げてきた花巻ディフェンスの裏を取った、鮮やかなプレーだった。

 14分には清水誠のボレーシュートの打ち損ないが、中島孝への絶妙のパスになって2点目。17分にはドリブルから右かわしてクロスに打った、高橋健介のシュートがゴールネットを揺らす。だが、その直後に一瞬気が緩んだか、花巻がCKから1点を返す。「あの形は警戒していたので、やられてしまったのは残念」(稲葉)。

 このまま3-1で折り返すことができれば、後半の花巻にチャンスはあったかもしれない。だが、前半終了27秒前、内山が「いちばん痛かった」と振り返る4点目を、稲葉に決められてしまう。中央でボールを持った稲葉が、敵の間に顔を出した藤井に当てて、落としを冷静に蹴り込んだ。

「ウチのスタイルで取れる限界が34点だと思う」と内山がいうように、3点差を取り返すだけの得点力も、そのための方法論も今の花巻にはない。ハーフタイムのロッカールームの雰囲気はまるで試合終了後のようだったという。何よりも、前後半の間の10分間で同点、逆転に導くための指示を出すはずのマルコ監督が「次の試合のことを考えていた」のである。

 

 後半、マルコ監督は3枚のイエローカードをもらっている主力選手の岩見祐介を後半ほとんど使わなかった。7-1となった残り6分からのパワープレーにしても、「これ以上点を取られないようにボールキープをする」ためのものだったと説明した。

 3点のリードを持っていながらも、ホームで浦安は攻めの手を緩めることはなかった。ゴールの"見本市"ともいえそうな、多種多彩なパターンから、花巻ゴールを5度も破ったのだった。

 市原の"ピヴォ当て"ゴールに始まり、パスカットから中島が1対1を決めて6点目。圧巻は7点目。浮き球を藤井がオーバーヘッドでゴール前の稲田祐介へパス。稲田のヘディングはバーに当たったものの、跳ね返りをしっかり決めた。8点目はCKからニアで高橋がヒールで流して、走り込んだ清水がプッシュ。9点目はパワープレーを前から追い込み、岩本がゴール。チーム生え抜きの「プリンス」のFリーグ初得点というおまけもついた。

 9点というのは、これまでの8点を更新する1試合のFリーグ最高得点。ゴールがたくさん決まることは、フットサルの魅力の一つでもあるし、お客さんも盛り上がる。だが、浦安の稲葉が「お客さんは逆につまらなかったんじゃないかな」というように、どちらかが一方的にゴールを重ねるゲームというのは魅力に欠けるのも事実だ。

 花巻のマルコ監督は記者会見の席上で、「東北という地の不利」と「選手の質」の問題を訴えた。フロントに対しては、3次登録での補強の必要性を訴えているという。とはいえ、ここまでの花巻のパフォーマンスに関しては、マルコ監督も「自分が期待した以上にやれている」というように、それほど悲観的になるほどのものでもない。

 だが、この試合の花巻には"ひたむきさ"が決定的に欠けていた。精神論といわれるかもしれないが、花巻のように1試合の多くを守備に費やすチームにとっては、集中力が勝敗を大きく左右する。名古屋戦の勝利はその最たるものといえるだろう。技術面や戦術面で劣るチームが勝つには、敵を上回る"ひたむきさ"があるのは大前提。今回の敗戦でそれを思い出せたなら、9失点という授業料は決して高くはないはずだ。

 

 

Fリーグ2007・第10節レポート「町田」vs「神戸」

【第10節:11月23日(祝・金)開催 (町田市総合体育館)】
<ASVペスカドーラ町田 vs デウソン神戸>
 (文・写真:北健一郎)

ASVペスカドーラ町田 2-3 デウソン神戸
3-3
5-6


下位に低迷し連敗は避けたい町田


下馬評を覆し優勝戦線に絡む神戸


神戸の「個の力」

 3分、神戸が自慢の「個の力」をわかりやすい形で見せつける。中央でドリブルで突っかけた原田浩平が目の前の敵をマルセイユルーレットで右方向にかわしてシュート。これが日本代表ゴレイロ石渡良太の牙城を破り、神戸が敵地で先制点をゲットする。

 しかし5分、町田は森谷優太が敵を引き連れながら右サイドのスペースへドリブルで持ち込み、腰をひねりながらファーサイドへシュートパス。これを相根澄が軸裏で合わせて1-1の同点に。34才の"元祖セリエAプレーヤー"相根にとっては、これがうれしいFリーグ初ゴールとなった。

 町田と神戸のフットサルは対照的といっていい。初めてフットサルを見た人でもすぐにわかるだろう。単純に言葉にすれば町田が「組織」で、神戸が「個」ということになる。

 開幕前は誰もが予想しなかった神戸旋風の立役者となったのが、1点目を決めた原田と、伊藤雅範が「Fリーグでナンバーワンのドリブラー」と評するブルノである。この選手は"お客さんを呼べる選手"。とにかくフェイントパターンが多彩で面白い。一度見ただけでは、何をやったかわからないものさえある。

 1-1で迎えた9分、2点目を手にしたのは神戸のほう。町田のFKのこぼれ球を山元優典が球際でスルッとかわすと、敵陣にいるのは戻りかけている狩野新とゴレイロの石渡良太だけ。右前方にはぽっかりとスペースが空いている。この場所で山元のパスを受けた田中智基が、左足インサイドで左下に冷静に流し込んで2-1。

 「アフロ」から「侍」ヘアーに"イメチェン"した田中は、敵将から「高いスキルを持っている」と名前が挙がったように、この後も静岡学園出身ならではの、左足のボールテクニックで町田を苦しめた。

 神戸のテクニシャンたちに触発されたのが、町田が誇る「日本フットサルのカリスマ」こと甲斐修侍だった。12分、フランキが左サイドで仕掛けてきたドリブルをストップすると、そのままドリブルでゴール前へ。ゴレイロと対峙すると、左横にいた相根へのパスと見せかけて、左足裏で右側にかわして、無人のゴールにシュート。2-2。

 ここで神戸はタイムアウト。鈴木監督は選手たちに「慌てずにいこう」と話したという。神戸のタイムアウトの使い方は、戦術的な修正を施すというよりは、1分間で選手たちを肉体的にも精神的にもリフレッシュさせるためのものだったように思う。

 タイムアウトから1分後の13分だった。左サイド奥のブルノ、手前のフランキとつないで、中央の伊藤がボールを持つ。伊藤はピヴォの位置にいる原田の左前方のスペースを狙って縦パス。これに素早く反応した原田は、久光重貴のマークを振り切り、左足シュート--これが逆サイドのポストの内側に当たってゴールイン。

 その後はお互いに1本ずつ第2PKを蹴りあうも、神戸ブルノ、町田横江のどちらも決めることができず、3-2、神戸リードで前半終了。

 

 後半の開始早々、神戸にアクシデントが起こる。原田がゴール前で相手ゴレイロの石渡と接触して、右足首をねん挫してしまったのだ。ピッチから担架で運ばれた原田は、それ以降ピッチに立つことはなかった。

 絶対的なエースである原田がいなくなる--。このアクシデントに対して、鈴木監督が出した答えは「何も変えない」だった。ドリブルが持ち味のアラ脇真太郎を原田の位置にそのまま入れたのだ。22分、鈴木監督が「選手たちの気持ちに余裕を与えた」と語った4点目を決めたのが、その脇だった。

 町田にとって誤算だったのは、後半のキックオフから5分で、ファウルカウンターが5個目まで積み上げらたこと。それによって「タイトにいけなくなった」(バイアーノ監督)のは、ハイプレスを主戦術とするチームとって痛かった。ハイプレスは積極的にチェックにいくぶん、どうしてもファウルが多くなる守り方だからである。

 ゲームが再び動き出したのは31分、神戸のほうも5ファウルになってからだった。町田に立て続けに第2PKのチャンスが巡ってくる。32分のは横江が外したものの、33分のは後呂康人がゴール真ん中に突き刺す。3-4と1点差に詰め寄る。

 だが、ゲームはここから「フットサル」というよりは「ファイトサル」になってしまう。試合終了後に町田と神戸の選手が乱闘寸前までいった原因は、レフェリーの不安定なジャッジにあったと思う。「基準がない」とある選手が口にしたように、どこまでがファウルでどこまでがファウルではないのか、判定基準が曖昧だったのは否めない。

 町田は35分から狩野をゴレイロにしてパワープレー。狩野の近くに甲斐、滝田(相根)を配して小さなトライアングルを作ってパス交換をして、敵がたまらず食いついたところで、コーナー近くの横江、金山友紀に出すという狙い。他のチームでは見られないユニークな形だ。

 だが、36分にフランキにパスカットから独走を許して5点目、37分にはCKからブルノに6点目を決められ、傷口を広げる結果になってしまう。39分に横江が左サイドからのシュートと、第2PKによって1点差まで追いつめたが、6点目を奪うことはできず。湘南戦の3-4に続く、ハイスコアでの1点差負けとなった。

「超攻撃的フットサル」を掲げていた神戸だが、今日の6点はこれまでの最多得点を3点も更新するもの。それでも、1点差勝負をモノにするというのは、これまでの勝ちパターンと重なる。2連敗の後の2連勝で暫定3位にまで順位を上げた彼らの強さはどこにあるのだろうか。

 神戸の強みは「個の力」だといわれるし、実際に個人個人の能力は高い。 鈴木将方監督によれば、開幕から2カ月が経った現在でも、「戦術的な練習はしていない」という。

 関東リーグの強豪を渡り歩き、日本代表にまで上り詰めた伊藤のコメントが興味深い。「フットサルを始めたばかりのころのほうが、1対1の強さがある。フットサル化されていく中で、そういうものが消えてしまうのは残念」。

「フットサル化」という言葉は、「パス回しが優先されること」と置き換えてもいいだろう。「フットサルとはこういうもの」というセオリーを覚えることによって、得るものがある一方で、失うものも確実にあると伊藤は警鐘を鳴らす。

 個を組織が上回れば、その組織を上回る個が現れる、その個を抑えるための組織が編み出される--という現象はサッカーでもフットサルでも共通である。だが、個で勝ち進むチームが出てこなければ、そんな発展も起こりようもない。

 「個の力」という言葉ですぐ思い浮かぶのは、ブルノ、原田の突破力だろう。だが、「個」とは必ずしも1人でのプレーだけではない。例えば、前半の15分過ぎから、それまでハイプレスだった神戸のディフェンスはハーフラインまで下がった。てっきりベンチからの指示だと思っていたが、これは「引いた状態でもハメられると思ったから」(山元)と選手たちが判断したのだという。

 試合の状況に応じて、ピッチにいる個人で判断して、それを実行できる。それができるチームはFリーグの中でどれぐらいあるだろうか。

 彼らのプレースタイルを、「個の力」だけで片付けてはもったいないない。僕はFリーグに神戸のようなチームがあって良かった、とさえ思う。

Fリーグ2007・第9節レポート「名古屋」vs「浦安」

【第9節:11月17日(土)開催 (東スポーツセンター)】
<名古屋オーシャンズ vs バルドラール浦安>
 (文:菊地芳樹)

名古屋オーシャンズ 2-1 バルドラール浦安
2-1
4-2



 大注目の首位攻防戦を見に、名古屋へ向かった。途中、町田対湘南の劇的な試合展開を知り、「しまった! 面白いところを見逃したっ!」と思ったのだが、こちらの試合も息を尽かせぬ緊迫した展開で、非常に面白かったことを報告したい。

 名古屋が気合いで浦安を打ち破り、独走をひとまず食い止めたゲームになった。

 両チームの先発メンバーは、名古屋が定永久男、北原亘、前田喜史、丸山哲平、森岡薫。浦安は川原永光、市原誉昭、藤井健太、稲葉洸太郎、稲田祐介だった。名古屋は開始直後に前田とボラが交代。すると、開始35秒に右から左へ展開したところを、ボラがカットインしてシュートを決め、いきなり先制ゴールを決める。

「浦安が、稲田、藤井、稲葉と、オフェンシブなスタートだったのを見て、こちらはスキがあったら、ボラに1対1を仕掛けさせようという狙いだった」と、館山マリオ監督は、してやったりのコメント。その後もボラや森岡が、積極的に1対1を仕掛けてからシュートを放ち、浦安GK川原を忙しくさせた。

 浦安は3分にスーパーゴールで同点。自陣からのロングボールを、前に走りこんだ稲田が、右サイドからダイレクトボレーで決める「ファンバステンシュート」をぶち込み、会場を黙らせた。

 しかし、名古屋は7分に左からのCKを、同サイド受けた小山剛史が、中にドリブルして思い切ってシュート。川原は反応したものの、後ろへコロコロと転がりゴールが決まる。名古屋が再びペースをつかむ。

 浦安は高い位置からのプレスで、何とかリズムを取ろうとするが、その後のゴール前のシュートシーンは圧倒的に名古屋のほうが多く、しかも決定機も少なくなかった。川原が、まるでイラン戦のような「スーパーセーブモード」に入っていなかったら、数々のピンチを救えずに、かなり点差の開いたゲームになっていただろう。

 そんな浦安が、前半残り1分半のところから、岩本昌樹をGKにパワープレーをやってきたから驚いた。1本危ないカウンターを受けたものの、3本のシュートを放ち(いずれもGKの正面を突いてゴールならず)、ペースを握った。確かに攻撃のチャンスは少なく、ここで追いついておかないと、浦安は後半の展開が厳しくなると思った。ところが、これは元々のプランだったようで、シト・リベラ監督によれば、「こちらがフィジカル面で劣ることも出てくるかもしれないので、彼ら(名古屋)を2倍走らせたかった」意味合いが強かったという。

 そんなわけで、お互いにいろいろと策を講じてくるし、ゴール前のシーンの繰り返しになったものだから、ずっと肩に力が入る感じで見ていて、やっと呼吸できたかのようなハーフタイムになった。

 

 後半は、浦安が執拗に続ける前からの守備に、名古屋の足が止まりだし、ボールが回らなくなってきた。浦安のシュートシーンが目立ってくる。しかし、先に取ったのは名古屋のほうで、23分に浦安の連携ミスを奪ってボールを縦につなぎ、またしてもボラが1対1を左から中へかわして豪快なシュートを決めた。

 ここからも目まぐるしい戦略ゲームだった。追いかける浦安はピボの稲田を引っ張り、そこにもう1人のピボ中島孝と、最近はアラ起用だが元々ピボの高橋健介を加えた、「3ピボ体制」の時間帯を作って、相手を揺さぶりにかかる。対して名古屋は、フィクソの上澤貴憲が出ていたところに、もう1人のフィクソ北原を入れるなどして守備を強化。結果は、30分に浦安稲田がゴール。右前に抜け出しシュートを打ち、GKが弾いたところを左足で再シュートして決めた。

 それでもすぐ後の31分に、名古屋はカウンターから右サイドへ回し、北原がファーサイドへシュートパス。これがマークしていた浦安藤井に当たってコースが変わり、ゴールへ入った。再び2点差。浦安は、ここでタイムアウトを入れて、パワープレーを開始する。自信を持っているこのパワープレーで、名古屋は自陣ゴール前に釘付けに。そこでマリオ監督は、比嘉リカルドにGKユニフォームを着せてパワープレーの準備をさせた。結局比嘉はこの後出てくることはなかったのだが、相手へのけん制にはなったし、面白い光景だった。

 しかし今日の浦安のパワープレーは、パススピードが遅く、ミドルシュートも枠へ飛ばなくて、ゴールの可能性をあまり感じさせなかった。それに、名古屋のボラの、前線でのスピードとリーチのある守備が効いているように見えた。そのせいで浦安が何とかつないでゴール前に運んだボールも、名古屋の後ろの選手のカバーが間に合って、ギリギリのところでカットされた感じだった。

 ゲームはそのまま4-2で試合終了となり、名古屋が勝利。首位浦安との勝点差を2に縮めた。名古屋は、今日は形云々よりも、とにかく勝点3を目指して、気持ちが前面に出たゲームだったと思う。「チームが一つになって戦えたのがよかった」(マリオ監督)。動いてかき回すフットサルは、浦安のプレスにあって前回の対戦よりむしろ押さえられてしまった印象だが、従来の強みであった個人の強さを、うまく生かして勝利した。今後のステップアップの、きっかけにしたいようなゲームだっただろう。

「勝っても負けても首位で終われることは考慮した」(シト・リベラ監督)という浦安は、そんな名古屋の気合いをまともに受けてはいけないと、早め早めに仕掛けていった感じだった。負けはしたものの、チームとしてはさらにゲーム経験を積んだようになり、初の敗戦も無駄にしなかった。この後のリーグ展開、順位争いと共に、雌雄を決することになるだろう、第3ラウンドでの攻防が楽しみで見逃せなくなってきた。

ただ、残念だったのは、会場の器が小さくて、満員だったのに観客数は934人と、1000人入らなかったこと。この日は他競技と使用が重なって、広い会場を押さえられなかった経緯があった。そこにこんな好ゲームが入ってきてしまった。これは「引きが弱い」というべきなのか! 嘆かずにはいられない。

Fリーグ2007・第8節レポート「町田」vs「大阪」

【第8節:11月11日(日)開催 (駒沢屋内球技場)】
<ASVペスカドーラ町田 vs シュライカー大阪>
 (文・写真:北健一郎)

ASVペスカドーラ町田 3-1 シュライカー大阪
5-3
8-4


2巡目を迎えて巻き返したい町田


最下位にあえぐ大阪どうでる


露呈した「対応力」の差

 Fリーグは今節から2巡目に突入する。第8節4試合のカードは開幕戦と全く同じ。開幕戦ではこのカードは7-3で町田が快勝、Fリーグ初勝利チームになっている。

 町田が石渡良太、滝田学、横江怜、狩野新、ホンダ・マルコス(ジャッピーニャ)、大阪が戌谷進、西野宏太郎、岸本武志、瀬戸彬仁、西裕輔でスタートしたこの試合。大分戦と同様に町田の1stセットは素晴らしい立ち上がりを見せる。
 
 3分、ピッチ中央でパスカットしたホンダ・マルコス(ジャッピーニャ)が左の横江怜へパス。ドリブルで前に運んだ横江からのリターンを、ジャッピーニャが体ごと押し込んだ(大阪の選手に当たったようにも見えたが、記録はジャッピーニャ)。5分には、左サイドから横江が右スミに左足シュートを突き刺し、2点目をゲット。

 町田のバイアーノ監督の選手交代は基本的に2セット。狩野、横江などスピードのある選手を揃えてアグレッシブにプレーする1stセットは「急」、甲斐修侍を中心としたパス回しが特徴の2ndセットは「緩」。セットの使い分けで「緩急」をつけている。

 「最初から相手を翻弄(ほんろう)することを心掛けていきたい」とバイアーノ監督が語ったように、「急」の1stセットを先に使うことよって、ゲームの流れを引き寄せるのが町田の狙い。1stセットの横江も「先制点がとれたらゲームを自分たちのペースで進められるから、そこにはこだわっている」と話している。

 ここまでの町田は5分間隔で選手を交代していたが、「1stセットが良かったので」(バイアーノ監督)スタメンが全員入れ替わったのは、キックオフから約10分後。すると13分には、甲斐のパスが敵に引っ掛かってこぼれたボールを、相根澄がダイレクトでゴール前へ。シュート性の浮き球に久光重貴が頭から飛び込み、「緩」セットで3点目を奪う。

 前節と同じく、3点を先取した町田。俄然有利になったのは間違いないが、「3点目をとったあとに集中力を欠いたことが課題」とバイアーノ監督が語るように、3点差がついてからは徐々に大阪の攻撃を許すことになった。

 大阪の攻撃の中心は、アドリアーノ体制になっても変わらず岸本。開幕からしばらくは左足のケガで思うようなプレーができなかったが、「今季初めて思い切りシュートが打てる状態になった」と本人が語ったように、左足の状態はかなり良くなったようだ。その証拠に18分には、第2PKで力強いシュートを右スミに決めている。

 

 後半も前半と同様に出入りの激しい、アップテンポなゲームになった。チャンスがお互いに訪れるので、僕は記者席でメモをとるのに大忙し。それに輪をかけたのがアドリアーノ監督の采配。とにかく分刻みでコロコロと入れ替えるのである。アドリアーノ監督によれば「マークがうまくいっていないから」とのこと。

 町田は26分、コーナーキックからジャッピーニャが追加点を挙げて4-1とする。このゴールはサインプレー。最初にコーナースポットに立っていた滝田と、狩野が入れ替わり、滝田に注意を引きつけたところで、狩野は速いボールでファーサイドのジャッピーニャへ。敵のマークのズレをついた。

 大阪は残り約11分でタイムアウトをとると、そこから西野をGKにしてパワープレーを開始。バイアーノ監督も「マークのバランスが崩れた」と語ったように、ここまでガッチリと敵をつかまえていた町田が、パワープレーになったことでつかまえきれなくなる。右サイドの後ろに陣取った岸本が中にパスを出す形から、何本かチャンスを作る。

 だが、大阪は32分に町田に6つ目のファウルを与えてしまい、第2PKを横江に決められ、5-1と4点差まで離されてしまう。岸本が「あきらめるな!」と手を叩いてチームを鼓舞する。

 ここで大阪はパワープレーで岸本を右から左に配置転換。すると、その1分後、左サイドから岸本が打ったシュートを石渡がファンブル。3点差になったが、その30秒後、パスミスから横江にこの日ハットトリックとなるゴールを決められてしまう。なかなか点差を縮めることができない。

 この辺の詰めの甘さは大阪の致命的なところだろう。前身のマグ時代は点差をつけられてからの追い上げがウリだったが、対戦相手にプロ監督がいる中では、これまでのように何度もチャンスを与えてはくれない。その後はお互いにディフェンスが"ユルユル"になって、2点ずつをとりあい、開幕戦と同じ4点差の8-4でタイムアップ。

 この試合の勝敗を分けたもの。それは「対応力」だと思う。例えば町田は、前半の立ち上がりはディフェンスはハーフコートでのゾーンで入った。だが、大阪が前からのプレスをいやがるところを見せるやいなや、ハイプレスのディフェンスに切り換えた。前から押し込んでいった結果、1点目、2点目は生まれている。

 それに対して大阪は「前から来られたり、違うディフェンスをされると、練習してきたことができなくなる」(岸本)。実際にプレスに来られると、ボールをつなげずに、タッチの外に蹴り出す場面も多かった。

 相手の弱点を見抜き、何をするべきかを素早く判断し、実行した町田。それに対して対処することができなかった大阪。現段階では両チームの「対応力」には大きな差があるのは事実だろう。だが、それも無理はない。「開幕から同じ監督でやってきているチームと、これから立て直すチームでは差はあると思う」と西村竜司がいうように、プロ監督の下で過ごした2カ月は町田を大きく成長させている。

「結果が出るまでには時間がかかると思う」と岸本はいう。府中AFC時代もアドリアーノに教えられたチームが結果を出すまでには、1年以上かかった。アドリアーノの目指す「人もボールも動くフットサル」を、「フットサルの基礎的な部分がまだできていない」(岸本)という大阪が、どれぐらいのスピードでモノにできるかは未知数。それでも、大阪が最下位に甘んじているチームではないのも、また事実である。ズタズタになった"関西王者"はプライドを取り戻すことができるのだろうか――。




バイアーノ監督(町田)
早い時間帯で3点をとれたのがアドバンテージになって、その後のゲームが作りやすくなった。3点目をとったあと、集中力を欠いた部分があり、シュライカーにチャンスを与える場面が増えてしまった。ただ、ハーフタイムに話をして、後半からはペースを引き戻すことができた。いくつかのジョガーダ(サインプレー)もできた。だが、相手が残り9分ぐらいでパワープレーをやってきて、マークのバランスが崩れた。すぐに修正ができて、点を入れられたが、点を取れたのは良かった。今日、特に良かったのは(相根)澄。彼が利いていて、今持っている100%を出してくれたと思う。


アドリアーノ監督(大阪)
試合前のチームの雰囲気はよかったが、ゴールが入ってから、ゲームプランがくずれてしまった。私たちのパス回しのミスをつかれて、ペスカドーラに3点をとられ、モチベーションの切り替えができなかった。

Fリーグ2007・第7節レポート「町田」vs「大分」

【第7節:11月3日(土)開催 (町田市総合体育館)】
<ASVペスカドーラ町田 vs バサジィ大分>
 (文・写真:北健一郎)

 
ASVペスカドーラ町田 5-0 バサジィ大分
3-0
8-0


中心を欠くホーム町田


大阪に大勝後に乗り込んだ大分

町田、"日帰り"大分に8点差大勝

ズドーン、ズドーン、ズドーン!

開始2分での3連続ゴールに始まり、終わってみれば町田がFリーグ記録となる8点差での大勝。前節、6試合目にして初勝利を挙げた大分をコテンパンにやっつけた。ちなみに、町田はプレマッチから数えて3試合目での"本拠地"町田市立総合体育館での初勝利だっただけに、試合後の関係者の表情には安堵の色が広がった。

この試合は互いに看板選手を欠いた中でのゲームとなった。町田は4-5という激戦となった浦安戦の"代償"として、甲斐修侍が累積警告で出場停止、金山友紀、松原君守も負傷して欠場。一方の大分は超攻撃的ゴレイロこと青柳佳祐がいない。これは日本選抜チームのメンバーとして、マカオで行われているアジアインドアゲームズに参加していたため。

GKは元々のレギュラーの石渡良太がいるので問題ないが、甲斐と金山はプレー面でも精神面でも誰もが認める町田の中心選手。また、基本的にメンバーを(ほぼ)固定した2セットで戦ってきたため、選手構成が崩れるのも気がかり。逆に大分のほうは大阪戦で先発した後藤が、青柳の不在を感じさせない素晴らしいプレーを見せたとのこと。となれば、初勝利で勢いに乗る大分とのゲームは、かなり拮抗するのではないかと思っていた。

町田のスタメンはGKが石渡、FPが滝田学、横江怜、狩野新、ホンダ・マルコス(ジャッピーニャ)。大分はGKが後藤臣一、FPが白方秀和、濱大樹、江口学、松田マルシオと、勝った前節と全く同じスタメン。ベンチには境監督の横にコーチ登録の千綿リカルドが座る。

均衡状態は開始1分23秒で破られる。最後尾の濱が左に展開しようとしたパスをジャッピーニャがカット、そのまま持ち込みGKの手前でファーの狩野にパス、これを難なく決めた。2点目はそれから約20秒後、ジャッピーニャが右サイドからカットインして、左足シュートをファーサイドネットへ決める。2分にはキックインから滝田がシュートしたボールが、ゴール前の大分選手に当たってゴール。ポンポンポンと面白いようにゴールが決まっていく。

「コンディションが整っていないな、とアップのときから感じていた」という、境大輔監督の不安が現実のものとなってしまった。チームはこの日の朝に大分から移動して、試合後すぐに帰るという強行軍。境監督は「全てのチームが同じ条件だと思うが」と前置きしたが、実際のところ"同じ条件"ではない。大分は全チームの中で最も移動距離の長いチームであり、また、チーム事情で前泊できるところ、そうでないところがある。厳しい言い方かもしれないが、それも含めての「チーム力」なのだ。

 

ともかく、開始2分の3点で実質的に勝負は決まったといっていい。フットサルで3点がセーフティーリードかといえば、全くそうではないが、前節7点を挙げた大分の攻撃は「必然性」に乏しいものばかりだった。

大阪戦ではGKからのロングスローでマルシオが3点を決めたが、この日チャンスになったのは前半終了間際にマルシオがボレーを打った1本だけ。「相手のロングスローが入った場合のGKとFPの担当エリアを決めておいた」(狩野)という町田ディフェンスの対応策が上回ったといえる。

また、大分といえばサッカースキルの高さを生かした個人でのドリブル突破が一つのウリ。だが、大分選手のプレーを見ていると、「サッカーみたいだな」と思うことがしばしばある。例えば、仁部屋和弘。彼のドリブルは切り返しがメインだが、ボールの動かし幅が大きい。そのため1枚目の敵はかわせても、そのボールを2枚目の敵に拾われてしまう。サッカーから転向して数カ月の彼は、インサイドとアウトサイドを使ってのプレーがほとんど。ボールの動かす範囲を微調整できる、足裏でのプレーを覚えれば、一気に怖い選手になると思うのだが。

15分、仁部屋のシュートがブロックに来た狩野に当たって、大きく跳ね返ったボールが前に出ていた後藤の頭を越えてゴール。町田にとってはラッキーな追加点。16分には、横江が浮き球のCKをペナルティーエリアの外からダイレクトボレーで叩き込む。後半には後呂康人、森谷優太など、「これまでチャンスに恵まれていなかった選手」(バイアーノ監督)のゴールも生まれた。

早々と試合が決まっても最後まで意欲的にプレーしたのは素晴らしいし、若手の選手にとっては今日のゴールがブレイクのきっかけになるかもしれない。それでも、この日の町田を手放しで誉めることができないのも事実である。

バイアーノ監督も「ミスをなくすることが大切になる」と語っていたが、ミスは減ってきてはいるが、まだまだ多い。しかも、攻撃の最終局面でのミスではなく、パス回しの初期段階でのミスが目立つ。イージーミスをすることは、ゲームの流れを相手に渡すことにつながってしまう。その相手が強ければ、それが勝敗の分かれ目になりかねない。一人ひとりが、一つひとつのプレー精度を上げることが今後の町田の課題になるだろう。

明るい材料もある。その中でも最大の収穫といえるのが、狩野と横江というチームの次代を担う選手が、「主軸」と呼ぶにふさわしいプレーをしたこと。狩野はキャプテンとして攻守でチームを牽引しているし、横江は神戸戦を除いて全試合得点。甲斐、金山がいない中で、しっかりと結果を残したことは、彼らにとって自信になったはずだ。

プレマッチでは1勝もできず、第2節からは花巻、神戸、名古屋に3連敗。だが、チームは「底」の状態から這い上がり、確実に上向いてきている。バイアーノ監督と共に目指している方向性は間違っていない。休む間もなく突入するFリーグ2巡目。そこで"主役"になる可能性を、町田は秘めている。


バイアーノ監督(町田)
早い時間に3点を取れたことが、このゲームのポイントだったと思います。その後も自分たちのゲーム運びができたことは良かった。ただし、湘南戦、浦安戦よりも明らかにパフォーマンスは落ちていたと思います。常に湘南戦、浦安戦のようなゲームができるようにしていかなくてはいけません。
(甲斐、金山の不在について)長いリーグ戦の中ではよくあること。チャンスに恵まれていない選手もいたので、彼らには「このチャンスを生かせ」と練習中からいっていました。ゲーム運びやメンタルコントロールでまごついたところがあったが、いいプレーをしてくれたと思う。
(1巡目を振り返って)1巡目では計算外だったゲームが何試合かありました。ただ、最終的には調子が上がってきているし、今やっている道は間違っていない。これからのリーグ戦は全て勝つつもりで頑張りたい。


境大輔監督(大分)
コテンパンにやられてしまったので、頭が混乱していて感想が出ないんですが......。コンディションの問題はかなりあったとは思います。アップのときからコンディションが整っていないなと感じていました。
(立ち上がりの3失点について)雰囲気的には良かったんですが、気持ちに体がついていかなかった。立て続けに3点入ってしまったときは、(マークが)ボケすぎているし、腰が完全に浮いていた。試合に入れていなかった。

Fリーグ2007・第7節レポート「湘南」vs「神戸」

【第7節:11月3日(土)開催 (小田原アリーナ)】
<湘南ベルマーレ vs デウソン神戸>
 (取材・M.Minagi)

湘南ベルマーレ 2-1 デウソン神戸
1-1
3-2

連敗脱出なるか湘南


1点差をモノにする強さの神戸

引いて守る湘南が見せた勝利への執念

試合前には、神奈川県女子フットサルリーグの試合と、南葛YJシューターズ×SPAZIOのエキシビジョンマッチが開催された、湘南ホームの第7節は、現在1点差の試合を3連続でものにしている好調・神戸を迎える一戦となった。

神戸はよくボールを動かし、運動量も豊富。対する湘南は、カウンター主体という形態で試合が進んだ。

神戸は前からのチェックの出足も鋭く、湘南はボールの出し所がない感じで、ジオゴ、沖村、野嶋あたりの個人技だのみのカウンターでチャンスを作る。

試合は序盤から湘南が思った以上に引いてきたということもあり、神戸はボール回しからピヴォを狙っての攻撃、ブルノの個人技などゲームを主導権を握る。

しかし前半2分、神戸がピヴォに当てたパスをジオゴがカットすると、左サイドの野嶋に出し、自らリターンを神戸ゴール正面でフリーで受け、序盤で湘南が先制ゴールを決めた。

神戸も前半13分にうまくボールを回しながら右サイドへの縦パスに走りこんだブルノがDFと競り合いながらシュート性の折り返しパスを出す。そこに走りこんだ原田がうまく決めて同点とした。

湘南はキックオフからすぐさま左サイドの野嶋が決めて突き放す。





後半に入って3分、神戸はピヴォに入ったボールを足裏で左サイドに走りこんだ伊藤にパスが渡るとこれを伊藤が落ち着いて決めて再び同点とした。

ところがそれから2分後、湘南の沖村が自陣ゴール前のシュートをカットし、そのまま単独で持ち込み、神戸の意表をつくトーキックシュートを放つ。キーパーかろうじてこれをはじくが、このプレーで得たコーナーキックを再び沖村が決めて勝ち越しゴールとした。

神戸は、運動量の落ちた後半の終盤は行ったり来たりが多くなったときもあったが、最後まで自分たちのスタイルに徹していた。試合内容から神戸が勝ってもおかしくない展開だったが、最後までシュートを決めきれなかった。

逆にリードしてからの湘南は防戦一方だったが、魂のこもったディフェンスで神戸の猛襲を退けた。



湘南・朴海剛監督
ここ2試合連敗していたので、流れを変えたく、試合内容にこだわらず、勝ちにこだわった。

神戸・鈴木政紀監督
出来は悪くなかったが、シュートの精度が悪かった。
普段、自分たちのやっているフットサルをやろうと試合前に声をかけた。




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