第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 FIRE FOX vs PREDATOR

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・3日目決勝Tレポート2
   <レポート/写真>北 健一郎

準々決勝 1/28 舞洲アリーナ
FIRE FOX
(関東4・東京)
2 1-0 1
1-1
PREDATOR URAYASU FUTSAL CLUB
(関東1・千葉)


「最多優勝」と「前回覇者」という金看板を背負いながら、お互い1次ラウンドではピリッとせず。FIRE FOX(ファイル)は東北代表のDEAR BOYS(ディア・ボーイズ)に、PREDATOR FUTSAL CLUB(プレデター)は東海代表のPria Grande(プライア・グランジ)に、それぞれ1点差負けを喫した。この結果、プレデターがワイルドカードに回ったため、「駒沢行き」のキップを懸けて関東代表同士がつぶし合うことに。

ファイルは伊藤雅範が出場停止。前線の起点となるスタメンピボの穴埋めに、チョコマカと動き回るアラ吉成圭をスタメン起用したのは、完全にDFを意識してのもの。稲葉洸太郎と共に前でのDFに長け、カウンターの出足も良い吉成。これは数少ないチャンスをモノにして勝つ、というファイルの気持ちの表れだろう。

ゲームのボールポゼッションは6対4から7対3でプレデターというところ。だが、パス→トラップ→パスを同じリズムで繰り返すプレデターの攻撃には「怖さ」が感じられない。例えば、関東大会でのCASCAVEL TOKYO(カスカベウ)戦のようなフィクソの選手がピボの位置でプレーするような流動性もない。

すると11分、ファイル・松村栄寿監督の采配が先制点につながる。プレデター高橋健介が自陣でボールキープしているところを、「最初にイメージしていたところに人がいなくて、ボールを持ち直した」(高橋)瞬間に吉成がカット。すぐさま中央のスペースにパスすると、走り込んだ小宮山友祐がダイレクトで左足トーシュート! 低弾道のボールが日本代表GK川原永光の壁を破った。

プレデターがチャンスを作り出したのは、前半の"後半"のこと。16分、中央相根澄→左市原とダイレクト2本でのお膳立てを、ファーサイドで藤井健太が合わせるがポスト。1分後には中央藤井→中島孝と全く同じ形から相根がゴール前に突っ込むもゴールならず。「ダイレクト、ダイレクトで来たから受け渡せなくて。ハーフタイムに遠藤(晃夫)君と『どうする?』って話し合って、『最後までついていく』ということにした」(小宮山)。

特に1本目は決定的で、決めるべきところ、だった。市原は言う。「あそこを決められていれば良かったけど、決められなかったのはまだまだ力がないというか......」。それでも後半、ビハインドを背負っているプレデターだが、戦い方はあくまでもスマート。ドリブルで仕掛けられる岩本昌樹を負傷で欠いたこともあるのだろうが、スコアを知らない人が見れば、とてもプレデターが負けているとは思わなかっただろう。

そうこうしているうちに33分、ファイルに追加点が生まれる。左CK。ファイル選手がペナルティーエリアの中で、プレデター選手にブロックを掛ける。キッカー小宮山のフワッとしたボールが、ファーサイドでフリーになった佐藤へ。これを身体能力系ピボの佐藤がジャンピングボレー! 良い時間帯に決まったファインゴールによって、ファイルがまた一歩、東京帰還に近づく。

プレデターはここから平塚雅史をGKにパワープレーをスタート。ドリブルで勝負できる若手の諸江剣語をピッチに立たせて、ようやく仕掛けモードに。その諸江が38分に左サイドでシザーズから左足シュートを逆サイドネットに決めて1-2。しかし、諸江は終了6秒前の藤井→相根とつないだボールを中央でまさかの空振り。タイムアップまでほとんど時間はない。ラスト1秒前、諸江が左サイドからシュートパス、ブザー音と共に藤井がゴールに蹴り込む――だが、これはすでに終了後のプレーでノーゴールの判定。2-1でファイルの準決勝進出が決まった。

前回大会、東京都予選で「00:01」のところで決勝点を決められて、失格以外では初めて全国大会出場を逃したファイル。当事者の小宮山は「勝って嬉しいけどスッキリしない。最後の最後にああいうことしていては。これは僕らにはずっとつきまとうものだと思う」と自戒する。

準決勝の相手は定永久男、難波田治、森岡薫と元ファイルの選手が多数いる大洋薬品。そして、彼らを率いるのはファイルの創設者・眞境名オスカーである。「チームとしての目標は日本一だけど、薫、治君と全日本の舞台でやれるのは単純に嬉しい。個人では向こうの方が上だけど、チーム力ではウチの方が強いと思っている。自分たちが付け入るスキはある」(小宮山)。

ミーティングで松村監督は選手たちに、「優勝するチームには2つある。常に良い形で勝っていったのが一昨年のウチ。今回のように苦みながら勝ち上がるというのがもう1つ。苦しい試合ですごくいい薬をもらった。いいことだと思う。来週も同じように顔を上げて話できるようにしよう」と語った。準決勝の相手はすでに王者の風格すら漂う大洋薬品。最多優勝回数を誇る「挑戦者」はどのような戦いを見せるだろうか。

 

第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 MAG'S FC vs arusa

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・3日目決勝Tレポート4
   <レポート/写真>北 健一郎

準々決勝 1/28 舞洲アリーナ
MAG'S FC
(関西1・大阪)
2 1-0 0
1-0
arusa
(北海道2)


Dグループ1位のMAG'S FUTSAL CLUB(マグ)とEグループ1位のarusa(アルーサ)による決勝ラウンド1回戦第4試合。大阪に拠点を置くマグにとってはほとんどホームゲームのようなものだが、観客数はわずか500人。最多が第2試合(ファイル対プレデター)の1200人と関東会場と比較すると大きく見劣りするのは確か(しかも準決勝以降は有料で、3日目までは無料なのに!)。

それはさておき、ゲームはアルーサの持ち味をマグが上手く消した、ということがいえるだろう。前回大会4位のアルーサの、最大の武器は超高速カウンター。ボールをズバッとカットすると、長短のパスを織り交ぜて、あっという間にゴールまで持ち込む。また、フィニッシャーの水上玄太の決定力は非常に高い。

関西リーグ4連覇と関西では絶対的な存在のマグ。だが、今日のマグは関西リーグで見せるような王者然としたフットサルではなく、どこまでも泥臭く平均年齢20才のチームに食らいついていった。

マグの先制点は前半15分、電光石火のカウンターから。中盤でドリブルする水上をジリジリと取り囲みボールを奪うと、3対1の数的有利から鈴木磨人のパスを山本信五が決めて1-0。本来のレギュラー西村竜司の出場停止により、スタメンで起用した原田健司選手兼監督の期待に応えた。山本は後半3分にもゴール前の切り返しトラップでGK+DFをかわして、倒れ込みながらもゴール方向にシュート。このボールを奥田亘がプッシュして2点目にも絡んだ。

シュート数では前半10対6、後半13対4とアルーサが圧倒的に上回っていたものの、その多くはミドルから"打たされた"もの。彼らのウリであるスピードとキレを生かすプレーは、粘り強いマグのDFに封じ込められた。

アルーサで致命的だったのは遅攻のパターンがほとんどないこと。引かれたときに彼らがしたのは、パラレラと呼ばれる、サイドの選手にボールを預けて、中から縦に抜けて浮き球のパスをもらうという基本的なサインプレーのみ。前回大会得点王の水上は常に2人にマークされながらも強引にドリブル突破を試みたが、良い形でのシュートは打たせてもらえなかった。

前回大会4位の「アルーサ旋風」は、彼らに対する目を「北海道の無名チーム」から「全国4位の強豪チーム」へと変えた。彼らを前回大会の準決勝で大接戦を演じたForca Verde(フォルサ・ベルヂ)のように、格下だと見て掛かってくるチームはもうないだろう。また1年後、成長した彼らに全日本選手権で会えるのを楽しみにしたい。

マグは全日本選手権2回目の出場で初のベスト4進出。2004年の初出場時は4チームによる1次ラウンドでFIRE FOX(ファイルフォックス)と同グループになり、直接対決で敗れて敗退した(1位のみ決勝ラウンドへ)。

そのときのメンバーで現在もチームにいるのは原田健司と岸本武志のみ。原田が「このチームでは初めて」という言い方をすることからもわかるように、マグは今回をほとんど初出場として捉えている。「コンセプトはあんまり変わってないけど、まだまだ弱いです。だけど、まとまりという意味では今の方がある」と原田。

準決勝では同じDグループから勝ち上がった府中アスレティックフットボールクラブ(府中)と再戦する。1次ラウンドでは1-1で引き分けているが、その時の感触は「フィジカルが強い」(山本)、「思ったよりもプレッシャーが速かった」(原田)というもの。「関西の横綱」「西の巨星」などといわれながらも、全国大会での実績は昨年の地域チャンピオンズリーグの準優勝のみとほとんどないに等しい。今年9月開幕のFリーグには「シュライカー大阪」として乗り込む彼らは、日本リーグ元年のタイトルを虎視眈々と狙っている。

 

 

第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 大洋薬品/BANFF vs DEAR BOYS

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・3日目決勝Tレポート1
   <レポート>菊地 芳樹 <写真>北 健一郎

準々決勝 1/28 舞洲アリーナ
大洋薬品/BANFF
(東海1・愛知)
5 2-0 0
3-0
DEAR BOYS
(東北1・宮城)


準々決勝からコートが広くなることで、大洋薬品/バンフのパフォーマンスにどんな変化が見られるのか注目したが、結論からいうとピッチ上の風景は、グループリーグとほとんど同じものだった。

ディア・ボーイズは、それが持ち味ということもあり、陣形をコンパクトにして自ゴール前に壁を作るような感じ。徹底的に守ってやるぞという姿勢で臨んだ。確かにこうすることで、大洋薬品/バンフが練習から徹底して狙っている形という、「相手の裏のスペースを突く攻撃」(北原亘)は防ぐことができる。

でも、今大会ではこの図式になった時点で、大洋薬品/バンフの勝利は、もう決まったようなものなのだ。凄みのある攻撃を、概ねディア・ボーイズは跳ね返すのだが、押され続けているうちにどうしても耐えられなくなるところで、ゴールが生まれる。3分の先制点は左奥の森岡薫のタメから、ゴール前へ走りこんだ北原にパスが渡ってのもの。15分の2点目は、ゴール前のマルキーニョスの反転シュートだった。ただ、こういったシーン以外は、大洋薬品/バンフがもうずぅーとパスを回しているので、見ているものは同じ風景の同じリズムに耐えなければならない。ボールがピッチの外に出ないので、時計の進むのが速いこと、速いこと。それはちょっとうれしかったりするのだが......。

第2PKマークのラインより奥へ敵を押し込んでしまえば、セオリーからすると、そのご褒美として、陣形の外側から打つミドルシュートが入りやすくなる。だが、大洋薬品/バンフは、その手のミドルシュートが決まらないし、打つ数自体も少ない印象だ。

ミドルシュートが決められれば、相手は次からはケアをしにボールに向かってくるから、そこで切り替えてピボ当てに入ったり、キックフェイントで相手を翻弄したりと、駆け引きの面白さで見るものを楽しませることができるはず。だから、ただただパワフルな姿勢で相手を威嚇するのは、如何なものか。

その点、3点目がなかなか入らなかった中で、32分に豊島明が、正面からゴール右上に突き刺したトーキックミドルには、晴れやかな気持ちになった。横パスをトラップ後に間がなく、体が左に流れかけながらも、力強い弾道で決めた、非常にレベルの高い一発だったと思う。

その後は、「前半は相手が頑張るけど、パスをいっぱい回せば、相手は疲れて後半は落ちる」(大洋薬品/バンフ・眞境名オスカー監督)の言葉どおり、ディア・ボーイズの集中が切れたところを突いて、33分に左CKをマルキーニョス、34分には森岡がドリブルシュートを決めて、ゲームを締めた。

第12回全日本選手権全国大会・決勝ラウンド・準々決勝 府中アスレティックFC vs Praia Grande

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・3日目決勝Tレポート3
   <レポート>菊地 芳樹 <写真>北 健一郎

準々決勝 1/28 舞洲アリーナ
府中アスレティックFC
(関東2・東京)
6 2-1 1
4-0
Praia Grande
(東海2・静岡)


もっと接戦になるのかと思っていたら、最後は点差のつく結果となった。それだけ府中の状態がいい。

府中は5分に、パスカットからカウンター気味に左へ展開し、中沢亮太が出てきたGKの頭上を越すシュートで先制。プライア・グランジは12分に、中央→左→ゴール前という鮮やかなダイレクトパスの回しから、奥山保司が決めて同点に。しかし17分、府中完山徹一の、左の角度のないところからシュートを、GKが抑えかけたが股の間を通ってしまいゴール。2-1で前半が終わる。

プライア・グランジも攻めてはいるのだが、この試合では「決定力、シュートの質の違いを感じた」(奥山)そうで、後半はゴールできないで苦しんでいるうちに、守備面で耐えらないという展開になり、府中にコツコツと点を重ねられた。

府中3点目は、後方からのボールを回転トラップで前に向きながらすり抜けた小山剛史が、右の完山に渡したもの。4点目は宮田義人の左へ流れながらのドリブルシュート。相手に当たってコースが変わり、ゴールに。5点目は完山の第2PK。6点目はオウンゴールだった。

府中はよく走り、よく攻め、よく守るという、よかった頃のエネルギッシュなスタイルが戻ってきた感じだ。固い守備はもちろんのこと、これまでの課題だった攻撃のバリエーションも増えた。いい時間帯にいい形で得点が入る。普段地元での試合が多い関東のチームが、勝手の違う関西でのプレーで調子を落とす中、「チームの中の何かが変わった感じで、チームがこの3日間で1つにまとまった」(前田喜史)と、今回の遠征がプラスに作用している。

「最初は浮き足立っていたけど、徐々に楽しめる展開になってきた。フットサルの楽しみを知ったという感じの珍しい試合。今まではそんな余裕なかったから」(中村恭平監督)というコメントもあった。チームのピークがどこまで持続できるのかはよくわからないが、この状態のよさを落とさないように細心の注意を払いながら、次へ臨む体勢だ。

第12回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループD 府中アスレティックFC vs MAG'S FC

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・2日目予選リーグレポート1
   <レポート/写真>北 健一郎

予選リーグ/グループD 1/27 舞洲アリーナ
府中アスレティックFC
(関東2・東京)
1 1-0 1
0-1
MAG'S FC
(関西1・大阪)


府中アスレティックFC(府中)対MAG'S FUTSAL CLUB(マグ)のDグループの大一番は1-1のドロー。実力者同士の対戦にありがちな、いわゆる「堅い」試合だった。勝ちたいのはもちろんだけど、絶対に負けたくはない――。両者の思惑は引き分けという結果に落ち着いた。

前半のシュート数は9対5で府中。だがお互いに守備の寄せが早く、決定機といえるのは2本ずつといったところ。

4分、後方のフランキーがクサビを打ち込み、これを小山剛史がワンタッチで左サイドを走る鈴木隆二につなぐ。鈴木がGKとの1対1を迎えるが、これは飛び出してきた竹井宏真にブロックされた。7分には、中央宮田義人が左サイド前方のフランキーへパス。フランキーのファーサイドへのシュートパスに中沢亮太が突っ込むがゴールならず。府中はFPが規則的なポジションチェンジを繰り返すことで、相手の守備に綻びが出来た瞬間にシュートに持って行くという攻め方。

一方のマグは11分、パス出しとゲームメークを担うレフティー岸本武志からのループパスを、西村竜司がダイレクトボレー! これはゴールマウスを捉えることはできなかったが、岸本のミドル&ロングパス、肩のいいGK竹井のスローイングに裏で合わせるのがマグの狙いだったよう。

先制点は14分50秒(15分ハーフ)、第2PKによって生まれる。キッカーの完山徹一は左サイドスミに突き刺して1-0。ハーフタイム、キャプテンの前田喜史が「後半畳み掛けよう!」とチームメートにハッパをかければ、完山は「出し切っていいから、頑張ろう!」と味方を鼓舞した。

前半を優勢に進めていた府中だったが、後半10分、マグ岸本の左からのキックインをカットにいった小山剛がオウンゴール。「剛史が戻ってなければ誰かに詰められていた」(前田)ものの、これにより府中の士気が急速に低下したのは事実。12分には岸本にポスト直撃のシュートを見舞われるなど、同点以降はマグのペースで推移した。

「前半はDFもうまくハマッていたと思う。だけど、後半、失点してからは悪いときのウチが出たという感じ。ベンチもピッチも元気がなくなってしまった」とは前田。その言葉には小山剛も同調する。「みんなの動きが止まってしまった。攻めのリズムが壊れてしまった」。

後半終盤になるとお互いに負けなければOKの雰囲気も漂い始め、グループリーグ屈指の好カードは1-1で幕を閉じた。現時点で府中、マグはともに1勝1分で勝点4、得失点差でマグが1上回っている。

 

第12回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループA 大洋薬品/BANFF vs GINZA de FUTSAL BOTSWANA FC

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・2日目予選リーグレポート2
   <レポート>菊地 芳樹 <写真>北 健一郎

予選リーグ/グループA 1/27 舞洲アリーナ
大洋薬品/BANFF
(東海1・愛知)
3 0-0 2
3-2
GINZA de FUTSAL BOTSWANA FC MEGURO
(関東3・東京)


ボツワナ(勝点1、得点7、失点8)は大洋薬品/バンフ(勝点6、得点11、失点3)に勝利して、勝点4としてグループ2位を狙いたい試合だった。隣のコートでは、同じグループのジョイ(勝点3、得点9、失点13)とフォルサ(勝点1、得点2、失点5)のゲームが始まっていて、前半を半分ほど過ぎているところで、こちらのキックオフとなる。

大洋薬品/バンフは、パスワークで崩すというよりも、1人1人が目の前の敵をはがしてからのシュートをまず第1に考えたプレー。個々の能力が、相手よりも高いから可能なスタイルで、ゴリゴリ相手を押し込む感じで攻めていく。ただ、ボツワナもこの日は気迫のこもった必死の守りで対抗して、決定機を作らせない。森岡薫を中心とした、大洋薬品/バンフのパワフルなシュートを、ボツワナの面々が体を投げ出してブロックし、ベンチ共々雄叫びがあがる。そんな引き締まり度Aランクな雰囲気で、0-0で前半を終了。

隣のコートは前半が1-1。関西リーグの順位関係から、ジョイが格上と見ていたが、この日は接戦の様子だった。後半は先にジョイがゴールを挙げ、2-1のスコアが長く続いている。1100人の観客はほとんどがこちらのコート側に集まっていたが、徐々に反対コートの様子も気になる展開となっていった。

後半に入ってからも、気持ちの入ったプレーを続けていたボツワナだが、大洋薬品/バンフは19分に左からの北原亘のクロスをゴール前でマルキーニョスが合わせ、先制点を挙げた。ボツワナは4分後に、太見寿人の中央からのシュートが相手に当たってコースが変わってゴール。しかし、1分後に大洋薬品/バンフは、右CKをGKがこぼしたところを、野島倫が決めて再びリード。時間が経つにつれてやはり大洋薬品/バンフの攻撃の圧力が効いてくるのか、ボツワナに集中が切れたり、ミスするシーンが出てくる。Aグループで大洋薬品/バンフと当たった、ジョイやフォルサも、後半やはり同じような姿を見せていた。

大洋薬品/バンフは、残り1分を切ってから2本の第2PKを得て、2本とも蹴った森岡が最初の1本を決めて3-1。ボツワナは残り2秒の時点で深津孝祐が決めて3-2としたが、精一杯やってこの結果だったという印象の試合だった。

隣コートの結果に頼りながらの試合だったボツワナに対し、現状と力の差から見ても、大洋薬品/バンフは終始精神的には余裕をもって試合を進められる状況だった。ところが実際は、ボツワナの作るピリピリした雰囲気に、イライラが目立つプレー振りだった。決勝トーナメントからは、コートがもっと広くなるだろうから、さらに大洋薬品/バンフの力が猛威を振るいそうは気配なのだが、他チームに付け入るスキがあるとすれば、この場慣れしていない部分なのではないだろうか。

隣のコートは、ジョイが得失点差のことを考えたのかパワープレーに入ったことで乱れたようで、フォルサが3-2と逆転勝利を収める。結果、フォルサが勝点4でこのAグループ2位となり、他グループの結果を待つ状態となった。

第12回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループB FIRE FOX vs D.C Asahikawa F.C.

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・2日目予選リーグレポート1
   <レポート/写真>北 健一郎

予選リーグ/グループB 1/27 舞洲アリーナ
FIRE FOX
(関東4・東京)
2 2-1 1
0-0
D.C Asahikawa F.C.
(北海道1)


FIRE FOX(ファイル)もD.C. Asahikawa Futsal Club(旭川)も2連勝して最終戦というシナリオを描いていたことだろう。だが1日目、ファイルがDEAR BOYS(ディア・ボーイズ)戦を1-2と落としたことで、Bグループは最終戦を残して3チームに1位通過の可能性が残る、大混戦となった。

1日目終了時点で1位は2勝の旭川。2位には1勝1敗で2チームが並ぶが、得失点差ではファイルが「+4」と「-1」のディア・ボーイズとは大きな開きがある。旭川は引き分け以上で1位が確定するが、ファイルに敗れて、ディア・ボーイズがESPERANCA(エスペランサ)に勝った場合は3チームが勝点6、得失点差の争いとなる。

大会前から旭川には大きな目標があった。それが「関東のチームに勝つこと」。昨年3月の地域チャンピオンズリーグで関東以外では初めて優勝を勝ち取ったが、それは関東勢との対戦がない中でのもの。もちろん、旭川との対戦前に関東のチームが敗れる「波乱」があったからだが、彼らの胸の中には「関東に勝ったことがない」というのが根強く残っていた。

ディア・ボーイズのジャイアントキリングによって、「本気のファイルとやりたい」(菅原和紀)という旭川の思いは叶えられることになった。「ファイル前半から来るのか、後半から来るのか、と思っていたら、前半からだった」(菅原)。ハイプレス。だが、旭川はFP4人がフラットに並ぶ「4-0」と呼ばれるシステムでプレスの網を掻い潜る。嵯峨、菅原というパス出し役は裏に正確にパスを供給し、佐々木洋文、松岡隆史の飛び出し役は抜群のスピードで裏を突く。

8分、旭川は嵯峨祐太が中央をドリブルで持ち込み、左サイドの荒井紀弘へ。荒井はこれをしっかり決めて1-0。それでもリスクを掛けるしかないファイル。「ファイルが前掛かりになったところで、2点目、3点目を決めたかった」(菅原)。だが、旭川は追加点を決めることができず、逆に12分に吉成圭のミドルが旭川選手に当たってコースが変わり追いつかれてしまう。

ファイルは前半タイムアップ10秒前、伊藤雅範が右サイド突破から、強引に打ったシュートがブロックに行った菅原に当たってゴールイン。「前半は強がりだけど、負けた気はしない」(菅原)旭川だが、前半終了間際に逆転されたことはあまりにも大きかった。後半のファイルは一転して引いて守る。

守備側が有利になる縦36メートルの狭いコートで、ましてや堅守のファイルにガッチリと引かれれば、ゴールをこじ開けるのは難しい。「引いたファイルを崩せるだけの実力がなかった」(菅原)。反対側のBピッチでディア・ボーイズがエスペランサから快調にゴールするにつれて、旭川に焦りの色は色濃くなっていく。後半、スコアはそれ以上動かなかった。

Aピッチがタイムアップしてから数十秒後、ディア・ボーイズ対エスペランサが4-1で終わった。旭川の選手たちの感情が決壊した。スタンドから応援していた北海道代表・arusa(アルーサ)に挨拶したあと、キャプテン嵯峨は泣き崩れた。

「予選の組み合わせを見た瞬間に、『ファイルを食ってやろう』という気持ちをモチベーションにしてきた。そういう意味では今大会の目標は達成できなかった。結果が全て。だけど、内容まで悪くて負けたとは思っていない」と着替え終わった菅原は語る。

嵯峨もいうように敗退の最大の要因は、「結局、自分たちが前の試合でちゃんと点を取ってなかったから」だろう。ファイルが5点、ディア・ボーイズが4点を取ったエスペランサから1点しか取れなかったことが「進出」と「敗退」の分かれ目になった。

だが、北海道リーグで優勝した彼らには3月の地域チャンピオンズリーグがある。この敗退をリーグ戦を戦う上での教訓にできたならば、また1つレベルアップして、大会2連覇も見えてくるだろう。そしてファイルは、自分たちで作り出してしまった苦境を乗り越えることができたのは大きい。グループリーグでの失敗体験で挑戦者の気持ちを取り戻し、パワーアップする――ファイルとはそういうチームだ。

第12回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループC PREDATOR vs レキオスFC

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・1日目予選リーグレポート1
   <レポート>菊地 芳樹 <写真>北 健一郎

予選リーグ/グループC 1/26 舞洲アリーナ
PREDATOR URAYASU FUTSAL CLUB
(関東1・千葉)
4 2-1 3
2-2
レキオスFC
(九州2・沖縄)


大阪・舞洲アリーナで行われた大会初日の第2試合で、昨年チャンピオンのPREDATOR URAYASU FUTSAL CLUB(プレデター)が早くも登場。僅差で初出場のレキオスFCを退けた。

昨年のビーチサッカー全国大会でチャンピオンに輝いているレキオスFCは、フットサル経験はほとんどなし。だが、ビーチサッカーでも本場のブラジルでは、あの地面でローテーションによるパス回しをきちんと行うそうで、戦い方に共通点が多いのだとか。というわけで今回はシーズンの合間を縫って、勉強も兼ねての大会参加だった。

ただ、予選を勝ち上がってきただけあり、決して弱くはない。むしろ、この試合は大いにプレデターを苦しめたのである。

個々の能力は同じ「球蹴りもの」で全国を制しただけあり、プレデターの面々と遜色はない。止める・蹴るはしっかりしているし、フィジカルも強い印象だった。4人がひし形の陣形をコンパクトに保って引いて守り、カウンターとセットプレーで得点を狙いにいく作戦だった。

今日はコートを2面取ったせいで、縦が36メートルと狭かった。引いて守るチームには守りやすい展開となったようだ。最初は様子見風だったプレデターでも、明らかにやりにくそうな感じになってくる。

というところで、レキオスFCが左CKからゴール前で若林邦広が合わせて先制点を挙げる。プレデターはじっくり攻め込んでいって、9分に岩本昌樹、14分に藤井健太がゴールを決めて、逆転して前半を終了。しかし、ピリッとしない感じは変わらずで、後半は18分、19分と、レキオスFCがカウンターからゴールを決めて逆転した。レキオスFCの面々はシュートの際の足の振りがコンパクトで速い。プレデター選手たちのブロックが間に合わないシーンが多かった。

レキオスFCが1点のリードで、長い時間が過ぎていく。藤井のシュートが2本ポストに当たるなどで、かなり嫌なムードだったプレデターだったが、26分にCKからのシュートがボテボテになったところを、ポスト際で高橋健介が合わせてようやく同点。そして、徐々に動きが減ってきて、自ゴール前に張り付く感じになったレキオスFCに対してなおも攻め続け、残り32秒で逆転した。右CKからショートパスをつないで、最後はピボ当てから岩本が押し込んだ。土壇場で見せたプレデターこの細かい動きには、レキオスFCはまったく付いていけなかった。

プレデターは大原学園JaSRAフットサルクラブとの2試合目も、もはや持ち味と化した(?)「相手に合わせながらも、最後は僅差勝利」というパターンで、6-4と勝利し、結局2連勝。「プレデター戦にすべてをかける感じになっていた」(若林)というレキオスFCは、一定の選手たちが出続けた影響で、2試合目の後半から著しく動きが落ち、Praia Grande(プライア・グランジ)に2-6で敗れた。ただし、戦術の差を個々の局面の戦いに持ち込んで埋め、踏ん張ったこのプレデター戦は、かなり楽しめたゲームだった。

第12回全日本選手権全国大会・予選ラウンド・グループB FIRE FOX vs ESPERANCA

PUMA CUP 2007 / 第12回全日本フットサル選手権大会全国大会・1日目予選リーグレポート2
   <レポート>菊地 芳樹 <写真>北 健一郎

予選リーグ/グループB 1/26 舞洲アリーナ
FIRE FOX
(関東4・東京)
5 4-0 0
1-0
ESPERANCA
(九州1・大分)


FIRE FOX(ファイルフォックス)の初戦の相手は、「バサジィ大分」としてFリーグ参入が決まっているESPERACA(エスペランサ)。

優勝4回、準優勝2回、しかも大会の冠スポンサーはチームサプライヤーのプーマと「自分たちの大会」であるとはいえ、やはり初戦はどこのチームも緊張するもの。だが1分、稲葉洸太郎が最初に訪れたGKとの1対1をアウトサイドで流し込んで今大会初得点。「早い時間帯で点を取りたかった。(稲葉)洸太郎が取ってくれて、あれで乗れた」(小宮山友祐)。

1点目から7分後、184cmの伊藤雅範が右サイドをゴリゴリと突破して中へクロス。浮き球のボールをファーサイドで、村上哲哉が体ごと押し込み2点目。だが、この2点目から3点目が決まるまでの4分間は、「2-0になって相手も開き直って攻めてきて、すこし受身になってしまった」(小宮山友祐)という。

エスペランサは0-2とされてから、日本代表候補合宿に召集されたGK青柳佳祐を最後尾にパワープレー。青柳は「元FP」だけあり、GKにありがちなボールを持ったときのドタバタ感がない。彼がハーフラインの少し手前でボールを左右にポンポンとさばき、味方がどんどんシュートを打っていく――ゴールが決まるかどうかは別としても、雰囲気的にはエスペランサが盛り返している感じだった。

そんな中で次のゴールを決めたのは、ファイルフォックスの脇真太郎だった。吉成圭のパスを左サイド前方で引き出すと、思い切りよく左足を振り抜いたボールは左サイドネットへ。全日本選手権初得点を「ヨッシャー」と喜んでから15秒後、今度はハーフライン手前でパスを受けた、GK青柳のトラップ際をかっさらって無人のゴールに4点目。チームのストロングポイント=青柳のパワープレーが裏目に出たことで、エスペランサは気持ちが切れてしまった感じ。

後半も1ゴールを追加して5-0の好スタートを切ったファイルフォックスだが、2年前の3冠時のメンバーは登録19人中8人と顔触れは大きく変わっている。2得点の脇も今季から新加入した1人だ。だが、「相手の良いところをつぶす」という彼らの伝統的な強さはしっかりと受け継がれている。ベテランの手堅さと若手の元気のよさが程よくミックスされており、総合的なバランスは出場チームを見渡してもトップクラスだろう。

だが、そんなチームが、まさかディア・ボーイズに足元をすくわれるとは、このときは思いもしなかったが......。

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クーバー・フットボールパーク横浜ジョイナス
特定非営利活動法人 相模原フットボールクラブ
横浜市地域フットサルリーグ