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| 歓喜の FIRE FOX。勝てるチームはこのだけだったのか。 |
今大会のベスト4にはFIRE FOX、Suerte banff、小金井ジュール、P.S.T.C.LONDRINAが残った。小金井ジュールは今年作られた日本フットサル連盟推薦枠での登場。これについて外野が非常にうるさかったことを知っているが、選手たち本人に何ら罪はなく、嫌な思いをしたことだろう。そうした中で1次リーグを全勝で勝ち上がり、3位を獲得したことは大変立派であったと思う。このチームはサラリーマンの選手が多く、チーム全体が集まって練習をする時間が少ない。ただこうした大きい大会にはきちんと照準を合わせてきてチーム最大のパフォーマンスを発揮することは、よく知られている。
彼らの強みは小さい頃から同じチームでプレーしてきた選手が多く、お互いの特徴をよく理解していること。極端なことをいえば、相手にとっては意外性のあるプレーでも味方は分かっていて動きを合わせられるし、味方がどこでどんなミスをするのかも分かっているからそのカバーができるのである。それだけにチームとしてできることとできないことを、選手1人1人が十二分に分かっている。そうして「手堅く守ってカウンター」というスタイルを終始貫けるわけなのだ。
もちろんチームには若くてテクニックのある選手も入ってくるという。例えばそうした選手がもっと果敢に攻めていきたいと、チームのやり方に異を唱えることはないのだろうか。チーム代表の渡辺剛選手は「それはない」ときっぱりだった。「チームの状況を見て、何をすれば勝てるかを考えたら、現状では今のやり方で納得すると思う。それは小さい頃からきちんとサッカーを学んできた選手なら、当然そう考えられるでしょう」。勝ちたいという気持ちと、我を通すことのバランスが取れない一部のフットサルプレーヤーたちには耳の痛い話なのではと思った。
小金井ジュールと同じような状況はLONDRINAにも当てはまる。彼らも若い頃から同じ環境でプレーしてきた選手が多いチームである。彼らは最近とかくチームの仲の良さを強調しているが、それは仲の良さがチームの強みであるというのを理解したからであろう。今回は緒戦の過緊張や3位決定戦では風邪でコンディションを崩すなど、初出場という点がまともに結果に出てしまったが、今のスタイルを貫いていけば今後も強くなる期待が持てるチームだ。
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| カルロス監督のもとにチームになっていったSuerteBanff。 |
長年掛けてお互いを理解しあい、チームを熟成させることが、勝つチームになるための一つの方法だとすれば、もう一方は決勝に進んだ両チームに見られるように、監督の存在の大切さである。Suerte banffのカルロス監督は、今大会批判を承知で選手をあまり交代せず、信頼できるブラジル人選手を中心にして戦った。「チームを作る時間が少なく、大会前に日本人選手をあまり見られなかった」というのがその理由。もちろん内部で不満は出ていたと思うが、今大会に限っていえばそれをしっかりと抑え込んでチームを決勝に導いた。まだまだこれからのチームで、今回の成績はできすぎかもしれない。来年以降が楽しみだが、このチームはbanff sportsの櫻井嘉人社長がGM的な役割で選手、スタッフの獲得、チーム運営などのサイドからチームの強化に努めている。フットサル界ではまた一歩先のチーム作りに着手していることを明記しておきたい。
さてそのカルロス監督の目には、自分のところの選手たちを自由に扱うオスカー監督はどのように映ったのだろう。チームの熟成という面では、1年前の木暮賢一郎、岩田雅人の新加入や、難波田治のブラジル行きなど不安な要素が多かった。数年前のような圧倒的な力の差は他チームとはない。このときが10回FIRE FOXとやって1回も勝てないとしたら、今は10回やって5回勝てるチームも出てきている。それでも今大会予選の段階からこのチームが確実に勝ちあがって頂点に上ったのは、FIRE FOXが日本で唯一、チームとしての体裁をきちんと整えているチームだからだろう。
チームとして戦うとは何なのかを、オスカーは選手に身をもって伝えてきた。選手は納得し自分の最大限の長所をピッチに出してチームに貢献しようと努力している。こうして指示、命令系統がはっきりしているのが強みなのである。戦術的なこともあるが、オスカーが選手を引き付けている最大の部分はその人間性だ。岩田は「選手の話をよく聞いてくれるし、選手をとても大切にしてくれる」と言った。前チームでは全く自由にプレーしていた木暮が、このチームでは自分の好きなプレーをいくつか封印してまでチーム全体で勝つことに努めていた。他のスポーツから見れば至極当たり前のことかもしれない。ただそうした体制がなかなかできないフットサルの中で、常勝軍団を作り上げたオスカーの指導力は高く評価できる。
だからボクは警告しておきたい。今大会で時間を掛けてチームを熟成させたり、しっかりした監督の下にチームが一つになっているチームが強くなっていることがはっきりと分かった。ここ数年フットサルのトップといわれているレベルでは選手の離合集散が頻繁に行われている。新しいパワーバランスができるまでの、過渡期なのかもしれない。ただ、いずれにしても相当な覚悟で新しい体制、チームに臨んでいかないと、先細りになりそうで心配だ。
(了)
written by Kikuchi Yoshiki  |
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