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【日本代表特設ページ・第10回AFCフットサル選手権】
○第10回AFCフットサル選手権(バンコク/タイ)2008/05/11〜05/18
<レポート・写真> 北 健一郎
<3位決定戦>
5月18日
1 前半 0
4 後半 3
日本
5 合計 3
中国
日本代表
中国代表(準々決勝時)
望まざるシーソーゲーム
「この試合を勝つことで決勝に進めるという試合と、3位を決定する試合とでは大きな違いがある。私自身も経験したことだが、いかに自分の中でモチベーションを高く保とうと思っても、非常に難しい。そこを乗り越えて戦わなければならない。」
5−3という打ち合いになった3位決定戦・中国戦の記者会見で、サッポ監督はこのように切り出した。予選リーグでイランが8−1、準決勝でタイが7−3で勝った相手に2点差の接戦。日本と中国の過去の実績からすれば、日本が楽に勝つだろう誰もが思ったはずだ。
しかし、サッポ監督も語ったように3位決定戦は簡単にはいかない。これが3位になったほうがワールドカップ出場権獲得というのであれば話は別だが、ベスト4になった時点ですでに出場権は手に入っている。日本にとってはモチベーションが上がりづらいのだ。準決勝に敗れた喪失感も大なり小なりあるだろう。
とはいえ、体力的、精神的な疲労度では日本のほうが分が悪い。日本は前回王者のイランと0−1で敗戦。最後までパワープレーで点を取りに行って戦い抜いた。逆にタイに3−7で敗れた中国は前半だけで4点差と勝負がついていた。後半の時点ですでに3位決定戦に頭を切り替えていたフシもある。
難しい試合になる要素は揃っていた。
前日練習では第1戦でケガをしたE原田浩平が元気に通常メニューに合流。その一方でキャプテンのG藤井健太は準決勝のケガで別メニュー。サッポ監督はE原田について「全然問題ない」、G藤井については「明日のことを考えて温存した」と語った。その状況でサッポ監督が下した決断は「何も代えない」。ベンチ入り12人のメンバーは準決勝と全く一緒だった。
日本のスタメンはQ定永久男、C小宮山友祐、G藤井健太、P稲葉洸太郎、S稲田祐介。G藤井が「思ったよりもプレスが速かったので、立ち上がりはバタバタしてしまったかな」と振り返ったように、中国のチェックが厳しくボールを前に運べない。2分過ぎに中国はAリャンが浮き球の縦パスを受けてシュート。これは枠を外れた。
3分、P稲葉洸太郎に代えてI木暮賢一郎が入る。サッポがI木暮に求めたのはバタバタしたチームを落ち着かせることだった。I木暮はワンタッチ、ツータッチでシンプルにパスをはたき、味方がボールを持ったときに素早くサポートにつく。「試合の入り方は良くなかったけど、そういう中でも話し合ってしっかりと立ち直れたし、次のメンバーが流れを引き戻してくれたなと思う」とG藤井がいうように、海外組セットになってからは日本のリズムになっていく。
サッポ監督の日本代表におけるI木暮はずっと「ゲームを決める選手」だった。ゴールに直接的に関係するプレーが、これまでの彼の仕事だった。しかし、今大会のI木暮はその一つ前のプレーをする、「ゲームを作る選手」としての色が濃くなっていた。I木暮の言葉を借りれば、「なかなか見えにくい部分」だ。
準決勝までの5試合でI木暮がゴールを決めたのは第1戦の2点のみ。逆に彼と一緒のセットで出ることの多いH小野大輔、F金山友紀は毎試合ゴールを挙げている。「木暮がマークを引きつける分、僕らはフリーになれる」(F金山)というように、ゴールが少なかったのは確かだが、数字には表れない貢献度を見逃してはいけないだろう。
先制点は7分、F金山が左サイドで切り返して中のH小野に渡すと、F金山はそのまま左に抜け、小野の前方をA鈴村拓也が回り込む。2人の動きに気を取られて、H小野が一瞬フリーになった瞬間、左足を振り抜いて先制点を決めた。
今大会でいわゆる「エース」の働きをしたのがH小野だった。「自分が点を取らなくては勝てない」という自覚もあっただろう。キープ&パスを得意とする典型的なピヴォだが、実はチームで最もシュートの強い選手でもある。彼のゴールがなければ、日本はもっと苦しいゲームを強いられていたはずだ。
前半を1−0で折り返した日本に追加点が生まれたのは、後半開始1分30秒のこと。P稲葉が左サイドのタッチライン際から折り返したボールをS稲田がつめた。
しかし27、33分と日本は連続失点してしまう。27分はカウンターからEチャンが、33分は左サイドでNリュウがI木暮をドリブルでかわして決めたもの。中国のエースピヴォのNリュウは個人的には今大会最大の発見だった。ゴール前での反転シュートのキレ+左サイドのスキルフルな仕掛けで攻撃の中心を担う。足裏を巧みに使うプレーは、これまでの中国のイメージを覆すものだった。
前半から片鱗を見せていた中国の1対1の強さが後半になると際立ってくる。中国は“デウソン神戸”のようだ。日本ならパスを選ぶシーンでも、ドリブルで勝負を挑んでくるので、日本の選手はその突破力と意外なタイミングにかわされてしまうのだ。試合は見ていないが、準々決勝ではウズベキスタンもこの1対1に敗れたのではないか。
35分、日本はI木暮がH小野とのピヴォ当てから、グラウンダーのシュートを決めて勝ち越しに成功する。しかし、その1分後。中国は右サイドをAリャンがぶち抜き、強烈なシュートを叩き込み3−3。日本はしぶとい中国を振り切ることができない。
サッポ監督は他の選手を代える中で、I木暮だけをピッチに残す。するとI木暮の左サイドで1対1を仕掛ける回数が目に見えて増えた。サッポ監督からも「仕掛けていけ」という声があったのだという。サッポ監督はI木暮に勝負を託したのだろう。
最後の時間帯の攻撃はほとんどI木暮が絡んでいる。38分、I木暮が左サイドでの切り返しからゴール前へパス。G藤井には合わない。39分、I木暮が中に切れ込んでのシュートパスをC小宮山が触るがゴール方向には行かず。I木暮が中へドリブルで入って、外を回ったG藤井へ。G藤井のシュートはGKに止められる。
そして残り57秒、G藤井が左に開いた位置のI木暮にパス。I木暮からゴール前のC小宮山へピンポイントパス。「その前にシュートをポストに当てたときに、GKが股をすごく開くなというのがあった」というC小宮山が股を狙って打ったシュートがゴールネットを揺らした。土壇場でリードした日本は残り35秒、S稲田が自陣からがら空きのゴールに決めてダメ押し。5−3で日本が勝利して3位を獲得した。
サッポ監督
――勝利した感想を教えて下さい。
3位になったことはもちろん嬉しく思っています。私たちには決勝まで行ける可能性は十分あったとは思うが。ワールドカップに向けてしっかり準備をして、いい結果を出せるように頑張りたい。
――中国と接戦になることは予想できたか?
彼らは日本に対してのライバル意識がある。しかも、3位決定戦は非常に気持ち的な部分で難しい面がある。そこを乗り越えて戦わなければいけない。この試合を勝つことで決勝に進めるという試合と、3位を決定する試合とでは大きな違いがある。選手たちと話をして、最終的にはいい結果につながった。難しい試合だったことは間違いありません。
――中国に対するスカウティングはどうだったか?
スカウティング不足というのはないと思っています。中国のプレーは以前も見ているし、今回も見ているので。ただ、中国は前の試合では、得点差が広がった時点で、体力を温存しているところもあったように思う。その点、イラン戦は最後の最後まで全力で戦っているので、その差があったかなと思っています。
――木暮にこだわった理由は何でしょうか?
木暮選手というのは、好不調に関わらず大事な選手だというのは誰もが認めている。彼のようなスター性のある選手は、必ずどこかで運がついてくるもの。実際にいちばん大事な場面で得点を挙げてくれたわけです。こだわり続けたことで得点を挙げたのは事実。いざというときの運というものを持っている。そういう考えで彼を使いました。
キタケンオリジナル選手採点(10点満点、平均点は6点)
A
鈴村拓也
5.5
チームを落ち着かせる働きがしたかったが……
C
小宮山友祐
6.5
決勝点は冷静なシュートが光った
D
比嘉リカルド
5.0
周りに合わせて良く走るも空回りの感
F
金山友紀
6.0
サイドでのワンツー突破目立つ
G
藤井健太
5.5
再三のシュートチャンス決められず
H
小野大輔
6.5
先制点&木暮のゴールをアシスト
I
木暮賢一郎
6.5
左サイドからの仕掛けで1得点1アシスト
K
石渡良太
−
出場せず
O
岸本武志
5.0
本来の彼の良さが出せていない
P
稲葉洸太郎
5.5
2点目をアシストも、全体的には今ひとつ
Q
定永久男
6.0
味方との連携がうまく取れず
S
稲田祐介
6.5
チャンスを見逃さず2ゴール
サル美ちゃんも応援しています!
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