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○第10回AFCフットサル選手権(バンコク/タイ)2008/05/11〜05/18

<レポート・写真> 北 健一郎

<準々決勝>5月15日
3 前半 1
2 後半 1
タイ 5 合計 2 オーストラリア


タイ代表


オーストラリア代表

タイ、ホームで激闘を制する!

「ドドドン! タイラン(ド)! ドドドン! タイラン(ド)!」

今大会はワールドカップ出場権のかかった準々決勝から取材する。タイ・バンコクの中心街にあるニブミットスタジアムは、地元・タイの完全ホームの雰囲気。平日の午後3時キックオフのゲームに集まったのは3500人(公式発表)。チケットは200バーツ(約600円)、100バーツ(約300円)だそうだ。

前回大会でベスト8で日本に敗れたタイは、スペイン人のメンデス監督を招聘。この大会を開幕から取材している記者に聞くと、「かなり良くなっている」らしい。そんなタイと戦うのは13日のグループリーグ最終戦で日本を大いに苦しめたオーストラリア。興味深い2チームによる準々決勝の1試合目が始まった。

オーストラリアはもちろん、タイもアジアの中ではフィジカルは強いほうに位置するチーム。「ブラジル行き」のチケットがかかったゲームは、両者の気迫と肉体が激しくぶつかり合うものに。タイに不利な判定を審判が下すと、すかさずスタンドから大ブーイングが起こる。

序盤は硬さの見られるタイに対して、オーストラリアが攻める。サイドに開いたアラに出して、そこから仕掛けるという単純な形だが、何本かに1本は突破してシュートまで持っていく。その中でもAハイドンは足裏でナメたり、またいだり、多彩なテクニックを持ったドリブラーで見ていて楽しい。

それでもFマンジャレン、Cジャンタのシュートでリズムをつかんだタイは7分、ゴール前でIエアカポンが1度は敵に当たったボールを素早く蹴り込みゴールネットを揺らす。ワールドカップ出場権獲得のために先制点は絶対に欲しかったもの。観客のボルテージも一気に上がる。

そんなゴールから30秒後、タイはHインヌイが左サイドで敵をかわして、ゴール前のIエアカポンへパス。彼がGKとの1対1を冷静に股抜きで決めると、タイにこの日2度目の歓喜が訪れた。

「ドドドン! タイラン(ド)! ドドドン! タイラン(ド)!」

ニブミットスタジアムは凄まじい盛り上がり。その後もオーストラリアの攻撃はサイド展開→ドリブル突破の一辺倒。タイに対応され始めて、パスをカットされてピンチになるシーンが増える。マイボールになったら積極的にシュートを打って行くタイ。それを後押しするホームの大歓声。この様子を見ながら、試合前だったが「日本はタイと当たらなくて本当によかった」と思った。

だが、前半15分、左サイドでボールを持ったHデ・モラエスがカットインして中距離からシュート。ボールはグングン伸びて浮き上がり、ジャンプしたOチュエンタの手の上を越えてゴールネットに突き刺さった。タッチライン際から切り返したボールはかなり中に入ったが、リーチの長さで追いついて右足を振り抜いた。ダイナミックなプレーだった。

1点差となったタイを救ったのが、17分の3点目だった。右からの縦パスをHインヌイが折り返し、ファーにEサイソンがしっかりつめていた。この3点目が大きかった。もしもここで決まっていなければ、ゲームはもっとわからないものになっていただろう。

後半、逃げ切りムードだったタイにアクシデントが起こる。Jエッカファンがシュート性のキックインに手を出してしまいハンドでイエローカード。前半にも1枚もらっていたため、退場になってしまったのである。

オーストラリアは、タイが1人少ない時間帯には得点できなかったが、タイが補充した直後の27分、左奥GフラニガンのループパスをHデ・モラエスが落ち着いたトラップから流し込み、またも1点差とする。

オーストラリアの追い上げムードを断ち切ったのは35分。ピッチ中央でIエアカポンがルーズボールの競り合いで足を伸ばして触って、前方のDイッサラスウィパコーンに渡すと、カウンターから最後はCジャンタが決めて4−2! アシストしたDイッサラスウィパコーンはピッチに倒れこみ腕を突き上げる。タイがまた1歩、“ブラジル”へ近づく。

オーストラリアはこの失点直後にパワープレーを開始する。まず、GKをKオブライエンから左足のシュートがあるSコンスタンチンを入れて、GKのままパワープレー。だが、これがうまくいかず、残り分30秒、Sコンスタンチンに代えてFPのHデ・モラエスがピッチに入った。

しかし、交代直後、左からのパスが中央のHデ・モラエスに届く寸前で、タイのEサイソンが先に触って、“裏通り”のような感じでかわす。無人のゴールにEサイソンは大事そうに蹴り入れて、5点目。これで決まった――ピッチ、そしてスタンドには激戦に終止符が打たれた安堵感が漂った。そしてタイムアップ。タイがホームでワールドカップ出場を決めた。

それにしても面白いゲームだった。お互い攻撃的だったこと、ゴールがたくさん入ったこと、それにタイ人の熱狂が加わったことで、第三者の僕が見ても非常に楽しめた。だからといって決してレベルが低かったわけではない。タイのフットサルのクオリティーは明らかに上がっていたし、オーストラリアの個人技も想像以上だった。1年間での両チームのレベルアップのスピードには驚くばかりである。



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