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【日本代表特設ページ】 第9回AFCフットサル選手権
開催日:2007年5月19日(土)
場所:大阪市中央体育館
【レポート】菊地芳樹、【写真】勝又寛晃




○第9回アジア選手権(大阪・兵庫/日本)2007/05/13〜05/19

決勝戦
1 前半 0
3 後半 1
IRイラン 4 合計 1 日本


イラン代表


日本代表

毎度、毎度お馴染みの光景が、またしても繰り返されてしまった。国旗を振りかざしながら、選手たちが塊になってのウインニングラン。幾人かの日本選手たちの悔し涙。そして負けたときに必ず行うサッポ監督のピッチ上の円陣……。昨年の優勝シーンを残念ながら見られなかったため、僕にとっては全くいつもの日本対イランの決勝戦模様。これがAFC選手権ファイナルだ。

ゲームは立ち上がりから緊迫感たっぷり。見ていた観客も、おそらくプレーしていた選手たちも、実際にぶつかってみて先制点が試合を大きく左右すると、肌で感じたはずだ。それだけ両チームとも守りがしっかりしていて、スキを付き合う攻防が展開された。

どちらかというと、前半は日本にいいシーンが多かったと思う。4分はH小野大輔のループパスを左で受けたI木暮賢一郎が、トラップで敵をかわしてボレーシュート。5分、今度はG藤井健太の縦パスを、H小野が受けて振り向き右足シュート。さらに同じ5分には、I木暮がゴール前で、G藤井と細かいパス交換をしてシュートを打った。この後イランのシュートシーンが続いたが、12分にはG藤井が左サイドで回転しながらトラップしてうまく敵の裏を取り、GKとの1対1からシュート。しかし、いずれのシーンもイランGKKナザリの好セーブにあいゴールならず、会場からため息が出る。

一方のイランは、やはりHシャムサエーのシュートが印象に残るシーンだった。4本ほど打った場面があったが、これもいつもと同じパターンでA鈴村拓也がよく抑え、彼のブロックの外からのシュートは、GK@川原永光がコースを読んで防いでいた。

ところが15分に、日本はイランに非常に大きい先制点を決められてしまうのである。左からHシャムサエーがドリブルシュートの体勢で、当然A鈴村がこれに対応。Hシャムサエーはこれを見てボールを右へ流すと、そこにフリーのRラティフィがいてシュートを決められてしまった。マークをしていたD比嘉リカルドが、Hシャムサエーのプレーに釣られたのか、Rラティフィを離しすぎてしまった。今大会のHシャムサエーは、自分のシュートをおとりにラストパスをよく出していた。それにいつもどおりA鈴村は彼のシュートをよく抑えていた。ポジショニング、体の向きはそこでよかったのか……。1点が大きい展開だっただけに非常に悔やまれる失点だった。

早く1点を取り返したい日本は、19分に左のI木暮が敵を引き付け中央へパスし、走りこんだA鈴村がシュート。かなりいいシーンだったが、これもKナザリに防がれてしまった。

後半も一進一退の展開が続くが、前半ほど日本はいいシーンを作れなくなっていた。集中力を切らさないイランの守備に、日本の攻撃には手詰まり感が漂う。精神的にも肉体的にも徐々にイランが優位に立っていく中で、26分イランに追加点が生まれた。

この時間帯、イランは右のCKからIヘイダリアンやHシャムサエーがミドルシュートを放って@川原が防ぐというシーンが連続し、その一つはこぼれ球をBタヘリが詰めて再度@川原がスーパーセーブで凌ぐ、危ない場面だった。それで3度目の右CKでまたHシャムサエーが強烈なシュートを打ち、@川原が弾いたこぼれをBタヘリに同じように詰められて失点してしまうのである。全く同じことをやられてしまったあたり、日本がイランに追い込まれていたのが分かる。

今日のゲームの質で2点差は大きいし、攻撃自体も膠着していると感じたのだろう。日本は残り11分あったが、パワープレーに入った。D比嘉をGKに、そしてフィクソの選手を外してO岸本武志を使った。もちろん練習していた形だが、この緊迫した場面でフィクソを置かないというのは、サッポ監督にしてはかなり思い切った選手起用だった。しかし、イランのプレッシャーの前に、日本はうまくボールを回すことができない。何度がミスからのカウンターで冷やっとさせられる場面があり、31分に前で守っていたHシャムサエーにボールを奪われ、ロングシュートを入れられてしまった。


このときイランはホセイン監督が主審から退席させられるが、イランに動揺はない。逆に日本はA鈴村が2枚目のイエローカードで退場となってしまう。FP3人の時間帯は何とか無失点で終えたものの、その後再び開始したパワープレーは、I木暮が2本シュートを打ったもののゴールに結びつかなかった。37分にはGモハマディにロングシュートを決められて遂に4点差に。直後に日本はD比嘉が正面からシュートを決めたのだが、反撃はそこまでで、1−4という日本の完敗に終わった。

実際に対戦してみて、イランはやはり強かった。今回はベテラン選手が多く、局面で個々の力が落ちた部分も感じられ、ずっと強いのか弱いのかよくわからなかった。かつての個人能力を前面に出して戦っていた頃の強烈なイメージが、頭に残っていのがよくなかったのかもしれない。そんな彼らは旧スタイルで挑んだ2004年の世界選手権に満足できない成績で敗れると、その後はHシャムサエーを残しながら若手を中心に組織的なチームを作り始めた。だが、それもHシャムサエーのワンマンチームの色を濃くしていって力を落とし、日本に優勝を奪われることになる。

反対に今年はかつて活躍したベテランを中心にチームを編成してきた。今度は彼らが経験を生かした組織力、チームの総合力で戦うようになってきていたのだ。今大会は1戦1戦しっかりと相手を研究し、戦術を細かく変えて戦ってきた。毎試合ジワリジワリと点差が開いていくのは、その手法がうまくいっていることの表れだろう。そんな「試合が終わったときに勝っていればいい」という感じだから、何か毎試合体力を温存しながらの余裕ある戦いぶりで、決勝では非常に力強かった。大会全体を考えたチームのトータルコーディネートもぬかりなかったわけだ。

そうした中で特筆すべき、今大会MVPとなったエースHシャムサエーの変貌。今回は自分のシュート力をおとりに、ラストパッサーとして活躍。チームプレーに貢献した“ニューシャムサエー”に、日本もやられてしまった。

そして日本代表。今日の決勝で、大阪市中央体育館に集まった観客は5289人。最後になってようやくいい舞台で試合が行われ、選手たちは幸せだった。しかし、この試合のみを観に来た人が多かった中で、勝利を見せられなかった今回の敗戦は、いつも以上に残念な結果だったと思っている。

それでも、準々決勝、準決勝と非常に厳しい戦いをし、今回決勝で力負けをしたのは、ワールドカップ出場がかかる来年大会へ向けて、身が引き締まるいい経験となったのではないか。今回のベスト4に、来年開催国(予定)のタイも含めたトップ5の力は非常に接近している。枠が3つなのか2つに減るのかまだ確定していないが、どこがワールドカップの出場権を獲得してもおかしくない状況だ。

イランは今回を見る限り、昔アジアを席巻した仲間たちで戦い方を進化させ、もう1度ワールドカップ挑戦と意気込んでいるわけだし、キルギスも個々の力、組織力共にますます上向き。ウズベキスタンとタイは技術ベースの高い若手を今回使ってきて経験を積ませ、来年はさらに実力的な上積みがありそうだ。

その中で日本は、チーム全体では多少顔ぶれが変わっているとはいえ、勝負どころでは常に同じメンバー。決勝トーナメントに入ってからは、勝負が掛かっているからと休ませていいところでも彼らを多用し、結局最後で疲労が残って、決勝ではどことなくキレを失う点もまったくこれまでと変わりがない。戦術に多少の変化は見られるものの、準備が足りずに未消化で、あまり効果があったようには見えなかった。

ちょっと停滞してはいないだろうか?

I木暮他、多くの選手がこれからの課題に挙げた「個々のレベルアップ」は、実はかなり深い意味を持っていると僕は思う。この先1年。日本はレベルアップの選択肢を多く持っているようで、実は案外そうでもないのだ。川淵三郎キャプテンのやさしいコメントからもわかるように、競技フットサルに対してのノルマやプレッシャーというものはまったくない。日本サッカー協会のフットサルに対するスタンスは、未だ“普及”で変わらないのだ。だから、程なくしてサッポ監督と協会側とで、今後の強化計画などについて話し合いが持たれるそうだが、まあいつもどおりの強化パターンとなるだろう。スペイン組の3人もいるから、なかなかじっくり時間を取った中でのチーム作りは難しい。もちろん監督も代わらないだろうから、戦術も選手選考も、本番での選手起用もそう変わらないだろう。

となると、個々が自らかなり劇的なレベルアップに努めないと、ちょっと来年は危ないのではないかと思うのだ。準々決勝以降の勝負どころで長時間起用されることになる中心選手たちは、決勝までの3試合を乗り切れるよう、相当な覚悟を持ってフィジカル面の向上に努めないといけない。また、セカンドセットの選手たちが、勝負どころで信頼されて起用されるようになるには、チーム内で実力的にものすごいステップアップをしないといけないわけだ。ここまでかなり努力してレベルアップしてきた選手たちだが、それでも歩みを止めてはいけない厳しい世界になっている。

それだけにFリーグへの期待は大きくなる。もちろんご存知のように、この全国リーグはこれまでのトップ選手による業界再編成で、中には実力度外視のチームもある。それでもたくさんの観客が入って注目される中で切磋琢磨すれば、劇的なレベルアップが可能なのは、他のいろいろなスポーツが証明している。Fリーグにはまだそうした不確定要素が大きい。それだけにこの1年の成功に期待したい。


サッポ監督
選手たちは最後まであきらめずに戦った。お疲れ様という気持ち。前半はチャンスが多くあって先制できた流れだった。後半はイランのほうがいい流れだった。イランは素晴らしいプレーで、心からおめでとうといいたい。日本の選手たちは本当にいろんな困難を乗り越えてよく頑張った。今年は準優勝だったが、昨年は優勝している。ピッチでの彼らの姿を見てくれたと思うので、彼らを称えてほしい。

I木暮賢一郎(12点で大会得点王を獲得)
こうした試合でゴールしてこそ価値があるので、得点王はちょっと胸を張ってもらうことができませんでした。イランは毎年戦っているイランと変わりなかったし、10回やったらどっちかが全部勝つという力の差はない。が、結果は受け止めなければいけない。これからは何よりも個々のレベルアップ。世界のフットサルは進化している。1対1や判断力を含めて切磋琢磨して伸ばしていかないと。お客さんもメディアも一体となってレベルアップしていきたい。

D比嘉リカルド
失点の瞬間は、Hシャムサエーのほうに行ってしまった。個人でゴールを狙われるシーンが何回もあったから、もう少し寄せなければいけないと思った。Rラティフィは見えていたが、そんなに近くはないかなと思った。パワープレーは相手が前から来ていたので、自分がシュートを2回しか打てなかった。ゆっくりでもいつか崩せるということでやりました。10分間あったから焦らずに攻めようと思った。

A鈴村拓也
自分の仕事はHシャムサエーのシュートを抑えることだから、そこからのパスに関しては抑えるのが難しい。敗因は最後の1歩じゃないですか。ゴールの場面も裏を抜かれたわけではない、普通の横パス。それに対してどういう体の向きをするかで決まってしまう。今のままでは日本はダメだと思う。生活をかけてやっていかないと。現状で満足してはいけないですね。僕自身も口だけでなく、プレーで示していきたい。

H小野大輔
イランはチームとして統率が取れていて、日本がそれにのまれた感じ。プレーのちょっとずつの差が重なって、自分自身も攻撃で力を出せなかった。今のまま続けていても日本は変わらない。何となく勝てたり、勝てなかったりになってしまう。今日の試合をやった人全員が意識してレベルアップに努めないといけない。

F金山友紀
今回はこのチームの課程というか、現状をいろいろな人に見てもらえてよかったと思う。とにかく来年、世界に出ていかなければ意味がない。今回が後になって失敗だったといわれないよう、個人としてもチームとしても、Fリーグも含めて頑張っていかないと。

イラン・ホセイン監督
昨日の記者会見で24時間後に誰がチャンピオンかわかるといいましたが、今それが分かったでしょう。今日は自陣で守るということと、Hシャムサエーに日本の守備が集中するようにと指示をした。イランがどう進化しようと、日本は後をついて進化していると思う。忘れてはいけないのはタイやウズベキスタンもレベルアップしていること。来年はワールドカップの出場権が掛かるわけだが、日本や我々がどんな成長をしているのか、見てみたい。




日本戦はテレビ中継があるぞ!これを機会にBSデジタルに加入!
 5/14(月)16:40〜18:40 日本×フィリピン
       18:55〜20:54 日本×香港
 5/15(火)18:55〜20:54 日本×タジキスタン
 5/17(木)18:55〜20:54 準々決勝
 5/18(金)18:55〜20:54 準決勝
 5/19(土)18:55〜20:55 決勝あるいは3位決定戦
 ※準々決勝以降は日本進出の場合のみ対応
 


 サル美ちゃんも応援しています!


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