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○第7回アジア選手権(ホーチミン/ベトナム)2005/05/22〜06/04

ストライカーDX菊地芳樹の
    ホーチミン現地レポート・第5回 2004年06月03日(金)

日本とイランが決勝進出


 <第4回 最終回>

ストライカーDXの菊地芳樹氏が、競技フットサル界注目の世界選手権アジア予選が行われるホーチミンから最新情報をお届け!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!

<レポート・その5>

準決勝
1 前半 3
3 後半 0
日本 4 合計 3 キルギスタン



 0−3というビハインドからの大逆転。日本が非常に苦しい試合をものにし、決勝へ進出した。

 日本はこの試合から比嘉が復帰してメンバー入り。今日は稲葉と定永がスタンドからの観戦となった。私の側で見ていたその定永がピッチに掛けている声が、日本の前半の戦いを如実に表していた。

 「ズルズル下がるな!」

 日本は立ち上がりから非常に体が重い印象があった。お互いに引き気味の守備で相手の攻撃を警戒する姿勢だったが、シュートにつなげるシーンはキルギスタンのほうに多い。これまで書いてきたように、個々がエネルギッシュで勝負に対する気持ちが旺盛なキルギスタン。「タイや中国に比べて、パスや動きのリズムが速かった」(小野)という相手に、日本はボールへのアプローチが遅れていた。定永が仕切りに声を出していたその時、日本は先制点を許してしまう。

 5分だった。ボールへのアプローチが遅れ、ピボの位置に入っていたFデティバエフに簡単にボールが入る。Fデティバエフが得意の右方向にかわしてシュートを打つと、ボールはゴール左へ転がるクリーンシュートとなった。

 この後、日本は6分にI木暮の縦パスを、マークを外して受けたH小野がシュートするが、前に出てきたGKにブロックされるという決定機があった。さらにI木暮やA鈴村のシュートシーンがあったが、無理めのものが多く決まらず。キルギスタンの堅実な対応に、日本が崩している印象はない。

 そうこうしているうちに、13分にキルギスタンはゴール正面約10メートルの位置からのFKを決める。日本は昨日、時間を掛けてこうしたFKの攻守を練習していたところだ。しかし、Fデティバエフの右足シュートが豪快に炸裂し、日本は0−2とされる。

 当然焦りが出てくる日本。パスを回しているのだがどこかぎこちない。パスの受け手のサポートが鈍く、出し手が困ってしまう。あるいは出し手が我慢できずに無理にピボに入れてみたり……。

 19分、キルギスタンはI木暮の横パスをカットすると、Fデティバエフが持ち込んで右斜めにドリブル。ハットトリックとなるシュートを決める。衝撃的な0−3。唖然とする日本チームと、今日から増え始めた日本サポーター。完全な負けゲームの展開になってしまった。

 だが、前半終了間際に日本に一瞬の光が差す。ハーフウェイライン付近左サイドのI木暮が、マークを外してゴール前で右に移動したL高橋に対角線上のパス。L高橋は難しい体勢からこれを右アウトサイドでゴールへ流し込み、1点を返したのだった。

 ハーフタイムは色々なことを考えた。2次リーグのパフォーマンスを見れば、明らかに日本が有利と見られていた試合だった。だが、タイ戦では後半の20分間をパワープレーのディフェンスに追われ(I木暮とA鈴村は後半フル出場)、体力もかなり消耗しているはず。苦しむならこの試合かなという予想はあった。しかし、3点もリードされるとは。本来なら徐々にリードを広げ、終盤は多くの選手を使って体力のロスを防ぐのが理想だっただろう。でももう後半はフルパワーでいくしかない。ただ同点にはできても、一安心して逆転は苦しくなるのでないか……。

 緊張の後半が始まった。29秒だった。左サイドのI木暮が前のH小野に縦パス。ここでH小野は軸足の後ろからボールを通すトリッキーなパスで、中央へ走ったI木暮に折り返し。I木暮は右からチェックにきた敵の前で倒れこむようにボールをゴール右に押し込んだ。1点差。

 そして3分後、右サイドC小宮山の縦への浮きパスに中央から走りこんだI木暮が、バウンドを見極めて正確にゴール左にシュート! 同点!

 さらに4分後。左サイドでボールを受けたA鈴村が縦に相手を抜いて左足を一閃。ゴール前の敵味方をすり抜け、グラウンダーのシュートがゴール右へ決まった。

試合前の模様 日本−キルギス戦


 日本は、後半開始からオールコートのプレスを敢行。これにキルギスタンが面食らう形となった。日本は決めるところで着実にゴールを重ね逆転に成功。力を見せる。

 しかし、ここから立場の逆転したキルギスタンも猛攻を見せ始める。29分にプレスをかいくぐるロングパスをヘディングでうまくつなぎ、Lドゥバナエフがゴール前フリーでシュート。これは前に出てきていた@川原が体に当ててセーブ。同じ29分、左サイドでボールを受けたFデディバエフがいつもとは違う左にかわして思い切りのいいシュート。これはバーを直撃して右のタッチラインを割る。

 一方、日本は32分に右45度で得たFKで、D比嘉からマークを外した左のI木暮へ。決定機だったが、シュートはゴール上に外れ、日本は突き放せない。

 キルギスタンは残り3分を切って、HアブドライモフをGKにしてのパワープレーに入った。非常によくパスが回り、日本は苦しい展開。だが何とか時間をやり過ごした。

 残り56秒。右でフリーになったIケンジサリエフが中に持ち込んでシュート。早めにスライディングしていたG藤井がファインブロック! こぼれ球を拾ったFデディバエフが右にかわしてシュート。@川原がブロック。キルギスタンのプレスに、日本はボールを前に蹴るだけで時間が稼げない。

 まだ終わらない。残り17秒。キルギスタンのゴール前でのFK。Iケンジサリエフが左に流したボールをFデディバエフがフリーでシュート。川原動けず。だが、ボールは左ポストを直撃してくれた。2次リーグは全然シュートが入らなかったFデディバエフだったが、この日は前半でハットトリック。しかし、後半は2次リーグの彼に戻り、日本は助かった。

 4−3で日本は劇勝。選手たちは非常によく戦い、またしても決勝へ駒を進めたのだった。

 悲願の初優勝へあと1つ。


<<監督・選手コメント>>
サッポ監督
相手を研究し分析して臨んだが、立ち上がりから体が鈍く、望んでいた動きではなかった。ハーフタイムには全力で戦うこと、プレスをかけて足を止めずに動くこと、正確につないで攻めることを指示した。選手たちも切り替えて、よくやってくれた。私たちのプレーが出て逆転できた。準決勝にきて疲れもプレッッシャーもあったと思う。でもこの逆境を乗り越えて勢いもついた。

木暮賢一郎
勝ったほうが決勝へ進むという準決勝で、こういう試合もある。3点取られて苦しかったけど、4−3にできたのはチームとしては大きい部分。決勝の前にこういう苦しいゲームを制することができたのはよかった。ただ、決勝で同じことをやってしまっては絶対に勝てない。相手のいいところを消すような戦い。ミスしたら負け。一瞬のスキを突くゲームになると思う。

鈴村拓也
3点ともシュートがここしかないところに来た。勝負はちょっとしたプレーのズレとかで決まってしまうが、それが現実になり苦しい試合だった。

決勝ゴールは、縦に抜くことができたので、行っておこうという感じだった。相手のディフェンスが甘かった部分もあったけど、シュートはGKにとってブラインドになってきれいに決まってくれた。相手のパワープレーはこちらに向かってくるドリブルをしてくるので、タイより怖かった。

サポーターがいなかったら勝てなかった。一緒に戦ってくれて、本当に力になった。今日は難しい試合だったけど、こういうのを乗り越えて歴史は作られていくもの。

高橋健介
自分のゴールはパスで決まりました。試合前からああいう形でやろうとは木暮さんと話していたので、狙いどおり。朝、金山さんとスペインリーグのゴール集を見ていて似たようなシーンがあり、イメージがありました。

個人的には2次リーグの3試合でうまくいかなかったので、今日からリスタートでがむしゃらにやろうと思っていました。決勝は個人的にもチームとしても決めるところを決めていきたい。



準決勝
3 前半 0
1 後半 1
イラン 4 合計 1 ウズベキスタン



 前半はイランが完璧な試合運びで、2次リーグのショックから立ち直っているところを見せつけた。前半で目立ったのは、非常に真面目な守備。ボールを取られた後の戻り、陣形の立て直しが早く、ウズベキスタンもなかなかゴール前までボールを運べない。

 逆に攻撃ではHシャムサイーが改心? 強引さを3割カットし、その分周りを使うようになった。3分にはIヘイダリアンのくさびを受けてから、素早く右のGライゼへボールをはたき先制ゴールをアシスト。8分には右サイドで3人を引き付けて縦パス。Eソルタニからゴール前のDハシェムザデーへ渡るファインゴールにつなげた。

 もちろん自らも13分にゴール。パスカット後のこぼれ球にいち早く反応し、やや距離があったが右足で豪快にゴール右へシュートを決めた。

イラン−ウズベキ戦の模様 イラン−ウズベキ戦の模様


 ウズベキスタンは少々飲み込まれた感じ。守備面ではシャムサイーに対策を講じてうまくいっていたものの、人数と注意を彼のほうに寄せすぎて他の選手へのマークがあまりにも甘すぎた。いい形でボールを奪えなかったために、攻撃面ではカウンターができず、パス回しもスピードダウンさせられた。

 しかし後半、23分に右のIアーメドフから左のEクドラトフにスルーパスが入ってシュートシーンを作ってから(シュートはGKが前に出てセーブ)、徐々に自分たちのペースをつかむ。26分はイランのGKへのバックパスのファウルから、ペナルティスポット付近でFK。Fムヒディノフが流してGコロレフがシュートにいったところ、Hシャムサイーが前にスライディングで飛び込んでブロックしたが、これがファウルとみなされてウズベキスタンのPK。これをGコロレフが右へ決めて1点を返した。

 そして直後にもゴール前でRブリエフが倒れPK。Gコロレフが再びシュートしたが、これはイランGK@ナセリがブロックする。ここで1点差にならなかったのが、イランにとっては大きかった。

 お互いに小競り合いがあってファウルもたまり、イエローカードもよく出る展開となる。ウズベキスタンがボールをよく回して攻めるが、イランもカウンターを中心に反撃という流れ。この辺りからはいつものように強引な攻めが目立つイランだったが、決定機は彼らのほうに多かった。

 31分にイランはHシャムサイーからGライゼにボールが渡ってGKと1対1のシュートシーンとなるが、右サイドからの左足シュートはポストを叩く。34分イランは第2PKを獲得し、HシャムサイーがシュートするがGKがブロック。跳ね返りをもう一度Hシャムサイーがシュートするが右ポストを直撃する。しかし、35分に左サイドからの浮き球を受けたHシャムサイーが素早く右に振り向いてシュートすると、ボールはGKの股間を通ってゴールが決まった。

 ウズベキスタンはこの後から、GコロレフをGKにしてパワープレーを開始。5人の選手が五角形を作るパス回しだったが、イランがその後方3人のボール回しに3人を擁してプレスをグイグイとかけ、パワープレーがうまくいかない。ほとんどチャンスが作れずに、逆にイランがカウンターを中心に決定機を作り続け、試合が終わった。

 堂々と胸を張ってピッチを去るイランは、2次リーグからしっかりとチームを立て直し、何ともいえぬ嫌なオーラを感じさせる状態。この感じはこれまで嫌というほど味わってきた、日本対イランの決戦前の雰囲気そのものである。


 <第4回 最終回>
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