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○第7回アジア選手権(ホーチミン/ベトナム)2005/05/22〜06/04

ストライカーDX菊地芳樹の
    ホーチミン現地レポート・第4回 2004年06月01日(水)

日本がタイをやぶって決勝リーグ全勝!
イランが準決勝進出!


 <第3回 第5回>

ストライカーDXの菊地芳樹氏が、競技フットサル界注目の世界選手権アジア予選が行われるホーチミンから最新情報をお届け!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!

<レポート・その4>


グループG・決勝リーグ戦
2 前半 0
2 後半 2
日本 4 合計 2 タイ

 タイの決死のパワープレーを、日本が気合で跳ね返す。思いのほかヒートアップした試合に、小ぶりでピッチとスタンドが近いアーミーゾーンスタジアムは熱くなった。

 立場上、日本はタイとイラン、どちらが準決勝に進むのかを選べるかのような状況にあった。今大会の出来を見ても、やはりイランが上に来るのは嫌だというのが、見ているものの気持ちだ。だがそのためには、知ってのとおりこのタイに引き分けるか負けるという条件になる。しかし、

「周りの状況は関係がない。いつもいっていることだが、一つ一つの敵を全力を尽くして戦って、しっかりと倒すこと」

 試合前のサッポ監督の指示は、選手たちに迷いを与えなかった。その気持ちは日本の出方を伺うかのようにスタートしたタイに対して、先制点という形で表れる。開始31秒だった。左サイドからボールをキープしてセンターサークル付近に入った木暮が、右奥で敵の裏を取った鈴村にループパス。これがジャストの距離で渡り、鈴村は1トラップして左足シュートを決めた。その後も日本は、タイのパス回しにしっかりと対応。さらにプレッシャーをかけていい形でボールを奪うと、カウンターから再三の決定機を作る。

 ようやくタイがシュートを打ち始めるようになったのは、前半も中盤をすぎて、GKの@チューンタがパス回しに加わるようになってから。だが、日本はこれにも柔軟に対応し、逆に16分にカウンターから2点目。右サイドでH小野がボールを奪ってそのままドリブルで進み、左にパスを流してゴール前でフリーのI木暮が決めた。

 日本は19分にもB伊藤が右サイドを縦に突破してフリーになり、ゴールファーポスト際へシュート性のクロス。これにL高橋が飛び込んだが、ボールはポストに当たって跳ね返ってしまう。逆にこれを拾ったタイがG藤井を挟んで2対1の状況を作り、右から持ち込んだHイニュイがそのままシュート。ところがこれもポストに当たって跳ね返った。

 同時刻で行われていたプートースタジアム、イラン対中国の試合は、前半が終わって6−0でイランリードの情報が入る。

会場のアーミーゾーン 日本−タイ戦

 後半、タイは立ち上がりからCジャンタをGKにしてのパワープレーを敢行。これを予
測していたという日本も、前半同様、守りを固めてカウンターあるいはロングシュートという頭に切り替える。

 左利きのCジャンタは主に右サイド後方からボールをさばき、逆サイドの左にはエースのFマンジャレンやキャプテンのBピエンクム。日本サイドの両コーナー付近に1人ずつと、ペナルティスポットに1人というのがタイのパワープレーの陣形だった。

 一方の日本は、ボールに対してアプローチに行く選手を頂点に、菱形の陣形を作るゾーンマークで対応する。左右またはコーナー付近にボールを散らされても、日本のボールへのアプローチと陣形の立て直しが速い。そのためタイのボール回しも安全優先の色が濃くなり、苦し紛れのシュートは日本の壁に当たるか、@川原が読みきってセーブするというシーンが続く。そんな中でも日本はカウンター&ロングシュートで何度がタイゴールを襲っていたから、タイに嫌なプレッシャーはかかっていたはずだ。

 29分にタイがタイムアウトを取ってからも、状況は変わらず、むしろ日本のシュートシーンのほうが多く見られたくらいだった。ところが、35分の場面では初めてCジャンタへのアプローチが遅れ、フリーの状態でシュートを打たれてしまう。ボールはゴール枠を外れていたが、I木暮に当たってコースが変わり、ゴールに入ってしまった。2−1。

 1点差となり、日本はもう1点取って安心したい気持ちも出たのだろう。ここからはより積極的にカウンター&ロングシュートを狙うようになり、タイも日本が上がった裏を突いてカウンター。お互いにゴール前のシーンを作りあってボールが激しく行き交う“ジェットコースターフットサル”になり、会場が盛り上がる。

 ここで活躍したのが、いつも落ち着いたプレーができるH小野だった。残り59秒。タイのパワープレー後に跳ね返ってきたボールをハーフウェイライン手前で受けると、ムキになって取りに来たタイ選手を背負って心憎いまでのボールキープ! 1タッチ、2タッチ、次の瞬間、そこから振り向きの左足ロングシュート。ボールはきれいな弧を描いてタイゴールに吸い込まれた。3−1。

 ジェットコースター展開はまだ続く。残り47秒。今度はタイがカウンターを仕掛け、右サイドからFマンジャレンが豪快なシュートをニア上にぶち込んだ。3−2。

 さらにゴリゴリ突き進むFマンジャレン! 残り30秒で2人のチェックを受けながらもひきずるようにボールを前に、こぼれたところをゴール前でLクムシンカエウがシュート! 猛然と前に出た@川原が体に当ててセーブ!

 そして、締めの1点は日本が取った。H小野がタイ陣でCジャンタにうまくプレッシャーをかけ、彼の苦し紛れの縦パスがI木暮の元へ。I木暮は落ち着いてロングシュートを決めて4−2。電光掲示板は残り1・6秒となっていた。

 日本は2次リーグ3連勝、堂々の1位で準決勝へ。I木暮とA鈴村は後半フル出場で走り回った。

 イランは結局10−2で中国を下し、準決勝進出。息を吹き返し始めた。


<<監督・選手コメント>>

サッポ監督
今日の試合もこれまでと同様、自分たちのやるべきことをしっかりとやって、いい展開で結果を得ることができた。だが、まだ2試合ある。これを勝たなければ、これまでの勝利はおそらく忘れられてしまうだろう。パワープレーに対しては、ディフェンス面でしっかり練習していて、どの選手も対応できる状況にあった。失点はちょっとしたミスによるもの。それと後半は選手交代のタイミングがつかめなかったのは事実だ。こういう状況ではちょっとしたタイミングのズレでやられたりするものだから。

木暮賢一郎
監督からは、準決勝進出が決まっているからといって、駆け引きなど気にしないで全力で勝ちにいこうということだった。タイはイラン戦でモチベーションの高さを見せられたが、今日は思ったほど厳しくないという印象で、前半は中国戦に続いて日本の連動性が上回ったと思う。ただ向こうは前半からGKを使ってきて、後半はパワープレー。守る時間が長くなったのはきつかった。でも2点差があったのでよかった。

チームのコンディションは、ケガ人も出ているわけだし100%とはいえないけれど、コミュニケーションは非常によく取れている。こういう大会を勝つには能力だけではなくて、1つのチームとしてまとまることが大切。雰囲気はかなりいいです。今回は本当にチャンスだと思うので、気を抜かずにこれからも戦いたい。

鈴村拓也
ゴールは、立ち上がりの時間だったので、大事なところで取れてよかった。前に出ていくのを狙っていた。いいコースに決まった。相手のパワープレーはイランのも防いでいたので、特に問題はなかった。ずっと決勝戦と思って戦っているので、相手のことはあまり意識していない。優勝を狙える自信があるので、このまま勝っていきたい。

川原永光
アジアでも上位に入るチームとの対戦ばかりで、2次リーグを突破するのは大変だった。パワープレーのディフェンスは特に鈴村がコースを消してくれていたので、自分は壁になるだけでよかった。FマンジャレンやCジャンタのシュートを警戒していたけど、あまり打ってこなかったから怖くはなかった。ただ、2人だけでは守れないし、その点木暮や小野ら前の選手たちも本当によく守ってくれた。全勝してチャンピオンになりたいと思っている。



グループG・決勝リーグ戦
2 前半 0
4 後半 2
ウズベキスタン 6 合計 2 キルギスタン

 お互い2次リーグ2勝同士で、準決勝進出は決定済み。ウズベキスタンはチームの中核を担っているEクドラトフとFムヒディノフがメンバーから外れ、キルギスタンは昨日大活躍のIケンジサリエフが昨日のケガ(ゴールの際にポストに激突)の影響か、メンバーに入りながらも出場せず。GKも昨日のOラスロフから前半途中で@シャモニンに変わって出続けていた。お互いに休むところは休んで、といった雰囲気。

 ゲームはキルギスタンが相変わらず精力的に攻めているものの、今日は全体的に各選手が1タッチ2タッチしてからパスというリズムを続けていて攻撃に変化がないため、ウズベキスタンに読まれている。Fデティバエフ(・ヌルジャン)が一度、フェイントで1人をかわして決定的なシュートを打ったが、ポストを叩いて昨日からアンラッキーなことが続いていた。

 ウズベキスタンはそれに比較して、パス回し、攻撃の仕上げの部分で意外性や変化がある。中心になっているのはお馴染みの小柄なIアーメドフで、彼が絡むとチャンスが多く生まれるが、他の選手たちもお互いにコンビネーションがよく、キルギスタンを上回る数でシュートシーンを作った。先制の後、前半終了間際には前線でのルーズボールを素早くつないでBマメドフが2点目を決めたが、試合巧者の印象は変わらずだった。

 後半もキルギスタンがいいところまでボールを運ぶものの、ちょっとした判断ミスでシュートを打てない、決められないのに対し、ウズベキスタンは確実にチャンスをものにしていく。24分にはそれまでポストに徹していた感じの長身Rブリエフが、突如振り向いてマークをかわしてシュートを決めると、27分にはそれまで簡単にパスをさばいていたIアーメドフが、ロングドリブルで左サイドを突破してクロス。GKがボールをこぼしたところをHオドゥシェフが押し込むラッキーな点につなげた。

 キルギスタンがようやく攻撃をゴールに結びつけたのは35分。Aシャラドフが左から中に切れ込んでドリブルシュートを決めた。さらに、37分には左右の大きな展開からファーポスト際でHアブドライモフが押し込んで4−2と、ウズベキスタンを追いかけていく。

 ところが今日のキルギスタンはGKの@シャモニンが低調。同じ37分に遠目からウズベキスタンRブリエフが放ったシュートはほぼ顔の前だったが、これを処理ミスして手が弾かれ、ゴールになってしまう。さらに39分のシーンでは、右サイドからドリブルしてきたウズベキスタンHオドゥシェフが左足でファーサイドへトゥキックシュート。少しバウンドしたこのボールに足を出すタイミングを外され、またゴールを許してしまった。

 結果、6−2でウズベキスタンの勝利。後半は終始楽な展開でゲームを進められたウズベキスタンだったが、攻守においてやはりあなどれない強敵であるには違いない。日本が準決勝で当たることになったキルギスタンも、今日はやはりお休みモード。スタイルからして日本は戦いやすい相手といえるだろうが、彼らのエネルギッシュなプレー振りは「何が起こるか分からない」という言葉を使って差し支えないだろう。Iケンジサリエフの左も気にかかる。

日本は細心の警戒が必要だ。


 <第3回 第5回>
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