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○第7回アジア選手権(ホーチミン/ベトナム)2005/05/22〜06/04

ストライカーDX菊地芳樹の
    ホーチミン現地レポート・第2回 2004年05月30日(月)

日本、中国を下して準決勝進出!


 <第1回 第3回>

ストライカーDXの菊地芳樹氏が、競技フットサル界注目の世界選手権アジア予選が行われるホーチミンから最新情報をお届け!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!

<レポート・その2>

グルーG・決勝リーグ戦
2 前半 0
3 後半 1
日本 5 合計 1 中国

 日本がやりたいことをやって、中国との力の差を見せた試合になった。今日の日本はD比嘉とJ稲葉がケガの影響でベンチを外れるというメンバー構成。

 中国は前線に張るピボにボールを入れ、攻撃を組み立てる回数の非常に多いチーム。その対策は、「ハーフウェイラインから少し下がった位置でガッチリと守備を固め、ピボにボールを入れさせない」(サッポ監督)ことだった。その対策をきちんと実践した、@川原、A鈴村、F金山、I木暮、H小野のスターターは徐々にペースをつかんでいく。相手の中国も日本と同じように引いて、がっちりと守りを固めにいったが、日本が素早いパス回しを見せて崩し始めた。

 日本のボール回しが以前と変わってきているのは、前後のボールの出し入れがスムーズになっている点だ。

 これまでは後方での左右へのパス交換が中心で、前線へのボール出し、いわゆるピボ当ては攻撃の最終局面で行うという流れが多かった。そのためにその横のパス交換を相手に狙われて、プレッシャーを掛けられるとすぐに苦しくなってしまうシーンもあった。

 だが今日の日本に頻繁に見られたのは、前から1人が中央に下りてきて、後方のパス交換をサポートするプレー。具体的な例を挙げると、右後方で敵のチェックを受けながらボールを持つA鈴村が、平行の高さで待つ左後方のF金山への横パスが敵のチェックがあって厳しいなどというときだ。ここで左前にいたH小野がセンターサークル付近に下りてきて、A鈴村からのパスを引き出すといったプレーが出る。

 A鈴村は斜め前のH小野にボールを入れると、中国選手の注意がセンターサークルへ行ったスキに中央へ移動。すぐにH小野のリターンをもらう。連動してF金山はH小野が下りることで開いた左前のスペースへダッシュして、A鈴村からのパスを引き出そうとする。ダメだったら、A鈴村は右に下りてきたI木暮に展開……といった感じ。

 前後のパス交換を頻繁に入れることで、相手のプレッシャーをかいくぐり、逆に相手の裏を突こうとする。そのことで中国を揺さぶり続けることができた。もちろん、こうしたプレーは日本ではカスカベウなどに頻繁に見られるパス交換のパターンで、競技志向チームなら常識の範囲内であると思う。だが、これまでの日本の国際舞台では、チームは安全志向でそうしたプレーも少なかったのだ。何かちょっとしたミスがあったときに、カウンターで失点すると試合の流れがガラっと変わってしまうことを知っているからである。でも、これまでの個々の経験とチームの熟成で、気持ちにも余裕があるのだろう。今の日本は普段着のプレーが出ている選手が多くなってきた。

 というわけで、日本の攻撃は流れるように展開した。マンツーマン中心で守備をする中国はこのままいくと消耗していくのは明らかだった。先制点は日本に入る。7分、左後ろのI木暮が、左から右裏へ動いてマークを外したH小野に対角線上のピボ当て。F金山が落としをもらいにH小野の元へ走りこむ。H小野は相手を背負いながら、2、3度足裏でゴシゴシとボールを擦り、F金山の動きをおとりにして左へターンして左足シュート。得意の振り向きシュートが見事に決まった。

 その後も中国Oジャン・シーに2本シュートを打たれた以外は、ほぼ日本のシュートシーンだった。2点目は前半終了間際の残り37秒のところでA鈴村。中央から左前に思い切って走りこんでI木暮の縦パス(浮き球)を受け、ほとんど角度のない位置から左足でボレーシュート。これがゴール右角を見事に捕らえるスーパーゴールとなった。

国家斉唱 日本−中国戦


 後半の出だし。日本はやや無理めのパス回しとボールキープが祟り、自陣でボールを奪われてFワン・シャオ・ユウにゴールを奪われるまずい入り。1点差となってややバタバタした時間を過ごす。中国が日本のパス回しに慣れてきてプレッシャーをかけられるようになってきてもいた。すこしシュンとなっている選手たちに日本ベンチからはしきりに「しゃべれ!しゃべれ!」という声が出ている。

 だが、昨日に引き続き、大事なところでまたG藤井が活躍を見せた。26分に中央から左前のH小野とのワンツーを決め、最後は相手ともつれ込みながらもスライディングシュートを決めた!

 この後日本はA鈴村が警告を受けて、以後ピッチに出ず。ベッキはC小宮山とB伊藤が交代で務めた。息を吹き返した日本の勢い止まらない。31分にI木暮が4点目。左サイドから相手を1人縦にかわし、ゴール右下へ超正確なトーキックを転がした。4−1として中国はあきらめムード。

 日本は昨日出場しなかったE鈴木が入り、守りを引き締めにかかる体勢。その中38分にはF金山のゴールが生まれた。自陣から縦へ入ったB伊藤の浮き球を、ショートバウンドで捕らえてコースを変え、出てきたGKの鼻先を抜く形で決まった。

 直後GKはM定永が出場。中国はDリー・ジィエンの強引ドリブルを中心に打開を図ったが、日本が残りの時間を守りきり、5−1で終了した。

 昨年のマカオ大会は5−2で日本が勝利したこの対戦。中国は昨年大会に比べ守備力の向上が見られた。が、日本も攻守にレベルアップしたところを見せた。両チームの力の差は昨年から同じ量をキープしている印象を受けた。


<<監督・選手コメント>>(協力・北健一郎)

サッポ監督
今日は守備面で相手のピボに入れてくるボールをいかに防ぐかというのと、個人技があるので突破されないようにという点。攻撃面では活発に動きながらしっかりプレーを組み立てて攻めるよう指示していた。2次リーグ2連勝は素晴らしい結果だが、スタッフも選手も、現時点では冷静に受け止めている。練習で取り組んでいることがいい結果につながっている。

木暮賢一郎
いいフットサルができた。2タッチ、3タッチでボールがよく回り、何かやってやろうというより自然に崩せていった感じがした。本当に今日はボールがよく回って、こちらは疲れなかった。

藤井健太
今日もゴールしたが、いいイメージができている。ウクライナ戦からやってきてゲーム感が戻ってきている。今のチームは、チームの中で個々の役割がハッキリしているので結果を出せていると思う。

鈴村拓也
ゴールはいいボールが来たので、決められた。浮いたボールだから蹴りやすかった。そんなに強いボールではなかったけど、いいコースに飛んだ。相手の守りがそれほど強くなかった。中国は去年のほうがもっと強かったかも。動きが少なく1対1中心なので、対応は比較的楽だった。それだけ日本のレベルも上がってきている証拠でしょう。

小野大輔
ボールが来たときに自分のマークが後ろにいて、GKも出てきたのが分かったので、振り向いてシュートを打った。(今大会初ゴールだが)周りのサポートが速いから、ボールキープして落としたほうが得点の可能性が高くなっている。いろんな選手が決めたほうが、のってくるだろうし。

金山友紀
ようやく久しぶりに自分らしいゴールを決められた。昨日の試合はボール回しで何度かミスをしたので、今日は確実につなぎたいと思っていた。タイ戦を取りこぼさず、3つ勝って決勝トーナメントに行きたい。



グループG・決勝リーグ戦
2 前半 1
1 後半 2
タイ 3 合計 3 イラン

 タイもイランを食うのではないかという雰囲気は感じていた。昨年末、世界選手権でのイランの負け姿は、タイや日本の選手たちに「臆することはない」という精神的な余裕を確実に与えたのではないだろうか。

 試合はタイが2点をポンポンと入れるスタート。3分に左のキックインからCジャンタが左足シュートをゴール右下に決めて先制すると、直後にはハーフウェイライン付近でルーズボールを拾ったBピエンクムが、そのままドリブルで持ち上がりペナルティエリア少し手前から右足のトーキックをゴール右に突き刺した。大興奮のタイベンチ!

 イランも反撃開始だ。いつものようにHシャムサイーを中心にシュートの大量打ち込み体勢に入る。だが、タイも昨日の日本と同じようにしっかりと対応。イランのそのシュートを攻撃で最終的に強引な形で打たせる、可能性の少ないシュートに終わらせることに成功していた。そればかりか機を見て得意のカウンターを仕掛け、チャンスも作った。

タイ−イラン戦


 イランはお馴染みのメンバーに加え、今大会多くの若手メンバーを連れてきている。そのせいか、HシャムサイーとIヘイダリアンという2大巨頭をサポートする気の利いたプレーに欠ける印象だ。これまでは周りの選手が2人の個人技を上手に使っていたところがあった。ところが今回はそれがないために、逆にHシャムサイーとIヘイダリアンが周りに気を使っている感じ。それはボールを長く持ちすぎるプレーにつながり、チームとしては速いパス回しで崩しにかかるというシーンが少ない。とにかくあの2大エースに余裕がなく、必死なのである。肩に力の入りすぎたプレーはミスを生む。だが、そのミスを周りがカバーできずにピンチになるという悪循環になっていた。

 それでもイランは15分に、Iヘイダリアンが華麗にではなくガツガツとゴール前にドリブルしていき、左でフリーのCモフセンへパスしてゴール。1点差にして後半を迎える。

 後半のスタートは雷で停電が2回あり、会場で唯一時間を知る手段の電光掲示板が消えてしまい、5分ほど中断。再開して、イランが長く攻める展開に変わりはなかったが、タイも前の守備者がいい形でボールを奪うシーンがあり、チャンスを作る。25分にタイは左CKからファーサイドでFマンジャレンがボレーシュート。ゴール前でHイニュイが頭でコースを変えたがポスト。直後の反撃でイランはHシャムサイーの振り向き左シュートが、バーを直撃という沸くシーンがあった。さらにGKからのスローでカウンターの応酬と、ゲーム展開が速くなり、27分にゴールを取ったのはタイ! 左サイドでFマンジャレンが2人を引き付けて縦パスを出し、これを中央から斜めに前に猛然と走りこんだEイッサラスウィパコーンがGKの前で右へ流す。逆サイドにはフリーのCジャンタがいて、ゴールに転がした。

 ゲームのリズムは明らかにタイのものだった。だがカウンター狙いとはいえ、振り返ればイランに攻めさせすぎた感もあったような気がする。イランのボディブローが徐々にタイの体力を奪った。34分にカウンターから決定機があったタイだが、これを決められず、完全に守りきり体勢に入る。しかし、イランのボール保持者へのアプローチが甘くなり、Hシャムサイーに簡単にボールが入るようになってきていた。35分。Iヘイダリアンの縦パスを受けたHシャムサイーが素早く振り向き右足シュート。右上に決まって再び1点差となった。

 それまで珍しくおとなしかった、タイのブラジル人監督グラウシオの行動が、いつものように激しくなってきた。大きな身振り手振りで「こいつをマークしろ!」「もっとボールに寄せろ!」と指示して、選手たちと一緒に戦っている。必死に守るタイ。必死に攻めるイラン。

 38分、中央のHシャムサイーから左のIヘイダリアンへボールが渡り、Iヘイダリアンは目の前のマークをかわすようにボールを横にズラして素早くゴール前へ。GKの前でDモハンマドがコースを変えてゴールに流し込んだ。高々と右手を上げるDモハンマド。イランが遂に同点に追いついた! 

 まだ時間はある。さらに攻め込むイラン。タイにもう得点を取りそうな雰囲気はない。さらに守りモード……。そして、タイムアップとなった。

 3−3の引き分け。この時点で日本の準決勝進出、中国は2次リーグ敗退が決定した。準決勝からベトナムに来られる予定だった日本のみなさん。ひとまずよかった……。

 そしてこのグループの次の対戦も、非常に興味深いものとなった。準決勝進出のためにタイは日本に引き分け以上、イランは中国に大量点勝利を狙ってくる状況だ。だがイランには試合後、激しく落ち込んで立ち上がれない選手も何人かいたことを付け加えておく。


 <第1回 第3回>
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