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○第7回アジア選手権(ホーチミン/ベトナム)2005/05/22〜06/04

ストライカーDX菊地芳樹の
    ホーチミン現地レポート・第1回 2004年05月29日(日)

日本、無敗イランを遂にやぶる!


 第2回>

ストライカーDXの菊地芳樹氏が、競技フットサル界注目の世界選手権アジア予選が行われるホーチミンから最新情報をお届け!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!

<レポート・その1>

グルーG・決勝リーグ戦
1 前半 1
2 後半 1
タイ 3 合計 2 中国

 グループリーグを1−1で引き分けているチーム同士の対戦。お互いに手の内が分かっているためか、互いにまず相手の攻撃を警戒するといった感じで、自陣に引いて守る守備的な形でスタートした。ゲームのスピードはほとんど上がらず、開始3分弱のところで天井の照明が部分的に停電したこともあって、大変なマッタリムード。外は試合開始30分ほど前から、ものすごい勢いのスコールが叩きつけていて、この大会を視野に入れて新しく作られたというプートースタジアムも、ところどころ雨漏りしているような状況だ。

 タイは昨年からとほとんど変わらないメンバーだった。昨年末の世界選手権時は、それまで長くチームを引っ張ってきたエースFマンジャレンやキャプテンのBピエンクムが重用されない選手起用が見られた。しかし、この試合ではGKの@チューンタも含め、“いつものメンバー”がスターター。引いて守ってのカウンターをベースに、昨年時からよく見られる、選手がローテーションしながらのパス回し、サインプレーも加えてチャンスを伺う。

 中国のほうは若干メンバーが変わっている様子。昨年は数人のドリブラーがガンガン攻め込んでゲームのリズムを作っていく、イケイケのチームだった。だが、この試合では後ろの3人でゆっくりボールを回しながら、ピボを使った攻撃。ピボは長身の2人Oジャン・シー、Nション・スイ、とテクニックのあるJヤン・ドゥの3人のピボを交代で使い、そこにボールを入れる。後方はIウー・ジュオ・シー、Bヤン・フェイ、Dリー・ジェインといった選手が長い時間起用されていた。どの選手たちも基本的に体が大きく、パワフルなプレースタイル。ピボ当て中心の攻めは、一見理性的に見えるものの、個々の局面ではやや強引なドリブル、シュートが目立ち、それがタイの個々の選手を球際で上回るような格好になった。

 一進一退の攻防が続いたが、球際でのタイのファウルが重なっていく展開でゲームが進む。両者審判へのクレームも多くなってきていた。まったりムードは変わらないのだが、やはり当事者たちには緊張感がある様子。18分のところで遂にタイが6個目のファウルをおかし中国に第2PKのチャンス。これをBヤン・フェイが決め、先制点が入った。しかし、タイも前半残り5秒で得たゴール前のFKを、Bピエンクムが横に流し、Fマンジャレンが右足を強振。同点にしたところでハーフタイムとなる。


 後半もお互いに慎重な試合運びでなかなかチャンスができないまま進んだが、30分にタイが左サイドのキックインから、中2人のスイッチに中国が引っかかり、ニアサイドでCジャンタが左足シュート。中国GK@ジェン・タオ(巨漢!)は、味方がブラインドになって反応が遅れ、ゴールが決まった。

 タイが2−1とリードしてゲームが動く。中国はそれまでのゆっくりした攻撃から、Dリー・ジェインが再三ドリブルで突破を試みてタイゴールに迫る。タイもこれにカウンターで応酬。急にボールが行ったり来たりの展開になってきた。ところが32分に中国はルーズボールの争いの際にAリ・コウ・チェンがタイGK@チューンタを蹴る形になり退場。1人多い状態のときに、タイはCジャンタが再びゴールを決めて3−1とリードを広げた。

 中国も34分に左CKからゴール前でOジャン・シーのゴールが決まり、3−2。その後も積極的に攻めに出て行き、ゴール前へ押しかける。タイの必死の守りの中、今度はタイのMコンカエウが2枚目のイエローで退場となるが、残り11秒。何とか守りきって3−2で勝利した。

 全体的にはタイがもっとやれるのではないかという印象を受けたゲームだったが、こと守備に関して、中国は非常にレベルアップしており、引いてがっちり守られると嫌な感じを受けるのかもしれない。ただ、そんな難しい試合でも勝点3をもぎとったのは、タイにとって非常に大きかっただろう。



グループG・決勝リーグ戦
0 前半 0
3 後半 1
日本 3 合計 1 イラン

 7回目を迎えるアジア選手権で、未だ無敗を誇っていた王者イランに、日本が遂に土をつけた! 昨年日本で行ったアルゼンチン戦の勝利の内容を上回ったかのような印象で、真面目にプレーする選手たちの力が十分に出た“快勝”だった。

 日本のスタメンは@川原、A鈴村、F金山、H小野、I木暮。イランにはやる気満々のエースHシャムサイーの姿が見える。

 序盤はここ数年のイラン戦と同じような展開。イランはHシャムサイーがドリブルで突っ込んでシュートを試み、それをA鈴村&@川原がストップして吠える……が繰り返される。だが今日はどの守りの局面でも余裕が感じられ、選手たちがイランの攻撃の型、リズムに完全に慣れている印象を受けた。日本がスライディングをするシーンが本当に少なくなった。以前はHシャムサイーが切り返す度に、日本の守備陣形が少しずつ崩されていく感じがしたのだが、今は彼が切り返すたびに日本選手が次から次へと彼を囲むような形になり、イランの大エースを苦しめる形になっている。もう一つ、イランのキャプテンIヘイダリアンの、ボールを股下で左右に動かすドリブルにこれまでは苦しんでいたが、各選手落ち着いて「見る」ことで対応。遂にはH小野がボールを引っ掛けて奪った! 必殺技が敗れる貴重な瞬間を目にした。

 対シャムサイー、ヘイダリアンがこんな感じなので、攻撃力で彼より落ちる他のイランに選手に対して、日本はほぼきちんと対応しきっていた。イランのシュートが枠を大きく外すシーンが目立つ。至近距離からの被シュートは少なく、枠に来るシュートは@川原が落ち着いて防いだ。

 だが、日本もなかなか攻め手がないのは確かだ。6分に2度、左サイドへの展開からゴール前へいいクロスボールが入ったが、いずれも中に詰める選手が一歩ボールに届かなかった。イランも積極的に前から守ってきて、日本はつなぎにくい状況だった。後ろでのボール回しで何度が危ないシーンもあったが、逆に裏をうまく取ってイランをあわてさせる場面もあった。中心になっていたのはI木暮と、H小野で、イランに臆せずに仕掛けていくシーンが見られた。

 前半が終わる頃になると、イランは前線に張るHシャムサイーに後方から長めのボールを入れ、早めに1対1の状況を作るように試みてきた。ムキになって仕掛けていくHシャムサイーと応戦するA鈴村のマッチアップは、もはや「アジア選手権名物」。この時間帯はA鈴村が抑えきる形で終わり、前半を0−0で終了する。

日本−イラン戦 勝利に沸く日本ベンチ


 後半は徐々に攻め疲れしてきたイランに、日本がカウンターでチャンスを作る場面が増えてくる。25分左サイドをI木暮がドリブル突破してシュート。コースがやや狭く、GKに防がれる。同じ25分には3対2の状況から、中央のI木暮から左のG藤井、GKが出てきたところを浮き球で右のA鈴村へ。A鈴村のヘディングの折り返しにI木暮が突っ込んだが、イラン選手に体を入れられて防がれた。

 しかし、そのすぐ後に日本に待望の先制点が生まれる。左のI木暮が縦のH小野にパスして中へ。H小野のリターンはI木暮にきれいに渡り、ワンツー成功。フリーのI木暮は1タッチの後、GKが一歩も動けないシュートを左に突き刺した!

 1分後には2点目が入る。@川原からのカウンター。左から走るG藤井にボールがスローされ、一瞬、イラン選手にカットされそうなコースで足が出てきたが、ボールに回転がかかっていたのかバウンドでコースが変化して後逸。これをしっかり見極めて対応したG藤井がボールを処理して、出てくるGKをかわすように右斜めにはたくと、走りこんだI木暮が押し込んだ。

 2−0とリードした日本。ここからは強豪との試合には欠かせない“川原ショー”だ。Hシャムサイーを中心に次から次へと打たれるシュートの雨を、こちらも次から次へと弾いていく。イランのシュートが枠をとらえはじめてきていて、ヒヤッとするシーンもあったが、そんなヤバめのときでも防いでくれるのが頼りになるところだ。

 それでもイランはゴールを決めてきた。33分、右サイドでボールキープしたIヘイダリアンが日本選手を引き付けてから落とすようにパス。走りこんできたEホセインに豪快に右上を突かれた。2−1。

 展開的に苦しくなってきた日本だが、約1分後に願ってもない3点目が入った。中央からドリブルで進むG藤井に、横からチェックにきたイラン選手が滑ってにわかに3対2の状況。G藤井はこれを利用し、自ら目の前の敵を左にかわして、ドリブルシュート決めた。

 俄然有利になり、目の前に初勝利がぶらさがった日本。しかし、ここからイランは、何と緑色の(ピチピチ)ユニホームを着たIヘイダリアンをGKにしてのパワープレーに。初めて見るイランのパワープレーは、Iヘイダリアンを中心にして素早くボールを左右に散らしたものの、Iヘイダリアン自身にシュートの意識があまりなかったことが幸いし、日本は追いかけて、追いかけて、ゴール前にボールを入れさせなかった。

 ところがファウルが貯まってきていて、最後にもうひとヤマ起こった。ボールキャッチしてすぐイランゴールを狙おうとパントキックした@川原が、ペナルティエリアを出たとして6つめのファウルを取られ、左45度のこの位置からイランの壁なしFK。蹴るのはHシャムサイー。渾身の力を込めてシュート。

 @川原は右足にぶつけて防いだ!

 日本は残り時間を最後まで守りきり、3−1で勝利。歴史的な勝利の瞬間にベンチが沸いた。だが、それも昨年、世界選手権出場を勝ち取ったウズベキスタン戦ほどではなく、いわば「小躍り状態」。チームの心には、優勝という大目標が残っていることを感じさせるシーンだった。


<<監督・選手コメント>>(協力・北健一郎)

サッポ監督
日々練習して、常々前進していれば、いつか勝つ日は来る。ただ、この試合に勝っても大会が終わったわけではない。目標はアジアでの優勝。今日も2〜3名ケガで途中から下がった選手がいる中、明日も明後日も難しいゲームが続く。まだ道のりは長い

鈴村拓也
勝因は前半に無理にゲームを動かさなかったこと。相手は後半に落ちてくると思ったので、前半を押さえ気味にして後半はアグレッシブにいったのがよかった。(シャムサイーには)間合いに気をつけた。ボールを持ったら必ず振り向いてくるので、それを予測するのが大事だった。イランを倒すのに何年も掛かったから、今は素直にうれしい。

川原永光
今日はディフェンスが負けなかった。向こうも負けられないだろうし、ガチンコの勝負だった。壁なしFKを止めて、いけるのではと確信した。ボクが抑えれば攻撃陣が応えてくれると信じてました。今までは踏ん張りきれなかったけど、今日は踏ん張れたのが勝った要因だと思う

木暮賢一郎
ゴールを期待されているので、勝利につながるゴールを決められたのは素直にうれしい。イランは攻撃力も技術もあるので、リードしていても気は抜けなかった。だけど今までも何度も負けているので、今日は何としても勝ちたかった。まだ半分くらいしかきてないから、油断せずに戦っていきたい

藤井健太
勝ったことに対してはよかったけど、決勝ではないし、2次リーグもまだ2試合残っているから、気持ちを引き締めないといけない。次の試合が一番大事なのではないか。イランとやることは1次リーグの途中から分かっていたので、そこからチームとして気持ちを高めていったのがよかったのではないか。3点目の場面では、普段だったらパスをしていたかもしれないけど、ボールが来たときからゴールへつながるいいイメージがあった。


 第2回>
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