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○第4回アジア選手権(インドネシア・ジャカルタ)10/22〜10/30
サッカー/フットサルライター菊地芳樹の
ジャカルタ現地レポート・第13回 2002年10月30日(水)
日本、タイを破って決勝へ!
<第12回
第14回>
厳戒態勢のインドネシアのジャカルタに単身乗り込んだ菊池芳樹氏が、前回のイラン大会に続いて現地取材を敢行!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!
<レポート・その22>
準決勝
0 前半 0
3 後半 0
日本
3 合計 0
タイ
相根は前半から積極的にシュートを打ち、日本のリズムを作った
日本が走力のあるタイを「歩かせて」完勝した。99年の第1回大会から4回目にして初の準決勝突破。決勝では4年連続優勝を狙うイランと対戦する。
原田監督の言葉を借りれば、タイのスタイルは「出入りの激しい」フットサル。引いてカウンターを狙うのが基本だが、1つのカウンターが失敗して逆に速攻を受けても、それを素早く戻って奪い返し、またカウンターを仕掛けていく。ボールが行ったり来たりする展開にはなるのだが、自分たちが動くことで相手も動かし、相手のバランスの悪いところを突くのだ。攻撃的精神で休むことなくゴールを狙う。国際大会の経験も豊富で、サッカー的なプレーを生かしたスタイルの極みに達したようなチームである。
日本は反対に「出入りの少ない」スタイルである。まずしっかりとした守備を第一に考え、マイボールではしっかりとボールを回してゴールを狙っていく。ピンチも少なければ、チャンスも少ない。その中で確実にゴールを挙げて、1点でもいいから相手を上回って勝利を目指す。これがこの1年間、いくつかの国際大会を経験し、日本の特徴、状況を考えて至った結論だった。
タイのエース・マンジャレンを日本はきっちりとおさえた。
どちらが自分たちのペースに持ち込むのか、非常に興味深いゲームだった。
日本のスタメンはGK川原、FP市原、前田、相根、難波田。今大会のこれまでの試合で、一番スムーズにパスが回るセットでスタートした。いつもようにハーフラインから守備陣形を作り、相手に入り込ませない構え。ボールを持ったら素早く、細かくパスを回し、シュートで攻撃を終えた。
タイはゆっくりと後方でパスを回しながら様子を伺う。しかし、横にボールを動かす度に日本は陣形を素早く修正して対応するため、なかなか前にボールを入れることができない。外に回せばタッチラインに蹴り出され、無理に中央に入れると日本選手に囲まれてしまう。安易な縦パスは、日本の前の2人にカットされる。4分、相根がタイの縦パスを前の位置でカットし、そのままドリブル突破して右からシュート。ゴールを脅かした。
市原ゴールを決め、大歓声の観客にアピール
タイは6分と11分にナレス・スクンガム(6番)が惜しいシュートを放ったが、単発的なもの。次第に手をこまねいて、歩きながらボールを回すシーンが目立ってくる。あの豊かな走力で、次々と敵を倒してきたタイが、そのスピードを消されてしまった。もちろん連戦の疲れも出ているのだろう。日本が最も警戒するアヌチャ・マンジャレン(7番)も、動きが鈍い。
一方の日本は決勝までいいパフォーマンスを出せるよう、ここまで力をセーブしながら戦ってきた。それだけに一瞬の動きはタイに勝っている。12分と14分に藤井が果敢に仕掛け、ゴール枠を捉えるドリブルシュート。15分には前田が左からシュートを放つが、GKに防がれた。グループリーグのクウェート戦から3試合連続して、日本のペースで試合が進んでいく。
しかし、この戦況を冷静に見ていたのが、今大会ナンバーワンGKと見られる、タイのソムキット・チュエンタ(1番)だ。試合のときは髪を上にまとめて結ぶ、ちょんまげがトレードマークのこのGKは、体のキレを感じさせる選手で、シュートへの反応は鋭く、ボール扱いが巧みで、スローも巧い。16分には日本のわずかなスキを突いて前線のマンジャレンへボールを投げ、速攻を演出。ボールは右のマンジャレンから左サイドをフリーで走りこんできたユッタナ・ポルサク(8番)に渡り決定機となったが、シュートミスでボールは枠を大きく外れた。19分には自らキャッチしたボールを前に出し、右サイドをドリブル突破。そのまま強烈なシュートを放ったが、これは日本のGK川原が防いだ。
GKの川原。今日も好セーブを連発した
前半の終わりにタイがやや盛り返したところで、前半が終了した。
前2試合とは違い、日本は前半をリードできなかったものの、後半の出だしも非常に落ち着いていた。じっくりタイと向き合っていた。タイも後半は工夫を加え、攻撃ではボックスの陣形から菱形の陣形に変え、中央からの仕掛けを試みてきた。だが日本も、トップに張るマンジャレンを、鈴村や難波田がフィジカルで決して負けることなく抑えた。最終的にシュートを打たれる場面もあったが、川原が再三の好セーブでゴールを死守する。両GKの活躍で、試合に緊迫感が増してきた。
その中、日本に待望の先制点が生まれた。7分、左サイドからのボールを、ゴール前中央で相手を背負ってボールを受けた前田がキープして左に落とす。そこに市原が走りこんで右足のトーキックでシュート。ボールは好守を見せていたソムキット・チュエンタの手を弾き、ゴールに入った。会場から市原コールが起こる。この日は昨日同様、日本人学校の生徒に加え、地元ジャカルタの学生や、これまでインドネシアを応援していたジャカルタのフットボールチーム「ペルシジャ」のサポーター(*オレンジ×ブラックのジャイアンツシャツ)らも2手に分かれて日本、タイ双方を応援していた。
前田が2ゴールと、ようやく爆発した
一進一退の攻防は続いたが、追加点も日本だった。13分に得た第2PKのチャンス。キッカーは、日本で唯一「強烈なインサイドキックで第2PKを決める」男、前田。そして、弾丸コントロールシュートがゴール右隅に決まった。
「リードされて精神面がコントロールできなかった」とタイのボンカルン・フォロムフイ監督が振り返ったように、この1分後、タイは守備の要のタナシット・トンイン(4番)が藤井の足を蹴って退場。前田の蹴った第2PKは右ポストを叩いた。だが、この後日本は冷静にボールを回して時計を進め、1人少なくなったタイの5人目が入ってくる2分間が経つギリギリのところで、前田がゴール左から左足を一閃。これが見事に決まり、日本が残り4分で3−0とした。今度は会場が前田コールに包まれた。
タイは18分にマンジャレンのシュートがポストを直撃するシーンがあったが、その後も川原の好セーブを含めた日本のディフェンスを破ることができなかった。
試合終了。日本が難敵タイに見事な勝利を収め、決勝へ駒を進めた。2年前にタイで行われた同大会の3位決定戦で、後半7点を入れられて逆転されたゲームの雪辱を晴らした。
決勝で戦うイランは、アジアでは郡を抜く力を持ったナンバーワンチーム。しかし過去の大会、スコア上でイランを一番苦しめているアジアのチームは日本である。これまで日本は、グループリーグでイランと当たったり、トーナメントでイランとは逆の山に入っても、対戦する前にコケてしまったりで、なかなか晴れの舞台で対戦することが適わなかった。だが今大会では計画どおりグループリーグ1位通過で、イランとはトーナメントで逆の山に入った。そして、ウズベキスタン、タイといったライバルを次々と破り、アジア第2勢力筆頭の位置を得て、イランへの挑戦権を得たわけである。
原田監督コメント
「当初の予想通り、タフなゲームだった。タイは優勝してもおかしくないチームで、グループリーグから順調に勝ちあがってきていた。ウチもここに照準を合わせる感じで戦い、うまくいったと思う。過去相手に第2PKを与えて敗れたことがあったので、今日もファウルはあまりもらいたくないと思って戦った。選手たちもそれを十分に理解してプレーしていた。今日の勝利は選手たちの持っている力が100パーセント出てのもの。素晴らしい選手たちだと思っている」
川原選手コメント
「予想してない方向にシュートが来ましたが、体が勝手に動いている感じ。昨日も今日もチーム一丸でディフェンスできて0点に抑えることができました。1−0、0−0といったところで辛抱して守れるようになったのが、いいと思います。チームのみんなはハイテンションでプレーしているけど、自分は気持ちを少し抑えてプレーしています」
前田選手コメント
「ようやくいいゴールが決まって、楽になりました。自分の役割としては守りのこともあるけど、点を取って来いといつも言われていたので、少しでもチームに貢献できてよかったです。タイには2年前に負けていたので、今日は今までの試合とは全然違ってリベンジしようという気持ちが強かったです」
藤井選手コメント
「ボク自身は前半にゴールを決められるチャンスがあったので、課題が残りました。自分は3人目の動きで前に飛び出して、切れ込んでいく役割。パスを受けて早く勝負にいって、前に絡んでいこうと考えてプレーしています。ただチームとしてこういった厳しい試合では守りが大事になる。我慢して失点を0に抑えれば、負けはありませんから」
難波田選手コメント
「点を取る人が点を取り、守る人が守る。試合に出れる人、出れない人がいるけれども、勝つことで、結果が出ていることで、チームがすごくよくまとまっています」
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