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○第4回アジア選手権(インドネシア・ジャカルタ)10/22〜10/30

サッカー/フットサルライター菊地芳樹の
    ジャカルタ現地レポート・第10回 2002年10月29日(火)


 <第9回 第11回>
厳戒態勢のインドネシアのジャカルタに単身乗り込んだ菊池芳樹氏が、前回のイラン大会に続いて現地取材を敢行!
日本代表の詳細レポートに加え、注目試合を独自の視点で解説&レポートします!

<レポート・その17>
準々決勝
2 前半 1
3 後半 1
タイ 5 合計 2 イラク

 一昨日のグループ最終戦では3−1でタイが勝利し、グループAの1位を獲得したが、イラクもグループ3位のワイルドカードでトーナメントに進出。再び準々決勝で両者が対戦することとなった。

 イラクはグループリーグでの対戦を生かし、今日はタイの速い攻撃を警戒して引き気味の体勢で臨んだ。タイがその守備を何とかこじあけようと無理に攻めて失敗したところを、ボールを奪ってカウンターを狙う。だがタイもこうした展開は心得ているようで、そのイラクのカウンターを素早い戻りで途中でカット。逆に薄くなったイラクの守備陣を突くといった「カウンター返し」のような形でチャンスを作っていた。

 そして7分に、エースのアヌチャ・マンジャレン(7番)が中盤で奪ったボールを、左→右にと振る絵に描いたようなカウンターでタイが先制する。直後には左サイドのドリブル突破から中央にボールが入り、マンジャレンがこれを合わせて追加点を奪った。

 しかし、この日のタイは明らかに疲れていた。特にこれまでほとんどの試合時間に出場していたマンジャレンの体のキレが悪い。いつもならここで畳み掛けるところだが、逆にイラクの粘りに耐える感じになり、苦しい展開となった。イラクは16分にアルカン・ハムザ(10番)がゴール前の球際を制し、シュートを決めた。イラクに勢いのある流れで前半が終了する。

 後半もイラクはしっかりと守りを固め、チャンスを待った。最後尾で相手攻撃を跳ね返すキャプテンのワリード・ジェール(9番)は、この日も全快。タイの攻撃を最後のポイントでことごとく防ぎ、チャンスがあればスピードあるドリブル突破で前に出て行く。タイはほとんど動きが止まってしまっただけに、ここでイラクが先に点を取って同点にしていれば、試合の展開は分からなかった。しかし、イラクは攻撃面ではドリブルが1テンポ多かったり、パスミスが多く出たりと拙攻を繰り返し、チャンスを逃してしまう。

 次の1点が勝敗を左右しそうに思われた、14分。点を取ったのはタイだった。ナレス・スクンガム(6番)が思い切り右足を振りぬいたシュートは、イラクFPがブラインドになってGKが反応できず、ゴール左に吸い込まれる。1分後、今度はカウンターからマンジャレン→右のアヌポン・ポラサク(5番)に渡り、強烈なトーキックがゴールに突き刺さった。

 イラクは17分にワリードが上がっていって1点を返したが、タイも終了間際に第2PKを決めて試合終了。これまでは相手に構えられるとなかなか力を発揮できなかったタイだが、今回はしっかりと守備をしてチャンスを待ち、自分たちの攻撃の形で勝利した。力を着けていることを見せた試合だった。

 一方、多くのチーム関係者が経験のなさを嘆いたイラクだったが、国内では2年前から全国大会が開催されているほか、ユース年代の大会も行い、強化に力を入れている。今後は隣国・イランからのコーチ招聘を含めたフットサルの吸収を考えており、これからますます力を着けてくることだろう。

<レポート・その18>
準々決勝
5 前半 0
5 後半 2
イラン 10 合計 2 キルギス

 自分たちの形をいつもどおりに出し、イランが当たり前のように圧勝した。ボールを回す展開の場面では、イランを翻弄するシーンも見られたキルギスタンだが、ゴールを奪ったのは大勢が決まった終盤の2点のみ。後はイランが絶えずパスを回し、ドリブルで仕掛けて攻撃で先手を取り続け、それにキルギスタンが耐えられなくなったときにイランのゴールが決まった。

 もっともこの試合では10点も入るほど、イランのシュートが鋭かったわけではない。ある程度差がついてしまったことでキルギスタンGKの集中が切れてしまい、終盤は簡単なシュートも許してしまう場面が多かった。始終ゴール枠を襲われている中でGKには酷な話なのだが、イランに食い下がるにはどんな状況でもGKの切れない集中力が必要不可欠だ。

 イランの点取り屋のバヒド・シャムサイエ(9番)は、この日も7ゴールと荒稼ぎ。今大会合計21点で得点王争いの断トツでトップに立っている。得意の右へ左への反転シュートに加え、今年のプレーではハーフライン当たりからシュートフェイント&切り返しを駆使したドリブルで、ゴール前まで持ち込む場面も目立っている。

 完全に分けた2セットを交互に使う交代策を止めたイランだが、それでも一定の時間になると順次4人分交代していって、疲労の軽減に努めている。ただ、最初のセットでシャムサイエとキャプテンのレザ・ヘイダリアン(10番)など、いい選手を集中して使っているようで、これらの選手が出ていない場面は威力も減ってしまうようだ。

<レポート・その19>
準々決勝
1 前半 2
5 後半 4
1 延長 0
韓国 7 合計 6 クウェート

 日本戦で熱い試合を見たと思ったら、準々決勝の最終試合は、延長にまでもつれ込むさらにヒートアップしたゲームとなった。

 開始30秒でいきなり先制したクウェートは、5分に同点とされるものの、13分にカウンターから得点を奪い、2−1で前半をリードする。韓国にボールを持たせ、機を見てのカウンター狙いが奏功した。韓国はチャンスは作るものの、決定機でのシュートミスが目立つ。

 後半5分に鮮やかなワンツーの連続からクウェートが3点目。しかし、ここから韓国の猛攻が始まり、9分、11分、12分と連続3ゴールで逆転する。得点を挙げたのは、いずれもキム・ユンチェ(18番)。昨年から不動のスターターである韓国の5人は、疲れが目立ち動きに精彩がなかったが、その中で唯一ドリブルシュートにキレを見せて活躍した。この後、韓国は15分にこの試合再三決定機を外していたパク・ハンソク(7番、柱谷哲二さんにそっくり!)が決め、18分にはまたキム・ユンチェが決めて6−3。試合は決まったかと思われた。

 しかし、ここでドラマが起こる。主役はクウェートのキャプテンである、エッサ・ザデー(2番)だ。今大会各試合で終盤のワンポイントに出てきて、前線で主にポストプレーをこなしていた。体がかなりデカくて、ちょっと太り気味なのだが、その体を生かした確実なプレーは、チームで利いていた。そのエッサ・ザデーのアシストでクウェートが左サイドから1点を返したのは、何と残り28秒。

韓国はまだ余裕の表情。

 残り14秒。エッサ・ザデーが韓国ボールを奪い際に左のトーキック(左利き)でシュートを決め、6−5。「ウォー!」と歓声が起こる会場。1点差。青くなる赤いユニホームの韓国。

 キックオフからボールを回して逃げ切ろうとする韓国だが、中央に無理なパスをして奪われる。絶叫と悲鳴が入り混じる会場。クウェートは速攻で右に展開。パスを受けたエッサ・ザデーがすぐさまファーポスト際にシュート性のパス。そこに走りこんだクウェートの選手はフリー! アーメド・アラスフォー(3番)が豪快に蹴りこんだ! 電光掲示板の時計は2.8秒となっていた。

クウェート選手が入り乱れ、混乱する会場。試合は5分ハーフ、ゴールデンゴール方式の延長戦に入る。

 お互いに慎重になり、決定機をつかめなかったが、ファウルは溜まっていた。その中前半残り58秒でクウェートが第2PKを獲得した。しかしメシャリ・アルナッカス(8番)のシュートは韓国GKジン・ジェユンがセーブする。そして、残り43秒に今度は韓国が第2PKを獲得した。ところがこのときのクウェートに対するファウル判定が、非常に残念。エッサ・ザデーが手で触っただけの韓国選手が、倒れたところで笛が吹かれてしまったのだ。試合途中に監督も退席処分を受けていたクウェートは、怒りを露にしたが、判定は覆らない。

 韓国はこの日大活躍のキム・ユンチェがキッカー。右足で打たれたシュートはゴール右上に入り、韓国が激しい一戦をものにした。

 韓国にとっては不甲斐ない試合展開に、喜びも半分といったところ。一方のクウェートは号泣する選手もいて、痛ましい光景だった。レフェリーに猛烈に講義する選手、チーム役員もいて、一時は騒然となった。しかし、これを紳士的に収めたのが、キャプテンのエッサ・ザデー。最後はピッチ中央で全員が円陣を組み、拍手の嵐を浴びて会場を後にした。

 <第9回 第11回>
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