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【日本代表国際試合・マカオ遠征試合】 2006.2.15. <第1試合 第2試合
開催日:2006年2月11日(土)
場所:マカオ・Tap Sek Pavilion


日本 台北





<レポート> 杉浦 文哉

 「こんな素晴らしい体育館が日本にもあれば…」

 マカオの中心地からタクシーで数分のところにあるTap Sek Pavilionは来年開催予定のインドア選手権のために建てられた体育館だと言う。2年前の第6回アジア選手権に使われた体育館も古くはなかった。むしろ、まだ新しいと言えるくらいなのにまた新しいものを造ってしまうとはマカオの経済力は底知れない。

 会場自体は地下2階、地上2階の4階建てで、白く塗られた壁と「日本の体育館よりも数段撮影しやすい」とカメラマンが言うほど明るい照明が、新しい体育館をより綺麗に見せる。1階はフットサルコートがちょうど1面入るほどの広さのピッチと5列分の可動式の観客席があり、ここだけで約1000人収容できる(今回は1面だけがプレス席となり他3面は使用不可だった)。2階は正面以外の3方向に観客席が設けられており、目測で計算しても約2000人は収容できる広さと高さだ。1階席はほとんどピッチレベルで見ることができるのに対し、2階席は急斜面になっているため、ピッチを上から見下ろすような感じになっており、1つの試合で2つの見方を楽しめる何とも興味深い体育館である。しかし、合計3000人を収容できる綺麗な会場にもかかわらず、客席はガラガラだった。関係者を除くと恐らく200人もいなかっただろう。誰がどこに座っているのか、すぐにわかってしまうほど観客はまばらだった。試合中に訪れる得点シーンで湧き上がる程度で、どの国も応援団は皆無だった。

 当初、日本の相手は中国になると思われたが、台北がよもやの勝利を収めて予想を見事に裏切った。そして試合開始前、台北の選手が既に入場の準備を済ませているのに対し、日本の選手がいないというちょっとしたハプニングがあった。エレベータが故障して遅れたのだが、待っている審判たちが「No game ?」と日本人カメラマンに向かって日本の不戦敗を冗談を飛ばしながら話していた。ほどなくしてキャプテンの比嘉リカルドが笑顔で登場するとすぐに入場かと思われたが、比嘉が審判たちと笑顔で話し、最後尾の金山友紀と藤井健太が来るまで時間稼ぎをした。


 相手が格下ということもあり、開始早々から日本がボールポゼッションを高めて試合を進める。先発した小宮山祐介から金山へボールが渡れば、藤井が次のボールを予測して空いたスペースに走る。金山は相手のプレスに焦る事無く藤井へパスを出すと、今度は高橋健介が、サイドに流れて藤井からのパスを想定する。各自がお互いの動きとボールに応じて休む事無く走る。御殿下スーパーカップで恒例のバウスポーツが昨年末に魅せたプレーや、全日本選手権で優勝したプレデターのパスワークを想像すれば近い。だが、この日の4人の日本代表は彼等以上に選手とボールの動きが速い。しかし、日本が休む事無くどんなに小刻みにボール回しを続けても、台北は日本に遅れを取る事無く必死についていく。戦術や個人のスキルからすれば関東リーグの上位リーグに進出はできないレベルだろう。だが、食らいつてくる粘りは日本代表にとって計算外だった。

 さらに7分を過ぎた辺りから小宮山から比嘉に、高橋から小山剛史にそれぞれメンバーが入れ替わると、これまでスムースにできていた連動にズレが生じ始める。先発以外のメンバーは代表歴が少ないもしくは初めての選手が大半だが、彼等はやるべき事を瞬時に判断できなかった。「その通り」とサッポもわかっているように、彼等にはまだ時間が必要なのだろう。「経験のある選手がどういうことをしないといけないのかを示さなければならなかった」と藤井が言うように、常連と若手の歯車がかみ合わないまま試合が続いてしまい、前半9分にFKからパスを受けた朱家葦にミドルシュートを決められて先制されてしまう。

 だが、日本は先発組がピッチに戻ると一方的に台北ゴールを襲う。台北ボールになっても日本は前からプレスをかけてすぐにボールを奪う。それでもゴールは決まらない。ベンチから立ち上がるサッポが「落ち着け」といわんばかりに両手を下に下げるジェスチャーを見せるが、シュートまで行けるためにペースは落ちない。中盤で右を走る小山にパスを出した金山がファーサイドへ走りこむも、小山は焦ってかニアサイドへシュートを放つ。「ファーサイドへ打て」と厳しい声を出す金山の考えを小山はわかっていなかった。焦りからかファールもかさみ、残り5分で5ファールとなってしまう。


 だが、16分に左サイドの藤井から出た逆サイドへのスルーパスに走りこんだ金山がファーサイドにシュートを決めて同点に追いつく。ようやく決めた同点弾だが喜びは少なかった。続いて今度は後方から出たボールに追いついた比嘉リカルドが、先ほどの金山と同じ位置から同じようなシュートを決めて逆転に成功する。このときの比嘉も選手と抱き合う程度でいつもの雄叫びは控えめだった。

 同点に追いついた事でポゼッションの高さは変わらないものの、日本がようやく落ち着きを取り戻した。無理をせず攻めないで中盤とサイドでパスを回していると台北がプレスを仕掛けるが、残り30秒で台北が6つ目のファールを犯す。するとサッポは慌てて「第2PKが上手い」と信頼を置く前田喜史を投入。19分目にして初めての出場となった前田だが、これを確実にGKの逆を突いて2点差をつけて、日本のアップセットの予感が消え去った。


 後半に入っても日本のペースは変わらず、高いボールポゼッションと前プレスで台北の動きを完全に封じ込める。台北は体力を消耗したためか、前半のようなアグレッシブさが無くなり、強引な単独突破や精度の低いミドルシュートしかできず、日本ゴールを脅かす事は無かった。そして23分にGKが弾いたボールをゴール前に詰めていた高橋が確実に押し込んで4点目を奪うと、日本はコンスタントにメンバーを入れ替えて、前半出場の無かった近藤純也や第2PKのみだった前田を投入してFPを全員出場させた。

 残り2分を切ったところで台北がタイムアウトを取った後、小山、山田将貴、近藤、前田の新戦力を同時投入したのはサッポが彼等に経験をつませようとしたのがわかる。

 試合後、「来たからには勝つ事もそうだが、目指しているのはアジア選手権なので彼等の様子も見る」と言うサッポはまだ残り枠を埋める選考を行っている。

 8対1で勝利したとは言え、点を取るのに苦労した前半やチームに馴染んでいない新戦力など、課題が浮き彫りになった準決勝だった。

「厳しい試合で少ない時間の中で(新戦力の選手が)どう連動できるか」と藤井が言うように、新戦力がどれだけチームに溶け込めるか、そしてサッポが誰を使うのか、決勝のタイ戦に向けての日本代表の戦い方に注目である。



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