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〜 第11回全日本選手権全国大会
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【PUMA CUP 2006 / 第11回全日本選手権全国大会特設ページ】 2006.2.8.
PUMA CUP 2006 / 第11回全日本フットサル選手権大会全国大会・2/5 レポート
<レポート> 杉浦 文哉
3位決定戦
10:00〜 代々木第一体育館
高槻松原FC
5
2-0
2
3-2
arusa
arusa(アルーサ)キャプテンの水上玄太がまた泣いた。2日連続である。前日の準決勝のForca Verde/BANFFではあと一歩追いつけなくて出た悔し涙だった。しかし、この日の涙は自分たちの不甲斐なさから来た涙だった。
「力をぶつけて戦って負けたなら納得できるが…」と言うように、前半のアルーサは意識が試合に向けられていなかった。「勢いに乗れば良いけど、点差をつけられるとダメになる」と選手が言っていたように、アルーサは平均年齢が21.5歳と若いチームにありがちなノリで行くタイプのチームである。若さゆえにメンタルコンディションが出来なくても仕方がない。初戦で戦ったPREDATOR FUTSAL CLUBの藤井健太も「リズムに乗れば強い」と評価していただけに、この試合は悔しいところだろう。
エンジンのかかりが遅かったアルーサに対して、高槻松原は最初からフルスロットルだった。準決勝で敗退しても、次の試合でアルーサを偵察した。そこで、「速いから1対1に負けない。スペースを作らせない事に注意した」とキャプテンの沼田慎也は語った。その答えが得意の前プレスだった。「後ろに抜かれてもいいように1人残る事を意識した」と言うが、前半のシュート数を10本に抑えた事から(高槻松原のシュート数は24本)、アルーサにほとんど仕事をさせなかったのがわかる。守備をほぼ完璧にしたことで高槻松原は自然と試合の主導権を握る。
その中で攻撃のリズムを作ったのが、中西卓也と永山宜佑だった。2人で全得点を叩き出した。特に永山は3得点1アシストと大車輪の活躍をみせた。「途中から出て仕事をするのが持ち味」と自分を表現する永山だけあって、相手の隙を突くのが非常に上手い。特に後半6分の4点目は、直前に中西のゴールで3対0と引き離したすぐ後で、アルーサの集中力が切れたところを見逃さなかった。この得点で試合は完全に決まった。
目標はベスト4だった高槻松原だったが、ここまでチームを引っ張ってきた選手兼監督の辻崎陽が累積警告で出場できなかったため、この試合は彼のために何が何でも負けられない試合に変わっていた。沼田は、
「関西リーグでは陽が出ていない試合で結果が出なかった」
と辻崎の重要性を語り、永山も
「今まで頑張ってきたので、陽の分まで頑張ろうとチームがいつもよりもまとまった」
と言った。辻崎は試合に出られなくても観客席の最前列に座り、柵の間から体を出して大声で指示を出し続けた。もちろんその声はベンチにいた選手の耳にも入った。チームが一丸となっていた。
試合終了後、泣いた水上とは対照的に辻崎は笑顔で選手を迎えた。自分が出られなかった最終戦、チームが結果を残した事に感謝した。
決勝
12:00〜 代々木第一体育館
PREDATOR FUTSAL CLUB
4
3-0
2
1-2
Forca Verde/BANFF
確か真冬の関東リーグの試合だったはず。REDATOR FUTSAL CLUB(プレデター)の塩谷監督はベンチコートを2枚重ね着してベンチで指揮を取っていた。そんなとても寒がりの監督がこの日はスーツ姿でベンチの前に立っていた。その姿がこの試合にかける気持ちを表していた。
「3点の勝負」
塩谷監督はForca Verde/BANFF(フォルサ)に2点を許しても仕方がないと考えていた。逆に言えば3点を取れれば勝てるという自信があったのだろう。その期待に見事に応えたのが高橋健介と岩本昌樹だった。
「健介は日本代表で大きな大会を経験しているから」
塩谷監督は経験値を買ってこれまで重要な試合では高橋を先発として起用してきた。その期待に高橋は見事に応え、この日も先制点を決めて結果を出した。そして岩本は「自分が勝負してリズムを掴みたい」と試合前に話し合い、サイドから積極的に仕掛けて2得点をあげた。
前半15分で目標の3点を決めたプレデターだったが、市原誉昭が負傷退場するという不安要素が湧き出る。その時のチームは「苦しかったね」(岩本)、「精神的な柱なので抜けたのは大きかった」(藤井健太)と誰もが不安を感じた。しかし、それが逆にチームを1つにまとめるきっかけとなった。
「誰が抜けても補えるようにやってきた」と藤井が言うように、最後までチームが大崩れする事は無かった。フォルサのオスカー監督やパウロ・セザール、前田大輔は「プレデターの守備が良かった」と口を揃えた。プレデターは準決勝間までの5試合でわずか3失点と強固な守備を誇ってきたが、それでも満足する事はなく、藤井は「勝った試合でも修正してきた」と、川原永光は「神戸では守れなかった」と反省してきた。それがこの試合では「満足した」と自他共に認めた。それだけ守備が良かったのかがわかる。
フォルサの助っ人ブラジル人、レアンドロ・フィネットやパウロ・セザールに対してプレデターは十分注意した。「できるだけ2対1の局面に持って行きたい」と前日に市原が話していたように、ふだんは前線に2人残るような守り方をしているが、この日は前線の選手も積極的に下がって2人を囲んだ。「1対1でも抜かせる方向を決めて、抜かれても2人目がカバーに入って止めるようにした」と岩本が語るように、2人に33本ものシュートを打たれたが、許した得点はPKの1点だけに抑えた。守備の中心の川原も彼等に注意はした。日本代表GKとしてスペイン代表など彼等よりも凄い選手のシュートを受けてきたプライドがあったから、気後れする事は無かった。
「(以前に対戦した)スペイン代表などの方が凄かった」と、これまでフォルサに屈したチームのGKとは経験してきたものが違うと試合後に笑顔で語った。それにしても川原については対戦したチームから「非常に当たっていだ」と答えが返ってきた。しかし、北野GKコーチに言わせれば「『当たっていた』とみんなは言うけど、あれが彼の実力」だと言う。この試合でもフォルサに59本もシュートを打たれた。FPがブロックしたものも多かったが、PK以外に決められたのはFKのこぼれ球を比嘉に1点を決められただけ。1/59という結果からも、彼の評価が「当たっていた」から「実力」に変わっても不思議ではない。
試合終了のブザーと同時に飛び出した北野コーチが川原と抱き合った。北野コーチは結果を残さなければ辞める事も考えていたという。この日はベンチ入りできなかった古株の帖佐浩二朗が号泣した。いつもクールな岩本が彼につられて涙を流した。塩谷監督も目を赤く腫らした。
「自分が入った事で出られなくなった選手がいる。その選手や千葉県予選で戦ったBチームの選手のためにも優勝したかった」と藤井はチームメイトに、塩谷監督は「北野、梅沢の両コーチがチームをまとめてくれた」とコーチにそれぞれ感謝した。その北野コーチは「今日は選手が気持ちよくできるように専念した」とチームを支えた。
そして、この関東大会では僅か数人で、選手名簿を見ながらたどたどしく応援していたサポーターも日を追うごとに多くなり、この日は30人近くも集まった。おそろいのレプリカTシャツを身にまとい、「塩谷監督やったね」と黒字で書かれた大きな白布を掲げて喜んだ。そんな彼等に塩谷監督はインタビューで開口一番、
「サポーターが団結して応援してくれた事に感謝」
と言った。選手権の千葉県予選に初めて出場してから苦節7年、関東大会という壁に何度も押し返された。初めて進んだ全国大会出場でプレデターは見事優勝を成し遂げた。
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